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映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

芸術祭十月大歌舞伎 走り書き

2008-10-29 22:35:55 | kabuki
芝翫さんの藤娘は絶対に見なくちゃ!と思っていたのにどうしても時間を作れず、夜の部だけ拝見した10月の歌舞伎座。
この歌舞伎座に来られるのももうあと少しなのねとあちこち歩き回って(球子さんの「富士」の絵だの、大きな大きな振り子時計だの、歴代俳優さんの胸像だの)いましたが、3幕ともにそれぞれ面白い舞台でした。

「十種香」は、玉三郎さんの八重垣姫の花も恥らうお姫様っぷりが可愛らしかったですねぇ。恋に落ちて恥らったりする姿も、どこまでもお姫様としての品位の上にあって、手の届かないところに飾られているお人形のような永遠のもののように感じました。
「狐火」もまた八重垣姫の美しさを堪能。コレといった見どころが分からなかったけれど、それでも八重垣姫の存在だけで成立してしまうのは凄い!です。

「直侍」では蕎麦屋の親方・権一さんがよかった!「あがったよぅ」の鼻にかかってちょっと高めのつぶやくような独特の声をまた聞きたい。
菊五郎さんと菊之助さんの直次郎・三千歳は、うーんちょっと未消化かな。直次郎に比べて三千歳の色気が薄い上に、三千歳が妙に大きく見えてしまう。それぞれを見ると悪くないんだけど、相性がよくないのかな?

「英執着獅子」が楽しかったんですよ、とても。という意見は少数派かな、と思うけど久しぶりに興奮してしまいましたよドキドキと。
玉三郎さん・菊之助さんがガラスケースに収められた手に触れることのできないお人形としたら、福助さんは極めてリアルで艶かしいお人形といったところでしょうか。あ、髪の毛伸びるやつじゃないですハイ。
玉三郎さんからは永遠を感じるのですが、福助さんから受けるのは生命でしょうか。もっと踏み込んで言えば、腐っていくものの美しさ・退廃的な美しさでしょうか。この時代には存在しない「傾城」の生々しい生を見たような舞台でした。
獅子の精の毛振りは、かなり長い間回していて客席は大いに盛り上がっていましたが、私は前シテ(と言っていいのかな?)の傾城の華やかで悩ましげな踊りが脳裏に焼きついて離れませんでした。
重たそうな傾城の衣装に埋もれるように踊っていたのが、衣装が軽くなるのと同時に内側から匂うような色気が立っていくのに目を離すことができませんでした。所作についてはまるで分からないんですけどね(笑)。

現在の歌舞伎座での興行は来年4月まで。
それまで、私はどれだけお芝居を分かるようになるんでしょう。まぁ、分かることはできなくても一生懸命に舞台を見つめたいと思います。


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