
『首都圏で営業するJR東日本、東京メトロ、小田急など8社は、きょうから初乗り運賃を10円引き上げし、増収分はホームドアやエレベーターなど駅のバリアフリー整備の費用に充てられます。』──
實質的な運賃の値上げだが決してさうとは云はず、あくまで“バリアフリー料金”の加算と稱して値上げの印象を躱さうとしてゐるところに、鐵道經營者の巧さを感じます。

二昔前、東海道新幹線の「のぞみ」が「ひかり」「こだま」に比べて特急料金が割高で乗車率が横這ひなのを打破するため、それまでの全車指定席から三両を自由席車に変更して「ひかり」の指定席料金で乗れるやうに改めるなど「のぞみ」の値下げ感を演出する一方で、「ひかり」を減便して「のぞみ」を増發すると云ふ、新幹線料金の實質的な値上げをやってみせた以来の巧さ、なかなかの策士がゐるものです。
但し、朝の混雑緩和を狙ふと謳った“オフピーク定期券”なるものについては、勤務先の始業時間が変はらない以上、何の効果もない氣が致します。

なんであれ、一回の乗車につき十圓の値上げならばまだ我慢の範囲内ですが、東急の三十圓幅の値上げはチト考へものです。

かつて東橫線の澁谷驛をムダに地底下して東京メトロ、西武、東武と直結した際、「工事費用は一年で回収できる」と強氣だった東急、その勢ひで驛周辺のムダな再開發に着手したところ、人災疫病禍や露國の國盗合戰などによる計画遅延や原材料費高騰などで大幅に予定が狂ひ、工事費用の捻出と確保が難しくなった為、運賃に転嫁されたのではないでせうか?

各鐵道線との乗り換へをあれだけ不便に改惡して、何をかいはんや。

また、2020年のトウキョウ茶番大運動會までに開業を目指してゐたのが“諸事情”で工事が三年以上遅延し、

今日やっと新橫濱驛で相模鐵道線と直結開業した「東急新橫濱線」にかかった遅延分の費用回収も、大いに影響してゐることでせう。
バリアフリーも結構ですが、それより何より、鐵道の安全運行を妨げるバカモノから鐵道を守る、さうしたバリアーの充實にも力を入れてほしいと──構はず轢くなり跳ね飛ばすなりしない以上──、私は衷心より願ふのであります。