私の気ままな部屋 - ♪asitahatennki♪

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『 13階段 』 高野和明

2006-07-27 | 小説

第47回江戸川乱歩賞獲得の作品です。

とても重く、
そして 考えさせられる作品でした。

犯行時の記憶を失った死刑囚の冤罪を晴らす為に
刑務官と前科のある少年が
死刑囚の一つだけ思い出した記憶
『階段』を手がかりに
彼の無実の真実を探し求めます。
死刑執行までの残されたわずかな時間に・・・。

まず この本を読んで一番感じたことは、
人が罪を犯すと
その家族が、法的に そして世間から
どれだけの 罪の償いを課せられるか・・・ ということ。
本人はもちろん 刑務所で罪を償うわけですが
私は 却って残された家族の方が
世間と向かい合っていかなくてはならない分、
何十倍もの 過酷が待っているように感じさせられました。

そして、もっと 考えが及ばない所でも
苦しむ人が居る!ということ。

死刑と判定を下す人、
そして もっと 辛いのが
死刑執行の為の
紐をかけなければならない人、
ボタンを押さなければならない人、
死刑に立ち会わなければならない刑務官達です。

どれだけの苦悩かということを
この本で知りました。

私は、人を殺したり 悪いことをすれば
死刑になることなど 当然と考えていたし
そんな極悪人が 世の中に存在するなど許せないこと
死刑は 本人が悪いのだから
おこなわれて当然!と そのことしか考えていませんでした。

死刑をおこなわなければならない人、
どんなに極悪人でも
自分がその人を手にかけて抹殺するということの
重み・・・

とても 深いものがありました。

そして 記憶を失ったがために
反省すること つまりは改悛の情がなされないということで
死刑の確定を免れられない。
嘘でも 改悛の情の態度を取れば
罪も軽くなることもあるのでしょうが
記憶のない彼は 改悛の情など あるわけも無く・・・

それから、このような形でも死刑は行われるんだということに
驚いたのも一つでした。

これは 死刑囚の無実を証明する証拠をを探していく!
ということで、話は進められますが
その中での 立場によって入れかわってしまう
人間の心理 行動・・・。

展開が凄く、後半は一転も二転も・・・
先が気になり 一気に読んでしまいました。

とても 深い内容です。

2003年に映画化されたとか・・・

映画の方は 分かりませんが
本は お勧めです。

でも 笑える本ではないので
気分が落ちてない 元気な時に
読むことがお勧めかも・・・
私的には 5つ でした。







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