
薹風七號が西海から吹き飛ばしてくる雨雲が、何もしてゐなくてもジワーッと汗の溢れる蒸し暑さと、斷續的な強雨を午前中にもたらし、今日を本當に生きられるのかと不安にすらなる。

とりあへず雨雲群が去って安堵してゐると、遠い昔の犬猿の仲が、ささやかな“出世”をすると知り、好惡の拘りなく純粋に「へぇ、よかったな」と思ふ。
時間と距離と記憶がはるかに離れ、もふ二度と會ふはずもない相手であることが、氣持ちに解決をもたらしたのか。
それ以上に、私には前進する材料があって、そのことに忙しくて遠い他人のシアワセなんかどうでもよい──
それが、本當のところだらう。