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DAZN観戦 2024年J3リーグ第16節 AC長野パルセイロvsY.S.C.C.横浜

2024-06-12 16:42:07 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

試合前の注目選手に、長野の古賀の名が挙げられた事で、このカードはシュタルフ悠紀氏を通じての因縁マッチという要素を実感するに至り。
古賀が加入したのは今季からで無関係なのですが、シュタルフ氏の監督就任(と綺麗に書いたものの、YS横浜→長野への鞍替え)に伴い選手を3名引き抜く(池ヶ谷・船橋・佐藤祐太)という豪腕を発揮した当時の長野。
昇格に向けてどんな手でも……といった思想だったのでしょうが、結局は成果を上げられず。
YS横浜で3年間監督を務めたシュタルフ氏も、長い目で見られる事無く前年途中で解任の憂き目に遭い。
3名のうち池ヶ谷のみが残るも、元YS横浜という面では古賀に加えて進も在籍中。

古賀の経歴(欧州で過ごしたユース時代、ラトビア・オーストリアでプレー経験あるプロ時代)が示す通り、そのYS横浜は今季の編成も多国籍・無国籍と言わんばかりの陣容であり。
この日のスタメンも、最終ラインの真ん中に日本・カナダとのハーフであるヴァンイヤーデン、1トップに高校を日本で過ごしたナイジェリア人・オニエという具合に多彩。
彼らを擁して繰り広げられるサッカーに期待させられるも、この試合に限っては肩透かしを食らった感があり。

試合が始まり、落ち着かないボールの動きを経て、長野が最終ラインでボールを持ってから左サイドでパスワーク。
すると最後方から杉井が裏へ送ったロングパス一本で、1トップの浮田が左ポケットを取ってダイレクトでシュート。
GK岡本がセーブするも勢いが勝ってゴール内へと吸い込まれ、ここまで約40秒という電光石火のゴールとなりました。
オフサイドと思い込んでいた節のあるYS横浜サイド、いきなりゲームプランを崩された格好に。

直後にYS横浜のキックオフで再開し、右ワイドから松村のパスを受けたオニエ、そのままポケットへ切り込んでシュートを放ち。(ブロックされコーナーに)
助っ人選手らしいパワフルさを発揮したオニエですが、前半の、いや試合を通じて見せ場はこのシーンのみに終わるとは予想だにせず。

というのも、YS横浜は最終ラインからショートパスを繋ぐ例年通りのスタイルで、一向に最前線に張るオニエの下へパスを運べないまま時間を費やしたのが一因でした。
花房が張り出して右肩上がりの陣形を作り、ウイングバックの松村が最前線へと躍り出るのが基本形。
ミラーマッチである対戦故に、そうした可変は地上での前進には必須事項ではありますが、逆にミラーの状況を極端に嫌がっていた印象である全体のYS横浜。
8分、奥村が本来の位置では無く右ハーフレーンに張り出してドリブルを仕掛けたのがその一端で、持ち上がったのち逆の左へとパスを繋ぎ。
自分の動きでスペースを開けたつもりだったでしょうが、その攻撃は藤森に遮断され長野のカウンターになりかかるという具合に実らず。

逆に長野が繋ぐ状況となると、最前線のオニエからプレスが掛からない(常にアンカーの位置を切るという動き)ため、全体遅れをとって前進を許す破目となり。
長野は、主にボランチの片割れを左サイドに張り出させ、人数を増やして自陣でのパスワークでYS横浜ディフェンスを集め。
そして対角線のロングパスで密集を脱するという攻めが良く嵌っていました。

スコアでも内容でも有利な状況を作った長野。
17分、ここは左からの前進で杉井のスルーパスを受けた小西、ワイドからカットインと見せかけてポケットの忽那へのパス。
これは遮断されるも、こぼれ球を拾ったヴァンイヤーデンに対し田中がプレッシャーを掛け、奪いきったと同時にヴァンイヤーデンに蹴られる格好に。
すかさず反則ならびにPKを告げる笛が鳴り、素早い判断が出来なかったのを嘆く事となった(様に見えた)YS横浜ディフェンス。
11分にも、長野陣内で(池ヶ谷のラフなパスで)イーブンとなったボールに、松村の出足が遅く田中に拾われてドリブルを許すシーンがあり。
緻密さが要求されるスタイルだけに、脳内がクリアとなっていないが故の立ち遅れに繋がっていたでしょうか。
このPKは浮田がゴール左へと決め、早々に2点リードを奪った長野。

ショックを隠せないYS横浜に対し、長野はそのビルドアップを次々と遮断。
21分にGK岡本の縦パスを田中がカットし、そのまま左ポケットへ切り込んでシュート。
GK岡本がセーブした跳ね返りを浮田が繋ぎ、更に西村がシュートするも枠外に。
続く22分には完全なパスミスを拾い、左サイド奥を窺いながら細かく繋いだ末に、忽那がカットインを経てハーフレーンからのミドルシュート。
これがゴールバーを叩くという具合に、何時追加点が入っても可笑しくない流れとなります。

最前線のオニエに見せ場が無いのは前述しましたが、最後方のヴァンイヤーデンも、与PKが影響したかその立ち回りは冴えません。
21分(上記のシーンの直前)には、ワンタッチのパスを小西に付かれている冨士田に送り、こぼされて(西村に)奪われるという具合に最終ラインから繋ぐスタイルへの適合力に疑問符が付くシーンを露呈してしまい。
その後も、プレッシャーを受ければ視野が狭くなり近場へ出す事しか出来ず、逆に受けない時は他の全選手にマークが付かれる様を見て何処にも出せずという風であり。
結局GK岡本がパスワークに加わる事で何とかカバーし、(数的優位により)長野のプレッシングを抑制させるも既に2点ビハインドという事実は変わらず。
パスを繋ぎ続けるものの何も起こす事が出来ない、良く言われる「ボールを持たされる状態」からさらに深刻な風に映りました。

特に30分台は、一度も攻撃機会を得れないYS横浜に対し、更なる追加点を目指す長野と明暗分かれる時間帯となり。
決定機は39分で、例によって左サイドでのパスワークを経て忽那が右へロングパスを通す組み立てから、受けた藤森がカットインで右ポケットへ。
そして角度の小さい所からシュートを放ち、GK岡本がセーブしてこぼれた所を西村が詰めましたが撃ちきれず。
藤森は36分にも右ポケットから惜しいシュートを放っており、システム上躍動するにこの上無い試合と化していたもののゴールは奪えず。
これが今季2試合目と、移籍選手が目立つなかで貴重な年季の立った生え抜き選手(といっても5年目ですが)だけに、序列を上げたかった所でしょうが……。

一向に反撃機会が巡って来ないYS横浜、43分に花房が前に出て杉井からボール奪取、その勢いのまま反則を受けた事でその流れを断ち切り。
終盤は攻勢に入ったものの、フィニッシュには辿り着けず。
オニエは45分に松村の右からのクロスを収めるも、腕に当ててしまいハンドを取られたのが数少ないボールタッチの一つという結果に終わり。
結局2-0のまま前半を終える事となりました。

最悪に近い前半を受け、何もかも変えなければいけないという思考に陥ったでしょうか。
ハーフタイムで一挙に4枚替えを敢行したYS横浜・倉貫一毅監督。
その全容は、良い所が無かったヴァンイヤーデン・オニエの2人に、山本と柳を加えた4名。
最終ラインに土館を投入し右センターバックに(中央に花房が回る)、最前線に萱沼を投入。
そして後者2人に代えて菊谷・脇坂(J1・川崎に兄が在籍)をともにシャドーとして投入し、奥村がボランチに、藤島が左WBに回りました。

土館は本来のレギュラー選手で、ずっと欠場が続いておりこの試合でベンチに復帰。
萱沼(彼も11試合ぶりの出場)とともにYS横浜のスタイルを熟知する選手が入った事で、流れを良化させに掛かり。

前半同様に落ち着かないボールの流れの入りで、長く続いた末に本来の繋ぐサッカーに入るYS横浜。
その最初である後半3分、パスミスを犯して忽那が拾い、そのまま左ポケットからシュートを放たれ。(枠外)
いきなり暗雲漂うものとなりましたが、その後は乱れを見せずボールポゼッションを取り戻します。

土館が加わった最終ラインからリズムを作りに掛かったのは明白で、守備面でも4分には花房が前に出てボールカット。
すると勢いそのままに、土館→松村と経由して出されたパスを、受けてそのまま右ポケットへ切り込んだのは花房。(ディフェンスに遭い撃てず)
中央CBの選手がボックス内まで切り込む姿に、長野も動揺を覚えたでしょうか。
選手交代により配置も変わった事も加わり、それを認識する作業により守勢に回る破目となりました。(実際、放送席も後半のYS横浜の布陣を4バックと思い込んでいた)

最終ラインでの繋ぎは、ボランチの片割れが降りる「ミシャ式」に近い形に固定化するYS横浜。
長野は前半とは打って変わって満足なプレスを掛けられず、そのためマンツーマン的に、降りたボランチに対して同じボランチである古賀が痛烈にプレッシャーを掛けるもかわされるという具合に混乱様相が目立ち。

かくして優勢を作り上げたYS横浜ですが、ゴールという結果を欲するのは当然であり。
7分に右ワイドからの前進で、脇坂が中央へ向かうドリブルで一気にエリア内へ切り込んでシュート。
大野のブロックに遭うも左CKとなり、ボックス内での花房と田中の小競り合い(YS横浜は終始ゴール前に密集を作るスタイル)で時間が取られたため、中里からキッカーを変えた末に満を持して上がった奥村のインスイングのクロス。
これがニアで合わせにいった松村を越え(当たったかどうかは不明)、そのままゴールを襲う軌道となりましたが、右ポストを直撃して惜しくも実らずに終わります。

このまま猛攻を受ければ決壊は避けられないという長野。
13分にゴールキックから、ロングフィードの跳ね返りをさらにダイレクトで池ヶ谷が裏へ送り、右奥で小西が受けた事で好機。
戻しを経て上がった藤森のクロスに浮田が合わせ、ジャストミートせずも一つ形を作って文字通り一息つく形に。
ペースが乱れたYS横浜、直後に最終ラインの杉井に対し冨士田が果敢にスライディングを仕掛けるも、足裏が入ってしまい反則・警告。
続く15分には長野にパスミスが生まれショートカウンターのチャンスとなりましたが、萱沼の戻しから素早く右へ展開する所で土館→松村のパスがズレて終了となり。

前半とは見違える内容となったYS横浜ですが、リードを守ればいいという状況の長野に対し、その守備を崩しきる事は出来ず。
陣容が整わないうちに攻めたいのは明白で、19分に自陣深めでの右スローイン、投げられたボールを土館がダイレクトでラフに蹴り出し。
クリアが逆方向に流れた所を、拾った脇坂がドリブルと素早く運んでミドルシュート。
しかし大野にブロックされ、こぼれ球を拾って敵陣で繋ぐ状況となったものの、その後はフィニッシュには辿り着けず。
長野がリトリートの色を強めたため、戻して作り直しという選択も効果が薄く、結局敵陣でパスを繋ぐ(前半はそれすら少なかったですが)シーンが長く続くだけという印象に終始します。

長野ベンチもカードを切る体勢に入り、26分に古賀・浮田→パクスビン・進へと2枚替え。
一方YS横浜は、残りのカードが一枚という状態でしたが、28分に藤島が足を痛めた事を受けてそれを使う事に。
橋本を同ポジションで投入します。

交代とともに勢いを付ける長野、30分にパクスビンの自陣でのパスカットから攻め上がり、左へサイドを移して田中がドリブルで奥を突き。
そこから戻し→再度奥を突くの繰り返しを経て、上げられた田中のクロスにニアで進が跳び込むも惜しくも合わず。
その奥の忽那も合わせられずに終わったものの、久々に能動的な好機を作り上げ。

すると32分、先制点のシーンが思い起こされるように杉井のロングパスが裏を突くと、目測を誤ったか土館がクリア出来ずに進の下に。
そしてそのままドリブルで左ポケットを突き、ほぼGKと一対一という状況で放たれたシュートがゴール左へ突き刺さります。
相手のボール保持の時間を耐え抜いた末に待っていたのは、長期離脱から復帰した進のゴールという胸すく絵面でした。
(キックオフ前に藤森→近藤へ交代、小西が右WBに回る)

一方、攻めども攻めどもゴールは奪えず……という結果を描いてしまったYS横浜。
流石に気落ちぶりは隠せず、ボールを握るだけの時間帯を強いられ。
最後に投入された橋本も、典型的なサイドアタッカーという印象は拭えず、そのスタイルに馴染んでいない風であり好循環を齎せません。

長野の最後の交代は40分で、西村・忽那→加藤・山中へと2枚替え。
これを機にハイプレスへと切り替えると、YS横浜はモチベーションの低下もあり、それをかわす事が出来ず。
42分に深めに追い込まれた末に、GK岡本→冨士田へのパスがエリア内で加藤に奪われる信じ難いシーンを作られた結果、近藤の横パスを受けた進がシュート。
前に出るGK岡本を見てのループシュートがゴールに吸い込まれ、文字通り止めを刺す4点目となりました。

アディショナルタイム突入後も攻め手を緩めず、ホームのスタンドを沸かせる振る舞いに徹する長野。
相手のお株を奪うように最終ラインから細かく繋ぎ、左から入れられる田中のグラウンダーのクロス。
ファーに流れた所を小西が拾いシュートを放つも、ブロックを掠めてゴール右へと外れ。
さらに攻勢を掛け、左サイドでパスワークで前進の末に、近藤が左ポケットへ切り込んでのシュート。
これを中央で進がコースを変え、GK岡本にセーブされるも拾って尚も繋ぎ、左奥からの加藤のクロスの跳ね返りを小西がミドルシュート。
ゴール左へ外れてこれも決められずとなりましたが、直後に鳴り響く試合終了の笛。
4-0というスコアで、今後に向けて機運も高まる1勝となり得たでしょうか。

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