夏への扉/UNDERWOOD Typewriter

2013-06-16 08:54:40 | Weblog

          2009 ロバート・A・ハインライン

久しぶりのS.F。昔読んだのでは?と思いながらパラパラとめくってみたが全く覚えていないので読み始めたら面白い! 
 1970年にコールドスリープ(低体温睡眠)によって30年を仮死状態で眠り、30年後の2000年に目覚める、というストーリー。
 本書が発表されたのが1956年ということですから、1950年代におよそ50年後(西暦2000年)の世界を予測して書いているのですね。興味深いものが幾つかありました。

 「どんな床でもい。一日中監督なしで、掃き、あるいはモップをかけ、塵を吸い取る。充電器で充電する「おそうじガール」  これはそのままロボット掃除機!

「タブロイド版の新聞は、写真や図版は多色刷りか、モノクロの立体写真だった。 ー中略ー
読めるのは一面だけのように思われた。たまたま一面の右下のすみに手が触れた。
すると紙面がくるくるとまき上がった、、他のページもその部分に触れるたびに次々にめくられていった」

 これは3Dの写真だし、i pad ですねえ! そして恐ろしい予見もあります。

「記事の中には全く理解できないものがあった。 ー中略ー
フランスの三つの町の住民が立ち退きを命じられた。国王はその地域に薬剤散布を検討中。
これは放射性物質か?」

「自動秘書はすでに実用化されていると思っていた。つまり口述筆記をし、人手を全く借りずに書簡を添削し、綴りや句読点の誤りを直し、完璧な書式を作り上げるるような自動機械だ。だがまだそんな機械は存在していなかった」 
 これはどうでしょうか?実用に向かっててはいるのですよね。

「全国共通の小切手システムは、この時代の目覚しい進歩のひとつだった。全市の手形交換所は電脳通信ネットワークであり、地元銀行と同じように即座に現金を手にすることができた」

以上1950年代の時点での予見ですが、今から30年後、50年後は果たして、、、。
 
 本の始めの方で、1970年30歳の主人公は事業を起し、1908年型のアンダーウッドで手紙をタイプしていた、とありますが、私も30数年ほど前に?ある骨董店で買ったのがアンダーウッドだったのです!少々ホコリをかぶっていますが、当時実際に使用できた物でした。懐かしい!

          

 終わり近くで作者はこう言ってます。

「未来は過去よりよいものだ。悲観論者やロマンチストや、反主知主義者がいるにせよ、この世界は徐々によりよきものへと成長している。なぜなら環境に心を砕く人間の精神が、この世界をよりよきものにしているからだ。両の手で、、道具で、、常識と科学と工業技術で」
 

「ハインラインによってリアルに描き出された西暦2000年も今や過去になり、2009年に生きる若い人たちは、30年後の2030年を果たして大好きと言えるだろうか。そう言ってもらえる世界にしたいと今を生きる人たちは願っているだろうか」 訳者あとがき より
 
  


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