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川端龍子展

2006-01-31 23:41:12 | art
歌舞伎座にはたくさんの絵画が掛かっていますが、西側階段の途中にある牡丹をくわえる青い獅子の絵と、2階ロビー(吹き抜けの展示コーナー付近)の片岡球子の富士山の絵は特に好きで、歌舞伎座に出かける度に見に行きます。
牡丹をくわえる獅子の絵の画家、川端龍子の展覧会が五浦美術館で開かれているので、行ってまいりました。
日曜日に出かけたんですが、水戸に所用があり、10時に水戸を出て国道6号(略してロッコク)をひたすら北上。たっぷり2時間掛かりました。お出かけの際には、高速道路のご利用をオススメします^^)。

五浦美術館は、岡倉天心や横山大観らの作家たちの業績を顕彰するとともに優れた作品が鑑賞できる美術館としてオープンしたようです。なんで岡倉天心かって言ったら、五浦海岸に日本美術院研究所を移して活動していたんですね。海辺に建つ「六角堂」は岡倉天心が庭に立てた東屋だった、っていうのを初めて知りました。六角堂には以前訪れたことがあるんですけれど。。

美術館は平成9年オープンの比較的新しい美術館で、初めて訪れました。
北の青い海を間近に望み、一階建ての和を基調とした建築は居心地がよくて肩肘の張らないあたたかな印象を受けました。

さて、川端龍子展。
私は歌舞伎座の青い獅子の絵しか知らなかったんですが、文化勲章を受賞している日本画家の大家なんですね!
洋画からスタートしたという龍子の絵は、大胆自由なもので一点一点に驚かされます。

初期の佳人好在」は、静かな料亭の室内の眺めを描いているけれど、あたかも和服姿のしっとりした女性の存在を匂わせる。
また、「土」という表装された大きな絵が好ましかった。葦田に生まれた数羽の雛鳥の逞しさがいい。

龍子は、「会場芸術」を提唱して青龍社を創立し、その作品はどんどん大きくますます大胆になっていきます。
「草炎」は、真っ黒な背景に金で真夏の炎天下の草を自由自在な筆で描いています。まったく大胆な着想で描かれる草たちは繊細で迷いがない。
「炎庭想雪図」という絵は、夏の庭に咲く花やバナナがすっかり雪をかぶっている。雪の重みで曲がった百合やバナナはが面白い。
新樹の曲」は、きれいに刈り込まれた庭の木々を室内から写した様子。樹木の葉のひとつひとつを丁寧に描いていて、その筆の幅の広さに驚かされます。

他に、「爆弾散華」の一瞬を捉えた美しさや「臥龍」の持つ静かな迫力、「金閣炎上」に込められた怒りのような感情、「小鍛冶」の圧倒的な構図と吸い込まれるような力などが印象的。
「酒房キウリ」みたいな楽しい絵もあって、ユニーク。

全体に感じたのは、「若い絵」だということ。
例えば、現在の若い漫画家やペインターが描いてもおかしくないような構図や着想が、作品全体に流れていた。偉大な日本画家の精神は今の世にも十分に生きていると思わせてくれる展覧会でした。

「川端龍子展」は、茨城県天心記念五浦美術館で2月19日まで。重ね重ね、高速道路のご利用をオススメします

茨城県天心記念五浦美術館-川端龍子展


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