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DAZN観戦 2024年J1リーグ第17節 FC町田ゼルビアvsアルビレックス新潟

2024-06-03 16:02:56 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

  • 町田ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

前年初の昇格を成し遂げた町田。
しかしその戦いぶりは、とうとう夢のJ1の舞台でその初々しさを前面に……とは真逆の状況となっており。
まあ成績的には首位を快走しているという、前途洋々なものなのですが。

何しろ開幕戦(ガンバ戦、1-1)から、そのホームのアクセスの悪さがJ1という土俵によって可視される事で、大いに物議を醸す入りとなり。
その後はパワーサッカーを前面に押し出し、並み居る強豪をなぎ倒しながらあっという間に頂点に最も近い位置に登り詰め。
それによりラフプレーとも異なる、「審判に見えない部分での接触」「試合が止まればすかさず時間を使おうとする姿勢」といった事象が(悪い意味で)話題となり。
そうした新興勢力の跳梁を許す既存クラブ、という要素もあり一層混迷を極めている今季のJ1リーグ。

さて、この日そんなクラブと相対する事となった新潟。
開幕前には町田・黒田剛監督が「足元でチャカチャカやるサッカー」と、ポゼッションスタイルを全否定するかのような発言をしたとの事で、俄然注目の的となった感のあるこの試合。

しかし目下降格圏の方が近い状況となっている今の新潟では、まともにぶつかっては黒田監督の思う壺となるのは自明の理であり。
前半1分のゴールキック、普段の短く繋ぐ姿勢から、蹴り出しを受けたGK小島はロングフィードを選択。
そのフィードも鈴木孝をターゲットとするもので、続く2分にも秋山のラフな蹴り出しを鈴木孝が収め、デュエルを強いられながらキープを果たし。
まずは1トップ(yahooスポーツナビでは、長倉との2トップという表記)のポストワークを前面に出し、神戸戦のような「スタイルを封じられて何も出来ない状態」の回避に努めました。

そんな相手の変節を見ても、町田は4分に早速(林が)ロングスローを放り込むなど普段のスタイルを貫く構えを取り。
しかし5分には敵陣でボール確保したのち、チャンミンギュのサイドチェンジも絡めながら繋ぐも、結局戻して作り直しといったポゼッションサッカーの姿勢に。
慎重な姿勢の新潟に合わせるというシーンが、今後の様相を暗示するものとなってしまったでしょうか。

それでも、8分にはGK谷のロングフィードがオセフンを越えて藤尾に渡り、左奥を突く好機。
ここからロングスローを2本続け、2本目の二次攻撃から生まれた混戦で、平河の中央からのシュート(小見がブロック)にまで持っていき。
得点は奪えずも、こうした神経戦のような立ち回りで、相手へのダメージを蓄積させていく。
その徹底ぶりがこれまでの成績に繋がっており、この日もその効果は見られ。
16分新潟が自陣でボールを持つも、例によって町田のプレッシャーを受けた事で左→右へと苦し紛れのサイドチェンジ。
これを藤原が(鈴木孝と?)お見合いしてしまう格好となり、受けられず仙頭に拾われた末に彼を倒してしまい反則、町田にフリーキックを与える事に。
このFKからはフィニッシュに持ち込めずも、失点に直結するミスが生まれる危惧が高まり始めます。

しかし直後の17分、右サイドから奥を突かんとした平河、タッチを割ったのちも勢いが余った末にコーナーフラッグと激突。
その結果無残にも根本から破壊されてしまったフラッグを受け、交換のため試合が中断される事となりました。
いかにも町田のサッカーが織り成す絵図だな……と考えさせられるとともに、相手にも余裕を与える結果に繋がったでしょうか。

新潟の自陣深めでのスローインで再開(20分)すると、町田のプレッシャーを受けながらもデンがキープからのミドルパスでそれを脱出。
これを収めた長倉からの繋ぎも、町田の素早い寄せを受けながらのものながらでしたが、こぼれ球も巧く拾って前進を果たした末に谷口が(鈴木準に)反則を受け。
(その後のFKからも)好機にはならずも、町田のサッカーに対する耐性を見せ始めた事で試合が動く切欠となり。

24分こぼれ球を拾った藤原から前進を始めると、秋山はここもポストの姿勢から浮き球のパスと変化を付け。
受けた小見が持ち運び、長倉にパスを出したボールを林がクリアするも、これが逆方向へ流れてスルーパスのようになってしまい。
走りを止めなかった小見がこれを拾った事で、エリア内でGKと一対一に近い状態へ持ち込んだ末にゴールネットを揺らし。
あろう事か自身のミスも絡んで先制を許すという、町田の目論見とは真逆の結果となりました。

先制した新潟は、尚もその直後に決定機。
ここも中盤でのボール争いから、秋山のダイレクトパスでの脱出を経て、跳ね返りを拾った小見が右奥を突く状況に。
そして上げられたファーへのクロスに、動揺を隠せない町田はGK谷が跳び出すも、遅れてしまい谷口のヘディングシュートを許し。
無人のゴールに吸い込まれる……と思われましたが、ゴール前に戻った昌子がカバーし、辛うじて追加点は防ぎます。

コーナーキックを得て一気呵成といきたかった新潟ですが、その意識が仇となり。
キッカー秋山はライナーでファーへのクロスと変化を付けるも、早川折り返し→長倉のポストプレイが繋がらずにカウンターを招いてしまい。
藤本のドリブルは小見が遮断するも、拾った鈴木準を経由し平河がドリブルに入った事で一気に数的優位の状態で敵陣へ。
そしてエリア内へ切り込んで右へと横パスが出されると、藤尾がワンタッチでゴールへ蹴り込んで完遂させます。
綺麗なロングカウンターで、同点に追い付いた町田。

一方新潟サイドは、中盤でデンが主審(川俣秀氏)と交錯したために鈴木準のカバーを遮断出来ずとなったため不満を露わにする結果に。(判定は覆らず)
30分には自陣で柴戸に奪われてのショートカウンターで、またもエリア内での横パスから藤尾のシュートに繋げられ。(右サイドネット外)
折角奪ったリードも直ぐにフイとなり、再度精神面からの建て直しを余儀なくされます。

しかし町田サイドも、普段とは違う新潟のスタイルにリズムを掴めなかったか。
35分に新潟のゴールキック、蹴り出す前に藤尾がエリア内に入ってしまったためやり直しという珍しいシーンを招き。
短く繋ぐ相手にハイプレス、という格好のシチュエーションに中々入れず。
全体としてアンカーの位置取りをする秋山に対し、2トップが切るという姿勢に落ち着く事となります。

自身のストロングスタイルを見失ったような町田は、結果最終ラインからの繋ぎによる攻めに入らざるを得なくなり。
そして新潟がそれを遮断して攻撃権を掴むという、逆の展開が発生。
その末の45分、早川のパスカットから攻める新潟、谷口のスルーパスを左ワイドで受けた長倉が溜めを作りながらカットイン。
そして中央への戻しを経て放たれた谷口のシュート、鈴木準がブロックするもエリア内へこぼれた所を詰めたのは藤原。
長倉・谷口の2名に引き付けられた結果防ぐ手段は町田に無く、ゴールネットが揺れて新潟が勝ち越し点に辿り着き。
本来のスタイルでは無い、相手のペースを捻じ曲げる立ち回りの末に前半リードに成功しました。

1-2で迎えたハーフタイム。
今季の新潟が前半でリードする事はこれが2試合目(HTの時点では初)と、普段のサッカーの残像を利用するのは予想以上に有用となり。
逆に前半ビハインドはこれが3試合目の町田、過去2試合はいずれも敗戦に終わっており。
手を打たざるを得ないと言わんばかりに、このHTで藤本→ナサンホへと交代して後半に臨みました。

ペースを確保したい町田は後半2分、藤尾のドリブルが舞行龍にこぼされるも、その際交錯して動けなくなった舞行龍を余所にナサンホが拾って継続。
そして舞行龍不在の隙を突いて前進し、再度藤尾の持ち運びからエリア内へラストパス、平河がダイレクトでシュートを放ちましたがGK小島がセーブ。
マリーシア染みた町田の姿勢が発揮されたような好機となりましたが、舞行龍はその後4分、報復と言わんばかりに藤尾に対し激しいチャージを敢行。
藤尾は頭部を痛めて倒れ込むも反則の笛は鳴らずと、やられたらやり返すといった姿勢(もちろん偶然でしょうが)で、この日の新潟は対抗姿勢を示します。

そんな相手に対し町田はペースを握るどころか、逆に傷口を広げる事となり。
6分敵陣でボールポゼッションと久々に本来の姿勢を発揮する新潟、左サイドで繰り広げるパスワークに対し、町田は谷口に対し鈴木準が反則を犯してしまい。
これで得た左ワイドからのFK、キッカー秋山は(前半の失点に繋がったCKを踏まえてか)素直に右足でゴールに向かうようなクロスをニアへと上げ。
合わせにいった谷口との競り合いを経て、チャンミンギュのヘッドでのクリアがゴールへと向かう事となってしまい、ネットを揺らす結末に。
偶発的故に誰も責められないオウンゴールで、リードが2点に広がります。

これで積極性が必要なくなった新潟により、町田は一層主体的な攻撃を余儀なくされる状況に。
守備を固める相手の前に、必然的にパス主体での崩しを迫られるという具合に、皮肉にも自身が「足元でチャカチャカやるサッカー」をしなければならない事となりました。

それでも11分、新潟のパスミスを鈴木準がダイレクトで繋いだ事で、薄い守備を突ける状態に。
左からの林のクロスがクリアされて左CKとなるも、ショートコーナーで変化を付けた末に入れられた鈴木準のグラウンダーのクロスがカットされて新潟のカウンターと、前半とは真逆のシーンを生む結果となってしまいます。
長倉のドリブルを遅らせて何とかフィニッシュには持ち込ませずも、既にそのアイデンティティは喪失状態に。

状況打破のためベンチも動き、14分に3枚替えを敢行。
鈴木準・仙頭・オセフン→望月ヘンリー海輝・荒木・エリキへと交代します。
以降、類まれな身体能力を有するサイドバック・ヘンリー(J2では、長崎のモヨマルコム強志に類似か)を前面に押し出すスタイルで反撃体制に掛かる町田。
それに合わせるように、柴戸が最終ラインに降りる事で右肩上がりとなるビルドアップの形。

決定機は18分に訪れ、後方でのパスワークから中央での繋ぎを経て、ナサンホのミドルパスが直接エリア内を突くものとなり。
右寄りで受けた平河が放ったシュート、GK小島を抜いたものの左ポストを直撃。
跳ね返りをすかさず荒木が詰め、決まったかと思われたものの早川のブロックに阻まれ。
さらにエリキが詰めにいった結果、スライディング同士の激突で早川を削る格好に。(反則無し)
ゴールまであと一息という状況も、結局はその攻撃性によるラフプレーで終わる事となってしまいました。(早川は何とか無事でピッチ外→復帰)

一方の新潟は、ポゼッション能力を守備面で発揮するなど2点リードを存分に活かす立ち回り。
こうした状況にどうやって持ち込むか(つまり如何に先にリードを奪うか)の課題と向き合う、あくまで最初からその立ち回りを押し出すガンバとは違うチームだな……という事を認識させられる流れにもなります。
町田のボール保持に対してはリトリートの構えも見せるものの、24分には右ワイドで受けた柴戸に対し奥村が釣り出されるなど、その練度は未熟であり。

何とか突破口を開きたい町田、27分例によって高い位置でミドルパスを受けたヘンリーから好機を作り、平河のエリア内中央へのパスを荒木がスルーして左のナサンホに渡り。
切り返しからのシュートを狙ったナサンホでしたが、読みきった藤原に切り返す所で奪われ、折角の地上からの崩しもモノに出来ません。
この直後に藤尾→ミッチェル・デュークに交代と、早くも5枚のカードを使いきったのに対し、新潟サイドはこの時点で交代無しとこの面でも苦しさが滲み出る事となり。

しかしその新潟も蓄積ダメージは隠せず、32分には秋山が足を攣らせてしまい、担架で運ばれる事となりベンチワークの堰が切られ。
秋山・早川→島田・堀米へと2枚替えし、その後守備重視の立ち回りの色はさらに強まります。
それでも40分に敵陣深めでの右スローインから、長倉が浮かせたままのボールキープによるカットインでポケット奥に切り込む(そのままゴールラインを割る)という具合に、要所で発揮される技も勝利へのムードを高めるのに一役買う事に。
さらに41分には鈴木孝→ダニーロへ交代し、谷口がFWへシフト。

敵陣でボール保持する事で、時間と攻撃機会を町田から奪うのに成功する新潟。
45分に得た左CKでは、ダニーロがコーナーでキープの体勢に入り、掻き出しを長倉が拾った事で好機。
奥村が左ポケット奥で持つ状況となり、そのままシュートが放たれるも流石に角度が足りずサイドネット外に終わり。
売り出し中といった奥村でしたが、この日はゴールを奪う事が出来ず。

町田はこの直後のゴールキックで、GK谷のロングフィードを収めにいったデューク、マーカーのデンを軽く押した事で外した末に確保するという具合にその姿勢自体にブレは見られず。
ここから攻撃権を支配する状態となった町田でしたが、既に時間もアディショナルタイム。
唯一のフィニッシュは、左サイドからの前進で林がクロスを上げ、ファーサイドで合わせたヘンリーのヘディングシュート。
ターゲット型SBの本領発揮といったフィニッシュでしたが、これもGK小島のセーブで防がれどうしても2点目を奪えません。

一方相手が相手だけに、そのプレッシャーで最後まで気が抜けないという新潟。
ATに入り、アウェイ側スタンドに詰め掛けたサポーターによる、ホーム側を凌駕するその声援で勝利への実感を強めるといった絵図に。

その後押しを受けながら1-3で試合終了の時を迎え、ようやく5勝目を挙げる運びとなりました。
相手に合わせるようなスタイルでもぎ取ったその勝利は、窮地での一時凌ぎという色も強いものとなりましたが、その姿勢が浮上のためには不可欠なのも確かであり。
この後の中断期間を経て、両面をミックスさせた進化を遂げる……なんて事はあるかどうか。

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