<両軍スタメン>
クラブ規模が小さいながらも、かじりつくようにJ1の座を保っている鳥栖。
数少ないトップレベルの長所は、ホーム・駅前不動産スタジアムのアクセスの良さであり。
しかしこの日の相手の広島は、今季それに匹敵するホームスタジアム(エディオンピースウイング広島)を得た事で盛り上がりを見せているチーム。
このように、自身より規模の大きなクラブが優良なホームとなる事で、その長所も霞んでしまわないかという危惧を抱える状況となり。
それが指し示すように成績面でも降格圏からの脱却を狙う状態であり、何だかんだ言っても、やはり最終的には成績で巻き返さなければ話にならず。
広島のキックオフで始まると、いきなり塩谷がロングシュートを狙う(GK朴キャッチ)という法外な立ち回り。
いきなり度肝を抜く事で雰囲気を掴むのに成功し、以降攻めを続ける立ち上がりとなります。
前半5分には塩谷縦パス→マルコスフリックを受けたヴィエイラ、左からカットインを経てミドルシュート。
GK朴がキャッチして防ぎ、鳥栖がビルドアップで反撃と思いきや、縦パスを松本泰がカットして尚も広島のターンに。
そして左からの大橋のクロスの跳ね返りを、新井がダイレクトでミドルシュート(枠外)と、キックオフのシーンに引き摺られるかの如く遠目から果敢にフィニッシュを放っていきます。
全体押し込まれる鳥栖、6分にヴィエイラのポストプレイを後ろから倒してしまった山﨑が反則・警告と早くも被害を出す事となり。
何とか相手の流れを遮断したいという状況で、8分にそのチャンスが訪れ、広島の攻撃を右→左へのサイドチェンジを原田がカットして攻撃開始。
スリヴカが持ち運んで敵陣でサッカーを展開する状況となり、中原が右奥を窺うと見せかけて中央から攻め、横山のミドルシュートが炸裂。
GK大迫がセーブしたこぼれ球を新井が拾い、ピンチ脱出かと思われたその刹那、あろう事かバックパスからの大迫のフィードが長沼にぶち当たった事でゴールへと向かうボール。
これをマルセロが反応良く詰めにいき、その手前で何とかパンチングで掻き出した大迫、交錯気味の絵図となりながら防ぐ事に成功。
しかしクリアをカウンターに繋げ、マルコスが一気に左ポケットまで持ち運んでマイナスのクロス(ブロック)と、攻撃権が慌ただしく入れ替わり。
いきなり落ち着かない展開を強いられた鳥栖ですが、以降はボールポゼッションを高めて反撃に掛かり。
11分の中原のカットインからのミドルシュート(枠外)を皮切りに、広島の姿勢に引き摺られこちらも遠目からフィニッシュを放つ絵図を目立たせます。
14分、スリヴカが開いた右サイドから前進し、中原の斜めの縦パスを転機にサイドを変えて左からのフィニッシュ。
即ち横山がカットインでポケットへ切り込んでのシュートで、やや近めから放つものとなりましたがこれもGK大迫のセーブに阻まれます。
広島ディフェンスは、この日はついに広島で初出場(リーグ戦で)とったイヨハが最終ラインの一角に。
これが6年間レンタルを繰り返していた男のサクセスストーリーか……と感激する暇も無く、立ち上がりは鳥栖のパスワークに振り回され喰い付き気味となっていたイヨハ。
前に出たり、ワイドに開いたりで不安を覚えるその動きも、時間が経つとともにしっかり中央を固める姿勢に落ち着きを見せ。
10分以降5本のシュートを放ち、ペースを握ったかに見えた鳥栖。
しかしそのうち4本がミドルシュートと、あくまで崩しきってはいないその攻撃。
それ故、迎えた21分にGK大迫ロングフィード→ヴィエイラフリックという単純な攻撃一本で、好機の連続で全体前に向かう姿勢へ傾いていたのかマルコスに最終ラインから抜け出され。
そしてダイレクトで放たれたシュートがゴールに突き刺さるという具合に、まさかの最短距離を綺麗に突かれての失点を許してしまいました。
23分に挟まれる飲水タイム。
ブレイクで落ち着きを見せて反撃したい鳥栖ですが、右スローインの連続での押し込みが精一杯と、先制点が攻勢の流れが途切れる格好となり。
そして広島がボールポゼッションを主体に攻め込む時間となり、それに対し暑さの所為か有効なプレッシングを掛けられない鳥栖。
敵陣での広島のパスワークに対し、サイドハーフ(中原)が最終ラインに降りて5バックでの守りを強いられているような絵図も見せてしまいます。
それでも、その姿勢が奏功したかフィニッシュを撃たせずに凌ぎ。
すると今度は鳥栖がポゼッションを確保し、パスワークで崩しを図るもフィニッシュには辿り着けないという逆の展開に。
こうしたシーソーのような状態の均衡を破ったのは広島で38分、左サイドでイヨハのボール奪取から前進し、敵陣で中央→右へとサイドを移した末に新井が奥を窺う姿勢からカットインシュート。(長沼ブロック→GK朴抑える)
これを機に終盤は激しい攻防となり、鳥栖は44分に広島の攻撃を切ったのち、GK朴の素早いスローを河原が入れ替わって前を向いた事でゲーゲンプレスを回避。
そして縦に素早く繋ぎ、スリヴカが持ち運びを経てポケットへスルーパスを送った所にマルセロが走り込むという絶好機が。
しかしこのスルーパスが長くなってGK大迫に抑えられ、精度があれば……というシーンに終わってしまいました。
その後のアディショナルタイムにも、鳥栖のコーナーキックから広島がカウンターに持ち込む(シュートには繋がらず)という具合に、攻守の入れ替わりの激しさを描きながら前半終了となり。
共に交代無く迎えた後半開始、キックオフは鳥栖。
すると右ワイドからの原田のロングパスがバウンドした末に、エリア内でマルセロが反転しながら収めるという願っても無い状況が生まれます。
そして放たれたシュートがGK大迫の股を抜いてゴールネットを揺らし、開始僅か10秒という超速のゴールとなり、同点に追い付いた鳥栖。
これを機に攻守の入れ替わりはさらに激しくなり。
後半3分、空中戦を経てボールを収めにいった松本泰がトラップミスし、拾ったマルセロが一気に左ポケットを突くドリブル。
ディフェンスに阻まれCKとなるも、僅かな隙を見逃さないという攻防の幕開けとなったでしょうか。
とりわけ8分の攻防が凄まじく、鳥栖は左スローインから素早く中央→右へとサイドを変え、原田の奥からのマイナスのクロスが中央のスリヴカへ。
しかしスリヴカのシュートはミート出来ず、クリアボールをマルコスが拾って広島の攻撃に。
松本泰の持ち運びを経て、右ワイドで受けた新井がカットインからミドルシュートを撃つも、ブロックで防がれると今度は鳥栖のカウンター。
左ワイドを横山がドリブルで猛進し、カットインで左ポケットへ切り込むと、そのまま中央まで流れた末にシュート。
荒木にブロックされるも今度は拾って二次攻撃に繋げる鳥栖、左サイド最奥でマルセロが強引にカットイン、GKを引き付ける姿勢から中央へラストパス。
しかし福田はワントラップからのシュートを選択した結果、GK大迫が距離を詰める余裕を作ってしまい決められません。
頭部でのセーブという気迫の絵図を見せてこの決定機を防いだ大迫、CKの前に主審により脳震盪チェックが挟まれるも、無事に継続します。
落ち着く暇も無く、11分には広島の好機、大橋の右→左へのサイドチェンジを受けた東が左ポケットへ切り込み。
シュートはブロックに阻まれ、鳥栖が拾ったものの縦パスをすかさずイヨハが遮断し、跳ね返りを拾ったマルコスがミドルシュート。
ブロックを掠めてゴール左へ外れと、こぼれ球を拾っても安心できないという状況に陥り。
またこれまでの得点シーンのように、結局は最短距離での攻撃が有効となっていた感があり。
13分、広島の後方からのロングパスをキムテヒョンが跳ね返し、これがマルセロに直接渡った事で鳥栖の好機に。
スルーパスで左ポケットを突いたのち、抜け出して受けたスリヴカからの戻しを経て再度渡ったマルセロが中央からシュート。
GK大迫がセーブした跳ね返りを中原がボレーシュートで詰め、ゴールネットを揺らすのに成功。
しかしその刹那、スリヴカのオフサイドを告げる笛が鳴り響き、流れるようなゴールは幻と化してしまいます。
鳥栖は15分にも、右ワイドからの原田のスルーパスに走り込んだ福田がシュート(ゴール左へ外れる)と、相手の急所を突く事で決定機を迎え。
激しい展開で危うくなってきた広島、16分にマルコス・ヴィエイラ→満田・加藤へと2枚替え。(大橋がFWに回る)
先に動く事で状況打開を図ります。
前線が入れ替わった事で、それによるプレッシングの強度に難儀するシーンが増えていく鳥栖。
最終ラインからの繋ぎはプレス回避するのみで精一杯となり、また広島の攻撃を阻めずに薄くなったエリア内を突かれる状況が膨らんでいき。
19分にこちらも動き、スリヴカ→富樫へと交代したものの流れを変えられません。
そして23分の広島、一旦攻めが途切れたもののゲーゲンプレスで満田が奪い返して尚もアタッキングサードで継続。
そのまま中央からドリブルでエリア内へ切り込み、右へ流れながらシュートするもGK朴がセーブ、跳ね返りが眼前の加藤にぶち当たるも撃ちきれずと辛うじて凌ぎ。
このこぼれ球をエリア外へ跳び出してまで確保した朴ですが、その後のロングフィードで足を捻ってしまったらしく、(その後大橋シュート→キムテヒョンブロックを経て)途切れたのちに痛んで倒れ込み。
リザーブのアルナウが準備するも、1分以上掛けて起き上がりその後も継続します。
しかしこの守護神の奮闘も守勢を変えられず。
25分にクリアミス(山﨑浩のクリアが福田に当たって跳ね返り)を拾われるという形での危機と、守備の慌ただしさは継続し。
ここは加藤のエリア内でのシュートをブロックして防ぐも、こぼれ球をクリアにいったキムテヒョンが空振りした事で尚も続く広島の攻撃。
右ワイド奥で拾った新井がポケットへとパス、受けた松本泰がカットインの姿勢からファーを狙ったシュートで、その綻びを綺麗に突くゴールゲット。
山﨑浩の必死のブロックも及ばず、とうとう均衡が破れたと同時に飲水タイムが採られました。
反撃したい鳥栖ですが、ブレイク明けは既に残り20分を切っているという段階で、体力面はどれだけ残されているかという不安が露わになり。
それを示すかのように、31分にエリア内で足でクリアしたキムテヒョンが攣らせてしまい、そのまま担架で運ばれ交代となり。
その準備の間も10人での凌ぎ(原田がCBを埋め、福田が右サイドバックに)を余儀なくされ、東のシュートを原田がブロック。
これによりCKとなった所でようやく交代に漕ぎ着けます。(上夷と交代、同時に中原→堀米へと交代)
数的同数となり、攻勢の流れを作りたい鳥栖。
36分、右サイドから原田のクロスが上がると、中央でマルセロが足で跳び込むも惜しくも合わず。
しかもその奥で合わせにいった横山が、勢い余ってゴールポストに激突してしまい倒れ込み。
泣きっ面に蜂という状況でしたが、何とか横山は無事に済み。
後方の守備は依然として盤石では無く、40分に満田が無回転でミドルシュートを放つもGK朴がセーブ。
尚も、攻めようとした所をイヨハのカットで矢印を反転させられ、松本泰がエリア内へ小さく浮き球を送った所に大橋が走り込み。
しかしシュートにいって振られた脚は空を切り、何とか命拾い。
41分に最後の交代を敢行する鳥栖、先日(セレッソからレンタルで)補強した清武を投入。(横山と交代、同時に福田→手塚へと交代)
これで敵陣での細かなパスワークが主体となるも、崩しきるに至りません。
逆に42分、広島は右裏へのロングパスを受けた満田から組み立て、戻し→スルーパスで奥を取った加藤がグラウンダーでクロス。
ニアでの東のスルーが綺麗に繋がり、大橋のシュートがゴールに突き刺さります。
この時間帯での追加点で、実質相手の勝利の可能性をゼロにする広島。
鳥栖は45分に手塚のミドルシュートがゴールを襲った(GK大迫セーブ)ぐらいで、1点差では無い事で逆に尚も冴え渡る広島のハイプレス。
その後も遮断されては薄い守備を突かれるの連続で、とてもじゃないが点を返せる雰囲気は膨らまず。
そしてATも+5分となった所で、GK大迫ロングフィード→クリアボールを塩谷が裏へロングパスと、再び手数少なくアタッキングサードを突く広島。
右から満田のクロス→左から志知(東と交代で出場、45分)のクロスと右往左往するボールを経て、中央で拾った満田がエリア内へ切り込み。
疲弊した鳥栖ディフェンスに止める術は無く、放たれたシュートがゴール左へと吸い込まれます。
ダメを押し、無事に勝利確定に至った広島。
結局そのまま1-4で試合終了。
かたや優勝に望みを繋ぎ、かたや降格圏へ転落という明暗が分かれた一戦となりました。
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