トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

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MT4 超安全マーチンゲールEA、最後の穴

2022-01-24 00:03:07 | 投資

 何度も打ち合わせを重ねた結果、もうこれで最終の調整は終わったと考えていたマーチンゲールEAですが、念のため条件を変えて公開直前のテストを繰り返していたところ、思ってもいない落とし穴が見つかりました。どうにか、その穴を塞ぐ作業を終えたばかりです。

落し穴の実体 

 陰に隠されていたのは、FX会社が独自に設定するStop Levelでした。Stop Levelとは指値注文や逆指値注文を発出する際には、その注文は現値から数ピップス離れていなければならないとするFX会社固有の取引条件です。この数値には、ゼロとする業者もありますが、それは例外的であって大方の業者では5ピップス程度とするのが普通です。スキャルピング対策の一つなのでしょう。

 公開直前のEAもこの落とし穴に引っかかるところでした。主注文であるマーチンゲール注文において相場が逆行した際には、反対方向のヘッジ注文を繰り返すことによってその安全性を確保することでした。ヘッジ注文の発注は主注文の発注時点とはタイミングをずらしています。例えとして、最初の注文が100円の買いであり、その後相場が逆行するたびに1円刻みで倍々とロットを増やす場合を考えます。

① 最初の買い注文(主注文): ロット数 1、価格100円の買い

② 2番目のナンピン(主注文):ロット数2、価格99円の買い

③ 最初のヘッジ注文:ロット数 1、価格99.50円

④ 2番目のヘッジ注文:ロット数 3、価格 98.50円

以下、設定したステップまで繰り返し

 上記から明らかなようにヘッジ注文のタイミングは主注文の発出から0.50円遅れた時点です。どのステップでも同じなので、ここは最初の主注文とそのヘッジ注文に注目してください。今、相場が100円から99.50円に下落しました。ここで逆指値注文していた③のヘッジ注文が成立します。このヘッジ注文には、0.50円の利確注文とともにそこから得られる利益を極大化させるため、トレイリングストップが設定されています。現値からTS pips離れたストップ値で現値を追う形で利益の固定化を図ります。今、ヘッジ注文が出されました。その瞬間のストップ値は99.50円 + TS pipsです。そのままどんどん相場が下げ続いて99.50 + TS pipsが99.50を下回れば、このヘッジ取引での損失はありません。

 さて、このTS pipsが問題になってきます。TS pipsを5 pips、FX会社のStop Levelも同じく5 pipsとします。相場が99.50まで下がると、ヘッジ売り注文は同値で約定しました。ところが、相場が99.46円ま下がったところで反転上昇すると、トレイリングストップは不成立になってしまいます。99.46では0.01足らず、Stop Level(99.45円)に達していないので、トレイリングストップは不発となるのです。不成立に終わったヘッジポジションは相場の上昇とともに含み損を持ってしまいます。そのまま相場が上昇して、主注文の合計利益が500円に達すると全ポジションと残存注文は決済または取り消されて、一連の取引は終了となります。上の例では、相場が100.50円になったところで、主注文利益500円、ヘッジ取引損失1000円、ネットで500円の損失となります。このネット損はステップが進むにつれてその金額が大きくなります。この事態を防止するには、TS pips >= STOPLEVELとなるようにTS pipsを当初から設定する必要があること、また、相場がSTOPLEVELに達しない場合にはトレイリングストップが作動しないので、これへの対策も重要です。

 前日のバックテストでの上昇曲線が2 ~ 3ヶ所カーブが落ち込むところがあったのは、上記がその原因でした。隠れていた落とし穴をようやく埋める対策を講じましたので、やっとEA公開に踏み切れそうです。更になだらかになった2021.10.01 ~ 2022.01.22のバックテストの利益曲線を紹介しておきます。(GBPUSD 5分足、全チック)

 GBPUSDを£1000からStep 6まで運用する場合の必用証拠金はあらまし次のようになります。バックテストではStep 3までしか進みませんでしたが、Step 6まで進んだと仮定した場合の最大ポジション£63,000時の必要保証金額です。

日本のFX会社(レバ25):約40万円(計算では388,000円)

海外口座(レバ300の場合):約3万3000円(計算上では32,400円)

資金効率を考えると、やはりハイレバの海外口座での運用に分がありそうな戦略のようです。