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心と脳がわかる本 :入門編6冊を紹介

2012年06月02日 | 読書・映画・ドラマ
 今回は心理と脳神経関係の入門書を紹介します。現代社会に生きる私達の「心」がどのように働き、「脳」はどのような構造になっているかがわかります。

 心は不思議なもので、自分で意識しているはずなのに、実は上手くコントロール出来ていない。筋の通った話が出来たと自負することがあっても、それを文章にするとおかしな論理になっていることが多い。いつも冷静に行動しているつもりでも、かわいい店員、逆に嫌な人が近くにいると買い物に影響が出てしまう。大事な時に上がってはいけないと思いながら、思えば思うほど失敗してしまうこともある。小さい頃からの嫌いな食べ物をなかなか好きにはなれない。それはあなた脳の知らない部分から操られているのです。この簡単な説明は既述のイラスト「脳の不思議:見えて見えざるもの」にあります。

 そのような不思議な心と脳の世界を解説している本を簡単に紹介します。心を進化や霊長類の側から論じた本は、既述の「『心はどうして生まれたのか』を知る本」を見て下さい。

**脳の全体像が掴める本**

「脳のしくみがわかる本」 寺沢宏次監修 成美堂出版
 
脳の構造と働きが豊富な図解入りでわかる。心理的なものはほとんど無い。文章は少ない。

 
「マンガ 脳科学入門」 アングス・ゲラトゥリ著 ブルーバックス

もっとも手短に脳の奇妙な働きを紹介している。専門的でもあるが、どこからでも読めるメリットがある。豊富なモノクロのイラストがユニーク。著者は心理学者。

「最新脳科学で読み解く 脳のしくみ」 サンドラ・アーモットとサム・ワン著 東洋経済新報社 

脳のしくみを手近な話題から掘り下げて解説。厳密な話に興味を持たせてわかりやすくしている。解説図の少ないのは欠点か。著者は科学誌編集者と神経科学者。


**少し詳細な本**

「ビジュアル版 脳と心の地形図 思考・感情・意識の深淵に向かって 」リタ・カーター著 原書房

脳神経を多岐にわたり詳細に書いている本。枚数は少ないがCG、スキャン写真が良い。著者は医療ジャーナリス。

「新 脳の探検 上 脳・神経系の基本地図をたどる 」「新 脳の探検 下 脳から『心』と『行動』を見る 」 フロイド・E・ブルーム著 ブルーバックス
 
 上記本と同様な範疇を扱っているが、脳の生理学的な構造に重点がある。こちらの方が解説の図が豊富で、良くまとまっている。原本はこちらが古い。著者は神経薬理学者。

「人間の本性を考える 上・中・下 心は『空白の石版』か 」 スティーブン・ピンカー著 NHKブックス

 著者は著名な認知科学者で、従来の「心」は環境によって作られる理論に反旗を翻し、大半は生得的(遺伝子)によると説いている。これはその啓蒙書です。脱線も多く社会批判なども苛烈で入門には不適切ですが、興奮する論調もあります。
 
 他に社会と心理の関係を扱った社会心理学、人の成長との関係を扱う発達心理学、最近著しく進歩している認知科学等については次回に紹介します。

心を扱った記事が他にあります。「心の起源」「図解 社会性の誕生」

心を扱った本の紹介が他にあります。「お奨め本 :チンパンジー/フランス・ドウ・ヴァールの著作」


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