ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第42節 松本山雅FCvs愛媛FC

2020-12-26 18:48:38 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の松本の記事はこちら(39節・新潟戦)
※前回の愛媛の記事はこちら(順延34節・甲府戦)

川井健太監督の退任発表があり、迎えた次の試合(40節・琉球戦)で何を見せるかが注目された愛媛ですが、結果は0-6の大惨敗。
完全に息の根が絶たれてしまったかのようで、目下4連敗中で失点11・得点ゼロという有様で、リバウンドメンタリティを見せる事無くとうとう最終節。

対する松本は、シーズン途中での監督交代以降見違えるようなチーム状況となり、後半戦で8勝8分4敗と大きく巻き返し。
その後半戦指揮を執っている柴田峡監督も、来季への契約更新を勝ち取る事に成功するなど、上昇機運真っ只中なチーム状態。
惜しむらくはこの日が最終節……という冗談めいた事も言いたくなりますが、白星で綺麗にシーズンを終えたい所でしょう。

中心のセルジーニョは先んじてシーズン終了モードなのか、2試合連続でベンチ外の松本。
前節からスタメン変更は1人のみ(高木彰人→塚川)で、ヘッダーの塚川を最前線に起用。
阪野との2トップ、ツインタワーといえるような布陣で挑みました。

その狙い通りに、立ち上がりからロングボールを中心に攻撃を展開し、好機を作っていく松本。
守備でも前線からハイプレスを敢行するなど、パワー溢れるサッカーで文字通り相手を圧倒していきます。
愛媛は最終ラインからパスを繋ごうとするものの、松本のプレスに四苦八苦し好機を作れず。
シュートどころか攻撃機会すらゼロ、という惨状が前半19分まで続きました。
(攻撃機会は自分の集計で、主にアタッキングサードに進入した回数を数えている)

その間にも攻撃を仕掛けていく松本。
立ち上がりはセットプレー、それも直接フリーキックでゴールを脅かし。
5分にエリアからかなり手前のFK(中央やや左)、キッカーの鈴木は直接ゴールを狙うと、ゴール右下を襲ったもののGK岡本がセーブ。
10分にも中央やや左から、今度は近い位置でFKとなり、再び鈴木が直接シュートを放ちますがGK岡本が正面でキャッチ。

ようやく愛媛が好機を作った(19分、シュートまではいけず)後、今度はコーナーキック攻勢を掛ける松本。
その2本目となる左CKで、キッカー佐藤のニアサイドへのクロスを阪野がフリックするも、GK岡本が弾いて凌ぐ際どいシーンを演出。
そして愛媛のシュートがゼロのまま、飲水タイムに突入します。

明けた直後の25分、愛媛に初シュートが。
有田の右→左へのサイドチェンジを受けた長沼が、カットインからミドルシュートにいきましたがブロックされGKまで届かず。
これで幾ばくか愛媛を覆う暗雲が晴れ、以降はお互いに好機を作る展開となります。
それでもシュートに結び付けるのは松本の側で、阪野のポストプレイを効果的に絡めて攻め上がります。

双方得点が生まれぬまま終盤に突入。
優勢ながらも得点は奪えない松本でしたが、43分には左からの杉本のクロスがこぼれ球となり、エリア内右で拾った鈴木からの戻しを受けた佐藤がペナルティアークからシュート。
しかしゴール上に外れてしまいモノに出来ません。
このまま前半終了かと思われた44分、佐藤がドリブルからエリア内へスルーパスを送ると、杉本が走り込み。
そしてGK岡本の飛び出しを受けると、倒れて反則を告げる笛が鳴りPKに。
杉本はトラップした方向(ゴール外側)と無関係に右足を出しており、やや反則を貰いに行くような姿勢ともとれ、岡本は納得出来ず主審に抗議するも判定は当然覆らず。
このPKは杉本が自ら蹴りにいき、臆する事無く中央へと蹴り込んでゴール。
良い時間帯に先制点をゲットしました。
アディショナルタイムは愛媛・有田がロングシュートを狙った(枠外)ぐらいに終わり、1-0のまま前半終了。

今季から同一県内に2つのJクラブが存在する事となった愛媛県。
今治との壮絶な潰し合いが今後展開される、というのは大袈裟でしょうが、そんな状況となればあっさり膝を屈しそうなのが愛媛の現状。

2015年に5位に入り、昇格プレーオフを経験したのが遠い昔に思えるほど、以降じりじりと順位を下げていくだけとなりました。
反対に今治は昇り調子で、J初年度となった今季の戦いは、J3リーグで終盤まで昇格争いに絡む躍進を見せる結果に。
このままでは東京都における、FC東京とヴェルディの関係性に酷似した状態となるのは避けられない。
そんな考えが過るものの、救いは同一都市・同一本拠地では無い事でしょうか。
それでも何か起爆剤が欲しい状況なのは変わらずでありますが、その前に来季降格しない事を考えるのに必死にならなければならず、苦しさが滲み出るようです。

さて後半開始を迎え、入りは松本がチャンスを何度か作るも、後半5分以降は愛媛がボールを握る展開に。
この日は3バック(3-4-2-1)の登録でしたが、ビルドアップ時は殆ど4バックのような形。
左から攻める際には、左センターバックの前野がサイドバックのように振る舞いますが、右からの攻撃時には右ウイングバック登録の茂木が最前線近くへ。
そして山﨑が右SBのような位置取りをしたり、茂木・山﨑の間にボランチ(森谷か川村)を挟んだりと、プレスを脱すべく工夫はそれなりに見られました。

前線にボールは運べるようになった愛媛ですが、松本ディフェンスを崩すまでには至らず。
後半12分に流れを変えるべく、横谷・吉田→山瀬・丹羽に交代。

松本は攻撃機会こそ前半より減ったものの、追加点の可能性ある攻撃を続けていきます。
15分、敵陣で塚川がパスカットしてそのままスルーパス、受けた杉本がシュートをゴールに突き刺すもオフサイドで無効に。
16分にも敵陣でボール奪取した杉本、そのままエリア手前からシュートを放つ(GK岡本キャッチ)など、愛媛のビルドアップを遮断しての好機を目立たせていきました。

飲水タイムを挟み(23分)、両軍今季最後のピッチ上へ。
その最初の愛媛の攻撃(26分)はカウンターで、丹羽が自陣でパスカットしてから一気にドリブルで持ち上がり、茂木→川村と渡ったのち川村がミドルシュート。
ブロックされたこぼれ球を有田がエリア内で拾い、再びシュートしますがこれもブロックされ、乾坤一擲ともいうべき好機はモノになりません。
そしてこれを逃した代償は大きなものとなりました。

松本の反撃は30分、左サイドでパスを回したのち佐藤がドリブルで中央へ向かいつつ前進、そしてそのままミドルシュート。
GK岡本がセーブしてCKとなり(このタイミングで両軍選手交代、松本は久保田→山本真希、愛媛は有田→藤本)、キッカー佐藤の低いクロスをニアサイドで阪野がフリック、そして中央で杉本が合わせシュート。
前半にもあった阪野のフリックを、今度はシュートそしてゴールに結び付けた松本、2点目を奪います。

追い込まれつつあった愛媛。
2点差となった直後は、前野のロングフィードを使い左右高目に位置取る茂木・長沼に通し、活路を見出さんとします。
その後37分に最後の交代、山﨑・川村→田中裕人・渡邉へ交代。

渡邉もパスの出し手の役割を務め、40分には縦パスを藤本へと通し、入れ替わって受けた藤本がエリア内左へ進入しシュート。(ブロック)
その後も長短のパスを使い松本を押し込んでいくも、こじ開けるには至らず。

最終盤を迎え、逃げ切り体勢に入る松本。
愛媛のパスワークに翻弄されるも、最後はやらせない守備で得点を与えません。
そしてアディショナルタイムも終盤、杉本・阪野に代えて村越・山田と、2人の新人を投入。
村越は既に出場経験がありこれが2試合目で、山田は初出場。
出場時間からしても雰囲気を味合わせるといった域を出ないですが、来季に繋げる事は出来るでしょうか。

結局そのまま2-0で試合終了となり、13位でシーズンを終えた松本。
昇格へ向けて勝負のシーズンとなりそうですが、折角浮上の兆しを見せた後半戦となっただけに、オフの編成を経て路線を維持する事を第一に考えたい所でしょう。

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TV観戦 第100回天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会準々決勝 ブラウブリッツ秋田vs福山シティFC

2020-12-25 17:09:13 | サッカー視聴記(2020年以前)

前回の天皇杯の記事-5回戦・Honda vs 筑波大

<秋田スタメン> 4-4-2
GK 田中雄大
RSB 鈴木 CB 千田 CB 韓 LSB 輪笠
RSH 久富 DH 江口 DH 山田 LSH 茂
FW 中村 FW 井上

<福山スタメン> 4-1-2-3
GK 平田
RSB 帷 CB 高田 CB 田中憧 LSB 徳永
DH 曽我
IH 礒江 IH 田口
RWG 隅田 CF 吉井 LWG 高山

圧倒的な強さで今季のJ3優勝を果たした秋田。
優勝を決めるまで28戦無敗と、一気に駆け抜けたという成績を描きましたが、その反動からか残り6戦で3敗。(1勝2分)
総失点18という少なさですが、その6戦で10失点という過半数を記録してしまうなど、露骨な失速が成績に表れています。
天皇杯はそんなネジの緩みを直す格好の機会であり、ここで勝利してフルメンバーのJ1クラブと相対したい。
そして善戦して来季に繋げられれば、といった立ち位置でしょうか。

一方の福山シティFC、現状は地域リーグ(中国リーグ)のさらに下である、広島県リーグ所属との事。
文字通りに並み居る強豪を蹴散らし、ここまで辿り着いたのは見事の一言です。
ポゼッションスタイルを指標としているとの事で、堅守vs攻撃サッカーの図式が成り立つ事となったこの試合。

試合が始まり、いきなり秋田が攻勢。
ロングパス重視で、そこから押し込んでの攻撃という単純明快なものですが、何せそのパワーが凄まじい。
相手ボールになっても、激しいプレスでパスを繋がせず、即時奪回で得点を狙いにいく。
ディフェンスが何とか逃れても、セットプレーでさらに攻勢を掛けるという圧力の強さ。

生半端なポゼッションではあっという間に餌食になりそうな(実際に今季のJ3でそうしてきたのでしょう)秋田のスタイルに、やはり福山の立ち上がりは難儀なものとなりました。
ロングスロー攻勢に四苦八苦する入りになったと思いきや、続いてコーナーキック攻勢を浴びる破目に。
前半5分の秋田最初の右CK、一旦クリアするも二次攻撃で逆サイドの左からクロス。
ファーサイドで中村が跳ぶも合わず、と思いきやその奥で鈴木が拾いシュート。
ブロックで凌ぐもさらにCKとなり、今度はニアサイドへの低いクロスを鈴木がヘディングシュートにいき、これも何とかブロック。

冷や汗ものの連続となる福山、そのプレッシャーに負けたかビルドアップが壊滅状態に。
7分には千田が敵陣でカット、そのまま攻め上がった所を曽我に倒されて反則、エリアすぐ手前の直接フリーキックとなります。
キッカー江口は当然直接シュート、カーブを掛けてゴール左を狙うも惜しくも左へと外れ、またも難を逃れます。
しかしその後も自陣でのパス回しの段階でカットされるシーンの連続で、一向に秋田のプレッシャーから抜け出せず。

14分の秋田のCK、キッカー江口のクロスを中央で韓浩康(ハンホガン)が合わせヘディングシュート、しかし寸前で曽我が頭でブロック。
尚も江口のクロスから中村にヘディングシュートを浴びるも、これは枠外に。
ホッとしたのも束の間、直後に茂の前線でのカットから再び秋田が決定機、茂がそのままエリア内に入りシュート。
GK平田が何とか足で触って右ゴールポストに当たったものの、跳ね返りを茂が再度シュートしてゴール。
これだけ至近距離でシュートを浴びれば必然、というような先制点となりました。

その後も久富や井上がシュートを放つ場面を作った秋田。
福山は20分頃からようやく敵陣までパスを繋ぐ場面を作り、22分には右サイドで隅田がドリブルののち、中央から田口のミドルシュートが生まれるも枠外に。
やっと一の矢を放った、という所で飲水タイムへ。

インターバルが挟まれると、その後の福山は持ち味を発揮します。
序盤のビルドアップは極めてオーソドックスで、2センターバックとボランチ(ないしはGK)による3人の三角形を基本とするスタイル。
しかしインサイドハーフ2人への道筋を封じられ、後ろに下げた所にプレスを浴び、ボールを失うという悪循環から脱出できずという流れでした。
そこでボランチの曽我が最終ラインに降り(主にCBの脇へ)、礒江がボランチの位置を取る事で解決を図るなど工夫が見られたこの時間の福山。
序盤は全く上がる事が出来なかったサイドバックも、徐々に高い位置で受ける事が出来るようになります。

ようやくボールを握り攻撃するという自分達のサッカーを発揮する福山。
それでも好機を得るには時間が掛かり、38分に曽我の縦パスを受けた高山が反転した所、秋田・千田に倒されて反則。
エリアからすぐ手前の直接FKとなり、キッカー田口が直接狙うも壁を直撃、モノに出来ず。
しかし流れは確実に掴んでおり、40分には相手のお株を奪う敵陣左サイドでのパスカットから、中央へと繋ぎ高山がエリア内へ縦パス。
CFの吉井がポストプレイの体勢で受けてキープ、クリアされたのち右サイドから隅田のクロスが上がるも合わず。
エリア内にボールが通るというシーンを作り、試合を盛り上げます。

そして結実したのが41分でした。
左サイドを中心にパスワークののち、高山のスルーパスに走り込んだ吉井がシュート。
GK田中雄が弾いた所を詰める吉井、角度の無い左からのシュートながら見事田中雄のニアサイドを破り、同点のゴールを突き刺しました。

これで後半を迎えられれば……と思った所に落とし穴が。
終了間際に再び秋田のセットプレー攻勢となり、ロングスロー→CKと続いた所、そのCKから失点。
キッカー江口がニアサイドにクロス、これを韓がフリックでファーサイドへ送ると、久富が拾ってシュート。
トラップから間を置かずという難しいシュートだったものの、右サイドネットに突き刺して勝ち越し点を挙げた久富。
2-1となり、秋田のリードで前半を終える事となりました。

ハーフタイムで、福山は高山→高橋へと交代。
後半も「自分達のサッカー」を貫きにかかる福山。
ボールを握りパスを繋ぐというスタイルは不変であり、後半はこれにドリブルも混ぜて崩しに掛かります。
後半6分、中盤でMF3人が三角形でのパスワークののち、礒江が右サイドへスルーパス。
受けた帷がドリブルでエリア内右へと進入しグラウンダーでクロス、中央で吉井が合わせるもブロックされ、奥にこぼれたボールに高橋が跳び込んでシュートしますが惜しくもゴールの左。
これが後半最も惜しかった場面だったでしょうか。

その後も時折サイドチェンジを交えたりと、相手守備を崩さんとする試みを見せる福山。
17分、中盤で曽我から吉井へパスが渡ると、吉井はドリブルで中央突破。
秋田・千田のスライディングを受けて倒れてしまうも、礒江が拾いドリブルした事でアドバンテージ。(ここは正直警告相当ではなかったか?)
しかし礒江はエリア手前まで進むも撃ち切れず、しかもこのプレーで吉井が負傷退場してしまうという追い撃ちが。(ソンホギョンと交代)
一方の秋田も、後半一向に流れを掴めぬ展開を受け21分に2トップを共に交代。(中村・井上→田中直基・北脇)

飲水タイムを挟み(23分)、秋田も反撃。
パスカットを経て、久富の突破力を活かしての攻撃を展開するもシュートまでは結び付かず。
しかしその久富も29分に退き(青島と交代・茂が左サイドハーフ→右SHへシフト)、以降再び福山がボールを握っての攻撃という絵図になります。

38分にはCKから、キッカー礒江の中央へのクロスに帷が合わせヘディングシュート。(ゴール左へ外れる)
40分にはCBの田中憧がドリブルからミドルシュート(ブロック)と、圧力を掛けんとしますが、秋田の守備を破るには至らず。

その後はペースダウンを強いられる福山。
秋田はGK田中雄のロングフィードからの攻撃でその間隙を突きます。
そして42分、GK田中雄ロングフィード→山田前へ落とし→北脇と繋がった所を、福山・高田の足が北脇の顔面へと入ってしまい反則に。(高田に警告)
これで絶好の位置からのFKとなった秋田、キッカー江口は直接シュートを狙い、壁のすぐ上を越えてゴール右へ。
GK平田は(壁を信頼して?)逆側に張っていたか、(キッカーから見て)左へ動いてしまっておりゴールイン。
貴重な追加点で勝利を手繰り寄せました。

2点差でアディショナルタイムへと突入。
それでも必死にボールを動かし好機を伺う福山でしたが、守備を固めるだけとなった秋田の前に、有効打は放てず。
結局3-1のままタイムアップを告げる笛が鳴り、準決勝に進出したのは秋田となりました。
同時刻に行われたHondaと徳島の試合も、徳島が3-0で勝利し、アマチュアチームは全滅の運びとなった準々決勝。

Jリーグ入りを目指している福山ですが、元Jリーガーの所属は数えるほどという現状。
監督の小谷野拓夢氏も未だ22歳という若年と、明らかな発展途上のクラブ。
初の天皇杯出場で、ここまで駒を進められたのは上出来といえ、良い経験となった事でしょう。

勝ち抜いた秋田、途中怪しい展開にもなりましたが、無事にJクラブの貫禄を見せて準決勝へ。
その相手はJ1王者・川崎と、誰が見ても厳しい戦いとなるのは明白でしょうが、意地を見せられるか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第42節 レノファ山口FCvsモンテディオ山形

2020-12-24 18:42:27 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の山口の記事はこちら(38節・甲府戦)
※前回の山形の記事はこちら(36節・金沢戦)

既に霜田正浩監督の退任が決定している山口。
テールエンドをひた走っているチーム状況ですが、39節(北九州戦)・41節(新潟戦)と勝利した事で、21位の愛媛と勝ち点1差という状況に。
勝利して抜き去り、何とか最後に一矢報いたいという最終戦となりました。

JFAの役員として、日本代表の監督招集でも重要な役割を果たしてきた霜田氏。
監督というポジションに一定の理解がある人物故、JFAを離れた後は何処かのクラブの監督に就く事は必然だったかもしれません。
初年度となった2018年は一桁順位を達成(8位)と結果を出しましたが、如何せん主力選手が次々と移籍してしまうクラブの土台故、継続させる事が出来ず。
「若手を育てて売る」というクラブの方針はハッキリしているものの、特別指定・2種登録の選手をレギュラーに組み込まざるを得なくなった今季、やりすぎという感があり。
過密日程という要素も加わり、想像を絶する厳しいシーズンとなってしまった事でしょう。

この日も特別指定である梅木が1トップを務めるというスタメン。
高井がトップ下を務める4-2-3-1のフォーメーションで、有終の美を飾らんとした山口。
立ち上がりは何度か好機を作るもフィニッシュには持ち込めずにいると、主導権は山形へと完全に傾きます。

最終ラインでのビルドアップから、早いパスによる鋭いサイド攻撃を繰り出すというのが今季の山形のイメージ。
しかしこの日は中央での攻撃も繰り出し、山口ディフェンスを翻弄していきます。
前半7分、左サイドで野田のパスを受けた中村駿、中央へと向かうドリブルを見せたのちにスルーパス。
ヴィニシウス・アラウージョに渡りシュートするも、オフサイドに。
13分には左サイドで小野田のパスカットから、南がエリア内へとロングパスを送った所に前川が走り込み。
するとGK林が飛び出して両者交錯、倒れた前川ですが笛は吹かれず。
完全にPKかと思われましたが、命拾いした山口。

ここから山口が押し返し、セットプレーに繋げる事で攻勢に。
18分にはコーナーキックから、キッカー池上のクロスに梅木が合わせヘディングシュート。(枠外)
それでもシュートはこの場面ぐらいとなり、共に良い時間帯が生まれるも得点の無いまま飲水タイムへ。(24分)

再開後は次第にチーム力の差が現れる格好となったか、山形が押し気味に。
28分、右サイド奥でのスローインからボールを繋ぎ、ペナルティアークからで前川がシュートするもGK林がセーブ。
尚も中村駿が詰めにいきましたが、GK林が距離を詰めてブロックし何とか防ぎます。

その後も主導権を握り、何度もシュートシーンを作っていく山形。
山口と異なり、戦術の落とし込みに成功し完成に近づきつつあるチームという感じであり、来季への期待感を持たせる試合を演じます。

石丸清隆監督の下、尻上がりなシーズンを送った今季の山形。
従来のシステムとの葛藤に苦しんだ前半戦を経て、折り返した後は16勝のうち11勝を挙げる好成績で上位に喰い込みを見せました。
「これが最初から出来ていれば……」と思ったりもしますが、長いシーズンに試行錯誤は付き物でもあり。
イレギュラーなシーズンで過密日程の中、むしろ良くここまで新システムを落とし込んだといえるでしょう。
道中に山岸の福岡移籍という要素も襲いましたが、逆に山岸の抜けた事で活性化が齎された側面もあり。
万能型な1トップ・ヴィニシウスを中心に、流動的な攻撃を展開するに至らせました。

果たしてこの流れを来季に持ち越せるか。
来季もプレーオフは行われず、昇格枠は2のままで決定するという厳しい戦いが待ち受けていますが、それに喰い込む事は出来るか。
気が早くもありますが、オフでの上積みが待ち遠しくなってきました。

かくして山形ペースで試合が進みましたが、アディショナルタイムの最後に山口も、CKから楠本の強烈なヘディングシュートが生まれ(枠外)て前半終了。

両サイドとも交代は無く後半を迎え、立ち上がりは一進一退。
前半は後手に回った山口も、後半は最終ラインからのビルドアップを下地とした攻撃を見せます。
後半7分、右サイドで攻め込んだのち最終ラインまで戻され、高・ヘナンのドイスボランチを経て左サイドへとチェンジ。
そして田中パウロ淳一からスルーパスが供給されると、安在が走り込みますが山形・渡辺に倒されて受けられず、反則も無く。

以降一旦は山形ペースになるも、15分頃から再び山口が主体的に攻撃。
主に左サイドで、安在・パウロを仕掛けさせつつ人数を掛けて攻め込むも、フィニッシュにまで持ち込めず。
形は作りますが得点の芽は生まれない展開に、ベンチも交代の準備に入ります。

しかしその矢先である21分の山形の攻撃でした。
右サイド手前から渡邊のクロスが上がるも、ファーサイドで受けた加藤は一旦戻し、ボランチ(中村駿と南)を経由して再び右サイドへ送られると山田拓巳から再度クロス。
今度は低いボールがニアサイドへ入り、ヴィニシウスが合わせてシュート。
綺麗に突き刺さり、クオリティの高さ溢れるゴールとなりました。

その直後に2枚替えという形となった山口(パウロ・池上→小松・清永)、悔やまれる失点となりました。
両サイドハーフを代えると共に、高井が上がり目となって4-4-2の形へとシフト。

飲水タイムが挟まれた(25分)のち、ようやく山口は反撃体制に。
28分、高縦パス→高井受けて左サイドへ→安在クロスという流れから、ファーサイドで清永が合わせシュートするも枠を捉えられず。
既に契約満了が発表されていた清永、これを決めていれば感動の送別ゴールとなっていただけに、再び悔やまれる場面となった山口サイド。

山形の攻撃は止まず、31分にはスローインの流れから、山田拓が右奥からカットインののちグラウンダーでクロス。
これを中央で前川が合わせましたが、こちらも枠を捉えられず。
おまけにこのプレーで山田拓が足を攣らせてしまう事態ともなってしまいました。
(33分に山田拓・ヴィニシウス→三鬼・大槻へと交代)

攻め合いの様相となる中、山口は35分に梅木→河野へと交代。
山形は40分に再び2枚替え、前川・加藤→小松・中村充孝へと交代。(南がボランチ→トップ下へシフト)
双方交代策を交えた結果、終盤は再び山形有利の運びとなりました。

シーズンも終盤、山形のボランチ事情は厳しくなり、この日のように南をボランチに起用して凌ぐといった事も数多。
変えの利かない中村駿も離脱期間を作ってしまうという具合に、コンディションによる押し引きの判断の難しさが一層際立っている今シーズン。
攻撃的な南の後方で、バランスを取るような役割を演じていたこの日の中村駿。

果たして交代策を経て、前目になった南効果かそれとも単に運動量が補填されたのかは不明ですが、攻撃権を支配していく山形。
44分にCKを得ると、キッカー三鬼のニアサイドへのクロスを小松がスルー、中央で野田がトラップしたこぼれ球を大槻がシュート。
追加点を奪い、試合を決定付ける事に成功しました。

2点差でATへと突入し、反撃したい山口を尻目に、最後の選手交代(小野田→末吉)も使いつつ逃げ切りを目指す山形。
最後の山口の攻撃、菊地の右へのロングパスから、受けた川井からクロスが上がるもGK藤嶋が抑えてフィニッシュまで行けず。
その後試合終了の時を迎え、0-2で山形の勝利という結果に。
山口の最下位脱出はならずシーズンを終える事となりました。

シーズンを終え、来季の新監督には渡邉晋氏を迎える事となった山口。
仙台で試行錯誤を重ねつつ、J1残留を果たしてきた戦術家タイプの監督ですが、果たして仙台以上にヘビーなクラブで手腕は発揮できるのか。まあ現在仙台もとてもヘビーな状況となっているのですが
来季における注目の要素が増えましたが、現実的には残留争いとなるであろう戦いを乗り切る事は出来るでしょうか。

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TV観戦 第100回天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会5回戦 HondaFCvs筑波大学サッカー部

2020-12-23 16:30:05 | サッカー視聴記(2020年以前)

前回の天皇杯の記事-4回戦・筑波大 vs 高知ユナイテッドSC

<Hondaスタメン> 3-4-1-2
GK 白坂
RCB 鈴木雄也 CCB 池松 LCB 堀内
RWB 三浦誠史 DH 山藤 DH 松本 LWB 八戸
IH 大町
FW 岡﨑 FW 富田

<筑波大スタメン> 3-4-2-1
GK 櫻庭
RCB 森侑里 CCB 手塚 LCB 角田
RWB 三浦雅人 DH 知久 DH 加藤 LWB 山原
IH 瀬良 IH 小林
FW 和田

リーグ戦(JFL)では連覇どころか、2番目に少ない5勝(7分3敗)という体たらくで終えてしまったHonda。(それでも順位は4位ですが)
その悔しさを以降の天皇杯にぶつける算段なのは明白で、その通りに4回戦ではリーグでの優勝クラブ・ヴェルスパ大分を撃破。(1-0)
一週間が空き、その試合から石田・佐々木に代えて池松・山藤とスタメンを入れ替え、5回戦に臨みました。
ここから過密日程を余儀なくされ、スタメン選択が勝利のカギを握る要素の一つとなる事でしょう。

一方の筑波大、前回は4バックでのスタートでしたがこの日は3バック。
延長までもつれ込む激戦の中、殊勲の得点を挙げた森海渡・庄司はともにベンチスタートとなり、果たして両者何処で投入されるのかが焦点の一つとなりました。

ともにボールポゼッションを重視するスタイルで、筑波大・小井土正亮監督は意図的にミラーマッチに持ち込まんと3バックにシフトした感があり。
果たしてぶつかり合った結果、Hondaが立ち上がり押し込む展開に。
敵陣奥で右サイドでのスローインに持ち込むと、三浦誠がロングスローで放り込む攻撃で決定機を作ります。
前半5分、三浦誠の投げ入れたボールがエリア内中央まで伸びると、池松のフリックを経て岡崎がダイビングヘッド。
しかしGK櫻庭のセーブに遭い、再び右からスローイン。
再度三浦誠が投げ入れ、ニアサイドで岡﨑がフリックののち富田が足で跳び込んでシュート、という酷似したシーンが。(枠外)

いきなり原始的な好機が生まれましたが、10分過ぎからはポゼッションスタイル同士の試合に相応しい光景に。
お互いじっくりと最後方からボールを繋ぎ、好機を作らんとしていきます。

筑波大は3バックのスタメンながら、ビルドアップの際は片方のセンターバックがサイドに流れる形が主。
サイドでの人数を多くして突破しようとする意図は窺えましたが、その成果は中々出ずフィニッシュまで持ち込めません。
一方のHonda、3バック時の定番である「ミハイロ・ペトロヴィッチ(現札幌監督)式」の形を採る最終ライン。
しかしミラーマッチ故か、プレスを警戒して早めに前にボールを送るシーンがこの日は目立ち、前述のようなセットプレーで好機を作っていく事が多かった。
18分は左からのコーナーキック、ショートコーナーを経て大町がグラウンダーでクロスと変化を付け、鈴木雄のポストプレイに八戸が合わせにいきましたがミート出来ず。

若干Honda有利な流れと思われましたが、22分にそれをひっくり返すような得点が生まれます。
Honda最終ラインのビルドアップを右サイドで奪った筑波大、和田が中央へと送ると、瀬良がエリア内右からシュート。
相手の特徴を逆手に取ったゴールで筑波大が先制に成功しました。

リードを奪われたHonda、飲水タイム(得点直後)以降はボールを握る姿勢を一層強め、攻撃権を掴みます。
左CBの堀内が一列前に出る動きで、4バック時のような最終ラインの形へと変更し、前への圧力を強めんとします。
それでも流れの中からはシュートは生まれず、もっぱらセットプレーから好機を掴む展開に。
29分は左ハーフレーン・エリアからやや手前でのフリーキック、キッカー山藤のクロスをファーサイドで池松が合わせヘディングシュート。(枠外)
43分にもFK、今度は右サイドからでキッカー山藤のクロスを三浦誠が頭で合わせ、エリア内右へと浮いたボールに鈴木雄がヘディングシュート。
ゴールを揺らしたものの、三浦誠の所がオフサイドとなりノーゴール。

押され気味の筑波大でしたが、終了間際にはボールを握り一息つくシーンが。
そしてアディショナルタイムを迎え、CKを得て角田がヘディングシュート(枠外)を放ち、前半を終えました。

この大会初めて追う立場となったHonda。
流れを変えるべくハーフタイムに選手交代を敢行し、温存していた石田・佐々木を投入します。(山藤・大町と交代)
そして先制された後、疑似的な4バックのビルドアップを敢行していましたが、正式に4バックへと変更する事となります。

<後半のHonda> 4-4-2
GK 白坂
RSB 三浦誠 CB 鈴木雄 CB 池松 LSB 八戸
RSH 佐々木 DH 松本 DH 石田 LSH 堀内
FW 岡﨑 FW 富田

前半の後半同様、敵陣に押し込んで攻撃を繰り広げていくHonda。
そして前半と同じく、三浦誠のロングスローも交えつつのセットプレーで攻勢に。
後半5分には三浦誠の投げたボールをニアサイド手前で池松が頭で合わせ、その後こぼれたボールを八戸がボレーシュートにいきましたが、ふかしてしまい枠外に。
7分にはCKから、キッカー石田がクリアボールを拾って再度クロスを入れると、ファーサイドで佐々木が飛び込みヘディングシュート。(枠外)

一方の筑波大もやられ続けるだけでは無く、追加点を狙いにいきます。
8分には左サイドで瀬良のパスカットから、スルーパスに和田が走り込み、奥へと進入してカットイン。
エリア内左からシュートするも、枠を捉えられず。
15分には和田が右サイドをドリブル、エリア内右へ進入後左へとサイドチェンジのパスを送り、受けた山原が奥へと切り込み角度の無い所からシュート。(GK白坂キャッチ)

どちらが次の得点を取るのか、という流れになりましたが、試合が動いたのはこれまでも再三好機を作ってきたHondaのセットプレーからでした。
18分、松本の縦パスから繋いでいき攻め上がると、佐々木がエリアすぐ手前で筑波大・角田に倒され反則。
絶好の位置でFKを得ると、キッカー石田の直接シュートがゴール右を襲い、GK櫻庭に弾かれるもポストの内側を叩いてネットに突き刺さり。
鮮やかなFKで同点に追い付いたHonda。

その後もHondaが攻撃権を握ったままの展開に。
22分に筑波大は和田→庄司へと交代しますが、流れを変えられず。
直後に再び三浦誠のロングスローから、クリアボールを石田がシュート(GK櫻庭セーブ)と、変わらずにロングスローから好機を作っていくHonda。

飲水タイムが挟まれると、流れの中からもシュートに繋げていきます。
26分、左サイドで石田・八戸・堀内・岡崎がダイレクトパスを繋いだのち、八戸がドリブル突破から中央へパス。
受けた佐々木がペナルティアークからシュートしますが、GK櫻庭の横で三浦雅がブロックして防ぎます。
32分にはここも左サイド、今度は八戸ロングパス→富田ポストプレイという単純な突破から、岡崎が抜け出してエリア内左へ進入。
しかしループ気味で放たれたシュートはゴール上へと外れてしまいます。

33分に筑波大は再び動き、瀬良・知久→山内・井川へと交代。
その交代効果もあり、一時的にペースを取り戻す筑波大。
36分には中盤でのパスカットから、山内がドリブルののち右足アウトサイドでのシュート(GK白坂キャッチ)と技術を見せていきます。

しかしすぐにHondaのペースに戻り、40分以降はひたすら押し込むHondaという絵図に。
左サイドで攻める際は、右サイドハーフの佐々木も同サイドに寄って来たりと、人数を掛けてパスを繋ぎ勝ち越し点を奪わんとします。

そしてアディショナルタイムへと突入(44分に筑波大は小林→鈴木瑞生へと交代)。
筑波大にとっては3試合連続の延長戦も視野に入ってくる中、勝負を決めたのはHondaらしいパスワークからでした。
最終ラインでのパスワークを経ての松本の右サイドへの展開から三浦誠・松本・石田がパスを回したのち、受けた佐々木がドリブルで奥へと進入すると、ここからクロス攻勢。
2本目のクロスがクリアされたボールを堀内がエリア内へと送ると、八戸が浮かせたボールを三浦誠がフリックし、エリア内右で受けた佐々木がシュート。
乱戦模様となったエリア内での攻防を制し、ついに勝ち越し点を奪ったHonda。

その後は反撃に出ようとする筑波大をかわし、無事に逃げ切り2-1で勝利。
アマチュアオンリーとなった5回戦までの戦いを制し、とうとうJクラブとの戦いを迎える事となりました。

その準々決勝で、HondaはJ2優勝クラブの徳島と当たる事が決定。
前年Hondaは徳島に勝利しているので、因縁の対決ともなります。
あくまで優勝が目標と日頃から口にしているHonda、その念願は果たして叶うでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第42節 アビスパ福岡vs徳島ヴォルティス

2020-12-22 16:17:59 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の福岡の記事はこちら(39節・金沢戦)
※前回の徳島の記事はこちら(39節・水戸戦)

前節、目出度くともに昇格を決定させたチーム同士の対戦となった最終節。
3位・長崎が引き分けに終わるという要素もありましたが、徳島・福岡共に勝利して決定させたのは何よりの事でしょう。

そして優勝決定戦という最高のコンセプトとなったものの、「福岡は7点差以上での勝利」が必須の条件と厳しすぎるもの。
そんな訳で逆転は非現実的であり、何処と無くお互い来季J1で戦う者が激励し合うような感じとなりました。
まあ前年最終節に13対1なんて試合がありましたが

福岡はそれに伴ってか、GKにはプロ初出場となる山ノ井がスタメン出場。
ベンチ外が多くなっていた鈴木惇(既に契約満了が決定済)・城後がベンチ入りするなど、ホーム最終節で情緒に浸る雰囲気を醸し出すようなメンバー選択となりました。
一方の徳島は「勝って優勝を決める」という趣旨のリカルド・ロドリゲス監督の試合前コメントの下、ほぼベストメンバー。
とはいっても故障明けの渡井がベンチに留まり、ベテランの藤田がベンチ外となるなど、激戦を勝ち抜いた末のダメージが感じられるような陣容に。

それでも「あわよくば」逆転を狙うコンセプトだったであろう福岡、序盤から果敢に前線の激しいプレッシングを見せていきます。
前半7分には遠野が深めでパスカット、そのまま石津にパスを送るも繋がらず。
9分にも遠野が深め右サイドでカットしてから、福満のグラウンダーでのクロスが入る(繋がらず)など、積極的に得点を狙う姿勢に福岡のホーム・ベスト電器スタジアムも盛り上がり。

一方の徳島、プレスの激しさを逆手にとりスルーパス攻勢で全盛を狙います。
7分、内田のエリア内右へのスルーパスに岸本が走り込み、シュートするもGK山ノ井がセーブ。
11分には空中で右往左往するボールを岩尾がラフにロングパス、受けた西谷がドリブルで左からカットイン、エリア内へ進入してシュートするもこれもGK山ノ井がセーブ。
初陣となった山ノ井の奮闘に、これまた盛り上がるスタジアム。

福岡はボランチの重廣がパスカットを連発し、良い流れを作っていきます。
徳島が後方でのパスワークから、前へ送った所に殆どの場面で顔を出し、奪う事に成功。
チーム全体でプレッシングを掛けにいく中、非常に巧妙なポジショニングを取れていたようでした。
そして前半16分、ここでも敵陣で重廣のボール奪取から好機。
こぼれたボールを山岸が繋ぎ福満がエリア内へ送り、石津が合わせシュート。
綺麗にゴール右へと突き刺し、早い時間帯で先制した福岡。
「もしかすると……」という期待を抱かせる事に成功します。

18分は左サイドから輪湖がクロス、中央でバウンドしたのち再び石津がシュート。(ブロック)
34分には重廣のパスカットからショートカウンター、遠野のパスを受けた石津がシュート。(GK上福元キャッチ)
36分にも、右サイドで福満のスルーパスにエミル・サロモンソンが走り込み、こぼれ球を福満が走り込んでクロス。
徳島ディフェンスに当たり中央へ落ちた所を、またも石津がボレーシュート(枠外)と、ゴールを決めた事で吹っ切れたのか躍動を魅せる石津。

福岡の決定機を何とか凌ぐ徳島ですが、その反面攻撃は迫力不足に。
福岡ディフェンスの身体能力に手を焼き、シュートに持ち込めず時間を浪費していきます。
垣田がサイドに流れたりなど工夫も見せましたが、流れは変えられず仕舞い。

アディショナルタイム(2分)も最終盤、再び福岡に決定機。
福満の縦パスを重廣が受け、山岸にラストパス。
そしてエリア内に抜け出した山岸、ループシュートを放ちましたがゴール上に外れてしまい追加点はならず。
度々徳島ゴールを脅かしたものの、1-0のまま前半を終えます。

ハーフタイムに徳島は内田→福岡へと交代。
45分単位で最終ラインを代える、今季の徳島の定番パターンを繰り出し後半へ挑みました。

福岡は石津が痛み、徳島は岩尾が痛むという入り(両者ともに無事)を経て、徳島が反撃体制を取る立ち上がり。
後半5分、小西が岸本とのパス交換ののちエリア内左へとロングパス、これを収めた西谷がシュートするも枠を捉えられず。
以降も好機を作りますが、フィニッシュはこのシーンぐらい。

10分過ぎから福岡のターンへと移り、13分には左サイドで浮き球から巧く組み立て、山岸が中央へとパス。
そして走り込んだ重廣がミドルシュートを放ちますが、GK上福元のセーブに阻まれます。
直後に福岡は2枚替え、石津・福満→増山・木戸へと交代。
サイドハーフを一気に代えた辺り、得点を重ねるべく前半頭からハイプレスを敢行し続けたという事が伺えます。
一方徳島も、14分に鈴木徳真→渡井へと交代。

16分にまたも福岡が決定機、右サイドでサロモンソンのパスカットから、重廣がエリア内へパスを出し遠野が混戦の中シュート。
ブロックされこぼれたボールを重廣がシュート、GK上福元を弾いたボールはゴールバーに当たって跳ね返り。
またも追加点を奪えずと、良い攻撃を見せるもののゴールに結び付かない福岡。
逆転優勝の芽は生まれないまま、時間は刻々と進んでいきます。

その後は決定機逸の反動か、ペースダウンした感の福岡。
飲水タイム(23分)前後は、お互い反則によるフリーキックの好機を得るも、頻繁に試合が止まった事でペースダウンに拍車を掛ける結果となりました。
そんな閉塞感を打破しようと、徳島は途中出場の渡井がドリブルで仕掛けるシーンを頻発させますが、福岡の堅守は中々崩せません。
(29分に垣田・浜下→河田・清武に交代)

スコアが動かないまま30分を過ぎると、福岡は選手交代。(32分)
GKを代えるという手法を取り、山ノ井はここでお役御免となります。(杉山が出場)
普段は行われない、アクシデント以外でのGKの交代に、情緒的な雰囲気が一層強まった感があり。
以降その隙を突かんとする徳島のペースとなり、33分には清武の右からのクロスを河田がバイシクルシュート(枠外)、34分には河田のスルーパスから清武がループ気味にシュート(枠外)と攻め立てます。

しかし既に逆転の望みは限りなく薄くなり、優勝が決まる寸前な以上、内容はもはや無関係なものとなっていたかもしれません。
尚も福岡ベンチは、39分に山岸・遠野→城後・鈴木惇へと交代。
福岡のキング・城後と、福岡でのラストゲームに挑む鈴木惇の存在で、情緒感はほぼ全方位で頂点に達した事でしょう。

ここからは鈴木惇(いつものボランチでは無く、左SHに入る)が最後の雄姿を見せる展開に。
40分に左サイドからの輪湖のクロスにヘディングシュートを放った(枠外)のち、43分はエリアからすぐ手前で城後のポストプレイを受けた木戸が、徳島・ジエゴに倒されて反則。(ジエゴに警告)
絶好の位置で直接FKを得ると、キッカーの位置に居る鈴木惇に対し、前がキャプテンマークを譲るという一幕が。
感動もののシーンの中放たれた鈴木惇のシュートでしたが、壁を直撃してモノに出来ず。

ATに突入すると、今度は徳島が面白いシーンを作ります。
コーナーキックを得て最後の攻勢、という所でGK上福元も前線に加わります。
この試合上では納得できる動きでも、奇しくも「点を獲らなくても良い側が何が何でも得点を取る」姿勢を見せる事となりますが、さらに可笑しかったのは2本目のCK。
クリアされた後も上福元は下がらずに、後方で徳島選手がパスを回す中チャンスを伺うという姿勢を取っていました。
失点しても痛手で無い場面なので、流石は2年前に決勝点に繋がるヘディングを放った男、攻めっ気が出っぱなしなようで面白かったです。

結局1-0のまま試合終了。
福岡が勝利となり勝ち点で徳島に並んだものの、得失点差12の差で徳島の1位が確定。
J2優勝のシャーレを掲げたのは徳島という結果になりました。

早期に優勝チームが決まったJ1・J3とは違い、最も時間を要したリーグとなりましたが、長く苦しい戦いも終焉。
J1昇格という最高の結果に収束出来たこの試合の両クラブ、来季は一層厳しい戦いが待っていると思われますが、オフの間に鋭気を養い挑んでもらいたいものです。徳島の方はまだ天皇杯がありますが

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