
週末の盆踊りに向けて、着々と準備が進む。
櫓を組み上げ、提灯を吊す専門業者のおじさんたち、それを見守る地元のおじさんたち、ときに軽口を叩き合ひながら、嬉しさうな顔をしてゐる。
お祭りは、準備段階から愉しいやうだ。
日本人には、ちゃんと日本人のまつりがある。
洋楽かぶれが騒音雑音を喚き立てるだけの“フェス”など、ただ煩ひだけ。
縄を通した提灯を吊り上げるおじさんたちの傍を、何かに完敗したやうな顔をした月給鳥たちが、負の気をまとって通り過ぎて行く。
私は正の気を発してゐるおじさんたちの傍に立ち、
提灯を見上げながら、
夏を生きるための気を、
分けていただくのである。