うちのもなか姫は、人の心に隙間ができた時、その隙間に入り込んで、ハートが癒えるまで昼寝を続ける猫です。
人間と猫は、その昔から共生関係にあるパートナーなのだそうです。人間は農業を始めた時から、食糧庫を保有するようになったのですが、ネズミ等の小動物に荒らされる事態に悩まされていました。ところが、ある頃から荒らされる倉庫と荒らされない倉庫があることに気がつき、その違いが猫の存在だったと。つまり、人間が猫を家畜として利用したのではなく、猫が人間の倉庫には自分の食糧であるネズミがいることに気づいて、猫の方から近づいたという説が有力なのだそうです。したがって、猫は家畜と言われることは少なく、むしろ共生関係にあるパートナーとして関係づいてきたと。
近年になって、ネズミの被害を猫が防ぐという役割が都市部では小さくなってきました。それでも「共生するパートナー関係」には変わりがありません。それは、猫が人間に対して、人間のハートが傷ついた時、心を癒す役割を担うからだと私は考えています。
不思議な経験を一つご紹介します。普段はうちの猫は私のヒザの上には乗りませんが、今から6年前に、どうしても我慢のならない事態が仕事上で発生して、私は良い年をしながら一人ソファーに座って悔し涙を流しておりました。すると、まだ子猫だった「もなか姫」が私のヒザに乗って、自分が流した涙を優しく舐めはじめたのです。しかも、そのままヒザの上で寝てしまいました。まさに人の心に隙間が見えた時の猫の行動です。それ以来、私が彼女の僕(しもべ)となったのは言うまでもありません。
日本の伝統風景として、「老婦人の膝の上で昼寝をする猫」がありますが、独り身となり孤独な生活を送る老婦人の心には、猫から見て、たくさんの隙間が存在しているのでしょう。だからこそ、いつも膝に乗り、昼寝を続けているのだと思います。