今節開始前は勝ち点ワースト(13)に5チームもの名前が並ぶという珍しい順位表が出来上がっており、そのうちの2クラブが雌雄を決した(?)カードとなりました。
名門凋落から幾年か……というチーム同士の対決。
磐田は名波浩氏、ガンバは宮本恒靖氏と、偉大なるOBが監督を務めている点も酷似しています。
試合の方は箇条書きで。
・ともに3バックで一見ミラーマッチを疑ったが、磐田はドイスボランチで3-4-2-1、ガンバは3-3-2-2とズレ。
・立ち上がりは磐田ペース、ガンバはビルドアップにバタついてあっさりロングボールを蹴る場面が目立つ。
・磐田の中心選手の1人・アダイウトンは左右に顔を出して攻撃を助ける。
・中山ワントップ・アダイウトンがシャドーとして動き回る相互関係は機能するものの、決定力という観点では物足りないか。
・前半15分辺りからやっとガンバもパスが回り始める。
・パス回しでかき回して最後はミドルシュート、というパターンでペースも掴み始める。19分に高江、22分に矢島がミドルシュート。
・26分には左サイドからのフリーキック、中村のキックに三浦が頭で合わせてゴールに叩き込むも、戻りオフサイドで無得点に。
・磐田の攻撃はやや左重視。ウイングバックの松本に、山田が絡んで攻め上がる場面多し。
・左センターバック森下は序盤で警告を受けた影響もありあまり上がれず。アダイウトンがしょっちゅうサイドに張り出してくるのもそのためか。
・28分、左サイドでボールを受けたアダイウトンがカットインしてシュートもガンバGK東口が正面でキャッチ。サイドから良い形を作っても、角度が無い所から打つ事になり効果は今一つ。
・ともあれこのシュートを境に前半残りは磐田の時間に。ガンバはカウンター狙いもシュートまで持って行けず。
・左だけでなく右サイドからも攻撃を作れるようになった磐田。右CBの高橋も攻撃に絡み始める。
・前半アディショナルタイム、左から田口の低いクロスに頭から飛び込んだ高橋。しかしわずかに合わず。
・後半開始直後ガンバのチャンス、左CB金英權(キムヨングォン)が縦パスを出し、フォワード食野亮太郎がキープし倉田に繋ぐ。倉田のクロスを福田が落とし、高江がシュートを放つも磐田GK・カミンスキーが弾いてポストに当たり決まらず。
・その直後のコーナーキックも、ファンウィジョシュート(DFブロック)→食野亮シュート(枠外)と立て続けに攻撃を浴びせる。
・しかしガンバの反抗は開始5分で途切れ、後半6分ガンバ陣内でボールを奪った磐田、アダイウトンパス→山田がオフサイドポジションだったので走らず→アダイウトン自ら拾ってシュートという珍しいシーンを見る。(GK東口がキャッチ)
・その後もペースを握る磐田、カウンターを狙うガンバという構図は変わらず。磐田の攻撃内容も左サイド重視と変化なし。
・後半20分、ガンバは高江に代わって大ベテラン・遠藤。同時に磐田も中山→ロドリゲス。
・すると次第にガンバがボールを握る展開に。中盤でパスを散らす役目の遠藤、縦に速く攻めたいFWロドリゲスの交代効果が表れてきたか。
・22分、最終ライン近くで三浦・高尾とともにパスを回していた倉田がスルーパス、受けた福田がクロス→ファンウィジョが収めてからシュートもブロックに防がれる。ダイレクトで打てていればあるいは。
・そのカウンターで磐田、田口のドリブルからアダイウトン→山田→ロドリゲスと渡りミドルシュートも枠を外れる。
・25分、ガンバはさらにアデミウソンを投入。(食野亮と交代)
・それでも磐田はまだ抗いペースを離さず。31分、ロドリゲスの中盤での収めから右サイドに展開、高橋が縦パス。これを小川大貴は収められなかったがこぼれ球にアダイウトンが走り込み、エリア内に進入してシュートするがこれもGK東口がキャッチする。
・33分にも高橋の縦パスを受けた山田がエリア内でシュート、これもブロックに阻まれる。これが磐田最後のシュートとなった。
・磐田が流れを失ったのは38分、端的に言えば山田→大久保への交代から。運動量が落ちてきたのに、それを補うカードでは無かったのが原因だろうか。
・これを契機にガンバが怒涛の攻めを見せる。遠藤や倉田がボールを散らし、右サイドでは福田、左サイドでは中村が躍動し好機を作りまくる。
・41分、矢島のロングパスを磐田DF・大井はクリアできず抜け出したファンウィジョにボールが渡り、シュートを狙うが間一髪戻った高橋が足で触り、飛び出していたGKカミンスキーがジャンプして抑える。
・アディショナルタイムに突入後も敵陣でボールを回して攻めるガンバ。
・右サイドでアデミウソンがパスワークで攻め、遠藤→金→中村と繋いでサイドチェンジ、中村が上げたクロスに矢島がヘディング。値千金ゴールか、と思われたがGKカミンスキーがビッグセーブで逃れる。
・その後のコーナーキックからの倉田のシュートもGKカミンスキーが阻み、最後まで先制点は生まれず試合終了。
・磐田は急激なペースダウンが目立ち、GKカミンスキーに助けられた格好となった。
世代交代がここ数年のテーマであるガンバ。
前年は若手育成をしてもらうという意図もあり、セレッソ大阪でかなりの実績を残したレヴィー・クルピ氏を監督に迎えたものの、ものの見事に躓いて開幕から低空飛行。
クルピ氏が解任されて宮本氏が監督に就いた訳ですが、大ベテラン・今野の復帰に伴いチームも昇り調子になり降格の危険性は過ぎ去ったという、結局はベテランの存在が未だ大きい事を証明して課題は残ったままとなりました。
今野・遠藤・藤本と35歳以上の選手が未だ中心として持て囃されている状況の中、遠藤と今野はベンチスタートがここ4試合続いているという具合に、メスは入ってきているのか。(藤本は7試合連続でベンチ外、故障か?)
この日のような後半途中から起用するやり方だと、良いスイッチとなり効果的かもしれません。
そんな切迫したともいえる状況ですが、ガンバにはU-23という組織があります。(セレッソとFC東京も)
半ば独立クラブのような格好でJ3リーグに参戦するのですが、そこで選手に経験を積ませる→結果を出した選手をJ1に出場させられるという、若手育成にアドバンテージを得ている環境とも言えるでしょう。
今季J3で得点ランクトップをひた走り飛躍、J1でも得点した食野亮がその代表格。
彼だけでなく高江・高尾・福田もここ4試合連続でスタメンと、目に見えた成果が表れ始めています。
そして4試合負け無しと、一定の成功体験を得て尚成長する事が出来るでしょうか。