神奈川縣が企画したオンラインイベント「バーチャル開放区」に参加するため、現代手猿樂「すゑひろかり」を動画に撮る。

人を集めて舞台に立つべきではないこのご時世、オンラインによる作品發表と云ふ形態には昨年より関心があったところへ、今回の企画に逢ふ。
おかげで、實に一年と七ヶ月ぶりに面と装束をつけ、扇を手にする。
「動画撮影では充分な感染防止につとめること」との参加條件に則り、撮影場所の確保ほか現場での諸々を、すべて私ひとりで行なふ。
そもそも我が現代手猿樂は、自分で出来ることは全て自分ひとりでやるのが鐵則なので、かういふ時には威力を發揮すると自画自賛。
私のやうな活動などは最も「不要不急」ゆゑ、今年は手猿樂師としての活動は無理だらうと思ってゐたが、たとへ短い時間でも本来の私に“戻れた”ことで、私は人災疫病禍に前を見て生きる意義を、改めて確認する。