※前回の札幌の記事はこちら(2節・熊本戦、0-3)
※前回の甲府の記事はこちら(5節・磐田戦、1-2)
<札幌スタメン> ※()内は前節のスタメン
- GKの三上大勝氏の退任が決定。(取締役兼GM→取締役に)シーズン途中で異例っぽいが、年度末故に「何かを動かす」には丁度良いタイミングか。
- 水曜にルヴァン杯1回戦(J3・福島戦、3-6(延長))が挟まる。そこからの継続スタメンは中村(3連続)1人で、家泉・岡田・馬場が途中出場。
- 田中克幸の負傷が発表され、2/27に発生との事で治癒期間は未発表。
- フランシス・カンの負傷が発表され、2・28に発生(以下同文)
- GK高木の負傷が発表され、(椎間板ヘルニアとの事で)発生日不明も手術済みとの事。
- 大﨑の負傷が発表され、3/7に発生との事で治癒期間は未発表。
- ユース所属のGK唯野が2種登録選手となり、5節(秋田戦、3-1)から登録される。
- ユース所属の川崎・窪田・多田の3名が2種登録選手となり、前節(愛媛戦、2-1)から登録される。
- 来季加入が内定した佐藤陽成(大阪体育大)が特別指定選手となり、前節から登録される。
<甲府スタメン>
- 水曜にルヴァン杯1回戦(藤枝戦、2-1)が挟まる。そこからの継続スタメンはマンシャのみで、途中出場は平塚・遠藤・宮崎・熊倉の4人。
- 小出は体調不良(放送席の談)との事でベンチ外に。
開幕4連敗という惨状から、盛り返しを図っている最中の札幌。
その4連敗目を現地で目撃(千葉戦、1-3)した地元民としては、ホッと一息…とは言っていられない出来事が水曜に起こってしまい。
それは一重に「ジャイアントキリング」で、J2勢の一斉出陣となったルヴァン杯1回戦が3/26の水曜に行われ。
しかし中2日なためほぼ全とっかえ(中村のみ継続スタメン)が必須ななか、札幌はJ3・福島に大量失点の果てに膝を屈する事となりました。
福島の試合を定期的にチェックしていた自分としては、遺憾なく発揮された攻撃力に対しさして驚きはしないのですが、問題はそのリバウンドメンタリティー。
その縦パス攻勢に縦横無尽にされた(観ていないので推測で語る)とあっては、前年同クラブに0-9大敗を演じた岩手の二の舞になってはしまわないか。
つまりはクラブのアイデンティティ喪失の果ての終着が、JFL降格というまさかの事態にまで発展してしまったように、札幌も今後迷走を重ねた末にJ3降格……という悪夢がチラつきかねず。
救いはレギュラー陣が殆ど出ていなかった事ですが、果たしてその魔の手をベストメンバーの起用のみで振り払えるかどうか。
この日はホームに甲府を迎え、クラブOBでもある大塚真司氏が監督を務めている相手のため来場したヴァンくんと相成って何処か温かいムードのなか始まった試合。
しかし暗雲を吹き飛ばしたい札幌は、キックオフからの初手でいきなりロングパスで右奥を突く攻撃。
走り込んだ近藤のクロスがブロックされるも、こぼれがエリア内でバカヨコに収まる好機が到来しましたが、後ろから荒木に倒される格好でボールロストし反則の笛も鳴らず。
直後にも甲府のゴールキックでの繋ぎのミスから、スパチョークがミドルシュート(枠外)と、速攻でいち早くリードを奪いたい思惑が溢れ出しました。
それでも、その姿勢はチームが抱えている弱点を覆い隠すというよりは、目を瞑る程度のものでしかなかったか。
前半6分、甲府の自陣での右スローインに対し、中央への投げ入れを通される(同サイドを意識しすぎ、この日は甲府のスローインに対しこうしたシーンが多発)とそのまま前進に持ち込まれ。
宮崎のアーリークロスは合わずに流れるも、大外に荒木が居たため家泉はセーフティなクリアを選択してコーナーキックとなったのが運命の分かれ道に。
この左CK、甲府はニアのゴール近く・ファーの遠くの2点を意識させたうえで、キッカー平塚はその間にグラウンダーでのクロスという変化。
そして入り込んだ荒木がダイレクトでシュートと、予めのデザインを完璧に実践出来たフィニッシュでゴールに突き刺します。
早々の先制点に、相手に思い入れある大塚監督を中心として早くも歓喜の輪を作る甲府サイド。
一方変化への対応もさる事ながら、CKまでの流れも緩さを感じずにはいられなかった札幌の守備。
立ち直りたい所ですが、ここからビルドアップもプレスもダメという時間帯に。
全体として立ち位置が拙いのか、スペースに位置取りパスを受けたがるバカヨコがワイドに出張る場面も頻発してしまう事で、「中央にターゲット不在」の状況も多くなり。
その姿は、福島にチンチンにやられてしまった影響を感じずにはいられない、奪われる事を極端に怖がっている風にも見受けられ
12分に家泉のロングパスが近藤に通った(ディフェンスに遭いCKに)のが切欠となり、地上で駄目なら裏狙い……という思惑に落ち着き。
その後16分、後方での繋ぎによる溜めを経ての高嶺の低いロングパスが、一気に上がって来た岡田にエリア内で通るという絶好機に。
しかし合わせたシュートは、GK河田の距離を詰めてのブロックに防がれ決められません。
そしてビハインドな以上、掛ける事は必須なハイプレスも殆ど嵌められず。
2トップが助っ人コンビ(バカヨコ・スパチョーク)という事で機動性を欠いていたのか、リードを得た事でポゼッションを高めたい甲府サイドの思惑にまんまと嵌まる事となり。
悠々とボランチ経由で組み立てる甲府、22分にはパスワークを経て遠藤がエリア内中央へ斜めの縦パスを通すと、三平ポストプレイ→鳥海シュート(中村がブロック)と流れるようにフィニッシュに繋げ。
追い掛ける事すらままならない札幌、24分に家泉の(平塚への)反則による直接フリーキックから齎された絵図で、それどころでは無いという心境に。
このFKの位置は左ハーフレーンで、キックに定評のある平塚が直接シュートを選択すると、GK中野のセーブを掠めてゴールバーに当たるボール。
跳ね返りを詰めにいった三平が家泉と縺れて倒れる、という所に、あろう事かクリアにいったGK中野の足が頭部に入る事案が発生してしまいます。
三平がゴール内に倒れ込む中、尚もこぼれ球を熊倉が拾ってシュート(ブロックを掠め左ポストに当たる)とゴールを狙った甲府ですが、(CKを得て)途切れると事態は急変。
チャージしてしまった側の中野も血相を変えて治療を促し、流血によりその場で施される三平の治療。(その後ピッチ外→復帰)
これには、ホーム開幕戦でGK菅野の負傷に対し相手(千葉・林)に激しいブーイングを浴びせたスタンドも沈黙せざるを得ない……と、穿った感想を抱くに至りました。
予想だにせぬアクシデントでしたが、それも逆利用しながら心の落ち着きを得たい札幌。
三平復帰直後の30分、再び高嶺のロングパスが近藤に渡る好機になると、右ポケットからの横パスを経てスパチョークがシュート。(孫がブロック)
こうした裏狙いは一定の成果を上げるも、前年までの「とにかく右ウイングバックにロングボールを届ける」サッカーと化しているようで何だかなあ……という思いは拭えず。
そんな攻めも甲府の慣れにより薄れると、頼みは地上でのボール保持のみに。
しかし相変わらずポジショニングの不備、特に甲府の前線五角形の中を効果的に使えないので、最終ラインから直にサイドへ展開の一辺倒。
これでは相手の5-4-1ブロックを崩すのは夢物語で、例によって「ボールを持たされている展開」となります。
43分には、その五角形の中に誰も居ないという状況となり、そのため無理矢理左から運ばんとした結果宮崎に奪われ甲府の好機に。
そのまま持ち運んだ宮崎が溜めを作って中央へ、そして三平のパスを右ポケットで受けた鳥海がシュート。(ゴール左へ外れる)
やはり福島戦による被害は甚大と言う他無い、といった展開で0-1のまま前半終了となります。
何かを変えなければならない、といったハーフタイム。
札幌の採った選択は、岡田→白井へと交代し、従来の3-4-2-1への布陣変更というものでした。(3バックは右から高尾・家泉・中村)
かくして梃入れが行われて臨んだ後半ですが、一向に良くならない札幌。
緩々なビルドアップは相変わらずで、後半3分にはバックパスを受けたGK中野に対し、詰めた鳥海がフィードをブロックしあわや……というシーンも作るという具合に前進の機運を生み出せません。
そのためHTで動いたベンチはさらに早めの采配、9分に2人目の交代を敢行し中村→宮澤。
3連戦のためか精彩を欠いていた中村を退かせ、(宮澤ボランチにより)高嶺を彼の位置に降ろすという変化を付けます。
その目的がビルドアップの改善なのは一目瞭然で、11分に投入された宮澤が、GK中野のパスを間で受けた事を起点としての好機。
パスワークで前進するも、甲府の撤退もあり結局は左から高嶺のアーリークロス気味のロングパスで一気にエリア内を突く事を選択、しかしこれを合わせにいったバカヨコがこぼれ球を繋いで尚も二次攻撃。
そして逆サイドから馬場が入れたアーリークロスを、白井がバックヘッド気味に合わせヘディングシュートを放つも、GK河田がセーブ。
アバウトなクロス攻勢ながら、生まれたフィニッシュで僅かに光明を見出したい展開に。
一方ミラーゲームとなった事で、マッチアップでの不利が顔を出しかねないという甲府。
こちらもベンチが動く段階となり、17分に三平→大島へ交代。
それでも札幌のハイプレスは相変わらず組織力を欠いたもので、これを利用したボール保持で攻撃機会を減らしに掛かるのが第一の攻撃時の立ち回りとなります。
20分、相手のミドルパスをカットした熊倉により左サイドで保持に入り、左奥を突いたスルーパスに荒木が走り込んだ事でCKに。
長く時間を使った末に、前半同様セットプレー一本で仕留めるという一本芯が見受けられましたが、ここから齎されたのは札幌のカウンター。
中央に落ちるクロスを大島が合わせそこない、逆方向に転がったボールを白井が拾って持ち運び。
ここからアタッキングサードに進入、スパチョークミドルパス→馬場1タッチで浮き球という崩しでエリア内を突きに掛かりましたが、近藤は反応出来ずモノに出来ません。
相手のミスによりやっと得た絶好機も、連携・意思疎通の分野でも劣るという状態の露呈に留まってしまい。
この直後にスパチョーク→キムゴンヒへ交代するも、気を取り直すどころかますます混迷を極める札幌のサッカー。
最後方では高嶺が左ワイドに開く事で、それにより青木が中央~右寄りとなって組み立てに参加するという可変の色が強まり。
効果的になるどころか、ますますバカヨコがワイドのスペースに位置取る絵図が増えるという具合に、その姿は「選手が勝手気ままに動き回る」という上手くいかない状況での典型図。
宮澤も最終ラインに降りる事が頻発し、とても甲府の前線五角形の中を使って運ぶのもままならなくなります。
甲府も27分、熊倉が足を痛めた事で彼に代えてレイリアを投入。(1トップに入り、大島がシャドーに)
一方札幌は31分に最後の交代を敢行し、近藤・馬場→原・木戸へと2枚替え。
最早ポジショニングすらカオスとなっている状況を立て直したい所でしたが、ボランチに入った木戸にそれを期待するのはある意味酷であり。
宮澤が最終ラインに固定化される以上、彼の働きがカギとなるものの、やはり「甲府の前線五角形の内部を使う」意識は見られず。
レイリアの背中という立ち位置でのスタートは意識していたようですが、その後繋ぎの最中に自ら五角形の外に出る場面も目立ち。
結局サイドから細かい繋ぎで打開する、以上の攻撃は最後まで出来なかったこの日の札幌。
そんな相手に対し、甲府は40分にこちらも最後の交代、遠藤・宮崎→井上・田中雄へと2枚替え。
土屋が一列上がってボランチへシフトと、試合を締めに掛かる大塚監督。
前線のレイリアも溜めを作る意識を高める事で貢献し、43分にはボールキープからの反転で宮澤の反則・警告を誘うという見せ場も作ります。
そしてアディショナルタイムという最終盤。
最早札幌に取れる手段はパワープレイへの傾倒で、キムゴンヒを狙ったロングボールに活路を見出すしか無く。
ここでも、フル出場のバカヨコが既に燃料切れなのかそれに加われない事で、単調さに拍車が掛かるだけとなり。
流れの中で家泉が上がる素振りも見られましたが、これも徹底できず。
一度、(高嶺の)クロスのこぼれ球からバカヨコがシュートを放つ(枠外)場面が生まれるも、苦し紛れの感は否めず終わりました。
結局0-1のまま試合終了。
甲府が開幕節(山口戦、1-0)以来の勝利と、こちらも相手同様泥沼に藻掻いていた状況でしたがひとまず打開に成功した形となりました。
一方の札幌、その内容はスコア以上に深刻というのが一目瞭然な一戦に。
そんな中でGMの退任というフロントの動きも加わった事で、クラブ全体カオスな状況と受け取られかねませんが、それを収める手段はあるのか。
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