日本じゃもう犬に残飯を食べさせることもなくなったのかな。パラオでももちろんドッグフードを食べてる犬もいるけど、基本残飯スタイルなんじゃないかと思う。持ち寄りパーティなんかすると、大の男でも「うちの犬に持って帰るから」と言って、魚や鶏の骨などを集めている。
日本からパラオに来る時、子供と「パラオに行ったら犬を飼う」という約束をした。でも来てみてビックリ。犬が全部放し飼いだったから。そこらじゅうに犬がウロウロしている。一応飼い主はいるみたいだけど、なんか日本の「犬を飼う」っていう感覚と全然違った。ご飯以外はあくまでも自由行動。犬を繋いで散歩させてる人なんて当時一人もいなかった。こんなんだったら自分ちで飼ってても他人の犬をかわいがってもどっちも同じ、ってことで、結局子供も理想の「犬を飼う」イメージが壊れ、そのうち自分の遊びに夢中になって、犬を飼いたいと言わなくなった。かわいがるペットと言うよりも、時々追いかけられたり、友達が噛まれたりして、犬によっては一緒に遊ぶことはあったとしても、子供にとっては警戒もしなくてはいけない同列の共存する生き物っていう位置づけになった。
話がそれたが、そういうことでパラオでは今まで飼い犬のために魚を取っておくことをしたことがなかった私だが、昨日魚のスープの残りを捨てようとした時にふと、「あ、そういえば!」と思い出した。夫の職場の犬、アブ。本名アブナイ。アブナイに持って行ってあげたらきっと喜ぶぞ~!いつも職場であっち行ったりこっち行ったりして、食べ物をねだっている。喜んでガツガツ食べるアブを想像しながら使い捨ての容器にけっこう身のついた魚のガラをたっぷり詰めて冷蔵庫に入れた。持ち寄りで残飯を自分の犬のために集める飼い主の気分になった。そして今日。「アブ~、いいもの持ってきたよ~!」と蓋を開けてアブの前に置いた。あれ?アブの反応が悪い。ふんって感じで匂いを嗅いで、ゆーっくり舐めたり鼻で押したりしている。そして食べない。え~っ。なんで~?魚好きなんじゃなかったの?なんかすごいがっかりなんですけど。。
もしかしたら腹がいっぱいだったのかもしれない。夫によると、コンポスト用にホテルやレストランから持ち込まれる残飯を食べてることもあるらしい。そっか、今日もそれ食べた後だったのかも。それに、勝手にどうせいつも腹が減ってるからなんでも食べるでしょ、なんて思っていたけれど、アブにだって好き嫌いはあるかも知れない。肉は好きでも魚はそれほどでも、とかね。結局、後から見たら容器は空になっていていつの間にか魚も全部食べてはあった。でも私が期待したアブの喜ぶ顔は見られなかった。期待した反応じゃなかったことで、私はがっかりして「なんだ、そんな喜ばないんだったらもうあげない!」なんて思ってしまったけど、そういう考えはいけないね。やってやった、さあどうだ? 喜べ! じゃあダメですね。アブにはアブの都合も好みもあるのです。