さて、年末に時計を戻してみましょう。
ミルコは、朝日杯FSの勝ち馬であるアドマイヤマーズと、ホープフルSの勝ち馬サートゥルナーリアの両方の主戦を務めていました。ミルコがどちらを選ぶのか注目されていましたが、年明けにあっさり、サートゥルナーリアの陣営からCルメールへの乗替りが発表されました。ここの経緯はあまり報道もされておらず、謎が多い事件でした。
【シナリオ1】普通は主戦であるミルコが選択権を持つことになりますので、メインシナリオはミルコがアドマイヤマーズを選択したということ。そのため、サートゥルナーリア陣営が急遽ルメールを手当てしたということになります。確かにあの時点では、あのグランアレグリアを力でねじ伏せたアドマイヤマーズがNO.1との評価だったのかもしれず、それであれば何も禍根は残りません。
【シナリオ2】しかし、牧場の時から評判馬だったサートゥルナーリア、生産界も評論家達も口をそろえてダントツ1番に挙げるこの馬について、過去3回とも騎乗しているミルコが1番凄さを判っているはず。ここからは自分の妄想ですが、ミルコがサートゥルナーリアを選らぼうとしたところ、アドマイヤのオーナー筋から横やりが入った可能性はないのかなぁ、などと考えてしまいます。過去に、アドマイヤムーンとディープインパクトを巡って武豊騎手の争奪問題がありましたからね。
【シナリオ3】そうではなくて、サートゥルナーリア陣営がミルコを降ろした可能性もあるのかなぁ、とも思っています。兄リオンディーズや、ドュラメンテやアドミラルなどのスーパーホースを壊してしまった過去があるミルコを、陣営が避けた可能性があると思うのです。ミルコは最大限に馬の能力を引き出す力がありますが、力以上に走らせてしまうと、大きな事故になりがちです。すでに種牡馬としての価値まで論じられる馬だけに、絶対に壊されたら困るということなのかもしれません。
さて、もしシナリオ1でも、2でも、3だとしても、ミルコの心理状態はいかなるものでしょうか? 絶対にサートゥルナーリアだけには、ルメールだけには負けたくない、というのが本音であることに間違いありません。しかも、サートゥルナーリアの全てを知る男が、この馬を負かしにいく戦術は見ものだと思っています。