
叔母と会ふ。
手に職を持ち、傅統藝能の知識も深く、常に樂しみを見つけては年中あちこちを飛び回ってゐる叔母の姿に、「自分も数十年後はあのやうでありたい」と、いつも将来への明るい展望を抱く。
忘月忘日、背中を丸めて肩を落とし、ボソボソと食事をする老人の姿を目にして、生き續けてゐる限り必ず遭遇する老後といふ将来に、不安を覺えたことがある。
しかし、そんなものはおのれの心持ち次第だと教へられたのも、叔母の姿からだ。
正月も四日目ともなると、浮世ではさっそく不景気な情報ばかりが悪臭のごとく漂ってくる。

よほどさういふ噺が好きらしい。
だから街行く人々の顔も、不景気だらけになるのだらう。
そんな者どもに振り回されてたまるか。

幸せは、心の景氣が良い人に訪れるのじゃ。