
今日も暑い晴天になると云ふので、冷やし甘酒と新品の夏扇をおろしたが、気温の上がる昼過ぎから曇りとなり、暑さは和らぐ。

夏扇は昨年に骨董市で手に入れたもの。
前から白無地の夏扇が欲しかったのでおろす日を樂しみにしてゐたが、かういふ國難下でその日を迎へるは、いかなる因果なるや?
毎回覗きに行くその骨董市も、今や中止となりにける。
古書店にも行けず、史料館や博物館や美術館の企画展にも行けず、かと言って日中に町中を徘徊する有象無象のお仲間など言語道断!
籠城が昂じて、やがて『貯金』が新たな趣味に加はりさうだ。

部屋で本の山の切り崩しと、稽古や創作で一日を充分にやり過ごせる自信はあったが、いざその時になってみると他にもいろいろと思ひ付くこと、ありける。
けっきょく普段と変はらへんやんか!──
為政者に自宅軟禁を強制されるまでもなく、“常の如し”な自分を視(み)る。
異國では自宅軟禁を段階的に解除してゐるやうだが、時期尚早すぎる気がしてならぬ。
なにしろ、治癒はまだ實験段階のものでしかないのだ。
それにヒトは、誰もが限られた区域内での活動を守るわけではない。
ニッポン人など、現時点ですら……。