<両軍スタメン>
J1に上がってからも、ターンオーバーしながらの戦いを続けている新潟。
この日も先週の試合からスタメンを7人変更と、その方針にブレを見せず臨みました。
一方、降格ラインの瀬戸際での戦いが続く横浜FC。
残留に向けた戦いという以外に際立った方針は感じる事が出来ず。
辛うじて守備重視のスタイルは伺えるものの、選手編成に問題がありかつシーズン途中での変更と、幾つもの難点が降りかかる状況となっています。
序盤に比べると何とか勝ち点を重ねてはいますが、果たして仮に残留したとしてそこに未来はあるのかどうか、と考えさせられるものであり。
前回の降格も昇格2年目に大崩れしてのもの(2021年)だったし
それでもこのカード、前回対戦で勝利したのは横浜FC。
新潟にとっては雪辱戦で、リベンジし甲斐のある相手でもあります。
早々の前半1分に好機を迎えたのは横浜FCの方で、裏へのミドルパスに走り込んだ山下、舞行龍のクリアをブロックで防いでそのまま拾ってエリア内を突き。
勢いのままにGKの眼前まで迫ったものの、必死に戻った舞行龍に引っ掛けられて倒されシュートは撃てず、反則の笛も鳴らずに終わります。
しかし続く2分、ユーリのドリブルが島田に倒されると今度は反則となり、左サイドからのフリーキック。
かなり遠目の位置からキッカー・カプリーニのクロスがファーに高く上がると、吉野が合わせにいった所をGK小島が抑えにいってこぼれるボール。
そこに岩武が詰めにいきましたが、素早く抑えた小島の手をチャージする形となってしまい反則で終わり。
入りは主審の笛が鳴るかどうか、という流れとなりました。
そんな不安定な状態からいち早く立て直したのは新潟で、不変のスタイルが根付いているチームはそこに立ち返るのは早くあり。
6分にボールを確保して最後方からのビルドアップの体勢に入ると、GK小島が持つ状況で、例によって一方のボランチとトップ下を並べて「1アンカー・2シャドー」の布陣へと可変。
アンカーに位置した秋山が縦パスを前に出た島田に打ち込むという、その関係性から前に運ぶ事に成功し、左へ展開して堀米→島田と経由したのちの中央へのパスを受けたのは三戸。
ワントラップで左ポケットに切り込みそのままシュートを放つと、GK永井の正面に飛ぶも、弾ききれずにボールがゴールへと吸い込まれます。
フィニッシュはスッキリしない形ながらも、得意の手で先制点に辿り着きました。
追う展開となった横浜FC、前回(24節・セレッソ戦、0-1)のようにただ守っていてはどうしようもない状況に早くも追い込まれ。
前節(柏戦、1-2)も前半は消極的な戦いに終始したとあり、厳しいといえたものの、ここから目の色を変えて反撃に掛かります。
10分にポストプレイに入った鈴木に対しンドカが激しくチャージして反則、これにより鈴木が1分以上倒れ込み、ピッチ外→復帰となり。
褒められたプレーでは無かったものの、これで新潟が縦に打ち込む所をすかさず奪う姿勢が出来たでしょうか。
12分にユーリのボール奪取から、こぼれ球を井上がダイレクトで縦に送り、受けた伊藤も裏へと浮き球を送って好機。
抜け出した山下がエリア内でGKと一対一を迎えたものの、シュートはGK小島が足でセーブと攻守に阻まれます。
リズムを掴んだ横浜FC、ここから自身がボールを握っての攻撃も巧くいくようになり。
新潟がそれを何とか凌いでカウンター、という逆転現象が起こりました。
左右のセンターバックの片割れが上がり、それにより両ウイングバックも高い位置を取る体勢からのビルドアップ。
サイドに人数を掛けてパスを繋いだのちに、逆サイドへ展開という理想形が出来上がるも、今一つに見えたのが右の山根の姿勢であり。
折角右サイドをドリブルする体勢に入っても、アーリークロスに傾倒するその選択は、攻撃権を支配している状況とは合っていないように感じました。
それでも珍しく好条件を揃えた横浜FC、結果に繋がるのも早く。
24~25分に長いボールポゼッションを経て、右から岩武のクロスがクリアされるも、セカンドボールを確保して尚も繋ぎ。
今度は左サイドからの前進で、林幸が山根とは対照的に溜めを作った状態でクロスを入れると、ニアに入り込んでいたユーリがフリック気味のヘディングシュート。
綺麗にゴール左へと突き刺し、クロスを入れる際はエリア内に人数を掛けるのが第一、というような同点弾となりました。
尚も攻め上がる横浜FC。
ゴールを挙げたユーリは気持ち良く攻守に活躍するようになり、相手のロングボールの跳ね返し役・自身のロングボールのターゲット役もこなす縦横無尽ぶり。
リズムを掴み直したい新潟は、横浜FCのタイトな守備姿勢により中々繋げなかった縦パス攻勢に活路を見出し。
34分に秋山縦パス→堀米ポストプレイ→渡邊左へ縦パス→三戸受けてドリブルという流れでポケットを取り。
そして低いクロスをニアに入れるも、走り込む高木の前でGK永井が防ぎ。
36分に再びポストプレイの際に鈴木がンドカにチャージされると、今度は反則の笛が鳴りンドカに警告も付き出され。
これで状況有利となったでしょうか、39分の新潟のGK小島からのビルドアップにプレッシャーを掛けた横浜FCですが、後ろが前に出ず間延びしてしまい。
新潟の縦パス攻勢の格好の餌食となり、秋山のスルーパスをエリア手前で受けた松田、さらにポケットにスルーパスを送るも鈴木には惜しくも繋がらず。
攻勢に入る新潟、アディショナルタイムにフィニッシュの嵐を浴びせ。(一度横浜FCがスルーパスに走り込んだカプリーニがループシュート、ゴールに突き刺したもののオフサイドで無効に)
良く通るようになったスルーパスを軸に好機を作り、藤原のミドルシュート(GK永井キャッチ)・高木のペナルティアークからのシュート(枠外)・スルーパスに走り込んだ松田のシュート(ゴール左へ外れる)と攻め続けるもゴールは割れず。
結局前半は1-1で終える事となりました。
ともに交代は無く迎えた後半。
前半の勢いそのままに攻め上がらんとした新潟ですが、いざ敵陣で進入した際の勝負のパスが繋がらず。
最初の好機は後半1分でしたが、敵陣でのボール奪取から素早く運ばんとしたものの、三戸の裏へのミドルパスに松田が反応できず終わり。
そうこうしている内に横浜FCは3分、左サイドから林幸スルーパス→山下受けてエリア内へスルーパスと縦に速い運びを経て、カプリーニが走り込んでシュート。
ブロックされて左CKとなると、キッカー・カプリーニのクロスをファーサイドで吉野が合わせヘディングシュート(GK小島セーブ)とゴールに近づきます。
これで後半立ち上がりは横浜FCペースとなる事が確定し。
新潟は何とか攻撃機会を得た9分、右サイドで秋山のスルーパスに松田が走り込んだものの、ここでもダイレクトで上げたクロスが精度を欠くという形で流れを作れない松田。
一方有利な状況となった横浜FCも、相変わらず山根が早い段階でクロスを送る姿勢は変わらず、好機をフイにする場面が目立ち。
特に15分に折角カプリーニのスルーパスに抜け出しながら、奥に切り込まずクロスを入れた状況では、中に居たのが伊藤1人というだけあって放送席から苦言も生まれる始末となり。(解説=清水範久氏)
そして直後の16分に反撃の狼煙を上げる新潟。
秋山の裏へのミドルパスで最初に深さを取りにかかり、セカンドボールを拾って敵陣でパスワークを展開という変化を付け。
そしてエリア内を突いた三戸から今度はマイナス方向へ細かく繋いだ末に、島田のポストプレイを経て秋山がミドルシュートを狙います。
起点の選手がフィニッシュという理想の攻撃で、ゴール右へ外れたもののブロックを掠めたために右CKに。
そしてここからキッカー高木のクロス、ニアに上がったその手前で鈴木・秋山が潰れるのを尻目に渡邊がほぼ直立のまま合わせヘディングシュート。
ゴール左へと突き刺さり、流れを逆転させた直後に結果を生み出しました。
勝ち越された横浜FC、キックオフの前に2枚替え。
当然と言うべきか山根を退かせ、近藤を投入する手立てをとった四方田修平監督。(同時に山下→坂本へと交代)
一方の新潟も20分、チームに乗れずにいた感のあった松田を退かせ。(太田と交代、同時に鈴木→長倉へと交代)
最前線に入った長倉が、盛んに位置を変える事により行われるポジションチェンジで横浜FCを揺さぶらんとする以降の新潟。
次第にプレッシングも衰えが見られてきた横浜FC、流石に2度のビハインドを跳ね返すのは厳しく。
打開には何か切欠が求められる状況で、26分に新潟のビルドアップに対し、島田のドリブルをユーリが奪った事でカウンターに持ち込みます。
送られたミドルパスを左ハーフレーンで受けた伊藤、さらにスルーパスを受けた坂本がポケットに切り込み。
入れられたマイナスのクロスは合わずも、キレの良い攻撃を見せた事で糸口を掴み。
以降投入された近藤も跳梁し、右サイドで盛んに奥に切り込んでチャンスメイクを果たします。
新潟は流れを変えんと、29分に再度二枚替え(秋山・高木→高・長谷川、三戸がトップ下に・太田が左サイドハーフにシフト)を敢行するも横浜FCの猛攻は続き。
30分に再び近藤から右サイドの攻め、カプリーニがポケット奥を取り、切り返しからシュートを狙うも渡邊のブロックに阻まれ。
この際鳩尾でボールを受けた渡邊が暫く倒れ込む事態となり、これで流れが途切れてしまったでしょうか。
新潟のターンとなると、長いポゼッションに突入し縦パス→ポストプレイでの戻しを挟みつつじっくり繋ぐ攻撃。
そして自陣まで戻して横浜FCのプレッシングを引き込み、舞行龍のミドルパスでその逆を突いて好機を呼ぶという具合に、この時間帯でも理想の攻撃の形を貫きます。
アタッキングサード中央で溜めを作った長倉から、託された高がエリア内へ縦パスを打ち込み、長谷川のポストプレイに走り込む長倉。
しかしその前にGK永井に抑えられて撃つ事は出来ません。
33分に横浜FCは井上→三田に交代。
直後の攻撃でカプリーニのドリブルが藤原に倒されて反則となったタイミングで、島田が足を痛めてしまう新潟。
(FKの)守備陣形に加わった島田でしたが、すかさず手を打ったのがベンチで蹴られる前に新井へ交代と、先にカードを使いきります。
その後も41分に渡邊が足を攣らせるなど、終盤を迎えた事で被害も広がり。
何とかそれを突いて同点にしたい横浜FC。(38分に林幸→小川に交代)
しかし新潟サイドも守備ブロックを固めるようになり、ポゼッションを高めて隙を窺うもその難易度は高く。
唯一43分にユーリのボール奪取でトランジションを突く攻撃で、小川が左ハーフレーンをドリブルした末にポケットへとスルーパス。
しかし走り込んだ坂本に対し舞行龍が素早いカバーでクリアし、モノに出来ません。
そして45分、新潟は最終ラインで持ったのち縦パス→ポストプレイの連続で前進する体勢へ入ると、その縦パスが微妙に緩かったのもあり横浜FCサイドにとっては「奪いに行きたくてもいけない心憎いボール」に映ったでしょうか。
前進に成功させると、右ハーフレーンから新井→長谷川と経由して中央バイタルエリアの高に渡り、切り返してユーリを剥がしたのちのミドルシュートが炸裂します。
右外から弧を描いてゴール右へと突き刺さる、芸術点もほぼ満点といったゴールが文字通りとどめとなりました。
これでほぼ絶望的となってしまった横浜FC。
AT突入後も、パワープレイに頼ったりはせずパスワークに活路を見出すも、既に運気は残っておらず。
何とかFKを得たものの、(キッカー三田の)クロスが跳ね返されたのち、新潟の個人技を見せ付けられる形で危機に。
クリアボールを高がワントラップで確保して右サイドでキープし、マークを集めてパスを送ると、その先でも新井が絶妙なトラップで吉野を股抜きで剥がし。
そしてサイドチェンジを受けた三戸がフリーとなっており、ドリブルで突き進んだ末に左ポケットからシュート。
惜しくもゴール右へ外れて4点目はなりませんでしたが、緊迫の展開を乗り越えた末の解放感に溢れたような攻撃。
さらに目安の時間(5分)が過ぎたのちも、最後の攻撃を敢行する新潟。
自陣からのスローインで、長倉が三戸とのパス交換で抜け出すという具合に、既に横浜FCサイドは前掛かりになっても阻む力は無く。
そしてラストパスを受けた長谷川がシュートするも、枠を捉えられずとなった所で試合終了の笛が鳴り響きました。
かくして今季8勝目を挙げ、藻掻く横浜FCを尻目に降格圏からはほぼ安全という位置を確保した感のある新潟。
後はこのスタイルを維持したうえで、オフでどう補強するかという算段を立てる時期でしょうか。
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