ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第10節 AC長野パルセイロvs松本山雅FC

2023-05-17 16:27:22 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 長野の方に「安東輝(てる)」が在籍しているので区別。

「Jリーグ30周年マッチ」の盛り上げ(以下略)
ことJ3でも作為的に組まれるダービーマッチとは無縁ではなく、しっかりと長野県の一大イベントである「信州ダービー」が行われた今節。

9節から中9~10日という変則的なリーグの日程ですが、間に天皇杯予選決勝が挟まったためであり。
その舞台で、同じ長野県代表の座を賭けて激突する事になった両チーム。
PK戦の末に長野が勝ち、これが実に松本戦15年ぶりの勝利との事。
それから直ぐに再び相まみえる運命とは……と言いたくなりますが、ともかく盛り上がりに一役買うカードなのは確か。
この日もJ3では異様な規模の、1万2千人越えの観衆を(長野Uスタジアムに)集めました。

早速の前半1分に、宮坂のロングパスを受けた進が右ポケットを突き、切り返しからシュートを放った長野。
対する松本はこれに対し常田が切り返しでかわされるも、野々村がシュートをブロックと、センターバック2人掛かりで何とか防ぎ。
続く2分には、松本攻撃のキーマンである菊井が池ヶ谷に潰されるシーンが生まれ。
しかし直後にその菊井も、長野のビルドアップに対して果敢にプレッシャーを掛け、秋山にアフターチャージでやり返し。(反則)
意地の張り合いという、ダービーマッチに相応しい入りとなりました。

広めの選手間の距離によるビルドアップという、過去の記憶とそう変わらない攻撃スタイルの松本。
しかしショートパス主体では中々前進は果たせず。
左サイドバックの山本龍が上がり目となる、若干左肩上がりという形を採っていたものの、それが攻撃の円滑化を果たしているかは今一つ不透明。
恐らくは相手の右ウイングバック・船橋をピン止めして下げておきたいという対策の一環だったでしょうか。
菊井や鈴木国が降りて受けたりと工夫を見せるも、長野はそれに対するチェックも怠らず、また食い付いてきた裏を突く余裕も中々作れません。

ビルドアップの硬直化を防ぐに、不肖ながら自分が考える事は、

  • 前線の選手が降りる・最終ラインが動くなどの可変
  • ドリブルで相手のプレッシャーを剥がす
  • 相手のすぐ脇を抜く際どいパスを通す

という要素が不可欠。
この日の松本は1番目は盛んに行うものの、それだけという感じで、長野のプレッシングに屈するのは不可避だったでしょうか。
2番目の要素は、最終ラインの選手が行うにはリスクは大きく。
3番目も、当然普通のパスよりも難易度は高くなるので頻繁に行えないでしょう。
8分に右→左へのサイドチェンジを杉井にカットされた事で、大きな展開も中々見られず。
反面長野は、最終ラインの3人は持ち上がりこそ行わないものの、切り返しで松本のプレッシャーを剥がすシーンが多々あり。
ビルドアップvsプレッシングの戦いを制する下地で完全に上回っていた風でありました。

試合の方は8分に長野が決定機、右サイドのスローインからの繋ぎで右ポケットを取り、近藤が放ったシュートはゴールバーを直撃。
長野優勢を決定付けるかと思われた一幕でしたが、その後はインテンシティの高まりが目立つ展開に。
すると黙っていないのが長野のシュタルフ悠紀リヒャルト監督(今季から登録名は「シュタルフ悠紀」に短縮したとの事)で、20分に最初に佐藤が(小松への反則で)警告を貰った事で、判定に声を荒げるシーンを頻発させてしまいます。
おまけに反則のみならず、23分にはスローインの際、誤って2つ目のボールがピッチへと投げ込まれた際にも猛烈に怒りを露わにするシュタルフ氏。(カードをアピールしていたので、恐らく2個目を入れてしまったのは松本ベンチの誰かであろう)
前年も3度警告を受けるという実績を持つ彼だけに、ダービーマッチという要素も絡めば、こうなる事は避けられないといった所でしょうか。

そんな、シュタルフ氏にとって不服な判定となったように、松本がセットプレー絡みで攻め立てたのが10分台~20分の時間。
24分にはプレッシングに遭いながらも、GKビクトルを含めたダイレクトでのショートパスでいなした末に前進と、ビルドアップを成功させる松本。(菊井のドリブルが船橋に倒されて反則・フリーキック)
反撃体制を整えつつありましたが、シュタルフ氏のヒートアップに釣られるように、その後は長野の地力が前面に押し出されます。(29分にも松本・常田の反則に対し、警告をアピールしてヒートアップ)

28分に松本はGK金にまでプレッシャーを掛けるも、その金のロングフィードを船橋が落として好機に持っていく長野。
近藤のドリブルからのパスを経て、左ポケットから杉井がグラウンダーでクロスを入れ、走り込んでいた近藤が合わせるもシュートはゴール左へと外れ。
プレッシングが実らずに再びの際どい一撃を受けて色を失った松本、守勢に回らざるを得なくなり。

そして前述の常田の反則による長野の右サイドからのFK、キッカー宮坂のクロスを船橋が合わせ、ヘディングシュート。
GKビクトルがセーブするも尚もコーナーキックで継続すると、この左CKを宮坂は変化を付けてエリア内へのショートコーナー。
佐藤がポストプレイでエリア手前へと送り、受けた船橋の手前からのクロスを、秋山が合わせヘディングシュート。
フリック気味に放たれたシュートがゴール右へと突き刺さり、セットプレーの連続で押しきり先制点に辿り着きました。

負けられない一戦で先行を許した松本、直後のキックオフでの攻撃で、野々村が一気に最後方からエリア内へとロングパス。
GK金がパンチングで跳ね返した所に、菊井が金不在のゴールへとダイレクトでループシュートを放ったものの精度を欠いて決められず。

これは奇襲の域を出ず、その後36分に縦パスを受けた進を橋内が倒してしまいFKと、再び長野のセットプレーに。
ここからはシュートにいけずも、長野のターンに切り替わる事は避けられず。
高精度を誇る宮坂のキックという武器がある以上、松本・霜田正浩監督の「長野にCKは与えたくない」というコメント(放送席の談)の通り、プレッシャーは半端無かったでしょうか。

そして再び守勢を強いられる松本。
39分に最終ラインから前進していく長野、佐古の左→右へのサイドチェンジも交えてサイドを振った末に、近藤が中央から進とのワンツーで抜け出しエリア内へ。
こうしてGKと一対一を作り上げてシュート、ループ気味のキックでビクトルを抜いたものの、戻った榎本の頭部でのブロックに阻まれます。
尚も長野がパスを繋いでクロスを入れ続ける中、ゴール内で一人倒れ込んでしまう榎本。(ブロックの後に橋内と交錯)
何とか起き上がり守備参加した末に、佐藤のミドルシュートが枠外となったタイミングで頭を押さえて倒れ込み、その決死のディフェンスは何とか報われました。(一旦ピッチ外へ→復帰)

その後も長野の攻勢は続き、霜田監督が与えたくなかったCKも3本得るなど攻め続け。
しかしその最中で、45分に進が橋内との空中戦で激しいチャージを受け倒れ込むという具合に、長野サイドにもアクシデントが発生します。
一旦立ち上がったものの再び倒れ込む進、スタッフに肩を担がれてピッチ外へ。
続行が厳しいのは誰の目にも明らかでしたが、前半も既にアディショナルタイムだったため、何とかピッチへ復帰し交代機会を減らさない事に努めた進。

こうして、1-0のスコアの割にはイベント満載といった前半が終わり。
ハーフタイムで負傷した進を山本大貴へと交代させた長野。
一方の松本も、先程失点を防ぐブロックをした榎本に交代の措置を採り、まさに名誉の負傷という形になりました。(國分と交代)

後半1分に、スローインを受けた小松が池ヶ谷に倒された事で反則、松本のFKに。
左サイド遠目という位置でどう立ち回るか注目されるなか、キッカー菊井が選んだのはポケットへのスルーパス。
さらに走り込んだ小松がグラウンダーでクロスと変化を付けましたが実らず。

後半に入り、ビルドアップでも変化を付けようと思ったのか、前半とは反対に橋内が上がる右肩上がりの形を取り始めた松本。
しかし本職がCBの橋内に攻撃で多くは期待出来ず。
逆に長野サイドの船橋の上がりを誘発し、7分にはGKビクトルのフィードを敵陣でカットした船橋、ここから攻め上がる長野。(逆の左サイドへ展開ののち山本大が奥からクロス)

結局この形は直ぐに終わり、その後再び左肩上がりがメインとなりましたが、それ故に混乱を招いてしまったでしょうか。
10分には橋内の蹴り出しが眼前のパウリーニョに当たってしまい跳ね返り、安東輝が右サイドへ繋ぎ直したものの、これを見た長野はすかさず杉井が前に出てプレッシャー。
そして奪いきりに成功し、中央への展開の末に佐藤がミドルシュート(常田がブロック)と、隙を突かれる危惧を予感させる絵図に。
12分にはパウリーニョが最終ライン右へ通り、両SBを上がらせるという新たな形を見せる松本。
しかしこの攻撃も、國分のサイドチェンジが菊井に当たってしまい繋がらずと、自滅の形で終わり。

一向に反撃機運が高まらないのを受け、14分に松本ベンチは3枚替えを敢行。
橋内・パウリーニョ・鈴木国→宮部・米原・渡邉へと交代します。
一方の長野も同時に、佐藤→西村へと交代。

それでも目立つのは長野の攻撃シーンばかり。
松本は17分に、右サイドで宮部が杉井に反則を受けると、素早くリスタートして宮部がスルーパスを送り。
走り込んだ國分がクロスと再度奇襲を見せましたがフィニッシュには繋がらず。
渡邉の投入で、ターゲットへのロングボールという傾向が強まったものの、その攻撃も繋がらずと八方塞がりに。
むしろ山本大が加わった長野の方が、ロングボール攻撃は有効だった感がありました。

松本の次の手は21分で、菊井と國分の位置つまりウイング(サイドハーフ)を入れ替え。
23分右サイドでの渡邉の収めから、受けた菊井がカットインから逆へ展開、山本龍のスルーパスで左ポケットを取る國分。
代えた部分が絡んでの攻撃を見せて左CKを獲得しましたが、ここから長野がカウンターを発動。
2度目のクロスがこぼれた所を池ヶ谷が素早く前へ繋ぎ、右サイドで受けた三田が上がりを待って中央へスルーパス(近藤が走り込むもGKビクトルが前に出てクリア)と、プレッシャーを与える事で相手の好循環を有耶無耶にします。

苦しい状況は変わらない松本、やはり地味な事を地道にやり続ける事しか手立ては無く。(28分に長野は三田→森川へと交代)
右サイドでスローインを連発する漸進戦法でCKを取ったのが30分前後で、この右CKから、上げられたクロスを野々村が合わせヘディングシュートを放つも威力が足りずGK金がキャッチ。
こうして攻撃機会を増やし、その中で1本モノにするぐらいが残された手でしょうか。
33分に最後の交代も敢行し(山本龍→村越)、名実ともに手は尽くしたという格好に。

しかし現実は非情でした。
34分山本大狙いのロングボール攻撃を通す長野、彼の落としを拾った森川が野々村のスライディングを華麗にかわしたのち左サイドを猛然とドリブル。
そして左ポケットまで進むとスルーパスで後を託し、走り込んだ杉井のマイナスのクロスを山本大が合わせ。
ゴール上部へ豪快に突き刺さる、文字通り松本への強烈な一刺しとなる追加点を生み出しました。

攻め手が見出せないまま、点差を離されてしまった松本。
37分にはスローインの判定を巡り、菊井が副審に対する異議で警告を受けてしまう等その苛立ちも最高潮という事が窺え。
そのすぐ後に長野も最後の交代を敢行し、近藤→音泉。

最早ロングボールをダイレクトにエリア内へ放り込む事しか活路を見出せない松本。
インテンシティの高さは相変わらずな試合絵図故に、ぶつかり合いによる反則で遠目からのFKを幾度も得て、そこから放り込み。
流れの中でも、エリア内へ送られるロングボールに小松が走り込む、という攻めを続け。
当然ながら、紛れが起きない限りはもう……という予感しかせず、そのままATへと突入します。

それでも長野の前への圧力は衰えない辺り、ダービーマッチの宿命でしょうか。
しかしそれが空回りし、村越へのアフターチャージで音泉が警告を受け。
この反則は自陣からのFKでしたが、GKビクトルが直接エリア内へ放り込んだボール。
しかしGK金が前に出て抑えにいった所、あろう事かこぼしてしまい、そこをすかさず小松がヘディングでゴールに押し込みます。
紛れが綺麗に起こってしまったという形で、1点を返した松本。

残り時間は僅かという状況で、長野も締め直してキックオフから敵陣でサッカーを展開しにいきます。
そしてその後の松本の攻撃を跳ね返したのち、クリアボールを山本大の収めから、繋いだ末に左コーナーでキープしにいく形に持ち込み。

しっかりと逃げ切りの立ち回りを見せ、そして試合終了の笛が鳴り響き。
長野が悲願?の、Jリーグで初の松本戦勝利を上げるに至りました。

同時に首位に立った長野ですが、依然として混戦模様である今季のJ3。
激情家の指揮官故に(前年然り)安定度は今一つな感がありますが、その前向きなパワーをフル活用して突っ走る事が出来るでしょうか。

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