昼過ぎに散歩つひでに買ひ物へ行くと、年越し風物が始まってゐた。

バスも然り。

東京メトロでは、大晦日の終夜運転は行はず、休日ダイヤでの運転云々。
今は昔、ツマラナイ用事の帰りに一度だけ、終夜運転の電車を利用したことがある。
驛で長い時間待たされて、新年初日からいよいよツマラナイ氣分になった記憶しかないが、いまの私はさうした經験も土臺にあることを思へば、ツマラナくてもムダなことではなかったはずだ。
年末風物とひとつ云へば「第九」、ベートーヴェンのアノ名曲。
愛聴してゐるラジオ番組でこのクラシック大曲を數回に分けて解説してゐて、パーソナリティの話しの上手さも手傳ひ、これまで一度もマトモに聴いたことがないこの曲を、初めて通しで聴いてみたい氣になり、CDを買ひ求める。

解説書によれば、著名な英國人指揮者による米國一流樂團の演奏らしいので、これが本物の「第九」と信じて聴いて、間違ひはないやうだ。
私は西洋の古典音樂にはまったくの門外漢ながら、なにか壮大な空間に身を委ねたくなる感覺だけは、味はへる。
私は他人(ひと)の話しや評判に關心の無い性質(たち)だが、このあまりに有名なクラシック大曲についてはふと心が動いたのも、無意識になにか交はり響くものがあったからだらう。