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映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

新橋演舞場 五月大歌舞伎 昼の部

2007-06-03 21:33:02 | kabuki
ずいぶん前に書いて、「草稿中」のままそのまま放っておいた歌舞伎日記。物凄く今さらですが、upしてしまう。
8月納涼歌舞伎やら9月秀山祭などの噂を聞きつけて、もう気持ちは歌舞伎座へ飛んでしまったからね。あぁ、早く染五郎さんの斎くんを見たいよぉ。
とりあえず、5月の演舞場にタイムトラベル…。

一、鳴神
芝雀さんの雲の絶間姫がかっわいい!可愛くてちょっと色っぽくて賢い。赤姫の拵えだけど、なぁんとなく町娘っぽいコケティッシュな魅力があって、可愛かった。
対する染五郎さんの鳴神上人は、若さゆえ(?)かあんまりあっさりと絶間姫に転んでしまう。その変わり身の早さに苦笑い。。
でも、いちばんの見どころは染五郎さんのぶっかえり。どろどろした恐ろしさじゃなくて、荒々しく若さが勝ったぶっかえりだったけど、怒りが前面に出ていて面白かった。特に、花道の引っ込みの迫力がすごい。3階東席にも、気迫が伝わってきたよ。染五郎さんの弁慶で「勧進帳」を見る日が楽しみ。
黒雲坊、白雲坊の由次郎さん、吉之助さんのコンビがいいお味。

二、鬼平犯科帳 大川の隠居
「大川の隠居」とは、大川端を訪れた長谷川平蔵(吉右衛門さん)が老船頭の友五郎(歌六さん)から聞いた大川に長く棲むという大きな鯉のこと。
この船頭の友五郎が使う煙管が、風邪をひいて寝込んでいた平蔵の屋敷から無くなった煙管で、実は船頭友五郎はかつて泥棒を生業としていた男であり、平蔵が使う密偵・粂八(歌昇さん)の仲間だった…。
お話自体はすごく地味だと思うんですが、いやいや吉右衛門さんと歌六さんの渋くも熱いお芝居に胸を打たれました。
小説では、ほとんど書かれていない友五郎の過去(かつては妻子を持つ身だったが、息子を亡くしている。)と、その苦しみを解し男泣きに咽ぶ平蔵という二人の男の身分(元泥棒と火盗改メだものねぇ。)を越えた友情が、奇跡的に清々しくかつ現実味を帯びていて、じわじわと涙が流れて止まりませんでした。
吉右衛門さんの平蔵は言うまでも無く素晴らしかったけど、歌六さんの老船頭友五郎が江戸の香りと人生の深淵を包み込んだ可笑しさを漂わせていて、とても良かった。すっかり、歌六さんのファンになってしまいましたよ。
密偵・粂八の歌昇さんも、かつての仲間友五郎を気遣う熱演で場を盛り上げていました。テレビ版の役人役も良かったけど、若い粂八(テレビでは蟹江敬三?)も素敵。
吉右衛門さんの凄いところは、人間味溢れるお侍でありながらもすべてを飲み込んでしまう懐の深さを持っている(ように演じる)ところだなぁと改めてこのお芝居を観て感じました。泣いたり、怒ったり、女好きだったりしながらも、己の役を全うして飄々と江戸を行く。鬼平という芝居は、吉右衛門さんという役者抜きには成り立たないんじゃないか、と思ってしまう。
平蔵の友人・左馬之助に富十郎さん。短いけれど、富十郎さんが出るだけで舞台に江戸の心地よい風が流れるように感じます。
同心・酒井祐助の錦之助さんの口跡は富十郎さん譲りなのかな?すっきりさわやか。
福助さんの久栄は、平蔵を思いやる可愛い妻。平蔵に料理を褒められた久栄の少女のように嬉しそうな様子が印象的でしたよ。
そういえば、吉右衛門さんと歌六さんが劇中で召し上がっていた初鰹は本物の鰹なのかな?一切れとはいえ、毎日毎日鰹を食べるのも飽きそうだなぁ。それとも、鰹を真似た別物なのかしら?
ところで、困ったことに近くのレンタルショップ(ツタヤではないんですけどね。)に「鬼平」DVDが揃っていることを発見してしまいましたよ。あー、見たいよ見たいよ。こっそり借りてもいいかしら?

三、釣女
芝雀さんと錦之助さんカップルがさわやかにキレイでうっとりうっとり~、と少しうとうとしかけたところに吉右衛門さんの醜女(でも、彼女は決して醜くないの。とてもとてもキュートよ。ただ、少し規格が桁外れなだけ…)登場で飛び起きましたよ。
吉右衛門さんの可愛らしさったらありません。ぜひぜひ「身替座禅」の山の神を見たい!お相手は仁左衛門さんを希望。
吉右衛門さん以上に可愛かったのは、歌昇さん。でっかいでっかい吉右衛門さん相手に大奮闘でお顔は湯気が出そうに真っ赤かでしたね。物凄い汗を掻いていたものね。
その二人に「ご両人!」の大向こう。最高、でしたよ。
で、吉右衛門さんは錦之助さんに向かってひっくり返った声で「きんちゃーん、すてきー!」。面白すぎて、椅子から落ちるかと思いました。

ご満悦だった演舞場昼の部。時間とお金の都合がつけば、通いたかったなぁ。


ところで、このところ少し調子が悪いので(普段が丈夫なだけに、少しの病気(と言うほどのものでもないんだけど)に気弱になっているだけ)パソコンタイムを控えています。よって、ブログの更新も滞りがちに…。ならばいっそ更新は週2回に抑えよう、と思い立ちました。
どのくらいになるか分かりませんが、とりあえずのご報告です。

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