コロコロコロール通信

南洋の小さな島に暮らす家族の日記

ウォーカソン

2021-03-26 22:08:19 | 行事

TOKYO2020の聖火リレーのスタートを記念して、パラオでも5キロのウォーク&ランのイベントが開催された。ウォーカソンはパラオでもよく行われていて誰でも気軽に参加できるのだが、今まで一度も参加したことがなかった。ただ走るのが苦手ということと、日中は走るのが危険なぐらい暑くなる当地ではスタートがまだ涼しい夜明け前だったりして、単純に起きられないということもある。しかし今回は日本大使館主催で、TOKYO2020のイベントだ。日本人として盛り上げなくちゃ、という変な責任感で参加することにした。今回はスタートも夕方だ。国立のトラック&フィールドに続々と人が集まってくる。みんなで準備体操したりしてけっこう楽しい。コースはマダライからミューンズへ。海にかかる道、コーズウエイを渡って、プレジデントオフィスまで。そこから折り返し同じ道を戻ってくる。夕方のコーズウエイを走るのは気持ちがいい。時折止まって写真を撮ったりしていると、若い人はもう折り返して戻って来る。膝にバネが入っているみたいにピョンピョンと疲れも知らずに走っていく。すごいなあ、バンビみたい。知ってる子に声援を送りながら私はのんびり走る。別にタイムも順位も目標はないが、目の前を走るサンダルのバングラデシュの男だけは抜きたい気持ちになってくる。私は一応ジョギングシューズだからなあ。それを目標にスタジアムまで。向こうも私には負けたくないみたい。抜きつ抜かれつの超低レベルのデッドヒート。スタジアム直前で私が抜き去るという劇的なラスト!(笑)やったー!でももう足がつりそう。。あーあ、高校の部活では5キロなんて練習前の準備運動で毎日軽く走っていたのにな~。今は昔の話しとなりにけり。でも初めてのウォーカソン、楽しかった!!

夾竹桃

2021-03-25 22:11:01 | 植物

中島敦氏の小説を読み直している。彼の代表作の一つである「山月記」は高校の教科書に載ったりしているので、名前を知っている人は多いと思う。彼が戦前パラオに滞在したことがあるという事実についてはどうだろうか? 南洋庁に勤務して公学校の教科書編纂の仕事をした。1941年から翌42年にかけて1年足らずの期間ではあるが、その時のことを書いた「環礁ーミクロネシヤ巡島記抄ー」の中の「夾竹桃の家の女」はわりと知られた短編ではないだろうか。中島氏が体験した戦前のパラオとは様変わりしていることは重々承知だが、独特の文体で描写された島の様子に今のパラオを重ねて読む。80年も前に書かれたものではあるが、ああ、あの木、あの花、パラオに住むものとしてはすぐに想像ができる。石畳の道、木陰を作る大きな木。印度鼠蹊(プルメリア)の強い香り。眩暈がするような暑さ。今も変わらずここにあるものを彼も見たのだ。80年前のパラオに迷い込んだ気持ちになる。
写真:アラカベサン島に咲くピンクの夾竹桃。

予約の意味

2021-03-18 22:53:41 | 今日の出来事

医療従事者、高齢者、持病がある人等から順番に進められているワクチン接種。予約したらもう誰でも受けられると言うので、指定の番号に電話して予約した。予約に必要だったのは名前、自分のホスピタル番号、電話番号のみ。今日の9時〜15時半の間に体育館に来るように言われた。午前中はみんな押しかけてだいぶ待つよ、とすでに接種を終えた皆が言うので、午後に行くことにした。午後2時。体育館の前に人だかり。私は予約をしてあるから問題なく入れるはず。入口に向かうと警備員に制止される。私は今日来るように指定されている旨を伝えたがちょっと待つようにと言われる。そこにたむろしていた人々は皆、私と同様、予約して今日来る様に言われた人々だった。警備員が「今残りのワクチンの数を数えているから待って。みんなに行き渡るといいけどね。」と言った。うーん、予約の人数とワクチンの数は合っているハズではないのか。今日の分が足りなくなっちゃったのかなあ、病院に取りに行くのかなあ、などと想像しながら、まあなんとかなるだろうと体育館の玄関の外でみんな思い思いの場所に座って、途中何度か「もうちょっと待ってね。」と言われながら、待つこと小一時間。さっきの小太りの警備員がまたやって来て、「今日はもうワクチンがないから帰ってちょうだい。」と発表した。ああ、そうですか。そんな予感はしました。予約以外の人を知り合いや親戚だからと言ってちょこちょこ入れちゃうからこうなるね。でもまあないものはしょうがない。ここで警備員に文句を言っても状況は変わらない。パラオ人のおばちゃんの「ないって言ってんだから、帰るしかないよ。さあ、帰ろう。」の掛け声を合図に、パラオ人が帰る。フィリピン人が帰る。日本人が帰る。あるあると言えばあるあるな光景。収まらずに捨て台詞みたいに文句を言いながら帰るのはアジア系外国人だ。パラオに来て間もないのかな。予約したのに今日受けられなかった人には新たな予約日を保健省の担当から電話連絡します、と言っていたが、たぶん来ない。また自分で予約した方がいいね。そして今度は多少待っても午前中に行こう。大きく考えれば、要は今日の分は全部誰かが接種したと言うこと。国の目標は8割の国民がワクチン接種をすることだから、それには近づいたことになる。アメリカの援助で、今パラオはすでに4割近くの接種が完了している。

三点セット

2021-03-17 23:31:44 | パラオ文化

いろんな三点セットはあるかと思うが、これはパラオ人の嗜好品の噛みタバコ、ビートルナッツ三点セット。ビンロウとも言いますね。ビニールに入っているのがビートルナッツ(ビンロウ椰子の実)、束ねてある葉っぱは胡椒科のキンマの葉、白い粉が珊瑚やシャコガイを焼いて作った石灰。だいたいどこのお店でもレジの近くにこれらが置いてあり、それぞれ1ドル~1.5ドルぐらいで売っている。噛みタバコをすることを英語でチューイング(チューイングガムのチューイング)と言うので、私が撮影のためにこの3点セットを買った店の店員も驚いた顔で、「Do you chew?(あなたチューするの?)」と聞いてきた。
私はしませんが、パラオ人は男性でも女性でもチューイングする人は多い。何パーセントぐらいの人がやってるのかな。数値的なことはわからないけれど、感覚的にはどうだろう、大人の半数ぐらいはやってるかな、って感じはする。休憩の時にやっぱりこれがないとしっくりこない感じはわかる。よいしょと座ったらまずこのチューイングセットが入っている小さいバッグを出します。バッグはそれぞれ。パンダナスの葉で編んだ伝統的な小さいバックに入れている人もいれば、ダイビング用の防水ケースを使っている人も。若い人はこれが多いように思う。カッコイイからね。それぞれの専用バッグからまずビートルナッツを1個取り出す。ああ、小さいナイフも入ってるはず。取り出したビートルナッツをナイフで半分に割る。その半分に石灰を適量入れる。この時、本物のたばこを3分の1ぐらいちぎって入れる人も多いが、これは本当に体に良くない。そしてそれらを最後にキンマの葉でくるんで口の中に入れる。そして噛む。するとキンマの葉と石灰が反応して口の中で真っ赤になる。溜まった唾液を吐き出す時はまるで血を吐いているかの様だ。キンマの葉だけは齧ったことがあるが、胡椒科の植物だけあって、匂いもよくて味もスパイシーでなんとなく清涼感がある。石灰は口の中が熱くなるような刺激があるらしい。丁寧に裏ごしされたものを買わないと、塊が入ってたりしたら口の中が火傷することもあるんだ、と言う。ビートルナッツとキンマの葉だけならまだいいような気はするけど、なんで石灰入れたり絶対体に悪いに決まってるタバコを直接入れたりするのか。噛むと興奮感や酩酊感があるというチューイング。島の人々の文化に深く入り込んでいるから体に悪いとわかっていてもなかなかやめることは難しい。撮影が終わった三点セットを夫の職場に持って行くと、スタッフが通りすがりにビートルナッツを数個ずつ持って行く。ビートルナッツは本島バベルダオブ島のものが味がいいんだ、と言う。アンガウルやペリリューなどサンゴ礁の島はビートルナッツはイマイチだが、キンマの葉は黄色味がかってて最高なんだそう。本島のビートルナッツにアンガウル島のキンマの葉、石灰も誰が作ったものが高品質、っていうのがあるらしい。なんとか島で夫婦で作ってるあの石灰は品質が悪い、それは皆が知ってるよ、そんな話題に花が咲く。すごいコア情報〜。

今日の夕焼け

2021-03-15 22:36:31 | 今日の出来事

みるみるうちに空の色が変わり、コロールの街が炎に包まれるように燃えるような夕焼けになった。うわあ!! どうしよう!! 自然の奇跡は一瞬だ。私はヨガマットを抱えて右往左往。こんな時に海辺にいてカメラを持っていれば完璧なのだが、今は町中で、持っているのはヨガマットだけ。慌てて車にスマホを取りに戻る。コロールの幹線道路、帰宅ラッシュの車と夕焼け。電線入りまくり。。(涙💧)。

追悼

2021-03-11 22:19:03 | 今日の出来事

3月11日。
皆様の心の平安をお祈り致します。
あの時、「日本を助けよう!」と募金活動をしてくれて、人口も少なく貨幣価値も違うのに街頭で400万円ものお金を集めてくれて、ペリリュー州は被災して家を失った人々に土地を提供するとまで言ってくれた、パラオの人々の優しさを忘れません。

ダイエットキャンペーン

2021-03-01 13:45:28 | 今日の出来事

夫の職場でダイエットキャンペーンをやると言う。いいんじゃないかな。だって去年、パラオの子供の肥満度はナウルにつづいて世界第2位だと発表されたばかりだ。大人の方だって、毎年安定して世界ベスト(ワースト?)5には入っている。10人に7人が肥満というすごいレート。何か改善策を打たなくては。
まずは職場でみんなの体重を測ることに。結婚して子供を産んだばかりの若い女性、弁当がやけにデカい、タッパーにパンパンに詰め込まれたご飯はゆうに3合はあるんじゃないかと疑われる彼女。高校球児が体力維持のために泣きながら食べる量だ。彼女が体重計に乗って示された数字はなんと220パウンド。約100キロ。初っ端から大台超え。自ら「Oh, gosh!」と驚いていたそうだけど。次は男性。だいぶ重そう、と思われる彼。それでも職場で一番大きい訳ではない。私も興味津々。「何キロだった?」と聞くと、「300パウンド。。」と夫も、参った~、って顔をしてる。300パウンドと言ったら約140キロだ。う~ん、すごいね。。そして私の目にはごく普通の体形に見える彼女。高校時代はミスパラオハイスクールにも選ばれたという美人さん。彼女も70キロあったという。そうか。。背もそんなに高いわけじゃないから、あの身長でその体重じゃやっぱり太っていることになるんだろうね。
太っていることが美人でもある価値観の中で長く暮らすうち、私の感覚も変わってきている。もうだいぶずれてきているとは思う。日本人の感覚では太っている人が太って見えない。ちょっと話は飛ぶが、「その時あなたはどうする?」というアメリカのテレビ番組で、息子が太った彼女を連れてきて両親に紹介した時に両親は太っていることを理由に認めない、そんな会話をレストランの隣の席で聞いた客はどうするか、というドッキリみたいな番組を見たが、その時の太っているというていで連れて来られた彼女が私には全然太って見えなくて自分で驚いた。環境ってすごいね。
それはさておき、職場のみんなが、女性も男性も隠すでもなくちゃんと順番に体重計に乗るっていうのも面白かった。みんなの現状の体重を測った上で、毎週それの増減をチェックするのだそう。1キロにつき2ドル、増えた人は払い、減った人はもらえるというざっくりとしたルールらしい。全員が太ってることが大前提になっている。夫も参加しろ、と言われたらしいが、夫は痩せる必要はない。むしろ太った方がいい。このキャンペーンをフェアに有効に実行しようとするならば、まずは一人一人の適正体重を確認しないと。それに痩せた方がいい人だって、一律に1キロ2ドルはおかしい。140キロの人が痩せる1キロと、60キロの人の1キロはぜんぜん違うんだから。割合で計算しないといけない!・・・ な~んて思ってしまうけど、まあいいや。何かをやるってことが大事だから。がんばれ~!まずは弁当をちょっと小さくすることから。