第100回の凱旋門賞を勝ったのは、ドイツ調教馬のトルカータータッソ。ドイツ調教馬としては、10年ぶり3頭目の凱旋門賞制覇となりました。
馬場は、恐れていたとおり、週末の大雨のせいで、かなり悪化しておりました。昨年よりはマシではありますが、日本の酷い不良馬場よりも重く、走る馬の蹄がズブッズブッと土の中に埋まる感じ。これでは、さすがに欧州調教馬の中でも、重馬場適性のある馬でないと、勝負にならないレベルだったと思います。
レースは、スタート後、押し出されるように武豊騎手が乗るブルームが逃げる展開に。14番ゲートスタートの日本馬クロノジェネシスが、ゆっくりと外側を離れながら進出し2番手へ。3番手にはダービー馬のアダイヤーが控え、1番人気のタルナワと2番人気のハリケーンレーンは、絶好の5~6番手の内側に位置取り。その後ろに、スノーフォール、そして勝ったトルカータータッソ。日本馬ディープボンドは、狙った先行ポジションが取れずに後方に待機。
悪化した不良馬場で脚を取られながら、出走各馬はスタミナを消耗する中、直線手前のフォルスストレートの段階で、各馬が仕掛け始めます。まずはアダイヤーが逃げる形に、そして、タルナワとハリケーンレーンが「オープンストレッチ」の馬場の良いところを狙って馬場の内側へ入り込みます。同時に、中団からスノーフォールとトルカータータッソが追込みを開始して、ラストの激闘が開始されます。
まず、先行していたクロノジェネシスとアダイヤーが脱落、オープンストレッチから、タルナワとハリケーンレーンが伸びてくる。そして外からはトルカータータッソが伸びてきて、スノーフォールは脱落。3頭による競合いが続くが、外のトルカータータッソが3/4馬身だけ出たところがゴール。2着はタルナワ、3着にハリケーンレーン。
勝ったトルカータータッソは、いかにもドイツ調教馬らしく、重馬場適性に長けた馬。陣営も雨を期待するコメントを出していました。タルナワとハリケーンレーンは地力を出したということですが、一番の好走の原因は、内側の5~6番手を取って、まっさらなオープンストレッチ馬場を使えたこと。
日本馬クロノジェネシスは、14番ゲートながら見せ場のある好レースだったと思いますが、さすがにこのくらい馬場が悪化すると、クロノジェネシスと言えども、スタミナを吸い取られたということ。ディープボンドは、最初から見せ場がなく、この馬場が合わなかったと思います。ラストは30馬身差となったので、故障とかでなければ良いのですが。
日本産の欧州調教馬、ディープ産駒のスノーフォールは、前哨戦も含めての敗因は「走らせ過ぎ」だと思います。この馬は、もう少し間隔を空けた方が力が出せると思います。
結果として、今年も「凱旋門賞の呪い」を解くことができませんでした。日本馬による凱旋門賞制覇は、昨年今年の馬場状態を見るにつけ、さらに遠ざかっていく気がいたします。
そろそろ、「凱旋門賞」を唯一無二の絶対神として崇める姿勢を改めるべきと考えます。アメリカや豪州の競馬関係者からすれば、日本のこのお祭り騒ぎを「笑いながら見ている」と感じています。
こんな酷い馬場で走らされるために、わざわざ日本から遠征させられる馬たちが気の毒であります。キズナやハープスターが欧州遠征後に骨折したり、マカヒキやサトノダイヤモンド、ブラストワンピースが、まるで魂が抜けたような状態に陥ったり‥。
香港遠征や、ドバイ遠征では、絶対にありえないような、競走馬の消耗が凱旋門賞の特徴であります。もう、このレースを世界最高の舞台と崇めること自体を止めたら良いと考えますが、いかがでしょうか?