<両軍スタメン>
- 栃木SCホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。
- 栃木Cは、今回もアウェイユニフォーム(白+ピンク)を選択。
栃木SCベンチメンバー=丹野(GK) 高橋 ラファエル 高嶋 屋宜 堀内 川名 矢野 小堀
栃木Cベンチメンバー=原田(GK) カルロス・エドゥアルド 奥井 森俊貴 岡庭 表原 藤原 吉田 東川
今節の結果如何では首位に立つ可能性も……という具合に、その存在は日に日に巨大なものとなりつつある栃木シティ。(以下栃木C)
それに伴い、前年までバリバリのJリーガーであったピーター・ウタカの加入というビッグニュースを成立させるに至りました。
戦力とともに発信力もアップの一石二鳥を図れるかどうか。といっても離脱した都倉の代役の意味合いが大きそうだが
その絶好の機会である、栃木SCとの対戦つまり栃木ダービーが組まれた今節。
Jリーグでは史上初の開催で通算でも3度のみというレアさ加減は、長らく関東リーグ1部でくすぶっていた栃木Cと、J2の座を守る戦いを繰り広げていた栃木SCが織りなしてのものであり。
そして栃木SCの降格(2度目)と、栃木Cのステップアップ(JFL復帰→1年でJ参入)がガッチリかみ合いこの度の開催に繋がりました。
栃木SCのホーム・カンセキスタジアムとちぎ(栃木C側もJFL時代に使用経験あり)に集まった、J3にも拘らず5桁を記録した観衆(12,807人)がその歴史の証人となり、迎えたキックオフ。
栃木Cは前回観た際(4節・長野戦、2-1)とは打って変わって、相手のハイプレスをいなすロングボール主体の立ち回り。
落ち着かない入りの時間こそ、栃木SCのプレッシングに屈する形でそのロングボールを悉く回収され。
前半4分に空中でのボールの右往左往を経て、五十嵐のレイオフで確保した栃木SCの好機。
右へ展開ののち森璃がパワーで強引に関野を剥がしてのドリブルを披露し、中央へ打ち込まれた縦パスを経て五十嵐がバイタルからシュート(GK相澤キャッチ)とファーストシュートに結び付けます。
しかし直後の5分栃木Cもやり返し、鈴木国の反則気味のボール奪取から攻撃開始と、ダービーに相応しくデュエルの色を高めて対抗。
サイドを移してボールを受けたパウロが右奥を突くという、ここは前回観た際と同様の攻めの形となり、そのヒールでのスルーパスに走り込んだ鈴木裕がクロス。
そしてファーでの平岡の落としを経て宇都木がシュート、青島がブロックするも拾った宇都木がすかさず戻し、後方から関野のミドルシュート(平松がブロック)と連撃で優位性を得ます。
時間経過とともに試合を落ち着かせ、最後方からのビルドアップに入る栃木C。
その意図は一重にGK相澤のフィードを活かすというもので、栃木SCの前掛かりぶりを、彼がダイレクトで裏を突く事で崩しを図ります。
8分ヨニッチが右で持つ所に菅原が詰めるも、冷静にGK相澤へ戻し。
それによりスペースを得た相澤が余裕をもって裏へロングフィードと、教科書通りにそんな意思の攻撃を繰り広げます。(右奥で受けた鈴木国がクロス→ブロックされコーナーに)
ここからCKが2度続き(左右ともにアウトスイングを選択した前半)、2本目の左CKから、補助マットを手動で調整の末に上げたキッカー・パウロのクロス。
これを合わせに跳んだヨニッチと、飛び出して抑えんとしたGK川田がぶつかり合う(こぼれるもすかさず川田が抑える)という具合に、お互いの意地がぶつかり合う絵図となり。
一方、押し込まれる流れとなった栃木SC。
前回(5節・FC大阪戦、1-0)のように、相手のハイプレスをいなしての好機の連続とは、環境の違いもあり巧くいかず。
そのためロングボール攻勢で応戦、という立ち回りに転じます。
栃木Cとは裏腹に菅原をターゲットとするボールをメインとし、繋がらずもすかさずのゲーゲンプレスで奪回。
一昔前の「ストーミング」の色を強める、ノスタルジーを感じさせるものとなり。
そんな図式のなか、17分にGK相澤に対しプレッシャーを掛ける栃木SCでしたが、相澤は間を通す縦パスで冷静にいなしたのち宇都木がロングパスの出し手に。(その後右奥を突いた鈴木裕がクロス)
相手の出方を見た立ち回りで優位性を盤石なものにしかけましたが、直後にそのGK相澤がミス。
18分例によって保持する相澤が、蹴り出しの始動の際にスリップしてしまい、止む無くヨニッチへ横パス。
そしてヨニッチがすかさず蹴り出すも、これを回収した栃木SCの好機に繋がる事となり。(五十嵐が左からカットイン→関野に倒され反則)
冷や汗を掻いた栃木C、22分に再び最後方でプレッシャーを浴びながらの繋ぎに入ると、GK相澤はロングでは無く近場へのフィード。
左ワイドで収めた乾が関野とのワンツーで前に運ぶ(その後大森に反則気味に奪われる)という、変節を見せる事で対抗します。
栃木のロングボール攻勢にも、菅原に対しマンツーマンでヨニッチが立ちはだかり、熱い空中戦を繰り広げ。
ダービーマッチに相応しい熱戦ながら、今季のJFAの理念である「アクチュアリープレイングタイムの増加」からは背中を向けるような、ロングボール・セットプレーでの好機の頻発という展開。
そんな穿った視線(誰のだ)を気に留めず、気丈に好機を量産していく栃木C。
32分には再びGK相澤がパウロに走らせるロングフィード、その跳ね返りを拾っての好機。
そして中央から土佐がミドルシュートを放ちますが、青島のブロックに阻まれ。
一見優勢に映るも、「サイド奥を突いてクロス」「相手ブロックの外からミドルシュート」という好機に固定化の節も見られ、その流れが拙かったでしょうか。
34分の栃木C、最後方から作り直しの姿勢に入る所、ヨニッチ→GK相澤へのバックパスがミートせず中途半端に。
たまらず拾いにいく相澤の眼前で、駆け込んだ五十嵐が拾った事で栃木SCの願っても無い好機と化します。
そして空っぽになったゴールに、左ワイド遠目からながら躊躇わずシュートを蹴り込んだ五十嵐。
佐藤喜のブロックも間に合わずゴール内に転がったボールにより、先制点が齎されました。
栃木Cはこれで動揺したか、直後のキックオフからの攻撃でも、自陣でボールロストの末にショートカウンターを浴びてしまい。(棚橋が前進からミドルシュート、ヨニッチがブロック)
その後、失点に関与したヨニッチがロングパスの出し手を務める事で、自信もチームも落ち着かせんという立ち回りに。
しかし43分にも、福森の反則気味のボール奪取からショートカウンターを展開する栃木SC。
左サイドを前進して福森が早いタイミングでクロスのようにグラウンダーのパスを送り、棚橋のスルーを経て受けた森璃がミドルシュート。
これがゴール上へ際どく外れと、相手の心を折るような追加点は得られません。
その後も栃木SCペースで進み、FK→CK→ロングスロー(岩﨑)→CKというセットプレー攻勢の末に前半終了を迎えました。
ハーフタイムでの交代は無く。
しかし栃木Cは後半開始に辺り若干弄り、パウロと鈴木国の位置を入れ替え、つまり両ウイングの位置交換。
前半から流動的でサイドはあって無いようなものであったパウロでしたが、それに従うような変更となり。
圧力を高めたかった栃木Cでしたが、それが余計な反則という形に出てしまい、ロングボールを合わせにいった菅原に後ろからぶつかる形で乾が反則を取られ。(後半1分)
ここからFK→CKと、前半からの継続のように重ねられる栃木SCのセットプレー。
特にCKでは、キッカー森璃がグラウンダーでニアにクロス→平松スルーと、デザインプレーが披露され。
その後も激しいデュエルが炸裂するなか、6分に空中戦を経て拾った鈴木裕のキープに対し菅原が奪って栃木SCの好機に。
そのまま持ち運び、左ポケットへ進入の末にシュートを放った菅原でしたが、左サイドネット外に終わり決められません。
ここでは相対したヨニッチの対応が光ったという印象で、ドリブルに無闇に突っ込まずに内へのシュートコースを消す事に専念と、J1を知っている男の貫録を見せつける格好となりました。
栃木Cは追い掛ける展開になった事で、地上でのビルドアップの色が高まり。
それでもサイドから、特に前回観た通りにサイドバックがWGを追い越すという姿勢が中心となる前進法。
やはり単調化が拭えなかったか、10分には左サイドへの縦パスを大森にカットされてのカウンター。
棚橋のキープから1タッチパスの連続を経て、五十嵐の右からのカットインシュートがゴールを襲いましたが、GK相澤が片手でセーブ。
前半とは打って変わって優勢に立つ栃木SCでしたが、12分にこちらもバックパスをミスして平岡に奪われた事でショートカウンター(フィニッシュには繋がらず)と、落とし穴は何時でも待ち受けており。
16分、クリアボールを確保した栃木SCが保持に入ると、左サイドでの密集から岩崎→青島への間を通すパスで脱出。
そして右への展開から森璃のアーリークロスでCKに持ち込むという具合に、本来のポゼッションを高める攻めの機運も高まり。
この右CKからの二次攻撃で、吉野の左からのクロスをファーで収めた菅原がワントラップからボレーシュート(宇都木がブロック)と、アクロバティックなフィニッシュも披露。
時間経過でベンチワークが必須な段階になると、やはり追い掛ける栃木Cサイドが先に動き。
18分に鈴木国・平岡→吉田・東川へと2枚替え、これを機にパウロが元の位置の左WGへと戻り、前線の燃料を保ちに掛かります。
しかし流れを変えられない栃木C。
敵陣でサッカーを展開せんとするも、サイドを変えるパスがあっさりカットされて栃木SCのカウンターになる(19分)など、保持の体勢もかえって窮地に繋がる事に。
このカウンター、エリア目前まで一気にドリブルで突き進んだ五十嵐を宇都木が反則で止めたため、警告の上に近距離での直接FKを与えてしまい。
そしてペナルティアーク内からというこのFK、直接シュートを放ったのは福森で、壁の間を通してゴール右を襲いましたがGK相澤がナイスセーブで防ぎます。
引き続いての右CKからも吉野のヘディングシュート(ゴール左へ外れる)と、前半からは考えられない程栃木Cが水際で凌ぐという絵図に。
25分にも栃木SCのカウンターが炸裂し、右ワイドを推進した森璃のクロス、ブロックを掠めてこぼれるも関野が対応ミス(クリアか繋ぎか迷う)で五十嵐に渡ってしまい。
そしてエリア内から放たれるシュート、鈴木裕がブロックしたこぼれ球を菅原が詰めにいくも、GK相澤が抑えて何とか凌ぎ。
流れが無いのは明らかななか、次にベンチが動いたのが27分。
土佐・宇都木に代えて投入したのが、前栃木SCの森俊と岡庭。(栃木SCも同時に森璃→高橋へと交代)
前者は言うに及ばず、後者は過去に練習生としてJリーグデビュー(群馬で、当時J2)するも、群馬退団後は長らくJから遠ざかって来たという存在。
ここでドラマ性を高め、終盤の反撃に繋げに掛かります。(同時にパウロが再度吉田と入れ替わりで右サイドへ)
人材を変えた事で、栃木SCではサイドの選手であった森俊が広範囲を浮遊する効果もあり、掴まえ辛くなった栃木Cの中盤。
ようやく好循環が巡ってきた栃木C、34分に岡庭の裏へのパスを受けたパウロ。
右奥からのカットインでポケットに進入すると、さらに切り込むと見せかけて切り返しからシュート気味にクロス。
ファー奥へと上がった所に吉田が走り込むその絵図に対し、GK川田も反応出来ずとなりましたが、ボールの行方はダイレクトで左ポストを直撃して跳ね返り。
その後拾った森俊により敵陣で長いポゼッションに入り、最後はヨニッチのミドルパスの跳ね返りを関野が拾いシュート(大森がブロック)とフィニッシュで締め。
35分に最後の交代を敢行し、パウロ→藤原へと交代します。
栃木SCはそれ以前の32分に、青島・菅原→堀内・矢野へと2枚替え。
前回観た際のヒーローである矢野の投入で、大ベテラン故の冷静さを注入できるかどうかという勝負となり。
その期待通りに、36分右スローインを収めた矢野から奥でのパスワークに入り、時間を経過させた末に棚橋がクロス。
逃げきりも視野に入れながら、という勝負に徹した立ち回り。
しかし38分、同じく投入された堀内がやらかしてしまい、棚橋のパスカットから自陣で保持に入るもゲーゲンプレスを受けるという状況。
ここでバックパスを選択した堀内ですが、誰も受けられず(大森がスルーでGKに託さんとしたのが裏目に)に左ポケットに転がった所を東川に拾われ危機を招いてしまいます。
そしてループでGKを抜くシュートを放ち、ファーにも藤原が走り込むという完全に1点ものの絵図が出来上がるも、ゴール前でヘッドでクリアした岩﨑。
栃木Cと同じく最後方でのミスと、お互い様な様相ながら失点は何とか防いだ栃木SC。
それでも大観衆が織り成す雰囲気のなか、これで栃木SCはペース確保どころでは無くなり。
39分には自陣内で奪い合いの末に、プレスバックで確保した森俊が棚橋と交錯すると、際どい判定ながら栃木SCの反則に。
このFK(左サイドから)はキッカー岡庭のクロスをGK川田が跳ね返すも、決して楽観視は出来ない終盤戦。
直後に最後の交代を敢行し、福森・五十嵐→小堀・屋宜へと2枚替え。
本来前線の選手ながら、この日は右ウイングバックで起用された小堀。(高橋が左に回る)
するとそれを突くように、栃木Cは左サイドでの崩しを成功させて押し込む流れを継続します。
そして奥からの左スローインの連続を経て、左CKを得たのが45分。
再びキッカー岡庭のクロスをGK川田がパンチングで防ぐも、継続する栃木Cの攻撃、今度は右からのクロスをファーで合わせにいくヨニッチ。
クリアとの交錯でこぼれるも、左ポケットの位置で拾ったのは岡庭で、カットインから果敢にシュートを狙い。
これがブロックで軌道が変わった末に、右サイドネット上部に鮮やかに突き刺さる同点弾を生み出します。
Jの外から這い上がってきた岡庭の大仕事で、土壇場で追い付き。
既にアディショナルタイムに突入、残り時間でどちらに針が振れるかという展開に。
空中戦を制して敵陣でボール確保したのは栃木SCで、小堀が右ワイドから切り込む所で(関野に)反則を受け。
ここからセットプレー攻勢と、時間も無い中で効率の良い手法で好機。(キッカーは屋宜)
FK→左CKへと移行すると、ここから先程見せたデザインプレーを再度見せ、同じようにニアへのグラウンダーのクロスを平松がフリック。
これが矢野の足下に収まり混戦からシュートと、紛れが起こるなかゴールを奪わんとしましたが吉田がブロック。
何とか栃木Cが防ぐもさらに左CKで、浮き球ながらまたもニアにクロス→平松フリックと、徹底した姿勢を見せた栃木SCですが得点は生まれず。
すると直後にカウンターに繋げる栃木Cに対し、東川のドリブルを反則で止めた高橋が警告を受け。
この左ワイドからのFK、上げられたクロスをGK川田が直接キャッチし、今度はその川田のロングフィードから栃木SCの好機と激しく攻守が入れ替わり。
矢野のフリックからの繋ぎで右奥まで運び、棚橋が上げたクロスをボレーで合わせたのは矢野。
しかし枠を捉えられず、これが両軍最後のフィニッシュとなりました。
そして1-1のまま試合終了となり。
Jでのダービー初戦は一歩も譲らずと、相応しい内容を描くのに成功したでしょうか。
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