マンタマンタに告ぐ

映画・政治経済・日常生活などの観察日記。

映画クライマーズハイに告ぐ

2008-07-10 07:03:36 | Weblog

テレビ(NHK)を視たことがない。小説も、読んだことがない。

登山中(岩登り)、興奮状態が極限(最高潮)に達し、恐怖感・爽快感などによって神経が麻痺すること。

特に、生死(遭難など)にかかわる時が、一番危ないかもしれない。

その興奮状態が去った後、その恐ろしさなどから足がすくんで一歩も動けなくなる事らしい。

その状態が、随所(職務中など)に堤や部下に襲い掛かる。それは、登山中だけではないようだ。日航の被害者が、一番ハイになっているだろうな。死の直前の恐怖は、想像を絶する。

親友(政宏)の息子(小澤)と一緒に、堤は谷川岳を登攀(とうはん)する。それを現代として、回想している。息子と仲が悪い。息子は、堤を嫌いハイとなる。

群馬県の地方新聞社。日航機が墜落した。堤(40歳)は、全権を委任された。責任者だ。部下に、色々と指揮をする。ハイになった。のん気なのは、部長・局長・社長(山崎)たちだ。

長野・埼玉・群馬、落下地点で新聞社の管轄が決まる。他社や東京に、出し抜かれたくない。皆、ハイになる。緊張感が走る。ここから、記者たちの壮絶なドラマが始まる。

部下は、御巣鷹山(おすたかやま)で無残な遺体を見て、ハイになる。優秀な堤に対して嫉妬する部長は、何かと妨害工作をしてハイになる。激怒する堤は、さらにハイになる。

締め切り(深夜1時)が近づくと、印刷が始まる。原稿が間に合わない。配送が遅れる。皆ハイになる。販売担当者もハイになり、嫌味や罵声が飛ぶ。

広告掲載は、新聞社として唯一の収入源だ。これで、飯を食っている。堤がその広告欄を無視して掲載すると、営業担当者がハイになる。

女性記者が、スクープをものにする。ハイになる。Wチェック。誤報は許されない。堤は確認を命じる。仲間にも極秘事項だ。小声で、ハーーイになる。

毎日、事故だけをトップで飾るわけにはいかない。紙面を変える必要性がある。堤の立場がなくなる。会議で、皆がハイになる。

1時までが、勝負だ。トップの原稿は出来上がっている。堤は勝負に出る。締め切り時間までに、そのスクープを突然、秘密裏に差し替える行動に出る。

この手の行動は、現実の新聞社でも、よくあることかもしれない。社がハイになる。時間との勝負、この最高潮の快感が忘れらない。そして、最後のハイと対峙(たいじ)する。

失敗すれば、辞職。成功すれば、出世だ。果たして、そのハイをつかむことができるのであろうか。誰が、そのハイをつかむのであろうか。

登攀シーンが、物足りないな。登っている場面を、もっと描けよ。カメラは長時間、ずっと回していたはずだ。カットするな。元クライマーの自分としては、不満な演出だな。

もしかして、これはセットかCGか。近場での撮影か。空撮は、3重4重撮りしているのかな。スタントか吹き替えか。素人の役者2人が、簡単に登攀できるはずがない。

背景はCGだろうが、トムクルーズやスタローンは、いかにも小技を使って登攀していた。まだ、現実味があった。装備は一人前だけど、この映画では小技が生かしきれていない。

当時が懐かしい。自分は、この無人駅で一夜を過ごし、翌朝、ゴンドラ駅に自動車で向かった。でも、大雨だ。谷川岳の登山を断念した思い出がある。岩登りではない。

交通事故を起こして、右足を負傷した。もう、岩登りが出来なくなった。友人がいないので、いつも1人で登攀していた。完治したら、谷川岳で岩登りをしたいな。

それとも、ゴンドラに乗って、通常の登山にするか。それが一番無難だな。その前に、足腰が弱い。すっかり、体力・筋力が落ちている。もう、若くない。無理か。自分は、ハイになりたくない。

堤は、谷川岳で落下しハイになった。もう歳だ。設定では、60歳か? 登るのは困難だ。その窮地を、息子が救うのであった。断絶は、していなかったようだ。再会することで、ローになるのであった。

新聞社って、こんな取材をしているのか。こんな対立をしているのか。深夜残業が多そう。ストレスがたまりそう。どこまでが、作者の体験談なのだろうか。