コロコロコロール通信

南洋の小さな島に暮らす家族の日記

港町ブルース

2018-11-08 19:30:38 | パラオ文化

ショッキングな訃報だった。パラオに来て以来の古い友人が亡くなったことを新聞を見て知った。病気だったのを知らずにいたことが悔やまれる。国立病院のドクターで、リタイヤした後はパラオのオリンピック委員や、UN大使として活躍された。元気で活躍している様子を新聞やFBで見ていたのになあ。。子供同士が一緒のテニスチームだったし、彼自身もテニスプレイヤーだったこともあり、私たちはテニスを通しての友達だった。一緒にテニスをしていたのはずいぶん前のことだけれど。自家製ノニジュースの大きな瓶を審判台の下に置いて水代わりに飲んでいたのを思い出す。一緒にテニスしようと約束したある週末、彼はまたノニジュースの瓶とその日は大きなカセットデッキも持ってきた。音楽を聴きながらテニスっていうのはいいね、と言うと、カセットデッキから流れてきたのは日本の演歌だった。これはテニスのBGMとしてはどうかな~、と思いながら「誰、これ?」と聞くと、「シンイチ・モリ」と嬉しそうに答えた。美空ひばりがパラオで人気があるのは知っていたが、森進一もとは知らなかった。どうやって手に入れたのか、森進一のベストCDから次々と曲が流れてきた。そして彼は「ボクが一番好きな曲は、なんと言ってもミナトマチブルースだね!」と言ったのを印象深く覚えている。パラオにもミナトバシがあるから港の意味ぐらいはわかったとしても、日本語を話す人ではなかったので詩をすべて理解していたわけではなく、曲調が好きだったんでしょうね。彼を思い出しながらSpotifyで「港町ブルース」を探してみる。初めてじっくり聴いた。いい曲だった。そうか、別れた人を探して函館から日本列島各港を渡り歩いていくのか。「港~♪、宮古、釜石~、気仙沼~♪」最後は鹿児島の枕崎で終わっているが、これがパラオまで南下してくれたなら、さしずめ、「港~♪、コロール、マラカル、新波止場~♪」ってところか。あ~あ、本当に寂しい。寂しいけど仕方がないね。葬儀は明日。「(会場は)アラバケツ(地域の名前)ですよ。」と教えてくれたのは日本時代を知るパラオのおばあさん。ガラベアド(Ngerabeched)を私のために日本語読みのアラバケツと呼んでくれた。そんなことを知る人もどんどん少なくなっていく。献杯して心からご冥福をお祈りします。