冬の犬/Grandma Moses

2011-09-28 17:37:14 | Weblog

       
       2004              Cape Breton Island,Nova Scotia,Canada

著者 アリステア・マクラウド 1936 カナダ生 ノヴァ・スコシア州ケープ・ブレトン島で育つ               
       
 11歳の時のクリスマス
「クリスマスツリーの前で身を寄せ合っている両親を見る。姉たちを見る。私より先に境界線を越え、少女時代の生活から日に日に離れてゆく姉たち。大陸の半分も遠く離れた所からクリスマスにやってきて、自分の持ってるもの全て運んできた兄。
 皆それぞれの思いやり溢れる姿を描いた一枚の絵のように、そこに収まっている。

 誰でもみんな去ってゆくものなんだ、と父が静かに言う。
でも嘆くことはない。良いことを残してゆくのだからな

                                     {すべてのものに季節が来る}より

  読みながらふと、グランマ・モーゼズの絵を思い出していました。
 少年と家族の静かな、そして確かな絆を感じさせるありようが、モーゼズおばあさんの素朴な絵を思い出させてくれたようです。

 「グランマ・モーゼズ 1860~1961。アメリカ生
 リューマチにかかり、リハビリを兼ねて油絵を始めた。その3年後、コレクターが彼女の絵に目を付け、1940年(80歳)個展を開く。大手のデパートが注目し、一躍著名の画家に!」

 彼女の絵が入った画集を買ったことを思い出しました。本棚を捜して見ると、、ありましたよ。
1988年、新宿伊勢丹での「アメリカン・ナイーブ展-10人の女流画家たち」ですね。
20世紀アメリカ女性フォーク・アーチストたち という副題でした。

     

 


ネザーランド/The Hotel Chelsea 

2011-09-25 11:11:03 | Weblog

      2011-8

 「ロンドンに妻子と暮らすオランダ人ハンスが、ある事をきっかけにひどく惨めな思いを抱いて異邦人のように彷徨っていたニューヨーク時代に思いを馳せる。出合った人々、クリケット仲間、妻との不和、そしてビルの崩壊にまつわる記憶が蘇ってくる。
 描かれる出来事は2001から2003年までのことだが、過去はさらなる過去を呼びいれ、記憶は時間の流れに逆らって現在を浸す。
 2008年ニューヨーク・タイムズ・ベスト・ブック10、2009年PEN/フォークナー賞を受賞」
                                                 訳者あとがきより

 この主人公が住んでいるのが「チェルシー・ホテル」。ひょっとしてあのホテル?
ボブ・ディランがいっとき暮らし(「ローランドの悲しい目の乙女」を書いた)、映画「レオン」が最初に住んでいたホテル、レナード・コーエンが歌にした、そしてジョニ・ミッチェルが歌ったあのホテル、、、。
 検索してみると、1884年建立。
オー・ヘンリー、ディラン・トーマス、アーサー・ミラーなどが住んでいたそうですが、今年の8月上旬売却され、今後高級ホテルかマンションになる、とか、、。一度行って見たかったなあ。ディランの滞在したルーム211も改装されたようです。残念!

                  
                 Desire (1975)
        Sara
        Staying up days in the Chelsea Hotel
        Writing for ”Sad-Eyed lady of the Lowlands” for you

        

 ジョニ・ミッチェルは「チェルシー・モーニング」の光景をを描いていますね。

                   1969
            Woke up,it was a Chelsea morning
            And the first thing that I knew
            There was milk and toast and honey 
            And a bowl of oranges,too
            And the sun poured in like the butter 
            And stuck to all my senses

            Oh,won’t you stay 
            We’ll put on the day
            And we’ll talk in present tenses


Podcasts/The Cotton Club

2011-09-22 17:25:34 | Weblog

        1984

時折聞くラジオの「時事を扱う」番組を聴いていると、新聞には載っていないニュースの側面を解説したり、あるいはもっと掘り下げた内容(私たちが今、知っておくべき事など)を語るコーナーがあって、毎回聞きたいなあ、と思っていたのです(いわゆる大新聞が、当たり障りのないことしか載せていないというのが改めてよく分かったので)。
 iTunes をチェックしていて、そうだポッドキャストがあった、と遅ればせながら先週からポッドキャストをipodに入れています。
 iTunesに登録すればオーケイなのか、と思っていたら、そこからipodへ同期、という作業が必要なのですねえ。やり方が分からず、いくつか検索して、答えを見つけて何とか出来る様になりましたが、もっとすんなり分かるようにならないものかなあ、と思ったのでした(皆、すんなりと答えを得ているのですかね?)
 毎回更新して同期、というのが若干面倒な気もするのですが、ともかく移動中でも聞けるし、重宝しています。

 そして昨日は台風の影響で夕方から強風。こんな日はHDDに録ってある映画を見ておこう、と「コットン・クラブ」をチョイス。
 1920~30年代のニューヨーク。映画自体は、タップ・ダンスと音楽以外はあまり、、、という印象でしたが、ちょっと驚いたのがクラブのマネージャー役。あれトム・ウェイツかな?エンディングで出演者を見ると、ああ、そうでした。知らなかったなあ。こんな役もやるのですねえ。タキシードのトム・ウェイツ、結構でした。

          
    


水墨 創世記/The Bible...in the Beginning

2011-09-18 10:31:36 | Weblog

              2011年

 

これは凄い、と思わず心でつぶやいてしまいました。こういうやり方があったんだ、としばし感心。
 水墨と聖書が何の違和感もなく、むしろスンナリと調和しているように感じましたよ。
 旧約聖書を読んだのはいつだったかな、かなり昔なのですが、、。ともかく馴染みのある話が「新たな読み物」として現れたような感じさえ受けました。
 いくつか「これはどうして?」とか「どういうこと?」とか思いながら(以前読んだときにも感じた素朴な疑問、ですが)、水墨画があるだけでこんなに読みやすくなるとは、、、。
 
 読みながら映画「天地創造」を思い出しました。確か渋谷で見たのだと思います(バスのロータリーのある辺り、、かな?)。かなり前にテレヴィでも見たはず、。

 監督のジョン・ヒューストンがノアの役で出ていますね。ちなみに音楽は黛 敏郎です。
創世記の1章から22章までを描いていますが、ノアの箱舟やバベルの塔、振り向いて石になってしまったシーンが強く印象に残っています。

       
                     1966                         


9.11、10周年/Paul Simon &James Taylor

2011-09-14 17:25:32 | Weblog

        

 ニュースで「9.11の10周年セレモニーが行われ、ポール・サイモン、ジェームス・テイラーが歌った」と言っていました。P.Cで見られるかな、と帰宅してYouTubeを見るとありましたね。「明日に架ける橋」の予定を変更して「サウンド・オブ・サイレンス」にしたようですね。9.11のキャップを被って、ソロで弾き語り。
 歌詞の出だしが、参列した人々の様々な想いを代言しているように感じました。

Hello,darkness my old friend                          やあ、旧友の暗闇よ
I've come to talk with you again           
また君と話しにやってきたよ
Because a vision softly creeping          なぜなら
幻影がそっと偲びこんで
Left its seeds while I was sleeping         
僕が寝ている間に種子を残していったから
AND the vision that was planted in my brain   
そして僕の脳細胞に植え込まれた幻影は
Still remain                        
今も息づいている    
With the sound of silence                静寂(沈黙)の中で

      

そしてJ.テイラーは初期のアルバム「マッドスライム・スリム」から"you can close your eyes"。
 「間もなく別の(第二の)日がくる。私たちは良い時を過ごすんだ、誰にも邪魔されずに」

                        1971

              So close your eyes
              You can close your eyes,it’s all right
              I don't know no love songs
              And I can't sing the blues anymore
              But I can sing this song
              And you can sing this song
              When I'm gone

              It won't be long before another day
              We're gonna have a good time
              And no one's gonna take that time
away
              You can stay as long as you like 


the Corrs/Everybody Hurts

2011-09-11 17:35:52 | Weblog

                  

 もう10年経ったのですねえ。新聞やTVでの特集などで取り上げられています。飛行機がビルに突っ込む場面は見たくないのですが、数度見せられてしまいました。
 当時夜のニュースでそのシーンを見たのを覚えています。翌日は早朝から約束があったのですぐに寝てしまったのですが、翌日以降の、ニュースから伝わってくる内容は衝撃でした。
 あれ以来、アメリカの飛行場でのチェックが厳しくなったのですよね。そうだ、その数年後、シカゴの友人を訪れた帰り、L.Aへ行く際のチェックで、私はまあまあすんなり通ったのですが、甥っ子のTがしつこくチェックされたのを思い出しました(彼にとっては嫌な思い出かな?)。
 シカゴの空港内の連絡通路?は色々と工夫されていて、良かったですね。

                

 先日NHKで、「当時全米で、アラブ・イスラム系の人々への攻撃や差別が激しくなっている時に、厳然と異議を唱えたのは多くの日系人だった」という番組を見ましたが、「気骨ある日本人」を見た思いです。今、日本に必要なのが「気骨ある」リーダー、と思うのですが、、、。

 そんなこの頃に、心に響いたのがコアーズの「エヴリバディー・ハーツ」。
R・E・M1992年の曲ですが、私のipodに入れてあるのはコアーズなんですね。「アンプラグド」(1999年) の1曲ですが、こちらもなかなか良いです。 

 

              'Cause everybody hurts
              Take comfort in your friends
              Everybody hurts. Don't throw your hand
              Don't throw your hand
              If you feel like you're alone
              No,no,no,you are not alone

              Well,everybody hurts sometimes
              Everybody cries
              And everybody hurts sometimes
              And everybody hurts, so hold on ,hold on,


東京Jazz Circuit/Remi Panossian Trio

2011-09-07 17:49:34 | Weblog

 

           

 日曜日の午後、東京国際フォーラム 地上広場でのライヴ。今年は時間があまりなくて2ステージだけ見ました。
 フランスのピアノ・トリオ「レミ・パノシアン・トリオ」が汗だくの45分間。
 昨年までとステージの場所が変わって建物の間のスペース。ステージ前の椅子席やその後方周辺のテーブル席など見やすい配置になったかな?
 台風の影響が心配されたのですが、雨も降らず何より。やはりライヴはいいですねえ。

            

  レミ・パノシアン(P)、 マキシム・デルポルテ(B)、フレデリック・ぺティプレス(Dr)

 次のステージまでテーブル席でのんびりと、缶チュウハイとチーズ・プレツェル。ほんわかと良い気分で日曜のひとときを過ごしたのでした。

              


半島へ/ G・グールド孤独のアリア

2011-09-04 11:41:32 | Weblog

            

 図書館から借りてきて3日目に、新聞に「谷崎賞受賞」の記事が載っていました。良いタイミングでしたねえ。
 この本を読み始めて暫くすると、他の本と違い、わりとゆっくりと読んでいることに気がつきました。
 東京暮らしから、海と森に囲まれた土地へ。そこでの生活に順応しながら半島の日々を語る。
 二十四節気の暦を使いながら、自然と一体化した「私」の半島での生活が、読んでいる私にも落ち着いたリズムをくれたようです。

           

 「ここにいると、なにかが刻々と体の中を動き回っているのがわかる」

「ぼうっと空を見ていると、波動のようなものが体内をかすめていく。
 体と空が一瞬にしてつながるような未知の感覚に襲われる」

「私はグールドの音楽の良い聴き手でもない。しかし、北国から人間社会に舞い戻ったグールドの心は、少し分かる気がする。 人もまた渡りのものだから。
 不幸から幸福へ、その逆もあり、孤独から雑踏へ、ひとからひとへ、静けさからにぎわいへ、脳はせわしなく過去から現在へ、現在から過去へ、時に、はるか先の未来にまで行き来する」

「グレン・グールドの音だってそうだ。低音から高音へ、休止符と連音符の間を絶え間なく行き来していた。けして一ヶ所にはいなかった。
私はどこに行くのだろう」

「湧き水の音を聞いていると、暗い地底が浮かんでくる。
いま流れている水は、いつの時代のものだろう。長い年月をかけて、近くの崖から染み出したものが、土中でろ過され、目に見えない通路を通って行く。
それがまた海に戻るのだと思うと、水の旅のはるけさだけが、畏怖と憧れを伴って私の心を無心にする」

                  

 忍び寄る老いに備え、私自身の「半島」、「終の棲家」を見つけなくては、とあらためて思いながら読み終えたのでした。