※前回の長崎の記事はこちら(3節・磐田戦、1-0)
※前回の秋田の記事はこちら(3節・藤枝戦、1-2)
<長崎スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 前節(徳島戦、1-0)から中盤をドイスボランチに変更、4-2-1-3(4-2-3-1)へと微調整。
- 4節(仙台戦、1-1)で負傷交代(HTで)した笠柳の詳細が発表され、全治約8週間との事。
- ユース所属の上戸・名越・木立の3名が2種登録選手となり、今節から登録される。
<秋田スタメン>
- 3節で負傷交代した長井はその後ベンチ外が続く。
前評判通り、ここまで無敗をキープしている長崎。(3勝2分)
しかし絶対的な強さを感じないのは、さらに上に5戦全勝のクラブ(千葉)が居るからか。
それとも、強烈な個の力とは裏腹に「最も走らないクラブ」という負の評価が固まりつつあるからか。
いずれにせよ、過去5戦はいずれも1点を争うきわどい試合が続いているため、この辺りで景気良く……といきたい所。
この日の相手は、対照的にリーグ屈指の「走るクラブ」である秋田。
その秋田も、開幕2連勝の後は3連敗と急転直下。
特に3戦で9失点と、パワーサッカーが織りなすはずの守備は何処へやら、という試合を演じてしまい。
試合が始まると、長崎のホーム感が強い環境下(PEACE STADIUM Connected by SoftBank)での不利を跳ね返すべく、果敢に仕掛ける秋田。
初手で右スローインから奥を突き、梶谷が高畑にアフターチャージを受けた事で反則・フリーキックと、得意のセットプレー攻勢に持ち込み。
攻撃が途切れ長崎ボールとなっても、ハイプレスによりロングボールを回収(前半3分)と、連敗脱出に向けテンションを最高潮に保ちます。
そんな相手のパワーをまともに受ける格好となった長崎、3分のCKでの攻防で、クロスを抑えたGK後藤が小松のチャージを受け倒れ込むなど絵図的にも苦しく。
しかし7分右サイドからパスワークでの前進に対し、秋田はここもハイプレスでジェズスを囲んで奪った、と思った刹那井上がそのジェズスを倒してしまい反則で途切れ。
果敢にセンターバックがキーマンを抑えに喰い付くという図ですが、パワーが空回りしての余計な反則の感は拭えず。
これを境に、普段通りペースを保つべくのボール保持へと入る長崎。
立ち上がりの10分が過ぎると、秋田もプレスを抑え4-4-2のブロックを作ったうえで構える姿勢を強め。(2トップは相手ボランチの位置が起点)
そして長崎の前進を見たのち、中盤でデュエルを仕掛け奪いにいく体勢へシフト。
14分にそれが奏功し、自陣で激しくボールが入れ替わる奪い合いに突入すると、諸岡→吉岡レイオフで密集を脱出。
そして左サイドから素早く運んで村松がクロス、クリアされるも左スローインで継続(当然村松がロングスロー)と、再度流れを掴む事に成功したかに見えました。
しかし18分、右からの吉岡のクロスをキャッチしたGK後藤、そのまま左サイド奥へとロングフィードを届けて矢印を反転させ。
受けたギリェルメが溜めたのち、戻し→高畑クロスにファーでジェズスが走り込む(GK山田元が弾いて防ぐ)という具合に、いけると踏んだ刹那の前掛かりを突かれるリスクも高まり。
すると直後の19分、今度は秋田がミドルブロックで構えるのを見るや、右ワイドから山口が斜めの縦パスでその間を通す事で無効化。
前に出た井上のカットも空を切り、受けたジェズスがそのまま中央突破という「ジェズスに個の力にやられる」パターンに持ち込まれ。
そして諸岡の腕でのチャージをものともせず、放たれたミドルシュートがその通りにゴールネットに突き刺さります。
こうして、押され気味ななか決定力を発揮してリードを奪った長崎。
失点にもめげず、秋田は再度のキックオフからの攻めで右奥へ持ち込む事に成功。
そしてロングスロー攻勢と、例え強豪であっても「秋田一体」のスタイルを貫くのみという展開。
しかし25分、構える姿勢からバックパスを見てハイプレスに切り替えるも、GK後藤の縦パスで冷静にそれをいなす長崎。
そして左から素早く持ち運びギリェルメがワイドからカットイン(中央への横パスがカットされる)と、秋田の前へのベクトルを剥がせば、助っ人の実力が遺憾なく発揮されるという状況に。
その後ゲーゲンプレスから山口がカットして再攻撃、ジェズス→ギリェルメ→エジガルと繋いで中央突破の末に、エジガルの強烈なシュートが放たれましたがGK山田元がキャッチ。
立ち上がりとは一変し、長崎のビルドアップを阻めなくなる秋田。
止むを得ずリトリートする事で、長崎が全員敵陣へ進入してのパスワークに入る局面も増え。
守備で何とか粘り、その合間に攻撃を試みるという苦しい立ち回りを強いられる秋田。
それも30分にカウンターに持ち込まれ、ギリェルメの突破からラストパスを受けたジェズスがエリア内からシュート(GK山田元セーブ)と、長崎の勝ちパターンに晒され続ける流れは変えられず。
36分浮き球での攻防から、巧く収めた吉岡がスルーパスを梶谷の足下へと通して好機到来。
そしてエリア内に進入してシュート(櫛引がブロック)と惜しい局面を作り。
それでも、長崎の組織立った地上でのビルドアップとは対照的に、こぼれ球が起点となる事が多かった秋田の好機。
40分にも井上がこぼれ球を1タッチでロングパス、小松の落としを経て梶谷がドリブルに入るも、櫛引に蓋をされ防がれ。
スタイル上仕方無いといえますが、紛れを起こして相手の混乱を呼び込む事しか出来ないのが辛くあり。
その直後にアクシデントが発生し、空中戦で小松が櫛引のチャージを受けて倒れ込み。
小松は無事に継続するも、それとは別な所で、長崎は山口が痛んでしまい交代という事態に襲われてしまいます。
倒れてはいないものの筋肉系トラブルも疑われる絵図で、不安視されるなか彼に代えて山田陸を投入するベンチ。
結局1-0のまま前半終了。
何度か好機は迎えるも、このままではいけないという秋田。
交代はせずも、ハーフタイムで総員ネジを巻き直すに至ったでしょうか。
後半の入りも、前半同様のテンションで臨み押し込みを掛け。
反則で得たFKでは素早いリスタートを選択するなど、搦め手を使うのも厭わず。
まずはペースを奪う事に成功したものの、その攻勢は長崎の地の利をひっくり返すにはあまりに細かったか。
途中エドゥアルドが(梶谷との)交錯で痛むシーンはあったものの、アクシデントにも負けず冷静に守備を続けた長崎。
秋田のハイテンションぶりに対し、一度も好機を作れないという流れに陥っていたものの、最初の好機でした。
後半7分、山田陸のボール奪取で秋田の攻めを切ると、加藤の1タッチパスを増山が入れ替わりで受ける事で抜け出し。
前掛かりな秋田に対するカウンター、の典型図になるとそのまま右ポケットへ進入する増山、溜めを選択ののち上がって来た関口がクロス。
するとボレーで合わせネットを揺らしたのはまたもジェズスで、この日2点目によりリードを広げます。
長崎最初の攻めで、全てをひっくり返されてしまったという秋田。
動揺は隠せなかったようで、三度のキックオフからの攻めはあっさり切られたうえに、またも裏を突かれ。(右から関口スルーパス→増山で奥まで運ぶ)
10分に左サイドからの前進を経て、高畑がワイドから中央へ切り込んでミドルシュート(枠外)と、何でもありという絵図になってきた長崎。
それを断ち切らんと、直後のゴールキックでロングフィード→小松フリックでアタッキングサードを突く攻撃。
右CKに繋げ、キッカー水谷のクロスをファーで岡﨑が合わせ(枠外)、ファイティングポーズを取り直します。
ベンチも後押しし、14分に水谷→畑へと交代。(吉岡が左に回る)
その後秋田は再び良い感じで攻撃機会を得るも、守備意識を高める長崎の前に、敵陣で保持→戻して作り直しという不本意?な手法も取らざるを得ず。
長崎を守勢に追い込むも、またもそれが途切れての最初の攻撃でした。
17分、バックパスでハイプレスを呼び込み、エドゥアルドのロングパスをエジガルがポストプレイで繋いだ事で疑似カウンターが成立。
秋田は岡﨑がエジガルを倒してまで防がんとするも阻めずジェズスに渡り、スルーパスで完全に裏を突かれる決定機に。
走り込んだ増山のシュートこそGK山田元が片手でセーブするも、こぼれをギリェルメが詰めて万事休す。
たった1本の好機で……というパターンが繰り返され、リードは3点に広がりました。
しかしこれにより長崎も緩んだか。
19分、最後方からのロングパスを井上が回収と雑な面が見られると、それを突くかのように畑のスルーパスから決定機。
右奥で受けた長谷川がカットインを経て低く鋭いクロスを入れ、ニアに小松が走り込んで合わせるもGK後藤がセーブ。
さらに拾った村松がミドルシュートと追撃、これもGK後藤のセーブに遭いましたが右CKとチャンスは残され。
すると3度目の正直で、キッカー畑のクロスを中央で岡﨑が合わせヘディングシュート。
ゴール左隅へ飛んだこのシュートを寸前で増山がブロックするも、眼前にこぼれた所を村松が押し込みネットを揺らします。
ようやくパワーが実を結び、1点を返した秋田。
長崎の緩みを突きたい秋田は、21分に山田陸が最終ラインから受けた所、FWとボランチがサンドして奪い。
ショートカウンターになりかけましたが、拾った梶谷はシュートに持ち込めずと、正確性にはやはり難があり。
一方冷や汗を掻いた長崎、24分に高畑・エジガル→米田・山﨑へと2枚替え。
27分に敵陣右サイドで細かく繋ぐ秋田、一旦は畑のクロスが跳ね返されるも、井上が回収して二次攻撃。
そのまま縦パス→ポストプレイを交えて前進の末に、吉岡の横パスを中央で受けた小松がシュート。(ブロックに当たりGK後藤がキャッチ)
敵陣に入り込めさえすれば、所謂「ポゼッションスタイル」にも見える崩しを発揮できる……というのがもどかしくもあり。
長崎は次第に逃げきりを視野に入れ、カウンターの場面でも敵陣での保持を選択して無理に仕掛けずという立ち回りに。
時折、ジェズスの小じゃれたパス(主にエリア内を狙ったスルーパス)がカットされるという拙いプレーはあれど、大穴は開けずに時間を進めていきます。
反撃のために3枚替えを用意していた秋田ベンチも、長崎がCKを得たという所で代える事を余儀なくされる(諸岡・吉岡・小松→藤山・佐川・鈴木翔、35分)など、既に余裕は失われ。
40分が過ぎ終盤戦となった事で、秋田は最後の交代。
井上→石田へ交代し、両サイドバックが左右のCBになるという、最終ラインを1枚削るという文字通りの3バックへシフト。
石田が左ウイングバックに入る、3-4-2-1の布陣に全てを賭けます。
しかしシステム云々というよりは、アタッカー総動員で押し込む事を目指す体制でもあり。
村松が果敢に上がり、投入された石田との連携で左サイドから抉りを見せるもフィニッシュには繋げられず。
すると43分、GK後藤のロングフィードが増山を超えるも、秋田ディフェンスもクリア出来ずに増山の落としを許すという具合に最後方の薄さを突かれ。
そしてアタッキングサードに進入、ワイドからエリア内へ切り込んだ増山の横パスを経て加藤がシュート。
長谷川がブロックして防ぐも尚も繋ぐ長崎、今度は左から米田がカットインから、逆向きでのヒールパスを経て裏を取ったギリェルメがシュート(岡﨑がブロック)とやりたい放題の攻め。
何とか凌いだ秋田ですが左CKで継続すると、キッカー・ギリェルメのファーへのクロスを増山が折り返し。
クリアされるも尚もエリア内へ浮かんだボールを、ジェズスがヘディングシュートに持ち込んでゴールに突き刺します。
これでハットトリック達成と、試合内容に相応しい個人としての結果も叩き出すに至りました。
キックオフの前に、増山・ギリェルメ→青木・松澤へ交代と残っていたカードを使う長崎ベンチ。
再び3点差となり、秋田は既に最後の意地を見せるのみという残り時間。
村松が尚も果敢に上がり、殆ど2バックの状態で押し込みを図りますがフィニッシュは遠く。
そしてアディショナルタイム、そんなスカスカな秋田の後方を突きまくる長崎、という展開に。
松澤のドリブルからのシュートこそGK山田元がセーブするも、既に局面を跳ね返すのは守護神の力のみでは不可能であり。
尚も攻めかかる長崎、長谷川のクリアミスも絡んで裏を取った松澤、再度切り込んでシュートと見せかけて中央へ横パス。
受けた青木とGKとの一対一が完成し、ゴール左へと蹴り込みネットを揺らした青木。
5点目をゲット、かつ期待の新人のゴールも生まれた事でホームの観衆を大いに沸かせました。
そしてそのまま、5-1で試合終了となり。
大勝して無敗を保った長崎とは対照的に、日に日に失点増の末の4連敗と暗雲に包まれる秋田。
開幕前の編成の不安(CB総入れ替え)が当たる格好となりましたが、スタイルを貫くのは当然として、それ以外に建て直す術はあるでしょうか。
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