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新イソップ物語4 : ハトとタカ

2013年04月20日 | 連載中 平成イソップ物語

遙か昔、北の海に二つの島が浮かんでいました。
一つの島にはハトが、他方にはタカが、それぞれ暮らしていました。



その年は雪が早く降って木の実が少なく、リスなどの小動物が激減した。
タカ達は餌に困り、隣の島のハトを襲うようになりました。



一方、ハト達は、日頃食べない小粒の実で飢えを凌いでいました。
仲間が襲われるようになったので、皆で話し合いました。

「戦っても勝算はない。穴に隠れて時の過ぎるのを待つべきだ。」
家族を持つ者達の多くはそう思っていました。

「攻撃は最大の防御である。皆で団結し勇敢に戦うべきだ。」
若者が発言すると、やがて場内はその熱情に沸き立って行きました
他の案は沈黙せざるを得ず、先制攻撃が決まりました。

「戦うことも隠れることも勝算はない。遠く南の空に舞う鳥を見ることがある。南を目指し旅立つべきだ。」
一部の者は、確信していました。



とうとう決行の日が訪れました。
勇敢なハトの一団は朝早く、タカの島を目指し飛び立ちました。
少し遅れて、南の空に向かって飛び立つハトの一団がありました。
ついに両方の島からほとんど鳥はいなくなりました。

それから月日は流れました。
ハトの島には渡り鳥が夏だけ飛来するようになりました。
タカの島では魚を食べる鳥だけが暮らすようになりました。

その鳥達は、当時、戦いを逃れて別の選択をしたものの子孫だったのです。




家族愛、同胞愛は激しく燃え上がり、人を勇敢にもし、無謀にもします。
戦い回避の選択は智恵と勇気、苦労を伴うが、価値がある。


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