迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

紅白の山路彩る明日かな。

2018-03-10 17:41:09 | 浮世見聞記
地元の梅の名所が、いま盛りを迎へてゐる。 花を見上げて談笑してゐる人々の聲が、 花の下(もと)では、 ささやき聲に聞こえる不思議さよ。 そんな梅にちなんだ手猿楽を創りたいと、 よい道具は手に入れて久しいが、 肝心の勉強が、 まだまだ足りませぬ。 . . . 本文を読む
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あの世とこの世を彷徨う愛情。

2018-03-09 00:37:08 | 浮世見聞記
国立演芸場へ、「第21回 桂文我 桂梅團治 二人会」を聴きに行く。 「開口一番」で「狸の賽」を口演した笑福亭呂好がマクラのなかで、 「よく、『食っていけるのか?』と訊かれます」 と話してゐたが、なるほど私も今は昔、他人(ひと)からよく言はれた言葉だった。 「食っていけるのか?」── 訊ひてゐる側はもちろん、 「食っていけないだらう?」 と言ふ . . . 本文を読む
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一寸先の無駄、その先より来たる新しい季節。

2018-03-06 18:44:25 | 浮世見聞記
タクシーと自転車の接触事故現場を見かける。 自転車はタクシーの床下へくちゃくちゃに巻き込まれており、自転車に乗ってゐた人は救急車で運ばれて行った。 状況から、お互ひに自分が無理に前へ出やうとした結果の、必然である。 人の前へ前へと出たがる者は、必ずさうなる。 さう、何ごとにおゐても。 今年の前半は寒気が長く居座ったせいで、春の魁けの訪れが、少しばかり遅かった。 が、遅く . . . 本文を読む
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てつみちがゆく──“スター2000”の引退、いや、『勇退』。

2018-03-05 20:13:10 | 鐵路
つひに、来るべきものが来た。 これまで京浜急行2000形──“スター2000”には何度も乗り、その都度「いま乗ってゐる感」を全身に刻み込んできたので、もはや思ひ残すことはない。 だから、いよいよ『勇退』するといふ現実を、あとは素直に、冷静に、受け止めるのみだ。 そして、いざ無くなるとなってから、俄かに有り難がってカメラを手に手に沿線や駅へ詰めかけるやうなマネは嫌ひなので、平時に撮り溜め . . . 本文を読む
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応援電波の行方。

2018-03-04 19:20:20 | 浮世見聞記
恵比寿ガーデンプレイスのセンター広場で開催中のイベント会場まで、ゲスト出演する倉木麻衣を観に出かける。 前回、羽田空港国際線ターミナルのイベントで観たときは空色地の和服姿だったが、今回はイベントのシンボルカラーである黄色のジャケット姿で、本日初公開の新曲「WE ARE HAPPY WOMAN」を披露する。 これはイベントの主旨である『3月8日は国際女性デー 女性の生き方を考える日』に沿って、 . . . 本文を読む
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帝国の関門、のちに海の玄関、そして永遠。

2018-03-02 18:44:12 | 浮世見聞記
横浜みなと博物館にて、「ずっと港のまんなかに 新港ふ頭展」を見る。 開港以来、増大する貿易量に鉄桟橋(現在の大桟橋)だけでは対応しきれなくなり、それを補強するかたちで大正三年(1914年)に誕生した新港埠頭は、いらい約100年にわたって横浜の貿易を支へてきた。 しかし「みなとみらい21計画」による港湾再開発によって、かつての港湾貿易施設は「赤レンガ倉庫」のほかはほとんどが姿を消し、更地とな . . . 本文を読む
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嘘といふ真を写し遺す。

2018-03-01 18:23:09 | 浮世見聞記
横浜のみなとみらいギャラリーで、「後世に遺したい写真 」展を見る。 時代の世相を捉へた様々な写真の原版を、文化庁の委嘱を受けて収集や調査、保存などの活動を行ってゐる日本写真保存センターが開ひた写真展で、大正から現代に至るさまざまな“その時”が、白黒写真に切り取られてゐる。 そこに遺されてゐるのは、 いつの時代もなにも知らない、 いや、 なにも知らされることなく権力者に踊らされる、 . . . 本文を読む
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