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海外旅行の愉しみ:カイロの商店街で

2012年06月03日 | 旅行

 海外旅行の楽しみの一つはスーパーで買い物することです。食品を買えば安く、庶民の味が味わえます。また現地の人々の暮らし向きも一目瞭然です。大概、夜の町歩きは一人なら本屋、妻と一緒ならスーパーと言うことになります。今回はカイロのギザ近くのAI Ahram通りにある商店街とスーパーに行った話しをします。




 2009年の6月のことです。辺りはとっぷりと暮れて、背の高い黒人がたむろする中を、妻と二人で街灯がとぎれとぎれの大通りを歩きました。着いた所はみすぼらしい人通りの少ない小さな商店街でした。私は恐がりなのですが、妻はこのような時、毅然としています。歩いていると、数人の店員が倉庫の中から、パンを道端のガラスケースに運ぶ姿が目に入りました。妻はやおら、その店員にパンを数種類1個づつ売ってくれないかと話しかけました。ところが英語が通じないのか、どうやら駄目だと言っているようでした。どうやら、1個づつでは売れない、レジ袋一杯が1ドルだと言っていることがわかりました。結局、袋に数種類のパンを一杯に詰めて買うことが出来ました。これほど物価が安いとは思いもしませんでした。次の日、ツアー仲間に配りました。



 その後は、近くのスパーに入り、香辛料とスープの素を買いました。何処に行っても大概スープの素は買います。帰国後、読めない字を、勘を頼りに解読し料理するのですが、大概口に合うものはありません。それでも愛嬌、苦笑いしながらすすることになります。イスタンブールのグランドバザールで数分の一に値切った金額のさらに数分の一で香辛料は売られていました。品質に違いがあるのかもしれないと納得せざるをえませんでした。そこを出てホテルに帰ろうとすると、一人で寂しく立っている幼い少女が目に入りました。妻は持っていたチョコレートを彼女にあげました。するとその少女は、私達の後を着かず離れずついてきました。私達は彼女を振り切るために足早に歩きました。その少女は物乞いをしたわけではありません。生気のない表情でひたすら追い続ける姿を見るに忍びなかったのです。夜も遅いのに大通りの消灯したビルの玄関前に、何組かの母子を見ました。何をするわけでもない、ただ無口に時間を費やしているようでした。

 これらの町の風景と庶民の暮らしぶりの背景にあるものが、帰国後やっとわかるようになりました。そのことがアラブの春へとなり、ムバラク大統領の退陣へとつながっていったわけです。




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