*1
それは遙か昔のことでした。
大地の果てに、氷で閉ざされた海がありました。
*2
ペンギンと白熊のオスが神様にぼやいていました。
「妻が不平ばかり言って機嫌が悪くてしかたがありません。」
「獲ってきた餌がまずいとか、あなたは臭いとか言うのですよ。」
「こちとら一生懸命にやっているのに、腹が立ちます。」
神様は少し間をおいて質問をしました。
「あなた方は妻との約束を破ったことはありませんか?」
ペンギン:「出来るだけ守りたいのですが、つい忘れてしまいます。」
白熊:「わがままな妻の約束など、守る気はありません。」
神様:「あなた方は妻の誕生日を知っていますか?」
ペンギンと白熊: 「はい知っています。」
神様: 「あなた方は妻と仲良くなりたいですか?」
ペンギンと白熊: 「はい」
神様: 「1年間、私の言う通りにすればよいでしょう。」
「 約束を守り、約束を破ったら妻に謝りなさい。」
「誕生日に、妻に小石か魚をプレゼントしなさい。」
ペンギンと白熊: 「なんだそんな簡単なことですか。」
1年後のある日、二匹は神様の所に行きました。
ペンギン:「 ありがとうございました。おかげで夫婦仲良く子育てをして暮らしています。」
白熊:「 私が約束を守らないぐらいで、妻は子供を連れて出ていってしまいました。」
「初めから妻は仲良くする気はなかったのですよ。」
* 3
神様は独り言をつぶやきました。
「ペンギンさんは、これから益々子孫を増やしていくだろうね。」
「白熊さんは、これからも流氷の上で一匹で生きていくしかないですね。」
* 4
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