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DAZN観戦 2023年J1リーグ第13節 アビスパ福岡vsサガン鳥栖

2023-05-18 16:00:47 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

札幌戦で中村・川崎戦で湯澤と、試合中での故障による離脱者が膨らんできた福岡。
それに併せるように前節はグローリが、今節は小田が累積警告で出場停止と、苦しさが露わになってきた近況。

そんな状況のなか、前年語ったような「ラフプレーへの傾倒」が今季も起こってしまい。
小田の出場停止を生んだ反則が、広島・満田の長期離脱をも招き、インテンシティの履き違え・レフェリングの甘さといった物議を醸す事になってしまいました。
「一発レッドにならないとサッカー界にとって良くない」という意見(参考リンク)まで上がる始末で、再び十字架を背負う格好となったような福岡。
序盤戦は好成績で旋風を起こしていたチームだけに避けてもらいたい事象でしたが、伝統には逆らえず……といった所でしょうか。

そのような状況で、「Jリーグ30周年マッチ」の盛り上げの(もういいって)
相手の鳥栖も、時期によってはインテンシティを履き違える傾向が強いクラブであり、一波乱ありそうな「九州ダービー」。

立ち上がりのボール争いを制したのは福岡で、それによりフリーキック・コーナーキックといったセットプレーを交えての好機を何度も作り。
軸となったのが右サイドでの紺野の突破力で、左足でのカットインシュートをチラつかせつつ、奥へと切り込んでクロスという二択を迫る攻撃。

対する鳥栖は最終ラインからの繋ぎを主体とするのは変わらずも、前回観た時(9節・京都戦、3-2)同様そのビルドアップは硬直気味。
2センターバック+ドイスボランチのボックス型を主体としてショートパスを繋ぐも、前へ運ぶ事自体何処か躊躇っているようでもあり。

前半7分、山﨑と菊地のパス交換で福岡のプレッシャーを呼び込み、山﨑がロングパスを岩崎へ届け。(左奥へ進入も奪われる)
このシーンのように、相手のプレスを引き込んで一発を狙う意識は伺えましたが、外野から見れば臆病な姿勢にも映るそのスタイル。
9分に再び最終ラインでプレッシャーを呼び込まんとすると、福岡のスイッチがワンテンポ早かった事で、GK朴がボールコントロールを誤った末にエリア内で紺野に奪われる事態を招き。
そしてシュートした紺野でしたが、朴のアタックもありジャストミート出来ずゴール左へ外れ、危機一髪といった鳥栖。

ボール保持率の割には、その保持の大半を自陣深めで行っているため、優位性が全く取れない鳥栖。
そのためか後追いの反則が膨らみ始め、発生するFKでは遠目からでも福岡が放り込みを選択。
シュート数も膨らまない故に、アブレッシブさが足りないといった試合絵図で時間が進んでいきます。

25分に逆に福岡サイドが、ルキアンの(長沼への)アフターチャージにより反則・警告。
福岡の流れは終わりを告げましたが、鳥栖も上記の立ち回りを続けるためエンジンは一向に上がらず。
岩崎を裏へと走らせる攻撃が中心と、試合が動く気配は一向に高まりません。

どちらも動きが見られない中、それを覆すのは外部の要因(つまりアクシデント)とばかりに、31分に本田が足を痛めて倒れ込んでしまったのが最初のターニングポイントだったでしょうか。
テーピングをきつく巻いてプレー続行を選択する本田。
その意欲に釣られるように、33分にスローインからの攻めで左サイド奥を取り、CKへ持ち込んだ鳥栖。
キッカー河原はニアへクロス、山﨑が身を倒してフリックしたボールはルキアンに当たってファーサイドへ浮き上がり、原田がヘディングシュート。
しかし叩き付けられたボールをGK村上が足でセーブと、やっと訪れた決定機はモノに出来ず終わります。

その後34分に岩崎が前嶋に対するアフターチャージで反則・警告を受けたというタイミングで、再び倒れ込んでしまう本田。
続行不可能で無念の途中交代となり、堀米が投入されました。
この堀米が最終ライン付近にまで降りてボールを受ける動きを取るため、それにより他選手が併せて動く事でビルドアップの変化を期待された鳥栖。

しかしその効果が出る前に、福岡の攻撃に晒される守備陣。
41分に前嶋のボール奪取から、裏へボールを送って紺野に抜け出させる福岡。
そのまま紺野は右奥を取ってカットイン、追いすがった菊地を剥がした末にゴール前まで迫ってシュート。
GK朴が足で何とかセーブし、跳ね返りを山岸がボレーシュートするも眼前でのブロックに防がれ。
42分にはカウンターに持ち込み、ルキアンが左奥でボールキープする体勢を作ると、入れられたクロスにファーサイドで合わせたのは上がってきたグローリ。
放たれたボレーシュートは枠を捉えられずも、ポゼッションvsカウンターの図式も整いつつあり再び福岡の優位性が生まれ始めました。

しかしその流れも、事件によって覆されます。
アディショナルタイムに入る直前、反則を受けた菊地が紺野に対しヒートアップを見せたのがその切欠だったでしょうか。
その直後、裏へのロングパスに長沼が走り込み、脚を上げてそれに合わせようとした事で悲劇?は発生。
上げた右足の裏が宮の顔面に入ってしまう事態となり、反則を告げる笛が鳴り響き。
そして駆け寄った主審が出したカードは赤色と、一発退場という事態にも当然という空気感が作り出され、ピッチを後にする長沼。
やった事はともかく、ダービーマッチの熱狂を狂乱に変えないという点でも、その潔さは評価されるべきでしょうか。
宮は鼻から出血する怪我を負ったものの、何とかプレーを続行し、これにより数的優位への戦いへ突入した福岡。

4-4-1の体勢を取る鳥栖に対し、福岡が重見のミドルシュート(枠外)を生んだという所で前半終了となり。
10人となった鳥栖、さらにカードを切る事も無く、今居るメンバー(といっても既に堀米が交代出場)で戦う事を選択しました。

そして後半、一転して福岡がボールを持つ展開が幕を開け。
しかしカウンターにより優位性を作りつつあっただけに、それは望まざるものだった可能性もあり。
4-4-1のブロックを固める事を重視する鳥栖に対し、崩しきる難度はむしろ高まる状況のなか、果たして均衡を破れるのか。
3分には左サイドで持った田中がマイナスのカットインを経て、エリア手前からミドルシュートを放つもブロックに阻まれます。
こうした遠目からのシュートは、連発したとしても決まる可能性は薄く。

一方数的不利となっても、マイボールの際の基本方針は大きく変えない鳥栖。
堀米・小野の降りを交えてパスを繋ぎつつ、岩崎の裏抜けに賭けるといった振る舞い。
しかし福岡の圧力を受け(グローリが前に出て守備をするシーンが増える)、逃げの意識を強めたのか裏を取れないままロングボールを送る、といったシーンも膨らみます。

そのグローリが前に出る福岡ですが、あくまでそれは守備時の事。
攻撃時は相変わらず最終ライン3枚での繋ぎと、数的優位を積極的に活かすような攻めは見られず。
この状態で得点出来ず、ズルズルと時間を使うだけとなったのが後の運命を変える?に至ったでしょうか。

マイボールとなっても、ゆっくりとしたボールキープによる遅攻しかできない福岡。
スイッチを入れるのはあくまでサイドアタッカーの紺野・田中の役割と踏んでいた節がありましたが、それ故に迫力を出せず。
16分には右サイドで紺野を中継点として、前嶋が前とのワンツーで奥を突いてクロス。
ファーサイドで放たれた田中のシュートが田代にブロックされ、尚もエリア内で収めた山岸がシュートしますがこれもブロックに阻まれ。
こうした連撃をひたすら浴びせる流れを作りたい所でしたが、流石に普段行っていないスタイルを、急にやれというのは厳しいものがあり。

19分には前が左サイドからカットインで左ポケットを突き、中央エリア外のルキアンへパス。
しかしキツいディフェンスの前に撃てず、右へとこぼれた所を紺野が拾い、再度カットインで右ポケットへ。
今度はバックパスから前嶋がシュートを放ったものの、角度的にクロスもチラついたのか、曖昧な軌道となって枠外に。

何度もエリア内を突かれるも凌ぐ鳥栖、決して専守一辺倒という訳では無く、福岡のビルトアップの拙さの隙を突いてプレッシングも掛けにいき。
21分に自陣から前進しようとする福岡に対し、森谷が前方に出て前に対してプレッシャー。
規制を掛けた事でその後方で河原がパスカットに成功すると、そのままパス&ゴーで右サイドを上がり、堀米のスルーパスを経てクロスを上げる河原。
小野が走り込み合わせにいくもGK村上に阻まれるという具合に、人数の少なさはどうしようも無いながらも、意思統一の下好機に繋げるシーンに福岡の危うさも感じさせます。
そしてこの際にGK村上と小野が勢い余って交錯してしまった事で、宮が小野に対してヒートアップする事態が発生。
この状況で冷静さの欠如は何としても避けたい福岡、(キャプテン奈良の抑え付けを経て)その宮を直後に交代させます。(三國ケネディエブスへと交代・同時に前嶋→ウェリントンへと交代)
一方の鳥栖もその小野を退かせ。(河田と交代・同時に森谷→藤田へと交代)

サイドの前嶋を退かせ、三國が右サイドバックを務める4-4-2へと布陣変更した福岡。(ルキアンが左サイドハーフに)
ヘッダーのウェリントンはその期待に応え、26分に田中のクロスからヘディングシュートを放ち。(GK朴キャッチ)
それでもゴールを奪えないまま、29分に再びカードを切る長谷部茂利監督。
ルキアン・重見→佐藤・平塚へと2枚替え、ウェリントンと佐藤の2トップに。(山岸が左SHへ回る)

劣勢でも、前述の攻撃シーンで解るように勝利への可能性を捨てない鳥栖。
30分にはゴールキックから短く繋いで前進を図り、山﨑の持ち上がりからのスルーパスで福岡のプレッシングを突破。
そして左ポケットへのスルーパスに菊地が走り込み、菊地は中央への横パスを選択しましたが、走り込んだ河原とは意図が合わず繋がりません。
するとこれを拾った福岡がカウンターに持ち込み、右サイドで受けたウェリントンが裏へのロングパスを佐藤へ通し。
そして佐藤はドリブルで右ポケットを突くと、戻しを経て山岸がシュートと変化で崩しにいきましたが、鳥栖も山﨑がこれをブロックして凌ぎます。
数的不利のなか得点を目指すには、それ相応のリスクは覚悟の上、といった攻守の切り替わりに。

ビルドアップの際には、GK朴も極端に前に出てパスワークに参加。
その姿勢でアタッキングサードに進入すると、スローインの際は途中出場の藤田がロングスローと、形振り構わない攻め手も繰り出し。

そんな苦肉の策を繰り広げる鳥栖に対し、有利な立場での振る舞いを中々見せられない福岡。
ウェリントンのみならず三國も加わった事で、セットプレーの際のターゲットの豊富さは光ったものの、時間の減少もありクロス攻勢への傾倒は避けられず。
とうとう41分に最後の交代、山岸→城後と、最後はキングの投入に賭ける事となりました。

福岡の圧力が有効打とならない中、40分を過ぎて再び隙を突かんとする鳥栖。
42分にゴールキック→河田フリックからの攻撃で、一本のパスをエリア内に通して河田がシュートチャンスを迎えましたが、振った足は奈良を蹴ってしまう形となり反則・警告。
ATも目前の45分、最後のカードを切り岩崎→樺山へと交代。
カウンターのカードをチラつかせる采配を取ると、ATでその期待に応える樺山、福岡の自陣での前のパスミスを拾いそのまま細かいタッチでのドリブルでアタッキングサードへ。
そして戻しからのパスワークを経て、堀米の右手前からのクロスをファーで合わせにいった樺山。(脚から跳び込むも合わず)
その後さらに樺山の下へと好機が訪れ、自陣右からのFKを素早くリスタートする鳥栖、スルーパスを受けた樺山がカットインで右ポケットを突きシュート。(ブロック)
数的不利を個の力でカバーするという、理想的な流れを得たもののゴールには辿り着けず。

結局そのまま試合を決めるゴールは生まれず、タイムアップを迎えて引き分けで決着。
福岡は敵陣でサッカーを行う時間が長く、シュート数でも圧倒(18対3)したものの、その数字程の支配感は得れず。
全てはゴール出来なかったのが原因という事で、yahooスポーツナビも「フィニッシュの精度不足」という寸評を出すに至りました。
しかし全体を見ると、自身のボールポゼッションによる攻撃が疎かとなっていたのが綺麗に災いしたという印象は拭えず。
J1への生き残りが常時頭にある中でその改善は難しいでしょうが、もっと上を目指すには避けて通れない要素。
実現できれば「J1レベルでは無い」という批判も生んでいるラフプレーへの傾倒も減り、余所から批判され辛いチームへと変貌を遂げられるかもしれません。

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