お隣にもの静かなオーストラリア人のジェントルマンが住んでいる。音楽好きの彼の歌声やギターの音が壁を通して聞こえてくる日常に不満はなく、付き合いは廊下やエレベーターで会った時の挨拶程度でそれ以上の話をすることはあまりない。ちょうどいい距離感だと思っている。しかし、ひとつだけ気をつかう箇所がある。植物に水をあげるためにベランダに出る時だ。スモーカーの彼はベランダに出てたばこを吸う。そのタイミングがなぜか私の水やりとことごとく合致してしまうのだ。そんな時、途中から引き返すわけにもいかないから、私の方から「グッドモーニング!」と声を掛ける。お互いベランダにいるのにグッドモーニングだけで、あとはシーン。。ではまた気まずいので、水やりしながらなんとか話題を探して話しかけるのは私の方だ。彼は静かな人だから。「最近天気が悪いですよね。今日はどうかな~。」などと言ったり、時節柄「オリンピックは見てましたか?」とか「パラオでも初めてコロナの陽性者が出ましたね。その件についてはどう思いますか? オーストラリアの状況はどうですか?」とか、聞いてみる。聞かれれば彼もしゃべる。優男の彼が若い頃、荒いスポーツで知られるオーストラリアンラグビーで死にかけたことを初めて知った。こんなしゃべる人なんだ、と思うぐらい饒舌だ。しかし、問題はリスニングが超難しいことだ。何回も聞き返すのは失礼だと思うからわかったふりして聞いて、あとで「ラインって何のことを言ったんだろう??・・ああ!レイン(雨)か!」と気づく。そうだ、そうだ、オーストラリアの人はA(エイ)がアイになるんだった。気を付けて聞いてるはずなのにまたしゃべってるとそのルールを忘れてしまう。オーストラリアのコロナの感染者数の話になって、一日に800人と言った時、彼は一日(デイ)をダイと言った。私はすっかりダイ(死)の方だと勘違いして、えーっ!それは大変!ってことに。これはすぐに誤解に気づいたから良かったけれど。だからね。ちょっと彼とお話するのは気を遣うんだ。そう思っていれば思うほどまたベランダでの遭遇率は高くなって。(笑) 誤解を避けるために、彼の方がAの発音をアイじゃなく世界基準のエイに直すぐらい簡単なように思えるんだけど、きっと彼は自分がそんな発音をしているつもりはないんだろうな。日本人がLとRの区別がつかないのと同じように、江戸っ子が「ひ」と「し」がごっちゃになっちゃうみたいに。東北人の寿司(すす)みたいに。パラオ語の飛行機は「スコーキ」で、よろしくが「ヨロスク」よしこさんが「ヨスコ」ひでよしさんが「ヒデヨス」だ。やっぱりお国なまりは楽しい。彼が直す必要はない。私が慣れればいいんだ。よす!
お隣にもの静かなオーストラリア人のジェントルマンが住んでいる。音楽好きの彼の歌声やギターの音が壁を通して聞こえてくる日常に不満はなく、付き合いは廊下やエレベーターで会った時の挨拶程度でそれ以上の話をすることはあまりない。ちょうどいい距離感だと思っている。しかし、ひとつだけ気をつかう箇所がある。植物に水をあげるためにベランダに出る時だ。スモーカーの彼はベランダに出てたばこを吸う。そのタイミングがなぜか私の水やりとことごとく合致してしまうのだ。そんな時、途中から引き返すわけにもいかないから、私の方から「グッドモーニング!」と声を掛ける。お互いベランダにいるのにグッドモーニングだけで、あとはシーン。。ではまた気まずいので、水やりしながらなんとか話題を探して話しかけるのは私の方だ。彼は静かな人だから。「最近天気が悪いですよね。今日はどうかな~。」などと言ったり、時節柄「オリンピックは見てましたか?」とか「パラオでも初めてコロナの陽性者が出ましたね。その件についてはどう思いますか? オーストラリアの状況はどうですか?」とか、聞いてみる。聞かれれば彼もしゃべる。優男の彼が若い頃、荒いスポーツで知られるオーストラリアンラグビーで死にかけたことを初めて知った。こんなしゃべる人なんだ、と思うぐらい饒舌だ。しかし、問題はリスニングが超難しいことだ。何回も聞き返すのは失礼だと思うからわかったふりして聞いて、あとで「ラインって何のことを言ったんだろう??・・ああ!レイン(雨)か!」と気づく。そうだ、そうだ、オーストラリアの人はA(エイ)がアイになるんだった。気を付けて聞いてるはずなのにまたしゃべってるとそのルールを忘れてしまう。オーストラリアのコロナの感染者数の話になって、一日に800人と言った時、彼は一日(デイ)をダイと言った。私はすっかりダイ(死)の方だと勘違いして、えーっ!それは大変!ってことに。これはすぐに誤解に気づいたから良かったけれど。だからね。ちょっと彼とお話するのは気を遣うんだ。そう思っていれば思うほどまたベランダでの遭遇率は高くなって。(笑) 誤解を避けるために、彼の方がAの発音をアイじゃなく世界基準のエイに直すぐらい簡単なように思えるんだけど、きっと彼は自分がそんな発音をしているつもりはないんだろうな。日本人がLとRの区別がつかないのと同じように、江戸っ子が「ひ」と「し」がごっちゃになっちゃうみたいに。東北人の寿司(すす)みたいに。パラオ語の飛行機は「スコーキ」で、よろしくが「ヨロスク」よしこさんが「ヨスコ」ひでよしさんが「ヒデヨス」だ。やっぱりお国なまりは楽しい。彼が直す必要はない。私が慣れればいいんだ。よす!