
指宿の白水館という大きな旅館は海に面した立地ですが、私たちの泊まった部屋は残念ながら山側だったので良い眺望は臨めませんでした。
そして松林と山との間に金属の光を反射する不思議な構造物が小さく見えました。部屋の窓からの風景をめいっぱい拡大してこんな感じ。
チェックアウトの時にフロントの人に窓から見えるアレは何なのか訪ねると地域のスポーツ厚生施設とのこと。
車だったらすぐだと言われたので同行者にお願いしてドライブの前に立ち寄ってもらいました。

本当に宿から5分でした。ご婦人方3人を車に残し、私一人が走って見に行きました。ピロティを抜けて開けた方向に進む途中ですでに只ならぬ風景が。

とんでもねえ造形がありました。旅館の窓から見えていたのはこの宇宙船の先端でした。

宇宙船の前は芝生のグラウンドで、ゲートボールの大会が行われていました。指宿のお年寄りには建物よりもボールの行方の方がよほど重要です。

ふれあいプラザなのはな館。1998年にオープンした高齢者のための交流施設で宿泊施設、研修施設、体育館、プール、温泉などがありました。
過去形になっているのは2011年以降あまりに高額な年間維持費に音を上げて大半の部分は閉鎖されているためです。

この辺りの東洋的意匠の建物が体育館だったりするのかな。宇宙船も含めてどの建物が何の施設なのかは不明でした。
コンクリートの外観はご覧の通りに美観を保っていますが、使われなくなって10年。構造物としては緩やかに廃墟に向かっています。

ナウシカの王蟲のように見えたドーム。室内運動場とかでしょうか。壁面内側の通路はらせん状に上に登れるようです。

ブリッジの底面には木の板が貼ってありました。コンクリートと金属だけの建物にここだけ木材。なかなかよいです。
このユニークな施設を設計したのは髙﨑正治都市建築設計事務所を主宰する髙﨑正治氏。
鹿児島県出身の建築家。wikipediaの経歴や本人サイトのプロフィールを見てもスピリチュアル系の単語が散りばめられていて、作品同様に不思議感満載。
おそらく肩書から「世界的に高名な建築家」として紹介しているブログなどもあれど、そもそも作品の中に海外で建てられたものは(今のところ)見当たらない。
とはいえ怪しい経歴と思想だけの人かというとそんなことはなくて、実際に残っている作品はいくつかあってどれもここで紹介したなのはな館に負けず劣らずの異形っぷり。
東京にも90年代に建てられた独特のセンスの建物が複数あったようですが、多くは建てて数年から10年程度で壊されてしまっていました。
なのはな館も建ててから大半の施設が閉館するまで10年ちょっと。いずれは取り壊しになるんでしょうか。やはり独自の世界観はコストや使い勝手の面で課題があるようです。

楽しかった鹿児島旅行の中でもここを見ていた10分が個人的には一番エキサイトしていた時間でした。車で待たせていたので10分が限度だったのです(涙)
先日紹介したかごしま県民交流センターと同じく無関係な他県民として見れば非常に面白いんですが税金の使い道としてはどうなのか。
再び考えさせられる作品でした。
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