トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

MT4/5で逆張り手法が順張り手法に早変わり

2020-01-19 23:08:13 | 投資

 次のようなご経験をお持ちの方は多いはず。

  FX市場がロンドン市場からニューヨーク市場に掛けて方向性が出てきた。アジア時間帯では109円半ばでチャブついていたドル円が110円の大台に向かって上げてきている。現在時刻は、深夜12時に近い。明日の仕事もあるので、ここはIFO(IFDOCO)注文を残して床に就くことにする。

IFO注文:110.00の指値売り、SL: 20pips、TP: 30pips

注文の狙い:おそらく110.00を付ければ、この日の高値圏、且つラウンドナンバーでもあるから、相場は反転して下がるとの読み。 

 ところが、翌朝パソコンを開いてみると、残念ながら注文は損切りに終わっていることがある。相場が110.00を突破して110.30まで上昇したが、その後反転し現在価格は元の109.80に戻っている。損切りが先行し利確のチャンスはなかった。 

 上記のIFO注文を以下のような注文に替えて出すことができれば、いかがであろうか。即ち「もし、相場が110.10を付ければ、その時点で110.00の逆指値注文を出す」ことができれば、相場が反転して109円台に戻る途中で110.00の売り注文が約定する。翌朝、30ピップスの利確は未だできていないが、利益20ピップスでよければ直ぐに決済することができる。就寝中、相場が高値110.30を付けたとしても、出した注文は待機注文として残るのみである。もし、相場が110.00に戻らない場合は、その待機注文は約定することはないので、翌朝取り消せば済むだけの話。 

 実は上記の太字の注文は、プロのトレーダーでも発注することは難しい。常時マーケットを凝視し続けるとともに、価格が110.10以上になったわずかな時間帯に居合わせてオーダーを出さなくてはならないからである。一般のトレーダーはほとんど就寝中であるから、実行することは不可能といってよい。これを可能にするのは、まさしくコンピュータ技術の世界に他ならない。ナノ秒の超高速AIとまではいかないが、MT4/5でもミリ秒の速さでしかも眠ることなく処理することができる。MT4非採用のFX業者で実行することができるIFDやIFO注文は、あくまで現在価格に基づいた指値や逆指値注文であるが、MT4の特殊逆指値注文は、将来価格に基づいたIFO注文までこなすことができる。一般のFX業者では、そもそもFXの世界で戦うべき武器が不足しているのである。 

 全米最強のFXコーチとも称されるロブ・ブッカー氏(CTA)は自らもFXトレードで資金運用されているが、その利益の6割以上がピボット(Pivot)を使ったデイトレでたたき出されているとのことだ。ピボットといえば有名な逆張り手法なのにと考えがちだが、実はブッカー氏既述のMT4特殊逆指値機能を多用されているのだ。逆張り指標を使いながらも、将来価格に基づく逆指値での順張りに徹しているのである。 2010年11月同氏が外為どっとコム社セミナーにて紹介された手法の概要はこうだ。当日のメモに基づいているので、正確には同氏のVortex Tradeマニュアルをuploaderにアップしているので、参照されたい。 

『日足ピボットのR3(レジスタンス3)を20ピップス上方に突破した段階で、R3から下方に10ピップス間隔で計10本の逆指値売り注文を出す。SLは通貨ペアにもよるが20ピップス、利確は全ポジションともピボットの20ピップス上とする。買いの場合は、その真逆』 

 当時このセミナーを現場で聴いていて不思議に思ったことがある。価格がピボットのR3やS3を突破する状況は週に一度あればよい方。そんな場面に偶然遭遇して逆指値注文を出すなんて、神業に近いなと。翌年、同氏は「米国式FXマニュアル」なる教本を日本で出版されたが、その内容を見てみると中身が大分異なっていた。やはり、同氏は外為どっとコム社等大手の日本業者ではMT4が当然採用されているものとセミナー当時には誤解されていたのだ。

 

 このVortex Trade手法は、10本の特殊逆指値待機注文を積み重ねることから、別名パンケーキ作戦(Stacked Pancakes)とも称されていて、R3突破後に価格がピボットに向かって反転する際には、各待機注文が串刺しのように約定することになる。相場がR3に戻らない場合は、待機注文が残るだけであるし、また、R3から下げた後途中で再反転上昇する場合にも、一部の損切りが発生するのみで、残りの注文は未約定で終わる。 

 パンケーキ作戦はPivotを用いた特殊手法といってよい。逆張り手法を順張り手法に変身させる汎用性のあるEAを作成してみた。将来価格をベースにした特殊逆指値IFO EAである。損切り、利確のどちらか一方のみ(IFD)としても当然利用することができる。パンケーキ作戦のような複数ポジションにも対応するため、最大10ポジションを用意した。売り買い両注文を設定した場合には、最初に成立した片方の逆指値注文のみが成立することは勿論であるし、逆指値注文はFX業者のサーバーが自動処理を行うので、注文成立後はEAの役割は終わりその効力を停止する。この点は、通常のIFDやIFOと同じである。限られた期間内での高値や安値に基づいて、繰り返しトレードをされては、むしろ困るからである。 

 ブッカー氏提唱のR3やS3に価格が到達する頻度は極めて少ないので、むしろR2やR1を使っての取引がお勧めだ。その際には、取引ポジション数は限定される。例えば、2019年12月13日のR2、S2を使っての設定画面とその日のEURJPYチャートの展開は次のようになる。

その日のチャートの値動きとPivotの表示 

設定画面

 

逆指値注文完了後EAは停止した。以降業者サーバーでのIFO自動処理 

 当日、価格がR2の122.437を15pips上回った瞬間に5本の逆指値売り注文が出されている。そして発注が完了すると同時にEAはその役割を終えて効力を停止した。5本の逆指値注文は、FX業者側のサーバーが通常のIFOとして約定から決済に至るまで、自動的に処理してくれるからである。 

 逆張り手法を順張り手法に変身させるこの手法は、ブッカー氏のパンケーキ作戦に限らない。あらゆる逆張り系テクニカル指標やチャート上で認識されるSupportとResistanceに適用することができる。ファンド等の攪乱戦術にも賢く対応してくれることになる。 

 このEAにはブッカー氏からヒントをただいたことから、Vortex Trade MT4EAと名付けることにしたい。いずれMetagenicFX社と協議の上、同社サイトにて公開されるようにしたい。 

Vortex Trade手法のブッカー氏によるマニュアルhttps://ux.getuploader.com/FXTrader/index/date/desc/1

MetaGenicFX:

https://metagenicfx.thebase.in/