前年一斉に3クラブが加わり、J2の場で仁義なき戦いが繰り広げられた静岡県。磐田がJ1昇格を果たした反面、同じくその座を目指した清水は上がれずという結果に終わった。
新たな屈辱感を背負う破目となった清水の立ち位置が嫌でも気になる所で、同県にまだ同じカテゴリで基盤固めに勤しんでいる藤枝が居るとあれば、後ろ指を指されるような感触を覚えるのも無理はない。
そんなお隣の騒動を俯瞰して……というわけでは無いだろうが、隣県に位置するクラブである甲府はACLという独自の戦いでグループリーグ突破を果たし、「J2の誇り」を見事に実践するに至った前年。使命感を背負いながら結果を出した物語の美しさを証明するとともに、それに砂をかけるように1年でJ2から去らんとした清水との差が現れた……というのは言い過ぎか。
まずは昇格という近似的な思考に陥るのではなく、何か確固たるものをJ2の舞台で残し、その結果認められて上へと上がるような戦いを期待したいものである。
<ヴァンフォーレ甲府>
そんな訳で天皇杯優勝→ACLグループリーグ突破という、輝かしい経歴をこの2年で残すに至った甲府。それでもACLを戦うべく、無理矢理戦力を揃えにいったツケは払わなければならず。レンタルで獲った選手は神谷を残して一斉に抜け、さらに長谷川・三浦・井上詩音の個人昇格と、アウトの方が目立つ格好となってしまったオフ。(いわきの所でも書いたが、三浦クラスの場数の選手を抜かれるのはキツいものがあるだろう)
振り返れば、須貝の移籍が号砲となり、慌ててその穴を隠すように選手を搔き集める格好となった前年夏の移籍市場。そこからスリム化が図られたようなオフであるが、それでもその動揺を隠せないのか、前線の新たな助っ人探しに模索。それもフリーの市場からゴンザレスを獲ったと思ったら、さらにそこにアダイウトンを上書きするという、やや迷走ぶりを感じてしまう経緯となった。
それでも最重要課題は、ごっそりと抜けたディフェンスラインの補填といったオフの動向。飯田の獲得・大和のレンタル移籍(J3・盛岡へ)が1月中盤に決まるなど、大詰めまで調整が図られるも手薄さは否めず。その調整ぶりは、DFでは無いがヘナト・アウグストの獲得が2月に決まるという具合に現在も続いている風であるがさて。個人的にはセンターバックは孫、サイドバックは木村の期待値込みでの獲得が結果に繋がる事を祈りたい。
今季も継続する事となったACL、そのラウンド16は開幕前に早速行われる予定である。前年の主力メンバーを一部失った事で、チーム固めが途上の中での戦いが予想されるが、勝ち上がりリーグ戦での飛躍に名乗りを上げる事が出来るだろうか。
予想順位 5位~13位
予想フォーメーション 4-2-3-1
GK 河田 澁谷 山内
CB マンシャ 神谷 野澤 今津 孫
SB 関口(R)荒木(LR)小林(L)飯田(RL)木村(R)
DH 林田 佐藤 山本 遠藤 ヘナト 三沢
OH 武富(CL)鳥海(RC)宮崎(RCL)中山(?)水野(L)(三平C)(荒木L)(ゴンザレスC?)
FW ウタカ 三平 アダイウトン ゴンザレス 内藤
<清水エスパルス>
さて問題の清水。前述の通り「J2で何を残せるか」という観点からいくと、タイトルを抜きにして考えれば(といっても今季からルヴァン杯は全クラブ参加となったためそれを目指すのはありか)、やはり新潟のような「確固たるサッカースタイルの構築」が第一に考えられる手法。
秋葉忠宏監督も、補強面で松崎・住吉と「自身の教え子」に手を出した辺り、その思惑はある程度は持ち併せて挑むと思われる。しかしそれはチームに残った乾との折り合いをどう付けるかという課題を生む事となり。いくら秋葉チルドレンといえど水戸時代はJ2の中~下位の位置でのものであり、乾を納得させられる程のものは持ちこめずに、結局は前年と同じく自身の理想を断念せざるを得ない状況に追い込まれる可能性は十分。少なくとも調整が図られ、「戦術・乾」と揶揄されるような前年のサッカーからの改善を祈るばかりである。(なお前年同様の3バック・4バック双方で予想したが、キャンプでは3-3-2-2も取り入れられているそうな)
戦力的には、乾はじめネームバリューのある選手は高齢化し、前述の秋葉チルドレンはじめJ2産の選手を取り入れなければならない過渡期。それ故に圧倒的な力を駆使して戦うのも厳しくなり、順位的な期待値も下がると予想する。新加入のルーカス・ブラガもサイドアタッカータイプ(前年はリーグ戦で得点ゼロ)らしく、サンタナの穴を埋められる存在では無いので尚更である。レンタルから帰って来た選手達がどれだけやるのかは未知数だが、ルヴァン杯も利用しながら戦力に仕立て上げたい所。
予想順位 3位~10位
予想フォーメーション 4-2-3-1
GK 権田 梅田 阿部 沖 猪越
CB 高橋 高木 菊地 蓮川 住吉 監物 (森重)
SB 原(R)山原(L)北爪(R)吉田(L)(西澤L)
DH 宮本 白崎 中村 成岡 (矢島)
OH 乾(C)カルリーニョス(L)西澤(RL)川谷(?)松崎(R)矢島(C?)ブラガ(?)(原R)(北爪R)(北川R)(川本L)
FW 北川 加藤 川本 千葉 森重
3-4-2-1の場合
GK 権田 梅田 阿部 沖 猪越
CB 高橋(C)高木(?)菊地(?)蓮川(LR)住吉(RC)監物(?)(原R)(北爪R)(吉田L)
WB 原(R)山原(L)北爪(R)吉田(L)(西澤L)(川谷?)
DH 宮本 白崎 中村 成岡 (矢島)
IH 乾 カルリーニョス 西澤 川谷 松崎 矢島 ブラガ (川本)
FW 北川 加藤 川本 千葉 森重
<藤枝MYFC>
清水・磐田の「仁義なき戦い」が繰り広げられるなか、独自路線をあくまで貫いた静岡第3のクラブ。それでもハッピーエンド(残留)に辿り着くために、そのスタイルを曲げるという事も躊躇無く行った須藤大輔監督。引き出しは確実に広がったものの、「超攻撃」を彩った主力選手が次々と引き抜かれるなか、維持できるかどうか。
新たに期待されるのが中島で、リアルストライカーの気質を備えたその存在は頼もしくあるものの、守備能力という弱点を克服できなければ活躍はおろか(札幌への)将来のレンタルバックも厳しくなる立場でありある意味正念場。
彼が頂点に定着すれば他選手のポジションももおのずと決まりそうではあるが、確固たるチームスタイルを定着させているが故に、外部の選手はそれに順応するのに一苦労しているという印象の藤枝。前年夏の補強で得た選手のうち、攻撃を担う側である中川風・レオナルド・田中にその影響が見られ。(中川風は終盤活躍を見せたが)果たして中島に吹く風はどちら向きとなるだろうか。
そんな訳で新人選手、それも前年特別指定で場数を踏んだ永田・浅倉・前田辺りがそのままチームの流れに乗って定着しそうな気がする。彼らによる第二の旋風に期待したい。
予想順位 8位~16位
予想フォーメーション 3-4-2-1
GK 北村 岡西 内山 菅原
CB 川島(C)鈴木(L)小笠原(R)中川創(R)山原(RL)ウエンデル(?)カルリーニョス(?)
WB 榎本(L)久富(R)河上(R)前田(R)浅倉(?)(シマブク?)
DH 水野 西矢 新井 梶川 小関 (杉田)(平尾)
IH アンデルソン 杉田 平尾 中川風希 大曽根 シマブク 永田 (西矢)(河上)(矢村)(梶川)
FW 矢村 中島 (中川風)
<ファジアーノ岡山>
退団選手は実に14人、その大部分を過去2年戦った助っ人が占められるという具合に、刷新を図り3年目に挑む木山隆之監督。
その助っ人というファクターで、新たな脅威と目されるのがシャビエル。「J2の生態圏破壊」というフレーズも聞き飽きたものであるが、額面通りの働きで悲願の昇格を齎せるかどうか。他のライバルクラブの伸び盛りも数多獲り(岩渕・齋藤)、訳ありの選手も陣容に加える(柳貴)など、勝負の3年目に相応しいといえる補強路線。一方で河井が抜けた「清水枠」も竹内でしっかり埋める辺り、その方針にブレは無い模様である。
補強選手をどう機能させるかという問題とは別にして、不安点は柳育がディフェンスリーダーとなる事が濃厚な最終ラインか。栃木時代も、田代(現福岡)からその座を受け継いで以降はチーム全体不安定感が増し、強靭な当たりとセットプレーでの得点力で何とか誤魔化していた印象が強かった。レンタルバックしてきた阿部が彼をどれだけ助けられるか。
日本人選手の補強も中盤の底を固め(藤田・竹内)、得点力を上げ(岩渕)、スピードある2トップの一角を埋める(齋藤)と理に適っている。
そんな中で異色なポジションはGKか。堀田が正GKの座を固めて来た所にブローダーセンを獲得と、仁義なきポジション争いが発生する可能性が高い。
予想順位 2位~13位
予想フォーメーション 3-3-2-2(3-1-4-2)
GK 堀田 ブローダーセン 金山 川上
CB 柳育崇(CR)鈴木(L)本山(R)阿部(CRL)田上(LR)藤井(L?)
WB 河野(R)木村(L)高木(L)高橋(L)末吉(RL)柳貴博(R)(本山R)(藤井L?)
DH 輪笠 藤田 竹内 井川 (田部井)(本山)
IH 仙波 田部井 田中 シャビエル 岩渕 吉尾?(本山)
FW ルカオ 齋藤 グレイソン 太田 (シャビエル)(岩渕)
<レノファ山口FC>
あれだけ就任時に世間を騒がせたフアン・エスナイデル監督による改革は、半年で幕を閉じ。よって再び監督探しを迫られるオフとなり、その結果選んだのがFC大阪の監督であった志垣良氏。選手生活を早期に打ち切り、イングランドの場で指導者経験を積むという、監督になるべくしてなったような人材である。
彼のやり易いように……と編成を組んだ結果からか、前年まで志垣氏が戦った舞台であるJ3からの主力級の引き抜きが多数を占める。鹿児島で昇格ゴールを決めた山本に象徴されるように、上り調子の選手を集める事でチームの糧にするという解り易い手法か。しかしそれらがカテゴリの違いによって跳ね返されれば、無残な結末も招いてしまいそうで難しい。
サッカー的には、基本4-4-2を弄らず、堅守速攻のスタイルを磨き上げた志垣氏のFC大阪。当然山口でも同様のものとなりそうだが、それにしてはボランチ(センターハーフ)に不安が残る顔ぶれ。スタイル的に強度が求められるポジションなので、ベテラン(佐藤・山瀬)・ゲームメイカー(池上)のみの陣容ではいかにも苦しいと思われる。前を組み込んで補いつつ、救世主待ちとなるだろうか。
なお純正4-4-2に当て嵌めた結果、サイドハーフが過剰といった編成であるが、これは他も同様の現象に陥っているクラブが多いので気にしない。
予想順位 12位~20位
予想フォーメーション 4-4-2
GK 関 チェヒョンチャン 田口
CB ヘナン キムボムヨン 板倉 平瀬 今井 (前)
SB 高橋(R)前(RL)沼田(L)石川(RL)新保(L)
DH 佐藤 池上 山瀬 水口 (前)
SH 吉岡(R)五十嵐(RL)野寄(L)田中(RL)小林(RL)加藤(L)相田(R?)若月(?)
FW 梅木 河野 シルビオ 山本 (加藤)(若月)
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