猫五郎の写真日記

なんか、写真よりも文章がメインになってます。しかも、くどい。要改善。でもなかなかねぇ。

2024年2月 巨大ニュートンの主鏡 洗浄

2024-02-25 15:57:03 | 天体望遠鏡

2022/06/18に再コーティングした主鏡を取り付けてから2年近くが経過しました。

主鏡、結構汚れてきました。

レンズ洗浄液やらアルコールやら高性能洗浄スプレー3310(工業用)など、もろもろ主鏡をきれいにする努力はしてきましたが、なかなか満足のいく結果は得られず、少しずつ汚れが蓄積してました。

 

ここ一年間ほど、望遠鏡の動作は安定したにも関わらず、いまいち良い写真が撮れていない。

シンチレーションに恵まれないため、という可能性を第一に疑っています。

しかし、もしかしたら、、、主鏡の汚れが関与している余地があるのかもしれない。

 

主鏡を一度、取り外して洗浄してみたい。

しかし、この主鏡、金属の枠と合わせて50kg前後あるものと思っています。

正確な重量を測れてませんが、(そうか、観測小屋に体重計を持ち込めば良いのか!)26kgのAXD本体の2倍くらいありそうに感じています。

1人ではとても取り外しできない。

もちろん、再度、主鏡を組み付けることも1人ではできない。

 

友人に助力を願いました。

外すにあたって、いろいろ準備があります。

50kgの主鏡を外すと望遠鏡の前後バランスが崩れます。

また、望遠鏡とウェイトのバランスも崩れます。

主鏡を外しても望遠鏡の対物端が落下しないように、脚立にロープをかけて支えを作ります。

主鏡を外してウェイトが落下しないように、ウェイトの下にも支えを置きます。

(この写真、ちょっと歪んでいるのは、スマホのパノラマ撮影機能を使って撮影したためです)

 

男2人が必死になって重量物を扱っているので、外す瞬間の写真はありません。

外すにあたって、元に戻す時の向きがわかるように、主鏡の金属枠と望遠鏡本体にマジックで印をつけました。

 

外した主鏡(とその金属の枠)

 

主鏡を畳に向けてひっくり返します。

金属の枠の厚さ(5mmくらい?)があるので、主教が直接畳に接する心配はありません。

光軸調整を行う引ネジを全て外すと主鏡裏側の円盤が外れます。

円盤の向きがわからなくならないように、金属の枠と、円盤の引ネジの穴の一つにマジックで印をつけました。

 

黒い紙と、主鏡を金属枠に押し付けて固定するネジを受ける3枚のアルミ版を外すと主鏡本体(ガラス)が露出します。

 

主鏡の金属枠を外します。

 

出てきた主鏡。

大きいです。

ガラスの厚さが75mmもあります。

が、やはり主鏡本体よりも金属の枠の方が重たいです。

主鏡本体は多分ですが、15kg弱ではないかと感じます。

主鏡は冷たいので、すぐに結露しました。

 

水道水をかけて、食器洗い用の中性洗剤で洗います。

 

レンズクリーニングペーパーで表面を撫でて、汚れを端に寄せます。

 

水道水をかけて、洗剤を流します。

水が流れ落ちるように、主鏡の片側を高くして傾斜をつけてあります。

(主鏡の下、手前は2×4材が1本、奥側は2本積み重ねてある)

 

おぉッ!きれいになった。

けど、このまま乾燥させると水垢が残ってしまう。

 

薬局で売っている精製水を流してリンスします。

 

次に、早く乾くように無水エタノールを流します。

 

しばらく乾燥させて、完全に乾き切るのを待たずに元の状態に組み上げました。

朝、望遠鏡の中を覗くと、普段から結露していることがあるので、少々濡れていてもいいだろう、と。

望遠鏡の乾燥空気装置をつけっぱなしにして寝ても、翌朝、結露していることすらあります。

この場所はこの主鏡にとって、けっこう過酷な環境なのかもしれません。

理想的には望遠鏡部屋に除湿機を置いて、ずっと除湿していればいいのでしょうけれど、なんせ建物が古いので、一ヶ月単位で除湿機を回しっぱなしにするには、電気系統に一抹の不安を覚えます。

 

2人で主鏡を巨大ニュートンに組み付けました。

指を挟んで怪我をしないかヒヤヒヤしました。

うっかり足の上に落としたら骨折しますし、破損したら代わりとなる主鏡はおそらくないでしょう。

 

そのあとは、主鏡を垂直に立てて、光軸調整を行いました。

調整後が下の写真。

完璧ではないですが、最低限の用を成してくれるでしょう。

 

Ocal electronic collimatorのソフトウェアがすぐにフリーズするので、かなりイライラしました。

おそらく全世界のユーザーがイライラしていることだろうと思って、自宅に戻ってから確認すると、新しいソフトウェアが公開されている。

早速ダウンロードしました。

次回はもう少しストレスが減ることを期待しています。

 

 

早速、主鏡洗浄の効果を確認したいところでしたが、うっすらとモヤのかかったシャキッとしない夜空でした。

作品を狙いに行く夜空ではないですが、少なくとも動作チェックはできるし、光軸調整ができているかの確認も行うことができます。

 

まずは子午線を越えたばかりのベテルギウスでピント合わせ。

バッチリです。

 

お次はf=1,200mm, F15のガイド鏡のピント合わせ。

同じくベテルギウスで。

 

最初のキャリブレーション

西の空だし、まあ、こんなものでしょうか。

 

子午線の西側、天の赤道付近での最初のガイド。

Periodic errorが見てとれます。

 

ガイドアシスタントの結果

おお、極軸のずれが観測されなかった!

 

バックラッシュもほとんどない!

 

写真は、というとこんな感じ。

EOS Ra

ISO 2500, 300 sec

四つ端の小さな星の伸び具合はほぼ均一になってます。

僕にとっては許容範囲。

今度、コマコレクターを使ってみようかな?

 

ガイドアシスタントで極軸のずれが観測されなかったので、遊び心でDECガイドをキャンセルしてみました。

4分半まで素晴らしい動作でしたが、何やらガクッとした動きがあったらしく、写真はブレ写真となりました。

何によるギャップなのか、現場を取り押さえれてませんが、この巨大赤道儀、時々こういうガクッとした動作をします。

撮影の大きな支障にはなっていないのですが、気になります。

この現象の原因、今後、究明できるかな?

場合によっては、こなれて自然に消滅してしまうかもしれません。

 

素敵な夜空を待ちたいと思います。

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VIXEN GP赤道儀の分解整備 シリコングリースを使ってはいけない!

2024-02-13 21:21:46 | 天体望遠鏡

前回の記事の僕のつぶやき(「GPの分解整備ねぇ。時間の確保ができるかなぁ」)を耳に留めてくれた友人がおりまして、早速、やることになりました。

ほんと、感謝、感謝 (^_^)

 

ステッピングモーターを外します。

次にDECのウォームギアとウォームホイールの噛み合わせをキツくする六角ネジが2本ありますので、その2本を外します。

(その2本の六角ネジの間にあるイモネジは、ウォームギアとウォームホイールの噛み合わせを緩くするためのイモネジです。)

 

次にウォームギアが入っているケースをDEC軸に固定している左右の六角ネジ2本を外します。

 

外すとウォームギアとウォームホイールが露出します。

ちょっとピンボケ写真ですが、RAでも同じものが出てきますので。

 

DECのウェイトシャフトを外して、その根元にある目盛環を抑えるねじ込みリングを外します。

 

目盛環を外したところ

 

DECのクランプを外します。

 

DECの軸がガタつかないように、ウェイトシャフト側にねじ込みリングがあります。

このねじ込みリング、弛まないようにイモネジがあります。

DEC軸のねじ込みリングには押さえのイモネジが1本ありますので、そのイモネジを緩めてから、ねじ込みリングを外します。

(RA軸のねじ込みリングは押さえのイモネジが3本あります。)

 

次にアリミゾを固定している六角ネジ2本を外します。

 

DECのアリミゾが外れるとウォームホイールが露出します。

 

DEC軸のウェイトシャフト側のねじ込みリングをカニ目レンチで外します。

 

DECのねじ込みリングが外れたところ。

 

DECのねじ込みリングにはプラスチックリングが付いてます。

 

ウェイトシャフト側のねじ込みリングを外すとDECの軸とウォームホイールを引き出すことができます。

 

DEC軸が外れたところ。

 

DECのウォームホイールのウェイト側にプラスチックリングがあるので外します。

 

DECのウォームホイールを外します。

 

DECのウォームホイールのアリミゾ側にもプラスチックリングがあります。

 

DECのウォームホイールの両端にあるプラスチックリングは全く同じものであるようです。

 

DECの極軸窓が付いている部品をRAに固定している六角ネジ2本を外します。

 

DECの極軸窓がついた部品が外れたところ。

 

RAのウォームギアとウォームホイールの噛み合わせをキツくする2本の六角ネジを外します。

 

ウォームギアを入れたケースを固定している東側の六角ネジを外します。

 

ウォームギアを入れたケースを固定する西側の六角ネジを外します。

 

RAのウォームギアとそのケースが外れて、ウォームホイールが露出します。

 

極軸望遠鏡は捻れば外れます。

 

極軸望遠鏡を外すところ

 

極軸望遠鏡の目盛環を外します。

 

RAの極軸望遠鏡側を抑えるねじ込みリングが緩まないように3本のイモネジでRA軸に固定されています。その3本のイモネジを緩めます。

 

極軸望遠鏡側のねじ込みリングをカニ目レンチで外します。

 

ねじ込みリングが外れたところ。

DECと同様、ねじ込みリングにはプラスチックリングが付いてます。

 

赤道儀の土台からRA軸を抜き取ります。

 

DECと同様、RAのウォームホイールの両端にプラスチックリングが付いています。

 

RAのウォームホイールを外します。

 

RAのウォームホイールの極軸窓側のプラスチックリングを外します。

 

パーツクリーナーで部品についた古くて硬くなったグリースを落としてゆきます。

 

綺麗になったパーツ

 

古い、硬くなったグリース。

これでは動きが渋かったわけです。

 

ウォームギアをケースから取り出すためには、まず端っこのナットを外します。

 

外したナットの付いていた黒い部品を手で回して外します。

 

ウォームギアが外れます。

 

ウォームギアの両端に金属のリングが付いてます。

 

分解したウォームギアとそのケースを並べたところ。

このセットはDECとRAで全く同じ部品が使われています。

 

あとはグリースアップして、逆の手順で組み立てればいいだけです。

ウォームギアとウォームホイールの噛み合わせ調整だけ少しコツがいりますが、慣れの問題かと。

 

サクサクと組み上がったのですが、、、組み上げの過程でくるくるに回っていたDECもRAも、組み上がってしばらくしたら、固着して回転しなくなりました。

何が一体どうしたのか、さっぱり理解できませんでした。

 

どうも低温耐性のシリコングリースが柔らかすぎたようです。

シリコングリースが柔らかすぎて、赤緯軸、赤経軸を回転させているうちに濾し出されて、ウォームホイールが固着してしまったようです。

使ったのは、Shin-Etsu Silicon GREASE、信越化学工業 汎用シリコーングリース 低温潤滑用 です。

今更よくみると、「使用期限2024年9月」と書いてあります。

用途に「輸送機器」「音響機器の各種部品の軸受け」「ギヤ摺動部の潤滑」などと書いてあります。

 

 

苦労してRAとDECのウォームホイールを外しましたが、DECのウォームホイールに傷が付いてしまいました。

耐水紙やすりで、180→320→600→1000→1500と研磨して傷を消したのですが、組み上げようとしたらウォームホイールがハマらない。。。

なぜだかよくわかりませんでしたが、やむなく再度、耐水紙やすりで、180→320→600→1000→1500と研磨を行って、それでも入らず、もう一回、180→320→600→1000→1500と研磨を行ったところ、すっぽりと入るようになりました。

 

二度目は普段バイクの整備に使っている デイトナガレージの「万能グリース」を使用しました。

ステアリングヘッド、ホイール等のベアリング分に最適

回転部、軸受の他、潤滑を必要とする箇所に使用してください

と書いてある。

使用温度は-20℃〜120℃

 

今度はロックしませんでした。

グリースの種類がこんなに致命的に大事だとは存じませんでした。

良い勉強になりました。

 

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PoleMasterの赤道儀取付アダプター Vixen ビクセン GP/GPD用が、GPの赤緯軸と干渉する

2024-01-01 17:33:40 | 天体望遠鏡

2023/12/17にPoleMasterを初めてVixen GPで使いました。

真っ暗な中の作業は苦難の連続でした。
 
Polemaster のソフトウェアの扱いはとてもわかりやすかったです。
PoleMasterのカメラ画像がパソコンモニターで全画面表示されない点が不便(不親切)と感じますが。。。それ以外はとても良いと思います。
 
問題はその手前の手順。
Polemaster のGP赤道儀用アダプターをGP赤道儀の(極軸望遠鏡の先端にある)極軸窓に取り付ける段階でした。
 
アダプターを極軸窓に差し込むのですが、綺麗にハマらない。
端っこが少し浮くんです。
その状態でPoleMasterをアダプターに取り付けても、PoleMasterのカメラが北極星の方角を向かない。
 
極軸が正しく調整された状態で赤経軸を回転させれば、PoleMasterの写野が回転する中心と、天の北極が一致します。
 
アダプターが傾いているということは、赤経軸を回転させればカメラの写野の中心が天の北極の周囲に円を描くように移動してしまいます。
 
なぜGP専用に設計されたアダプターが極軸窓にキレイにハマらないのか?
あれやこれや30分ほど格闘しているうちに、何かの拍子にアダプターがピタリと極軸窓にハマりました!
 
PoleMasterのソフトウェアの手順に従い、極軸の調整を済ませました。
 
撮影を開始すべく、ステラショットで目標天体を導入する操作をしました。
 
赤緯軸が途中で動作を停止して固まりました。
 
なぜだ?!
どこか接触不良でも起こしたか?
まずはステッピングモーターの電源ケーブルが引っ張られて抜けてないか?
ステッピングモーターの電源ケーブルの接続部が緩んでないか?
ケーブルの両端をチェック。
 
次に、Onstepコントローラはどうか。
所詮、自作したコントローラです。
氷点下の過酷な環境です。
故障したかも。
こういうことも見越して、Onstepコントローラ、予備機を2つ持ってきてたんです。
 
ところが、3台のコントローラすべてが同じところで動作を停止する。
コントローラが3台とも故障?
絶対ないとは言いませんが。。。
 
赤緯軸が停止した状態で赤緯軸のクランプを解除して、手で赤緯軸を動かそうとしたら、動かない!
赤緯軸が何かにぶつかって動かない。
暗闇の中で原因を探ると、PoleMasterのアダプターが回転する赤緯軸と干渉してました。
下の写真の通り、極軸窓から見える赤緯軸はなぜか波打った形状をしている。
 
 
アダプターを純正のまま使用するのであれば、アダプターは赤緯軸と干渉しないように取り付け、PoleMasterで極軸を合わせたら、アダプターを毎回外さなければならないということです。
面倒くさい!
アダプターはGP専用であり、他の赤道儀には用のない代物なのだから、GPにつけっぱなしにさせて欲しいものです。
アダプターはイモネジ2本でGPの極軸窓に固定する仕組みです。
これがまた結構面倒くさい。
 
というわけで、赤緯軸と干渉しないようにアダプターを削ってみました。
 
新品のアダプターがこれ。
 
サンダーで削って赤緯軸と干渉しないようにしたアダプターがこれ。
 
 
送料込みで5千円するんだから、赤道儀の動作に干渉しない製品をお願いしたいものです。
せめて干渉することについて注意書きをつけてくれれば寒空の下、時間を無駄にせずに済んだものを。。。
 
まさかEQ6proでも干渉するのだろうか?
EQ6proは山梨の天体観測小屋に置いてあるので、すぐには確認できませぬ。
コメント (4)
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2023/12/08 山梨 ベルトドライブ化したEQ6proのバックラッシュ測定 野外リモートデスクトップでコタツでぬくぬく天体観測大作戦

2023-12-10 11:48:55 | 天体望遠鏡

今週末(土日)は月が比較的暗いですが、待機当番です。

つまり、身動きができない。

遠征するなら土曜日の朝8:00までに戻ってくるしかない。

行ってきました。

 

 

時間がないのでやることを絞らないといけない。

(とりあえず8日の夜は風呂に入るのを諦めました)

この夜のメインミッションは、じゃじゃ馬すぎてベルトドライブ化されてしまったEQ6proのバックラッシュ測定をすること、に決めました。

 

EQ6proをベルトドライブ化して、バックラッシュを減らす工夫をしたのが1年前

その成果を確認できずに1年が経過してしまいました。

前回2023/11/18、西の空だけEQ6proのバックラッシュ測定をしましたが、東の空が測定できませんでした。

東の空でEQ6proのバックラッシュを測定したい!

バックラッシュが大きいことで有名なEQ6pro。

バックラッシュの調整が難しいことで世界中のユーザーを悩ませているEQ6pro。

それを改善できたとなれば、そんなに嬉しいことはない。

(もちろん例外はあります。アタリ個体もあって、友人のEQ6proはバックラッシュ・ゼロ個体です)

 

 

小屋での飯。

レンチンカット野菜260g、98円

これで今日の食物繊維量はバッチリ

本日の新しいチャレンジはレンチン、きたあかりコロッケ

ご飯はレンチン玄米160g

大急ぎで掻き込みます。

 

晩御飯が随分質素に見えたかもしれません。

カロリーを気にして、PFCバランスを気にしてのことではあります。

が、今回は、それに加えて、こんな理由がありました。

僕の中でセブンスイーツの最高峰、ふんわりクリームシフォン

これ、450kcalあるんです。

ぶっちゃけ、1食分のカロリーに迫ります。

だから、ここぞというときにしか食べません。

年に2回くらい?

んまいッッ!!!

今夜はがんばるぞ!!!

 

今回使った望遠鏡はBLANCA-130EDT

棚に置きっぱなしのBLANCA-130EDTが「俺に出番をくれ!」と常に叫んでいたので。。。

 

おまけですが、SVBONY アリミゾ式台座、便利ですね。

SVBONY アリミゾ式台座に予めガイド鏡をセットしておいて、望遠鏡の上に取り付けたアリガタレールの上を前後させれば、望遠鏡の前後方向のバランスが非常にとりやすい。

望遠鏡本体を前後させるのは結構、手間なので。

 

まずはPHD2でキャリブレーション。

赤緯ステップと赤経ステップ数が異なるのがちょっと気になりますが、なんとか誤差の範囲と言えるレベルかと思います。

普段、焦点距離2,475mmの巨大ニュートンでオフアキすると表示されるフラフラのキャリブレーショングラフを見ている僕には、美しいキャリブレーショングラフに見えます。

(あえて言うなら、本来キャリブレーションステップは12になるはずですが、それはキャリブレーションステップの秒数をいじれば調整できますので)

 

キャリブレーションが済んだらしばらくオートガイドさせ、安定したところでガイドアシスタントを実行します。

あれれ、ガイド星がセンサーの端っこすぎて、バックラッシュ測定ができんと。。。

ついでに北極星がズレすぎていると(>5.7分角)。

極軸は、EQ6proの極軸望遠鏡とiPhoneアプリのPS Align Proを使って調整しました(「EQ6proの極軸の合わせ方」参照)。

仕方がないので、この後、PHD2の極軸修正機能を使い、ドリフト法で極軸を追い込みます。

しかし、ドリフト法、どうしても時間がかかります。

方位と高度を別々に調整しますが、20分、いや、現実には30分はかかると覚悟した方がいいでしょう。

北極星が見えない場所なら諦めもつきますが、北極星が見える状況では、もう我慢なりません。

遠征先では時間が勝負であり、時間は貴重です。

たまらずQHY PoleMasterをポチりました。

新品も覚悟しましたが、中古で探したら新品の半額がありましたので、それにしました。

大抵大丈夫ですが、ハズレを引かないことを祈ります。

 

散々手こずりました。

僕がEQ6proのバックラッシュを測定するのを邪魔したい何かがいるのかもしれません。

とにかく、やっと、東の空でバックラッシュ測定ができました。

理想的ではありませんが、十分許容できる範囲に収まっています。

素晴らしい!

これで東も西もバックラッシュが十分実用範囲であることが確認されました!

最低限のミッション達成!

 

ちなみに、これが一年前にEQ6proをベルトドライブ化した際に測定したバックラッシュ。

自宅ベランダは西の空しか見えませんので、西の空で測定したものだと思われます。

(記事はこちら

これでも十分実践に使えますが、もう少し改善させたかった。

満足です!

 

続いて、西の空でもバックラッシュの測定にかかります。

まずは西の空でガイドアシスタント

 

そして、EQ6pro西の空のバックラッシュ

む。。。

十分実用に耐えるレベルですが。。。

間違いなく、一年前よりも改善しています。

目的は達したと言うべきでしょう。

 

 

EQ6proのバックラッシュを小さくできたことを確認できました。

あとはオートガイドがうまくいくかです。

すべてはそのためにやったことなのですから。

バラ星雲を撮りたいなぁと思っていたのですが、バラ星雲が見える東の空はまだ街明かりの影響で明るい。

西の空ならば夜が浅い(つうても22時過ぎてますが。。。)うちでも、南アルプスの方角ですので、空が暗い。

すでに旬を過ぎて、西の空に傾き始めた三角座銀河M33にBLANCA-130EDTを向けました。

三角座銀河のオートガイドグラフがこれ。

うーむ、期待したほどフラットではない。

縦軸が2秒角ではあるものの、ある程度波の高さがあります。

シンチレーションも最悪というほどではないです。

こんなグラフで星が丸く写るかどうか。。。

 

M33 三角座銀河

ISO 8000、露出時間240秒、8枚コンポジット

焦点距離910mmだと小さいですね。。。

星、完全な真円ではないですが、僕的に十分合格レベル。

写りについては、空がだいぶガスっていたので、こんなものなのではないでしょうか。

 

撮って出しはこんな感じ。

本来ならもう少し露出したかったのですが、モヤの影響で背景が明るくなってしまって、これ以上露出することを許してくれませんでした。

 

撮影が軌道に乗ったところで、例の八ヶ岳スポットにstar trail撮影するために行きました。

セットアップすると、なんと、EOS kiss X3が故障してました。

購入して14年が経過してますから、お疲れ様でしたというべきなのかもしれません。

14年もののEOS kiss X3とEF-S10-22mmは、中古なら数万円で購入できることから、万が一の盗難にあってもダメージが少ない。

こういう放置撮影に向いていました。

困った!

やむなく、EOS 6D+SAMYANG 14mm F2.4を使いました。

購入金額合計20万越えの機材を無人放置。

ここは日中であっても、歩行者はまず通らない場所である上、夜22:30スタートですから、きっと数時間後にお迎えに来たとき、無事にその場に留まってくれている。

無事を信じて、置き去りにしました。

 

小屋に戻って、次は今夜のお目当て、バラ星雲NGC2237

綺麗で、絵になるのに、なぜか今まであまり撮って来ませんでした。

ISO 6400, 240sec, 9枚コンポジット

 

 

続いて旬の季節を迎えている馬頭星雲と燃える木

ISO 6400, 240sec, 8枚コンポジット

 

燃える木と馬頭星雲の写真には三つ星の左端のアルニタクが写っています。

時刻的に子午線を越えたばかりでしたし、アルニタクはほぼ天の赤道付近です。

再度、バックラッシュを測定してみました。

まずはオートガイドグラフがこれ。

本当は気持ちいくらいフラットになって欲しいのですが、まあ、現実は甘くないですね。

 

ガイドアシスタントの解析結果。

ガイドカメラのピント、甘いんじゃないの?!との表示が。。。

これでもがんばったんです。

手持ちのバーティノフマスク、口径5cmのガイド鏡には大き過ぎて使えず、手でピント出しを試みましたが、僕の目ではこれが限界だったんです。

仕方がないので、またしてもWilliam Opticsの透明なバーティノフマスク、小さいやつをポチりました。

透明なアクリル板でできているので、暗い星でもピント出しがしやすいのですが、いかんせん高価です。

でも、写真筒にせよ、ガイド鏡にせよ、ピントが合わなきゃ成果がしょぼくなります

この趣味の生命線でもあるので、大枚をはたきました。

この趣味、どこまでお金が飛んでゆくのか。。。と考えることがあります。

生活してゆく、生きてゆく上で必要のない出費です。

いろいろ帳尻合わせはありますが、そんなことにお金を投じることができている。

幸せを噛み締めるべきなのでしょう。

横道にそれましたが、僕が言いたかったのは、一生懸命ピントあわせをしても、ピントが甘いと表示されてしまうようなシンチレーションだったということです。

極軸は前回の>2.6分角から>1.2分角まで改善してました。

これは、PHD2の測定誤差なのか、それとも、望遠鏡を振り回すと、極軸がズレるということなのか。。。

気になるところですが、今回はこれ以上踏み込みませんでした。

 

肝心なバックラッシュ測定結果(西の空)

なんと、先ほどよりも良い結果。

なぜ改善したのか?

謎ですが、西の空で測定した2回とも、合格レベルです。

 

この夜に行ったPHD2のキャリブレーショングラフはどれも僕的に十分過ぎるほど満足のいくものでした。

つまり、望遠鏡の動作は、PHD2の指令通りに動けていることが確認できているわけです。

にもかかわらず、オートガイドのグラフが大きく波打っている。

これはどういうことなのか。

シンチレーションの問題であると、断言していいのだろうか?

シンチレーションの問題であると断言できるのであれば、オートガイドはどこまで行っても空次第というのが結論になります。

もしそれが真実なのであれば、今後、シンチレーションの良い夜空に出会えれば、オートガイドのグラフがほぼフラットになることもある、ということ。

果たして真実やいかん

 

 

 

今回のメインミッションは成功でした。

それだけでもお腹いっぱいでしたが、実はサブミッションもありました。

それは野外におけるリモートデスクトップを活用した天体撮影

冬の撮影は寒い。

この夜の僕の車です。

 

冬の天体撮影は、寒さとの戦いでもあります。

これを征服できないと趣味が続けられない。

そこで今回出てきたのが、家に余っていた古いWi-Fiルーター

これを使って、リモートデスクトップしてみました。

小屋から撮影現場のEQ6proまで30mほどあるでしょうか。

8年前発売のワンルーム用の小型Wi-Fiルーター、果たして電波が届くか?

ルーターを室内に置いた場合は無理でした。

スライディングルーフを少し開いて、ルーターを壁の上に設置したら、なんと、リモートデスクトップ、できました!!

これで、撮影が軌道に乗ったら、ストーブの効いた小屋の中でコタツに入って、テレビをみながら撮影状況をコントロールすることができるようになりました。

残念なのは、ステラショット2は、リモートデスクトップにしたとき、星図が表示されません。

星図が表示できれば、コタツの中から望遠鏡を次の被写体に向けることができます。

現状、望遠鏡の向きを変えるときだけは野外の望遠鏡のところまで行って、望遠鏡に接続してあるノートパソコンで操作しなくてはなりません。

でもまあ、望遠鏡の向きを変える時は、ガイドカメラ、撮影カメラ、ガイドケーブル、レンズヒーターその他もろもろケーブルが絡み合って、三脚に引っ掛かることもありますので、そんな時くらいは野外で直接操作すべき、という話もあります。

なんにせよ、大進歩です。

コタツでぬくぬく天体撮影大作戦、とりあえず、成功!!!

 

今まで、遠征先では、撮影が軌道に乗ったら、ノートパソコンを長ーい10mのUSB延長ケーブルを引きずって、車の中やルーフテントの中に入れてました。

長ーいUSBケーブル、不便なんです。

車の中に入れるためには窓を通さないといけないし、USBケーブルの分、窓を閉めきれないので、中に冷気が入ってくる。

USBケーブルを引っ張って、うっかりパソコンから抜けようものなら、セットアップからやり直しです。

 

今回、家に帰ってから、Wi-Fiルーターをモバイルバッテリーに繋いでWi-Fiルーターが使えることを確認しました。

普通の5V出力のモバイルバッテリーはダメですが、ノートパソコン給電用の出力ボルトを調整できるタイプで、Wi-Fiルーターが必要とする12Vで給電できるタイプなら、使えます。

ルーターの消費電力は12Wですので、8時間使うとして12Wh。

下の写真に写っているMBP-32000の容量が118Whですので、一晩なんて余裕です。

今後は、山の上でリモートデスクトップ撮影に挑戦します!

 

 

本当は月の出のAM1:40過ぎには撤収作業に入るはずでした。

でも、予定通りに終われた試しなんて、ないです。

2:10 撮影終了し、撤収作業に入る

3:35 撤収作業完了。

3:40 天体観測小屋 出発

 

 

最後に、忘れてはいけないのが、八ヶ岳一望ポイントに置いてきたEOS 6DとSAMYANG 14mm F2.4の回収です。

忘れては痛すぎる。

絶対高速道路を飛ばしてとりにくる羽目になります。

八ヶ岳一望ポイントに着いたのがAM3:50ころ。

EOS 6DとSAMYANG 14mm F2.4、無事にその場にありました。

 

明合成処理したのがこれ。

思ったよりも自動車が通ったようです。

月がない時間帯であったとはいえ、空が暗すぎて八ヶ岳が見えずらい。

これをみて八ヶ岳であるとわかってくれるかな?

またしつこく挑戦し続けます。

 

3:55 帰途に着きました。

こんな時刻なのに、渋滞の表示が。。。

藤野PA手前で事故渋滞。

こんな深夜に事故るなよ。。。

でっかいトラックが道で立ち往生してました。

それをかわして、走る。

 

土曜日朝5時の首都高は、ものすごい交通量ですね。

渋滞こそしてませんでしたが、過去に通ったどの時刻の首都高とも引けを取らない普通の交通量でした。

 

家に着いたのがAM5:58

子どもが練習試合で、朝飯を食べているところでした。;

家族で朝食をとり、速攻、車の荷下ろしをして、眠ったのでした。

幸にして、今回の土曜日は職場からの呼び出しはなく、思う存分、眠ることができたのでした。。。

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2023/10/29 (Sun) オフアキプリズムの位置変更と、西の空における巨大ニュートンのバックラッシュの状況確認、笠井トレーディング2.5倍バローでのピント合わせ

2023-11-10 15:47:51 | 天体望遠鏡

この日は満月。

天体撮影をするとしたら月か惑星か。

あとできることとしては機材調整でしょうか。

 

天体観測小屋に向かう途中、いつもとちょっと違ったコースを通ってみました。

すると。。。なんと、八ヶ岳を一望できるスポットを見つけました。

しかも、八ヶ岳がほぼ真北に見える。

これは、星のぐるぐる写真を撮るしかないでしょう!

 

 

小屋に着いて巨大ニュートンで木星を狙いに行きましたが、シンチレーションが悪く、断念せざるを得ませんでした。

満月を記念撮影しましたが、こんな感じ。

シャープさに欠けます。

 

こうなると機材調整しかない。

以前から撮影していて、オフアキのプリズムの影が写真に写り込むのが気になってました。

画像処理で誤魔化してますが、その分手間がかかります。

画像処理で誤魔化しきれないこともあります。

フルサイズだけでの悩みですが、APS-Cに戻る予定もない。

オフアキのプリズムですが、EOS Raを装着した状態で対物側から覗き込んでできる限り引っ込めてあります。

が、もう少し引っ込められないか。

ずっと気になってました。

 

オフアキのプリズムを引っ込めると、ガイドカメラASI 174MMのピントの位置がズレます。

だから、プリズムの位置を変えると同時に、ガイドカメラの位置の調整が必要になります。

時間さえあれば自宅でもできることなのですが、これがなかなかハードルが高い。

今回をその良い機会としました。

 

まずはEOS Raのピント合わせから。

今回は空高くよく見えるAlpheratz (2等級) で。

 

オフアキのプリズムをほんの少し引き抜き、EOS Raの光路から遠ざけました。

そして、ガイドカメラASI 174MMの画像で、端っこまで星が見えることを確認しました(画像左下)。

 

お次はガイドカメラASI 174MMを手で少しずつ引き抜き、ピントが合う位置に固定し直します。

これでピントが本当に合っているのかどうか、いまいちわからないところもありますが、書いて字のごとくoff axis、つまり、光路の端っこで光を拾っているので、こんなものなのかもしれません。

バーティノフマスクを外すと、星が点像に、、なりません。

若干、ガイド星が変な形になりますが、まあ、光路の端っこですから仕方がないのかもしれません。

妥協して、オフアキでのオートガイドが正常動作するかどうか、確認にかかります。

 

オフアキによるオートガイド。

「星のプロファイル」を見るとやはりガイド星の形が流れている。

が、オートガイドの精度としては悪くない。

 

空は晴天。

時間もあったので、久しぶりにPHD2のGuide Assistantを起動してみました。

これは東の空の天の赤道付近、子午線手前でです。

この巨大ニュートン、東の空は得意なんです。

 

バックラッシュはこんな感じ。

ほぼ理想的な線ですね。

 

次はキャリブレーション。

これもなかなか良い感じ。

 

やはりガイドアシスタントによる動作解析と、それに基づくパラメーターの微調整をした後の方がオートガイド精度が上がりますね。

(ガイドアシスタントを行う前のガイド画面と比較してみてください)

 

ISO 100, 360secでオートガイド撮影。

オートガイドの精度が落ちやすい天の赤道付近ですが、星が点像で良い感じです。

 

次は、この望遠鏡がちょっと苦手な西の空(天の赤道付近、子午線付近)でガイドアシスタントで動作解析を行いました。

が、選択したガイド星が画面の端っこ過ぎたようで、バックラッシュの測定ができませんでした。

 

 

とりあえずキャリブレーションしてみます。

が、いまいちな感じ。

 

もう一度キャリブレーション

これもいまいちな感じ。

2回のキャリブレーションで赤経側は安定しているが、赤緯側の変化が大きい。

西の空に向けるとバックラッシュが大きいということです。

 

キャリブレーションがいまいちだし、動作も不安定なようだが、まあいいか、と1枚撮影してみたのがこれ。

ISO 400、360sec

僕的には、ギリギリOKだけど、光条がブレており、すっきりしない画像。

でも、この画像でオフアキのプリズムの影(画面上側)がほとんど気にならないレベルに改善したことが確認できました。

この夜の最低限のノルマを達成した瞬間でした。

 

西の空でバックラッシュを測定できてませんので、再度、ガイドアシスタントをやり直します。

極軸のズレが何故か改善しています。

 

バックラッシュが大きすぎて、修正不能とのこと。

ちょうど1年前の2022/10/29に西の空でバックラッシュを測定したときもかなり大きなバックラッシュが確認されましたが、今回はもっと大きい。

 

原因は、見当がついています。

望遠鏡の前後バランスを少し変えてみたのです。

(写真に撮り忘れましたが)この巨大ニュートンの鏡筒には側面にレールがついており、そのレール上を3〜4kgのウェイトをスライドさせて、望遠鏡の前後の重量バランスを微調整できるようになっているんです。

先日、望遠鏡のバランス(赤緯方向のバランス)を確認したところ、主鏡側が若干重いように感じました。

その時点でバランス調整ウェイトが主鏡側にあったので、それを斜鏡側に移動しました。

これにより、望遠鏡の前後バランスは改善したように感じました。

が、バランスが合っていれば良いというものではないようです。

ある程度どちらかに崩していた方がいいこともある。

 

現にこの望遠鏡、赤経方向のバランスは、赤経軸の回転方向にほんの少し重くしてやった方が動作が安定する印象を受けています。

つまり、東の空に望遠鏡を向けるときは、望遠鏡側がほんの少し重くなるようにバランスを崩してやり、西の空に望遠鏡を向けるときは、ウェイト側をほんの少し重くなるようにバランスを崩してやっているということです。

 

この望遠鏡は、東の空へ向けたときは、主鏡側を重くしてやるとバックラッシュがほぼなくなる。

その代わり、主鏡側が重いと、西の空に向けた時にバックラッシュが最大になる。

だから、これを改善するためには、西の空に向けるときは斜鏡側が重くなるように調整してやればいいではあるまいか

どうやってそれを確認するか。

鏡筒重量、多分200kgくらいあります。

重心をズラすの、容易ではないです。

今後の課題です。

 

赤緯軸の動作で計測できないほどの大きなバックラッシュが存在するわけですが、ではオートガイドはどうなるのか?

やってみました。

ターゲットグラフを見ると結構クセのあるバラツキ(左上から右下にかけてバラついている)をしています。

撮影像はどうか。

 

ISO 200, 600sec。

満月が明るいため、背景が明るい。

ほんの少し光条がブレますが、僕個人的には十分合格点な画像です。

 

しかし、赤緯方向(南方向)に修正不能なバックラッシュがあるのに、オートガイドがうまくいくのは何故だろう?

うまくいってるんだからなんでもよくね?というのもありますが、気になります。

オートガイドをしばらく放置しておけば、(南北どちらの方向であれ)修正動作を継続しているうちに、バックラッシュは解消されます。

そのあとは実質的に南北どちらかの一方向ガイドになるはずです。

今回は、西の空、天の赤道付近、子午線付近でオートガイドしてました。

だから望遠鏡は南側に傾いていたということです。

では、望遠鏡を北側に向けたらどういうオートガイドになるのか?

次回、確認してみたいと思います。

 

 

 

この時点でAM1時をすぎていたと思うのですが、あともう一つ、作業をしました。

ASI 662MCを笠井トレーディングの2.5倍バローレンズにつけて、ピント合わせをしました。

手持ちの径42mmリングの組み合わせを全て試しましたが、ピントが合うことはありませんでした。

ので、やむなくバローレンズを2.5mmほど引き抜き、ピントを合わせました。

 

バーティノフマスクでピント確認。

 

最近、巨大ニュートンの動作が安定してきたことで、わかってきたことがあります。

シンチレーションの悪い夜は、この巨大ニュートンはほぼ用無しだということです。

これだけ焦点距離が長く、被写体が大きく拡大されると、シンチレーションの悪い夜は作品になりません。

今まで、望遠鏡の動作を安定させることに全集中力を注いでいたので気づきませんでした。

 

シンチレーションが悪い夜の対策を考えなければなりません。

しかし、シンチレーションが良い夜なんて、年に何回あるでしょう?

シンチレーションが悪いからといって、巨大ニュートンを寝かせておくのも勿体無い話です。

そもそも、シンチレーションが悪いかどうかを確認した時点で、巨大ニュートンはすでに臨戦体制に入っているわけですから。

対策としては、巨大ニュートンに焦点距離の短い撮影鏡筒を取り付けることでしょうか。

そうすればシンチレーションの影響を受けにくい写真が撮れます。

現状、ガイド鏡としてSE120がついていますが、オフアキでガイドできているので使用していません。

このSE120(アクロマート)を撮影鏡に交換すれば良い。

 

その場合、巨大ニュートンは撮影鏡からガイド鏡に格下げ?

なんとも贅沢な話です (^_^;)

 

 

巨大ニュートンの撤収作業が終わって2時過ぎでしょうか。

八ヶ岳一望ポイントにおいてきたEOS kiss X3とEF-S 10-22mmを回収してきました。

その成果がコレ。

満月の夜なので星は少なめ。

今度は新月の夜に挑戦してみたいですね。

 

この星空ぐるぐる写真を見ても、シンチレーションの悪い日は星空風景写真や、星座写真が良さそうであることがわかります。

焦点距離400mm程度の短めの望遠鏡が欲しくなってきたなぁ。

あとはカメラレンズでしょうか。

カメラも足りないなぁ。。。

物欲がむくむくと頭をもたげてますが、、、問題は時間の確保でしょうか。

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2023/09/02 巨大ニュートンの斜鏡の補強とOcal electronic collimatorによる光軸調整

2023-09-09 13:02:03 | 天体望遠鏡

毎度だらだらと冗長な文章なので、今回の結論を先にまとめておきます。

・斜鏡を固定する爪の補強をした

・斜鏡のガタつきをゼロにした

・Ocal electronic collimatorによる光軸調整をおこなった

 

 

ずっと気にしていたことがありました。

以前、斜鏡を外した際(2021年3月?)、3つある斜鏡を支える爪の一つが外れました

斜鏡を支える爪が外れれば、斜鏡が落下して、主鏡と斜鏡を破損する危険があります。

望遠鏡の全損を意味します。

 

外れた斜鏡を支える爪は、そのとき手元にあったアロンアルフアで固定しました。

今思うと、ずいぶんいい加減な止め方をしたものです。

爪が一つ外れても、斜鏡が傾くだけですぐさま落下する感じではなかったので、そのときは「まあいいか」となったのだと思います。

でも、この数年間、ずっと気になってました。

3つある爪の一つが外れたということは、ほかの二つの爪も外れるときが来るかもしれない。

 

仕事の後に現地入りした2023/09/01(Fri)の晩飯

レンチンご飯(180g、272kcal)と、セブンイレブンの「若鶏の和風 鶏から揚げ(税込み257円、486kcal)」とセブンイレブンの「洗わずそのまま調理できる 緑豆もやし(税込み51円、35kcal)」

計403円、802kcal

セブンイレブンの食材をいろいろ試食してます。

調理器具を使わず、レンジだけでどこまでおいしく、時短で、栄養バランスよい食事をとれるか。

でも、今回は鶏から揚げを選択した時点でカロリーオーバー、脂質オーバーは決定済みです。

鶏から揚げをセブンイレブンの冷凍餃子に置き換えると、一食300円に落とせるし、カロリーや栄養バランスがよくなります。

 

 

斜鏡を押さえる爪の補強に今回用いた接着剤はLOCTITE EA 3463 メタルマジックスチール

2-3年前の頂き物の残りです。

まだ使えました。

爪板には小さな穴が開いており、おそらくはネジ固定を予定していたが、何らかの理由でそれがうまくいかず、接着剤固定に変更された雰囲気がありました。

 

 

 

爪の固定が済んで、再度斜鏡を再度組み上げたのですが、斜鏡にわずかなガタがあることに気づきました。

巨大ニュートン、方角を変えると光軸がズレることがあるのは気づいてました。

方角を変えたときに、斜鏡が動いていたのかもしれません。

斜鏡を後ろから抑えるコルクがヘタッたのだと思います。

斜鏡の抑えを補強することで、斜鏡のガタがなくなりました。

これは予定外の大きな収穫でした。

(下の写真は斜鏡を再コーティングに出す前の2022年5月のものです)

 

 

続いてOcal electronic collimatorによる光軸調整。

 

斜鏡が重いので、望遠鏡を寝かせた状態で斜鏡の微調整を行う難易度が高い。

望遠鏡を垂直に立てると、斜鏡がスパイダーの中心からぶら下がる形になるので、斜鏡の角度の微妙な調整がしやすい。

望遠鏡を垂直に立てた状態で斜鏡の調整を行うことにはリスクも伴います。

もしスパナを望遠鏡の中に落とすと主鏡が割れます。

なので、工具にヒモを括り付けて、落下しても主鏡に届かないようにして作業を行いました。

 

真上に向けた望遠鏡の先端が高さ2mになるので、脚立の上に立って、パソコンを持っての光軸調整作業は難渋しました。

いろいろ試行錯誤した結果、真上に向けた望遠鏡の先端までスライディングルーフを閉めて、ルーフの上にノートパソコンを置くと作業しやすいことに気づきました。

強烈な日射のため、ノートパソコンの画面が見づらかったので、雨傘をノートパソコンにかけて影を作りました。

 

9月に入った標高600mの場所にありますが、朝8時にして強烈な日射を浴びながらの作業となりました。

今回投入した新兵器、空調服が大活躍でした。

パソコン用のファンを二つ作業服に仕込んだものですが、暑くても汗をかきませんね。

 

(写真は5月のものです)

 

 

まずは接眼筒の先端円にカメラの焦点を合わせて、接眼筒の先端円と黄緑色の円が一致するように調整します。

(この写真は、そのあとにカメラの焦点を斜鏡に合うように調整した後なので、接眼筒の先端円と黄緑色の円が同心円状に少しズレています)

 

 

次に、赤い円を表示して、斜鏡の輪郭赤い円と一致するように調整します。

ぶっちゃけ、完全に一致させるのは難しいです。

斜鏡の押しネジと引きネジを緩めて、引きネジで斜鏡の位置を調整し、手で斜鏡の向きを整え、それを押しネジで固定するのですが、どうしてもほんの少しズレます。

 

次に、青い円を表示して、斜鏡に移った主鏡の輪郭が青い円と完全に重なるように調整します。

 

実際には、赤い円と斜鏡の円青い円と主鏡の輪郭を合わせる作業は、同時にやることになります。

別々にやるのは、だぶんですが、無理なように思います。

赤い円と斜鏡の円を完全に一致させてから、青い円と主鏡の輪郭を合わせようとすると、青い円と主鏡の輪郭が一致したときには、赤い円と斜鏡の円がズレていることになるので。。。

 

下の写真のようになったら、あとはカメラの中心と主鏡の中心が一致するように主鏡の傾きを調整すれば完了です。

こればかりは二人がかりでやりました。

一人は床に這いつくばって、主鏡の押しネジ・引きネジを調整し、もう一人は地上2mの望遠鏡の先端でパソコン画面をみて、カメラの中心と主鏡の中心円の配置を監視する役割分担です。

 

 

斜鏡と主鏡の押しネジ・引きネジを固定した状態の最終状況。

ほんの少し、ズレてますが、この程度は全然許容です。

今までのズレと比較すればかわいいものです。

 

 

2023年5月にOcal electronic collimatorのカメラで覗いたときの状態はこんな感じでした。

 

 

斜鏡を取り付けた際、鏡筒内を懐中電灯で照らしたときの写真です。

光を反射している箇所があります。

原因はよくわかりませんが、塗装の状態の違いなのでしょう。

これだけ反射すると、1等星など明るい星の光が乱反射して写真の質に悪影響している可能性があります。

今後、反射している部分を塗装することにしました。

 

 

望遠鏡の調整をしてから、昼食を食べに清里まで足を延ばしてみました。

清里駅の標高1274mもあるんですね。

野辺山駅の標高が1345m。

清里駅と野辺山駅の間で、古い別荘を安く手に入れれば相当いい星空を手に入れることができるのではないでしょうか。

 

清里のソフトクリームを食べて帰りました。

 

その日の夕日。

夕日はきれいでしたが、このあと曇ってしまいました。

明け方に東の空が晴れればC2023/P1 西村彗星を狙うつもりでAM3時に目覚ましをセットして就寝しました。

 

AM3時に起床すると、空が晴れている。

しかし、東の低空には雲がある。

西村彗星は諦めました。

が、せめて記念にと、月を撮影してみました。

過去の月の写真と比較して、一目でわかる違いはないように思います。

が、望遠鏡の状態は過去最高なはずです。

 

 

今回のまとめ

・斜鏡を固定する爪の補強

・斜鏡のガタつきをゼロにした

・Ocal electronic collimatorによる光軸調整をおこなった

 

あとは、鏡筒内の再塗装を行えば、今度こそ、この年代物の巨大ニュートンのレストア作業、完了となるかな??

 

 

 

 

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OCAL electronic collimatorによるニュートン式天体望遠鏡の光軸調整(の第一歩目)

2023-05-14 19:27:04 | 天体望遠鏡

このブログでニュートン式天体望遠鏡の光軸調整の記事を何度か取り上げています。

その際、こんな図を出しました。

2021/03/27 ニュートン式 反射望遠鏡 GINJI-250FNの光軸合わせ 光軸修正 試行錯誤

理屈はこうなのかもしれません。

この図の円の配置になるように頑張って調整するのですが、光軸修正用アイピース(CHESIRE型)を覗いての作業、結構いい加減になります。

目の位置で円の配置が変わるし、円ごとに目の焦点が異なるので、正確な調整が難しい

 

この作業を、接眼部に挿入したカメラを通してできないか?

それを実現したのが、OCAL electronic collimatorです。

カメラで接眼部の中心から覗くので、目の位置が変化することがありません。

見たい円ごとに焦点を調整するので、各円がよく見えます。

しかも、各円に相当する円をソフトウェアに描かせることができるので、非常にわかりやすい。

というわけで、購入してみました。

購入は中国のアマゾン AliExpress。

AliExpress、品揃え、豊富ですね。

ものによっては日本のネット販売では考えられないような破格の安さで売られています。

届くのに数週間かかることが許容できるなら、AliExpressは十分に選択肢になります。

OCAL electronic collimatore、送料込みで2万5千円弱で購入しました。

で、早速、焦点距離2,500mmの巨大ニュートンに取り付けてみました。

 

最初の手順として、カメラの視野中心を中心点とする黄緑色の円を表示させます。

黄緑色の円の直径の大きさを調節して、接眼筒の先端円と完全に一致させます。

とーこーろーが、、、二つの円が一致しません。

これはどういうことなのか。。。

この時は時間がなく、この事実だけ確認して、撤収しました。

 

黄緑色の円は、カメラのセンサーの視野中心を中心点とする円です。

接眼筒が正確な円柱の形状をしていれば、接眼部の中心に差し込まれたカメラのセンサーから見て、接眼筒の先端円は、センサーの視野中心を中心とする円となるはずです。

それが一致しないのは何が問題なのか?

 

家に帰って、手持ちのニュートン式望遠鏡、BKP130とGINJI-250FNでもやってみました。

BKP130

 

GINJI-250FN 

 

望遠鏡3本とも、同じ現象。

センサーの視野中心と接眼筒の先端円の中心が一致しない!

なぜや???

 

カメラにつけた2インチ M42 0.75のマウントアダプターの根本が若干くびれています。

カメラが傾く原因はこれか???

 

そこで、くびれがない2インチ延長筒にM48→M42変換リングを噛ませてOCAL electronic collimatoreをつけて、接眼部に挿入してみました。

が、改善しませんでした。

異なる種類のマウントアダプターを用いても症状に変化がないということは、マウントアダプターが原因ではない可能性が高い。

 

 

ということは、カメラのセンサー自体が傾いているのか?

赤いビニールテープを接眼部に挟んで、カメラを傾けてみました。

 

すると、、、修正されるではないですか!

BKP130

 

GINJI-250FNでも、接眼筒と黄緑色の円がピタリと一致しました。

 

結論

OCAL electronic collimatorは、カメラ本体に対して、センサーが傾いている可能性が高い。

 

OCAL electronic collimatorのソフトウェアには、センサーの視野中心と、接眼筒の先端円が一致しない場合、それを修正する機能がついています。

上の四つのボタンの下にある、Center Offsetのチェックボックスにチェックを入れると、センサーの視野中心を動かすことができます。

これで一応、問題は解決するはずです。

 

Center Offsetの機能がついていることは予め取扱説明書を読んでいたので知っていました。

が、むやみにその機能を使っていいのかどうか、不安に思ったので、今回の試行錯誤をすることになりました。

説明書には、黄緑色の円と接眼筒の先端円が一致しない場合は、まず機材の異常がないかをチェックするように書いてあります。

僕自身は、望遠鏡の組み立て精度のことを言っているのだろうと解釈したのですが、、、OCAL electronic collimator自体の製品精度も疑う対象に入っていたということですね?

 

他の方のブログを見ていても、Center Offsetで調整しています。

つまり、この問題は僕の手元にある個体だけの問題ではない。

仮にもカメラメーカーなんだし、天体望遠鏡の光軸調整という非常にデリケートな作業をするためのカメラなのだから、カメラ本体に対してセンサーを正確なオリエンテーションでキチッと設置してほしいと期待してしまうのは平和ボケ日本人だからでしょうか?

しかし、見方を変えると、技術的にはまだまだ発展途上のメーカーであるにも関わらず、アイディア勝負で全世界に向けてヒット商品を送り出した若い活力のあるメーカーとも言えるかもしれません。

 

なんにせよ、これ以降はOCAL electronic collimatorで意図した作業ができるはずです。

 

ただ、、、問題もあります。

ご存知の方も少なくないと思うのですが、BKP130は、接眼筒を2cmほど切断する必要があるユーザー泣かせの望遠鏡なんですよね。。。

接眼筒の切断を正確に行うことは素人に無理でしょう。

接眼筒の先端円が歪むのは避けられません。

すると、OCAL electronic collimatorが使えなくなるということです。

これを避ける手段としては、切断前にCenter Offsetの値を確認しておくことでしょうか。。。

 

貴重な日曜日をこの件で費やしてしまいました。

こういう試行錯誤、嫌いじゃないです。

試行錯誤ってどうやっても時間がかかります。

時間をかけて、いろいろ考えて、ゴールに辿り着くその過程自体が価値のある時間です。

しかし、終わって振り返ると、やりたかったことが何一つ手付かずの状態で残っているという。。。

人生ってこういうものなのかもしれません。。。

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EQ6proのDECのバックラッシュの調整方法 (猫五郎 式) How to adjust EQ6pro backlash in DEC

2022-11-23 18:40:54 | 天体望遠鏡

EQ6proのDECのバックラッシュが大きいことはよく知られたことのような気がします。

僕なりのDECのバックラッシュの調整方法をご紹介します。

 

最初に、ウォームシャフトが入っている部分(ケースと言えばいいのか)を固定している4本の六角ネジを緩めます。

 

以後、赤道儀を北極星に向けて、ホームポジションをとっている体(てい)でお話しします。

南側の芋ネジを緩めます。

南側の芋ネジは、締め付けるとウォームギアとウォームシャフトの噛み合わせを、緩める役目を担っています。

 

次に、北側の芋ネジを緩めます。

北側の芋ネジは、締め付けるとウォームホイールとウォームシャフトの噛み合わせをキツくする役目を担っています。

 

次に、ウォームシャフトの西側(基板側の上)にある黒い丸蓋をカニメレンチで外します。

 

黒い丸蓋を外すと、ウォームシャフトの西側のベアリングを固定するリングスクリューが見えてきます。

 

ウォームシャフトの西側のベアリングを抑えるリングスクリューをカニメレンチで緩めます。

 

DECモーターを外します。

もし、RA軸のバックラッシュも一緒に調整するなら、RAのモーターも外します。

 

最初に、北側の芋ネジをゆっくりと、それ以上締められないところまで、軽く締めます。

 

ウォームシャフトとホイールがキツく噛み合っているので、DEC軸を東西に振ろうとしてもビクともしません。

バックラッシュ、ゼロの状態ですが、シャフトとホイールがキツく噛み合って、シャフトが回転しない状態でもあります。

(僕の場合はベルトドライブ化してあるので)プーリーを指で触って、プーリーが回転しなくなっていることを確認します。

そうしたら、北側の芋ネジをほんの少し(15度程度?)緩めます。

すると、プーリーが指先で軽やかに回るようになります。

 

プーリーが軽ろやかに回転することを確認したら、南側の芋ネジを締めます。

あまりキツくは締めてません。

南側の芋ネジを締めてから、再度、プーリーが軽やかに回ることを指先で確認します。

 

そうしたら、六角レンチで4本の六角ネジを締め付けて、ウォームシャフトが入ったケースを固定します。

そして、再度、この状態で、プーリーが軽ろやかに回ることを指先で確認します。

 

次に、手でDEC軸を優しく東西に回転させます。

すると、黒い丸蓋を外して露出したDECのウォームシャフトの西端が出たり引っ込んだりするのが見えます。

 

ウォームシャフトの西側のベアリングを抑えているリングスクリューを少しずつ締め込んでいきます。

リングスクリューをキツく締めると、ウォームシャフトの東側のベアリングに、プーリーが押しつけられて、プーリーが回転しなくなります。

(標準仕様の歯車でも同じ症状が出るかどうかは確認していません)

プーリーが指で触って、軽やかに回転するところまで、リングスクリューを緩めます。

(多分、20度から40度くらいリングスクリューを緩めることになるかと思います。)

 

あとは、黒い丸蓋をして、モーターを取り付けて、完了です。

DEC軸を手で東西に振ると、若干、遊びがまだ残っていると思います。

これがバックラッシュの量を表すわけですが、現時点で猫五郎は、これをゼロにすることができていません。

しかし、これで十分、実用に耐えるはず、と思っています。

(2022/11/23時点でまだ実戦投入しておらず、確認を取れていません。)

 

この方法の問題点としては、遠征先でやるにはちと手間だということでしょうか。。。。

 

2022/11/29追記

上記で行ったDEC軸のバックラッシュ調整ののちに残った遊び、僕の機体では馬鹿にならない量でした。

友人のEQ6proを触らせてもらうと、まったくと言っていいほど、ガタ(遊び)がありません。

というわけで、さらに頑張ることにしました。

しかし、僕の方法では、いくら頑張っても、これ以上の調整ができない。

DEC軸を手で南北に回すとウォームシャフトの端が、ウォームギアとシャフトの噛み合わせの遊び(ガタ)の分だけ、飛び出ては、引っ込みます。

 

頭を捻りまくって、苦し紛れの解決策を思いつきました。

ウォームシャフトの軸の端の動きを物理的に制限して仕舞えばいい。

ウォームシャフトの端の黒い丸蓋の内側には、シャフトの軸が収まる空間がくり抜かれています。

そこにM5 外径12mmのワッシャーを入れてみました。

 

こんな感じ。

 

M5ワッシャーを4枚入れてみたところ、DEC軸の遊びがほぼほぼ無くなりました。(^_^;)

 

こんな裏技でDEC軸の遊びを無くしている人は他にいないのではないかと想像しています。

早く、星空の下でバックラッシュ測定を行いたいです。

 

その結果はこちら

2023/12/08 山梨 ベルトドライブ化したEQ6proのバックラッシュ測定 野外リモートデスクトップでコタツでぬくぬく天体観測大作戦

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EQ6proを¥5,000弱でベルトドライブ化する方法 How to belt drive EQ6pro

2022-11-21 13:23:31 | 天体望遠鏡

EQ6pro

2013年購入当時は新品で19万円前後と比較的安価、搭載できる重量が15kg(実際はもっと乗っけている)、頑丈で故障しない。

世界で広く使われている赤道儀ですが、じゃじゃ馬です。

特にDECのバックラッシュの調整が難しく、これに辟易して手放したという話をよく耳にします。

ベルトドライブ化されたEQ6Rは搭載重量が20kgになり、バックラッシュも小さいと評判です。

 

何度か分解整備してみて、思いました。

ベルトドライブ化できるんでね?

最初に考えたのが、歯車に直接タイミングベルトをかけること。

でも、どのサイズのタイミングベルトもあいませんでした。

左から3GT、2.5GT、2GT

タイミングプーリーと歯車は根本的に規格が異なるということでしょう。

 

で、次に考えたのが、歯車をタイミングプーリーに交換してみること。

でも、困ったことに、ウォームシャフトの歯車の歯数が47なんです。

モーターの歯車の歯数は12なので、これは同じ歯数のタイミングプーリーがあります。

48歯のタイミングプーリーはありますが、47歯のタイミングプーリーは、普通は存在しないです。

なぜこんな変な数にしたのか。。。

48歯にするということは、純正のコントローラーSynscanが使えなくなるということです。

じゃあ、もはやOnstepでコントロールしようか、というわけで、友人の力を借りてやってみました。

これで最低限の条件は揃った。

 

でも、今まで通りEQ directケーブルを使って、EQMODでコントロールできないか。

EQMODを色々みてみると、EQMODフォルダの中のSetup EQASCOMを開くと、こんな画面が開く。

Mount Optionsのプルタブをクリックすると、Custumという項目があり、それを選択して、プルタブ右の工具ボタンを押すと、、、

 

な、なんと、EQ6proで48:12=4:1の設定があるではないか。

というわけで、今まで通り、EQ directケーブル経由でStella shot2でコントロールできることがわかりました。

 

あとは歯数12と48のタイミングプーリーと、2GTのタイミングベルトを入手する。

タイミングベルトの長さがわからん。

適当にいろんな長さのものを発注しました。

モノタロウやアマゾンでも探しましたが、なかなかちょうどいいものが見つからない。

中国のアマゾン、AliExpressをのぞいてみると、簡単に見つかりました。

しかも、安い!

今回、12歯のタイミングプーリー5つ、48歯のタイミングプーリー5つ、2GT 幅4mm 長さ164mmのタイミングベルトを10本、購入して送料込みで¥5,000弱でした。

タイミングベルトは結果的に158mmから162mmの長さのものが良いことがわかりました。

DEC軸では、158mmではギリギリでした。これ以上短いとハマりません。

RA軸は162mmがギリギリ。これ以上長くすると調整できません。

モーター用の歯数12の2GTプーリーのボアは5mmです。

 

ウォームシャフトに取り付ける歯数48の2GTプーリーのボアは12mmです。

 

2GTのタイミングベルトは、160mmか162mmあたりがいいと思います。

 

ウォームシャフトの47歯の歯車を収める空間が、48歯のタイミングプーリーを収めるには狭いです。

 

 

なので、プーリーの外側を切り落としました。

 

 

幅6mmのベルトをかけたところ。

幅6mmだとはみ出て、筐体と干渉するので、幅4mmのものを買い直しました。

 

筐体と干渉するので、内側も少し削りました。

 

そしたら、こんな風におさまりました。

 

なお、注意点として、プーリーとベアリングが直接、接しないようにプーリーをシャフトに取り付けてください。

場合によっては、プーリーの切断面をさらに削って薄くする必要があります。

プーリーがベアリングに直接接すると、その摩擦で特にRAの恒星時追尾がおかしくなります。

 

モーターが入っている筐体への通用口も狭かったので、金属やすりで削って歯車の通路を広くしました。

 →

 

ベルトをモーターに取り付けた12歯のタイミングプーリーに引っ掛けるのがなかなか苦労です。

このように、釣り糸で引っ張って、極軸望遠鏡の穴から覗きながら、プーリーにベルトをかけました。

ベルトがピンピンに張るようにモーターのネジを固定したら、釣り糸の輪っかを切って、引き抜きました。

 

ここまで、すんなり行ったわけではありません。

最大の難関は、ウォームシャフトを外すことでした。

ウォームシャフトのベアリングを固定している輪っか状の内ネジが外れなかった。

どうも緩みどめが塗布されていたようで、カニメレンチでびくともしませんでした。

しまいにはカニメレンチでネジが舐めてしまいました。

 

 

途方に暮れて友人に相談すると、「茹でろ」と。

なんの冗談かと思いましたが、その通りにする私。

 

外れました。

 

緩みどめの説明書を読むと、外す時は100℃で熱しろと書いてある。。。

 

内ネジが舐めてしまったので、ヤスリで削って、形成する必要がありました。

ところで、このネジの名称を存じません。

どなたか、ご存知の方がいらっしゃいましたら、コメントででも教えていただけると嬉しいです。

 

結果はどうだったか。

PHD2のキャリブレーション。

美しすぎませんか?

僕のEQ6proで、こんなに綺麗なキャリブレーションのグラフをかつてみたことがないです。

 

PHD2のオートガイドのグラフ。

グラフがキザギザだって?!

グラフ左端のRMS errorの値を見てください。

赤経 0.18px (0.36")、赤緯 0.12px (0.23")  !!!!!!

グラフの縦軸も見てください。

縦軸、なんと0.5px (1")なんです!!!!

ターゲットでも、ガイド星の動きが中心に集約されていることがわかると思います。

こんなオートガイド、僕のEQ6proで可能だったんだ?!!

Oh ! My god !!! な結果でした。

 

ただ、これで全て万歳かというとそうでもなく、バックラッシュが確認されました。

 

なので、もう少し、僕の戦いは続きます。

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2022/10/29 山梨 望遠鏡動作で極軸がズレることを確認 DECギアの整備が必要

2022-11-04 17:37:00 | 天体望遠鏡

戦いは続きます。

2022/10/28の夜は、ほぼすべて東の空で撮影をしていました。

本日は、西の空を攻めます。

この赤道儀と望遠鏡、東の空の方が動作が安定する傾向があります。

西の空ではどうか。

 

西の空、子午線近く、天の赤道近くでキャリブレーションをかけます。

まあ、こんなもんでしょう。

 

ガイドアシスタントを行うと、、、ななんと!

極軸がズレている!!!

信じがたいですが、望遠鏡を大きく振るだけで極軸がズレることがわかりました。

赤道儀の固定が甘いということでしょうか???

それとも赤道儀の固定の仕組みに致命的な構造的問題???

今後、毎回、ガイドアシスタントをかけることで、極軸の変化をみて、クセをつかむ必要がありそうです。

 

そして困ったのがバックラッシュ。

西の空ではバックラッシュが大量に検知されました。

ガイドアシスタントでは、DECを一方向(現時点では南方向)ガイドにしなさいと。。。

東の空でのバックラッシュ測定では綺麗なグラフばかりでした。

この時は思いつきませんでしたが、再度東の空でバックラッシュ測定をして、東の空でも同じような大きなバックラッシュが出るようなら、DECの駆動系に変化が出たことを意味します。

東の空でバックラッシュが小さければ、DECの駆動系に変化は生じていないかもしれない。

けど、いずれにせよ、DECのギアになんらかの問題が存在することだけは間違いなさそうです。

 

とはいえ、一般論としては、極端に極軸が合っていないわけではない。

撮影に入ります。

 

特に根拠はありませんが、DECのガイド、ガイドアシスタントのアドバイスを無視して、両方向ガイドにしたままにしました。

 

日中にちょっと邪魔な木を切り倒しました。

木を切り倒したことで見えるようになった西の空にM13が見える。

まだこの時期、M13、見えたんですね。

西の空にだいぶ傾いているので、急いで撮ってみました。

ISO 6400, 30sec, 4枚コンポジット+α

満足のいく写りではないですが、悪くはない。

 

M13は天の赤道から外れるので、キャリブレーションをやり直しました。

すると、赤経RAのキャリブレーションステップが17?!!赤緯DECのキャリブレーションステップが13!

DECのキャリブレーションステップが理論値の2倍になるのは、バックラッシュが大きいためと理解できます。

しかし、RAのキャリブレーションステップがこんなに多くなるのは初めてのことです。。。

何が起きているのやら。

 

望遠鏡を夏の大三角形に向けてM71を撮影。

ISO 12800, 20sec, 4枚コンポジット。

M71、初めて撮ったような気がします。

球状星団だそうですが、散開星団と言われてもそう思ってしまうほど星の密集が少ないです。

今考えると、ISOを少し下げて露出時間を長くした方が、多分、もっと星が小さくシャープに写ったのではないかと思います。

 

PHD2のオートガイドの設定がOn cameraなので、赤緯が大きく変わるとキャリブレーションをやり直す必要があります。

M71を撮影するにあたり、やり直してみました。

今度は、赤経・赤緯ともにキャリブレーションステップ数に異常なし。。。

それ自体は悪いことではないが、先ほどのキャリブレーションと大きく異なる。

赤道儀の動作が不安定だということでしょうか???

 

DECを双方向ガイドにしたままですが、オートガイドはそんなに悪くないように見えます。

西の空に向け直すにあたり、RAガイドアルゴリズムをPPECから使い慣れたヒステレシスに変更しました。

 

近くにあったM27アレイ星雲

ISO 6400, 50sec, 8枚コンポジット

 

M15球状星団

ISO 6400, 20sec, 4枚コンポジット

 

M15を撮影した時のオートガイド。

かなり良い。

 

M2球状星団

ISO 3200, 60sec 2枚コンポジット
M2球状星団、M15より大きく見えますね。知りませんでした。

 

M2のオートガイド

かなり良いガイド。

 

この夜、一緒に観測していた友人に、三角座近くにあるARP273なる特殊銀河の存在を教えてもらいました。

なんでも小さい被写体らしいので、2500mmで撮影してみてほしいと。

試してみました。

撮影に先立ち、ARP273に向けてからキャリブレーション。

悪くはない。というか、正常。

 

ARP273

ISO 12800, 120sec, 8枚コンポジット

あまりにも小さい!

 

トリミングしても小さい!

これはASI 224MCくらいで撮影しないと厳しい。

 

次回から、気軽にEOS RaをASI224MCやASI294MCと取り替えられるように、こんなものを発注しました。

楽しみです。

 

この夜はRAのガイドアルゴリズムをヒステレシスにして撮影していました。

検知したズレの何%の修正動作をさせるかを決定するaggressivenessですが、今まで僕は最高が100%であると勝手に思い込んでいました。

ところが、試しにやってみると100%以上の値も受け付けることが判明しました。

この夜、こんな小技も覚えました。

ターゲットを表示します。

この場合、ガイド星の動きは、赤緯方向のバラつきが小さく、赤経方向に大きくバラついています。

aggressivenessを120%から200%にしてやると、、、

 

赤経方向の修正量を大きくすることで、ターゲット表示の赤経方向のバラツキが小さくまとまりました。

(グラフの縦軸のスケールを2倍にしてあるので、グラフの上下変動が大きくなっているように感じるかもしれません)

ただ、それでも赤経方向のおおよそ90秒周期の波を打ち消すに至っていません。

これだけ規則的な変動ですので、PPECの方がオートガイドの精度が上がるかもしれません。

 

ARP273のすぐ近くにあるM33三角座銀河に望遠鏡を向けました。

ARP273のすぐ近くなのでキャリブレーションをかける必要はないのですが、かけました。

キャリブレーションステップ数は大きく問題ないようですが、説明がよくわからぬ。。。どういうことでしょう?

 

オートガイド自体はそんなに悪くない。

 

ISO 12800, 300sec, 8枚コンポジット

なんとも味気ない写りです。

 

それもそのはず。

とにかく湿気の多い夜で、望遠鏡びしょ濡れになりました。

(主鏡は結露してません)

JPEG撮って出しだとこんな感じです。

 

作品を撮るための空ではない。

すでに日を越しました。

西の空の子午線と天の赤道付近で再度キャリブレーションをかけます。

まあ、概ねこんなものでしょう。

 

ガイドアシスタントをかけると、、、極軸、よくなっているではないか。。。

この夜のスタートのときは、>3.4分角ではなかったか。

>0.8分角に改善しているのは、なぜだ???

やはり望遠鏡を振り回すと極軸が動くと考えるべきなのかもしれません。

 

バックラッシュ。

うーむ、今夜最初にやったときと、概ね同じ傾向ではあるのものの、形が一致しない。

やはりDECギアになんらかの不都合が生じていると考えるべきでしょう。

分解するしかありませんが、DECギアボックスの中身を僕はじっくりみたことがないので、作った友人に立ち会ってもらうしかないでしょう。

 

この夜最後に、しつこい僕は、再度極軸を追い込みました。

今度は赤道儀の固定ネジを強く締めるつもりで。。。

方位角のドリフトアライメント。

 

根性の>0.2分角。

しかし、よく考えると、落ち着いて警告通り、再度キャリブレーションをやり直してからドリフトアライメントをやり直した方が良かったのかもしれません。

疲れ切っていて、頭が回っていなかった。。。

 

オートガイドの赤経のグラフをみると、どれもこれも約90秒周期の変動が認められます。

ウォームギアの回転周期は120秒なので、それではない。

この赤道儀固有の周期変動なのでしょうか。

いずれにせよ、これだけしっかりとして安定した変動ですから、PPECで最適な設定値を探り当てれば、かなりいいオートガイドができる可能性があります。

 

おそらく、西の空と東の空で、PHD2の設定値が異なるように思います。

 

この夜の成果。

望遠鏡を振り回すと、極軸が微妙に動くことがわかった。

それでも極軸をできる限り合わせた方が、おそらくオートガイドが安定しそうである感触を得た。

極軸を合わせてあれば、DEC方向のガイドは安定するので、あとはRA方向の周期的な変動に適合した設定値を探すことが今後の課題である。

DECギアになんらかの問題が発生している。

(これは昨夜の成果だが)本気で撮影する場合は、主鏡の光軸を被写体ごとに調整し直す必要がある。

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2022/10/28 山梨 巨大赤道儀の極軸の追い込み 続き 過去最高のオートガイド(^^) 4分間までならDECのオートガイドはいらないかも ニュートンの主鏡は簡単に動く

2022-11-03 17:56:00 | 天体望遠鏡

前回の続きです。

しつこくてすみません。

でも、前回、家に帰ってから思い直しました。

この赤道儀、据付型であり、移動する予定がありません。

一回は極限まで極軸を追い込んでみたい。

 

前回は、望遠鏡の向きを変えると主鏡が動くことを確認して終了しました。

到着と同時に、笠井トレーディングのAlineで光軸が大まかに合っていることを確認しました。

レーザーコリメーターのレーザーが主鏡の中心に当たるように調整します。

主鏡の押し引きネジで、レーザーの反射光をコリメーターの的の中心に持って来ただけでは、状況は前回と変わりません。

なので、主鏡の押しネジをすべて緩め、引きネジをすべて引き切りました。

主鏡のセルをできる限り鏡筒に押し付けた状態で光軸を調整すれば、望遠鏡の向きを変えた時の主鏡の動きを最小にできるのではないかと考えたわけです。

 

幸い、天気に恵まれました。

まずは子午線と天の赤道付近でオートガイドしてみました。

すると、過去最高の精度のオートガイドができました。

縦軸を1.5秒にしてあるので、ギザギザに見えるかもしれませんが、RMS error 赤経0.35”、赤緯0.27”。

この赤道儀でこれほどの精度でオートガイドができるとは全く期待してませんでした。

赤経のガイドアルゴリズムはPPECです。

PPEC、ハマる時はハマるよう。

 

望外のオートガイドがいきなりできた。

にも関わらず、極軸の追い込みをやるかどうか、、、。

一瞬迷わないでもなかったのですが、1回は自分ができる限り、最高に極軸を追い込んでみたい。

そう思いました。

 

ドリフトアライメントツールで高度のズレを確認します。

結果は、当然ながら、前回と同じです。

 

高度を調整するネジは赤道儀周囲に6本。

直径10mm以上になりそうな太いネジです。

試行錯誤して、赤道儀の南側を数mm、持ち上げて前傾姿勢にすると極軸が合うことがわかりました。

高度が合ったところ。

 

方位角を確認してみると、少しズレていたので、これも修正。

 

よろこんで赤道儀の6本の固定ネジを締めたら、高度が高くなってしまいました。

なので、適当にほんの少しだけ極軸が低くなるように赤道儀の南側を上げて、固定ネジを締め直したところ、うまく行きました。

ここら辺はもはや勘でやるしかないので、根性というか、意地でやってました。

 

ガイドアシスタントで確認すると、極軸、最高の調整がなされたことが確認できました。

据付型で、極軸を完璧に合わせることができる、ということを確認しました。

僕自身、ここまで極軸を追い込んだのは、初めての経験になります。

一度合わせて仕舞えば、そんなに簡単にズレない、と思いたい。

 

極軸の調整が終わった頃には日を越してました。

東の空に上がってきたオリオン大星雲に向けました。

オートガイドはこんな感じ。

最高ではないが、悪くはない。

 

M42オリオン大星雲

ISO3200, 240sec 4枚コンポジット+α

今更ですが、ISO 6400, 120secとISO3200, 240secとでは、後者の方が繊細な写りをしますね。

オートガイドがうまくいっていることが前提になりますが。

 

写り込んだ衛星の軌道もほとんど真っ直ぐ。

続いてオリオン座のM78に望遠鏡を向けました。

湿気が多いためか、背景が暗く写りません。

ISO 12800, 180sec

 

強引に画像処理したのがこれ。

細部が潰れてしまいました。

もっと空の状態が良い時に撮り直したいです。

 

M78、星が楕円です。

オートガイドは(最高でもないが)悪くない。

ピントがズレたかと思い、ピントをやり直しますが、改善しません。

10sec露出で撮影してみると、やはり星が楕円です。

つまり、こういう望遠鏡だということです。

ちょっと向きを変えただけで、主鏡が動く。

何を今更。

5年くらい前にこのこと、このブログの記事にしてます。


GINJI-250FNの光軸の実際 - 猫五郎の写真日記

2014/05/10の夜空。天気予報、快晴。GPV予報、快晴。月が明るいので、星雲撮影には向かないにしても、GINJI-250FNの光軸修正の成果確認と、惑星撮影にはいいだろう。夕食の...

goo blog

 


GINJI-250FNではそれ以来、被写体を変えるたびに光軸調整をしているではないか。

この巨大ニュートンも同じだったというだけのこと。

被写体ごとにいちいち光軸を合わせ直すか?

GINJI-250FNの光軸調整は小さな足台が有ればできますが、この巨大ニュートンは高さ2.5mの脚立の上に登って降りてを繰り返さねばならない。

うーむ。

LRGB撮影している皆さんのように、一つの天体で何時間も露出するのであればそれもいいかもしれません。

とりあえず、この夜は何も対処しないことにしました。

あえて対策を挙げるなら、主鏡セルの中で主鏡の側面を固定する8本(?)のポリカーボネートネジを締め込むことでしょうか。

 

気分を変えて、望遠鏡を大きく北へ向けました。

M81、M82をセットで撮ってみました。

ISO 12800, 200sec, 8枚コンポジット

画角的に狭い。

画の端に来たM81の腕が画像処理で消えてしまいました。

 

遊びで、DECのガイドをキャンセルしてみました。

 

DECのグラフは上のような感じではありますが、そのまま撮影したM81

ISO 12800, 240sec, 4枚コンポジット。

なんと、星がまん丸です。

しかし、もしもISO 6400, 480secで撮影してみたらどうでしょう?

上のグラフを見る限り厳しいように思います。

しかし、4分間露出であれば、DECのオートガイドなしでそこそこイケるということです (^_^)

 

M81渦巻銀河の腕をもう少し写し込みたいところでしたが、あいにくと空の状態が悪く、ちょっと厳しかった。

JPEG撮って出しだとこんな感じです。

RAW撮影すればもう少し画像処理で粘ってくれたりするのでしょうか?

この場所、標高600mしかありません。

空がもう少し安定する標高1000m以上であれば、こういう悩みが少なくなるのでしょう。

でも標高1000mになると寒いし、道路が凍るので行き帰りに気を使います。

どちらがいいのでしょうか。。。

 

AM4:00を回りました。

オリオン大星雲が子午線を超えました。

この夜最後に、西の空に望遠鏡を向けました。

オリオン大星雲

ISO 6400, 180sec

主鏡が結露したかと思いましたが、確認すると、結露してませんでした。

「今宵はもう寝なさい」と言われたような気がしたので、この夜は寝たのでした。

 

 

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2022/08/27 EQ6proの整備 分解と組み立ての記録

2022-08-27 21:17:19 | 天体望遠鏡

再びこの日が来ました。

EQ6proを分解整備する日。

ベランダ放置して丸2年が経過しました。

この間、起動させたのは10回くらいでしょうか。

心が痛みます。

ずっと野外放置なので、機材が傷んでないかが心配です。

分解整備したくなりました。

前回は一人でやったので、記録がとれませんでした。

なんせ手がグリースでべとべとになります。

一人で作業しながら写真を撮ることは非常に億劫なんです。

子どもに写真をお願いしても、子どもも忙しいですから「えー、またぁ?いい加減にしてよ」となり、頼みづらい。

今回は同じEQ6を所有する友人と、もう一人に来てもらいました。

分解するのは思ったより簡単でしたが、組み立てるのに注意が必要でした。

組み上げてみて、「あれ?ベアリングが一つ余ってるよ?」「プラスチックのワッシャーが1枚余ってるけど…」みたいなことがありました (^_^;)

一人だったらブルーでしたが、人手があると気が楽でした。。。

 

最初に、赤緯軸のギアのかみ合わせを調整するイモネジを緩めました。

 

イモネジは前後、二つあります。

 

お次にウェイトシャフトを固定する六角ネジを緩めます。

 

次にウェイトシャフトを反時計回りにねじって外します。

ウェイトシャフトを外す時は、ウェイトシャフトを水平もしくは少し上に向けて外して下しさい。

ウェイトシャフトを外すとベアリングが出てくるのですが、ベアリングが固定されていないので、ウェイトシャフトを下に向けていると、ウェイトシャフトを外したとたんにベアリングが落下します。

 

ウェイトシャフトが外れたところ。

 

ベアリングが見えます。

 

少し下に向けるとベアリングが落ちて外れます。

 

赤緯軸を外します。

この時点で、ベアリングを外した手がグリースでべとべと。

写真記録を撮るなら、やはり二人以上いた方が楽です。

 

赤緯軸を外しました。

 

赤緯軸の軸受けの蓋を外します。

 

ウォームギアのウォームホイールが出てきます。

 

赤緯軸のウォームホイール。

ウォームホイールの後方にある(六角ネジがついた)立方体は、円筒ウォームとウォームホイールのかみ合わせを調整するイモネジの受け、です。

 

赤緯軸の円筒ウォームは蓋側についてます。

蓋の前後のところに円筒ウォームとウォームホイールのかみ合わせを調整するイモネジが見えます。

 

ウォームホイールを外します。

ウォームホイールを外すとベアリングが露出します。

ウォームホイールの内側にもそっくり同じベアリングが入っています。

二つのベアリングの間に、プラスチックのワッシャー(白っぽいやつ)が挟まっていました。

 

ウォームホイールの中にあるベアリング。

 

ウォームホイールの中にあるベアリングを外したところ。

 

ウォームホイールの下にあったベアリング。

(ベアリングの上にプラスチックのワッシャーが乗っかっています。)

 

ウォームホイールの下のベアリングを外したところ。

 

極軸望遠鏡は、ねじれば外れます。

 

極軸望遠鏡を外したところ。

極軸望遠鏡は設置精度が求められるデリケートな部品ですが、、、ポールマスターを入手する予定なので、気が楽です。

 

赤経軸の極望側の蓋を外します。

 

極望側の蓋を外したところ。

 

赤経軸の尻尾側を固定しているリングは、イモネジで固定されています。

そのイモネジを緩めます。

 

赤経軸の尻尾を固定しているリングをねじって外します。

 

 

このリングがキツくハマってて、外れないことがあります(前回、そうでした)。

その場合は、ベルトレンチを使って外すといいです。

ホームセンターで売ってます。

赤経軸の尻尾を固定しているリングを外すと、ベアリングが出てきます。

 

赤経軸のウォームギアのかみ合わせを調整するイモネジを緩めます。

 

赤経軸の頭側を固定している六角ネジを外します。

 

赤経軸を引き抜きます。

 

赤経軸の軸のヘッド側にベアリングがついてきました。

 

赤経軸を外すと、赤経軸のウォームギアが露出します。

真鍮製のウォームホイールの内側、奥の方にベアリングが見えます。

 

赤経軸のクランプのノブを外します。

 

クランプのナットを外します。

 

クランプナットの先端にコイン状の部品が挟まってました。

この部品のおかげでウォームホイールにクランプによる傷がつきにくくなっているのですね。

 

赤経軸のウォームホイールを外したところ。

赤経軸のウォームホイールの尻尾にベアリングがついてきました。

赤経軸のメモリ環も外れました。

 

ウォームホイールの内側に、もう一つ、同じベアリングが入ってます。

二つのベアリングの間に、プラスチックワッシャーが挟まってます。

 

このプラスチックワッシャー、1枚かと思ったら、2枚、重なってました。

 

ベアリングも外されて、土台だけになったEQ6pro

 

円筒ウォームを外すためには、円筒ウォームの軸の端を保護している蓋をカニ目レンチで外します。

 

蓋を外した後、円筒ウォームの軸の端を受けている小さなベアリングを固定しているリングをカニ目レンチで外します。

 

円筒ウォームのベアリングを外しました。

このあと、モーターのギアとかみ合う真鍮製のギアを外そうとしたのですが、これが外れませんでした。

真鍮製のギアは、円筒ウォームにイモネジで固定されています。

このイモネジ、かなり外しにくく、外してみたらゆるみ止めが塗布されていました。

おそらく永久固定を目的とした高強度/高粘度タイプのネジゆるみ止めだと思われます。

イモネジはなんとか外しましたが、ゆるみ止めが円筒ウォームにも着いたらしく、真鍮製のギアが円筒ウォームから外れませんでした。

ので、円筒ウォームの取り外しは断念しました。

 

各ベアリングを灯油でかるく拭いて、モリブデングリースをスプレーしました。

 

使ったモリブデングリーススプレーはこれ。

シマホで千円弱

 

ベアリングを入れるところにバイクにつかっている万能グリースを塗り付けます。

 

ベアリングをはめ込んだところ

 

プラスチックワッシャーを乗せます。

これ、2枚、乗せます。

最初、1枚だけ乗せて、組み終わってから、「あれ?プラスチックワッシャーが1枚余ってるぞ?」となりました(泣)

 

赤経軸のメモリ環と、赤経軸の円筒ウォームが入った蓋を取り付けます。

 

ウォームホイールを差し込みます。

ウォームホイールの内側にプラスチックワッシャーが見えます。

つまり、ウォームホイールの内側のベアリングをはめるのを忘れた、ということです。

組み終わってから、「あれ?ベアリングが一つ余ってるぞ?」となったのでした(泣)

赤経軸も赤緯軸も、同じベアリングを2枚ずつ重ねてあります。

二つのベアリングの間にはプラスチックワッシャーが挟まっています。

お忘れなく。

 

赤経軸のウォームホイールの内側に入れ忘れたベアリングを入れます。

 

赤経軸を差し込みます。

 

赤経軸の尻尾側のベアリングを入れてから、赤経軸の尻尾側を固定するリングをねじ込みます。

 

軸の尻尾側を固定する黒いリングですが、赤経軸がガタつかなくなる、ギリギリのところで止めて、イモネジでその位置に固定します。

リングをきつく締めれば、赤経軸はガタつきませんが、赤経軸の回転が渋くなります。

 

赤経軸の尻尾側の蓋をします。

 

赤緯軸の望遠鏡側のベアリングを入れる溝にグリースを塗ります。

 

赤緯軸の望遠鏡側にベアリングを入れたところ。

 

赤緯軸のウォームホイールの内側にベアリングを入れます。

二つのベアリングの間にプラスチックを挟みます。

 

赤緯軸のウォームホイールと、円筒ウォームがついた蓋を被せました。

 

赤緯軸を通して、ウェイトシャフト側のベアリングと、ウェイトシャフトをねじ込んで組みあがります。

 

あとは、ギアのかみ具合をイモネジで調整して終了です。

 

前回(オートガイドで苦労した話 (その1) Sky Explorer EQ6pro 分解整備)は一人でやったので大変でした。

今回は3人がかりだったので、気が楽でした。

作業過程の写真もたくさん撮れました。

 

EQ6proをベランダ放置して2年が経過したため、EQ6proの状態が気になって行ったことです。

一部、グリースが硬くなって、回転が渋くなっていた部分はありましたが、結果として、思った以上に良好な状態を維持していました。

グリースを塗りなおしたことで、各ギアはクルンクルンの状態になったので、やってよかったと思います。

 

新型コロナウイルス感染症がひどい広がりをみせているので、他人と集まることにとても気を使うご時世です。

もちろん全員マスク着用でしたし、換気にも気を使いました。

何かとオンラインで済ませられる時代になりましたが、実際に集まってあーでもない、こーでもないとやるのは楽しいですね。

社会人になって、仕事一辺倒となり、なかなか友だち遊びができない期間が長かったです。

小学生時代のように、遊ぼー!と呼びかけて集まれることに幸せを感じた一日でした。

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2022/06/19 ニュートン式反射望遠鏡の主鏡が思った以上にデリケートであるという話

2022-06-26 10:41:51 | 天体望遠鏡

再コーティングしてピッカピカになった主鏡と斜鏡を取り付け、光軸調整もバッチリ!

赤道儀のクセもだいぶつかんだし、これでバシバシ天体写真を撮れるはず!!

この夜は月が満月の二日前でだいぶ明るかったのですが、試写してみました。

高く上がった夏の大三角のM57 惑星状星雲なんて、試し撮りの被写体として最適ではないでしょうか。

 

まずはこと座のベガでピント合わせ。

なんじゃこりゃ??!

見たことのない光条です。

横方向の光条が二重になっている。

縦方向の光条は1本。。。

小さな星々も縦に二重になって写ってます。

 

横方向の光条が1本になるようにピントを調整すると、、、今度は縦方向の光条が2本に分かれてしまいます。

小さな星々も横に伸びる。。。

こんな現象は初めて見ました。

 

縦・横の光条ができるだけ一本になるようにピントを調整したのがコレ。

やはりなんか変。

小さな星々の形も変。

 

雨上がりだったのですが、この日のシンチレーションは最高。

オートガイドはバッチリ。

 

何が原因なんでしょう?

光学系であることは間違いなさそう。

 

主鏡・斜鏡の取り付け作業と、それに続く光軸合わせで二人とも疲れてきていました。

ここでスパッときれいな写真が撮れていれば、やったぁー!とすべてがめでたしめでたしとなり、疲れも吹っ飛ぶはずだったのが、一つ難関を乗り越えるたびに次のハードルが待っているという毎度のパターン。

この望遠鏡、なかなか楽をさせてくれません。

 

今週の業務は平均よりかなり過酷だったし、この日は昼過ぎまで仕事をしてから山梨に来ていたので、僕自身ぐったり。

二人で、隣の休憩室でコーヒーを飲みながらスナックをつまみつつ、ネットでこの症状を検索してみようということになりました。

が、どう検索しても、このような光条の画像や記事に行き当たりませんでした。

なんなんだ?この現象は?

20万円かけて再コーティングしたのに、なぜ???

 

望遠鏡とにらめっこが始まりました。

うまくいかないときは、ひたすら、ジッとうまくいかない部分とにらめっこ。

この3年間、この望遠鏡と赤道儀と、どれだけの時間、にらめっこしてきたでしょうか。

しかも、毎度、ものすごく疲れた状態で。。。

 

今回、望遠鏡で変化があったのは光学系のみ。

つまり、主鏡と斜鏡だけです。

斜鏡はポン付けなので、問題を起こす可能性は小さい。

主鏡を疑いました。

ふと、別の友人の言葉を思い出しました。

 

「主鏡はすぐ歪むから、引きネジで調整した後の押しネジはかすかに触れる程度でいいのよ。押しネジを強く締めるとすぐ星像が歪む」

 

もしや、主鏡の後ろから押さえつけるコルク付きの金板のボルトを強く締めすぎたのか?

でもなぁ、厚さ75mmもあるガラスの板だぜ?

そんな少しボルトを締めたくらいで歪むか???

でも、ほかにやることないし、主鏡を押さえるボルトを緩めて、レンチを使わず、手で締めなおしてみるか。。。

 

正解でした。

 

な、なんと!

ニュートンの主鏡、むっちゃデリケートなんですね。。。

ほんの少しレンチで締めただけだったのですが。。。

 

M57 惑星状星雲

EOS Ra、ISO 400、360秒

 

勉強になりました。

厚さ75mmで簡単に歪むくらいだから、GINJI-250FNの主鏡なんてペランペランだと思って扱わないとだめですね。

 

この夜は二日後に満月を控えた月が明るく、撮影に適さないため、これで潔く撤退しました。

でも、オートガイドもバッチリ、主鏡・斜鏡もピカピカ。

あとは暗い夜空を待つのみ!

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50㎝ニュートンの主鏡・斜鏡 再コーティング 記録

2022-06-25 20:16:32 | 天体望遠鏡

この巨大ニュートン、40年物だと思われます。

主鏡も斜鏡もかなり曇ってきています。

主鏡の洗浄をしてみましたが、汚れがすべて落ちるものではありませんし、曇りもとれませんでした。

 

 

直径50cmの主鏡と斜鏡の再コーティングの見積もりを数社にお願いしたところ、同じコーティングでも20万円から50万円と幅がかなりありました。

埼玉県川越市の工場であれば自前で持ち込めたのですが、見積額が最高値の50万円でしたので却下。

再コーティングに出すならGEOMATECの宮城県の工場と決めました。

しかし、どうやって工場に主鏡を届けるか。

山梨県から宮城県まで車で往復すると二日がかりです。

受け取りに行くのも二日がかりとなると、かなりハードルが高い。

埼玉の自宅から出発することを考えると一日で往復可能ではあるが、、、翌日死ぬな。。。

 

宅急便で送るにしても、直径50㎝、重量20kgの主鏡を入れる箱を思いつかない。

段ボールはちょっと怖い。

緩衝材を詰め込んでも、落とされたら割れそう。

 

箱を作成するところからスタートしました。

選んだのはパネコート。

しかし、ウッドショックの影響で価格が2倍以上に跳ね上がってます。

カット代込みで4千円を超えました。。。

まずは設計図を描き、、、

 

で、作った箱がこれ。

 

 

箱だけで重さ11kgになりました。。。

 

さてさて、主鏡を外すのが大事(おおごと)なんです。

主鏡と、主鏡の台座(金属の枠組み)合わせておそらく50kg弱になります。

赤道儀に乗せた望遠鏡から重量50kgの部品を外したらどうなるか、星見屋ならわかりますね。

主鏡と台座を外す前に、赤道儀のバランスが崩れても大丈夫なように、ウエイトの下に小さな脚立を、望遠鏡の頭が落ちないように大きな脚立で支えを設置しました。

 

主鏡の引きネジ3本を外すと、主鏡の台座が外れます。

 

なんせ重いので、2人がかりで外しました。

1人では危険です。

 

主鏡の台座を外したところ。

 

外された主鏡と台座。

だいぶ汚れがついてます。

 

台座から主鏡を外すためには、ひっくり返す必要があります。

黒い金枠を固定しているネジを外します。

 

外した蓋。

 

蓋を外すと、主鏡を後ろから押さえるコルク付きの金板が3枚、出てきます。

 

主鏡を押さえる3枚のコルク付き金板と、黒い紙をどかすと、主鏡が出てきます。

 

日本特殊光機の中村和幸氏が制作した鏡であるようです。

番号から、1982年制作のようです。

つまり、40年物だということです。

 

主鏡を台座ごと再びひっくり返し、金枠の側面にある6本のM6ポリカーボネート・ネジを外します。

 

台座の黒い金枠を外します。

 

主鏡が出てきました。

 

主鏡のガラスの厚さは75mm程度。

 

直径は46㎝程度。

 

発泡スチロールで隙間を埋めて箱詰めしました。

 

斜鏡を外して分解したところ。

斜鏡の端に、前の持ち主がつけた指紋がついています。

 

主鏡も斜鏡も取り去って、空っぽになった鏡筒

 

総重量32kgになりました。

自宅近くのヤマト運輸に持ち込んだら、30kg以上の荷物は受け付けてもらえませんでした。

佐川急便が運んでくれることをネットで調べて、持ち込みました。

 

待つこと2週間半、届きました。

 

斜鏡はAl高反射でお願いしました。

 

主鏡は予算の都合でAlSiOコーティング

反射率は波長により83-92%程度ですが、再コーティング前とは比較にならないくらいピカピカになって戻ってきました。

 

小屋にも持って行き、センターマークを付けました。

 

台座の金枠の内側を見ると、鏡と金枠が直接触れないように緩衝材が貼ってありました。

 

金枠をかぶせ、

 

ひっくり返し、

 

側面のポリカーボネート・ネジで主鏡を金枠のど真ん中に調整して、

 

黒い紙をかぶせ、

 

主鏡を金枠に押し付けるコルク付きの金板3枚を配置し、

 

金枠の蓋をして、ネジで固定して、

 

主鏡を金枠に押し付けるボルトを適度に締め付け、

 

主鏡に取り付けました。

主鏡と台座を持ち上げて取り付けるのは、外す時より大変でした。

なので、その瞬間の写真はありません。

 

斜鏡にもセンターマークをマジックの点で付けました。

 

斜鏡の取り付け

 

斜鏡の調整は望遠鏡を上に向けて行いました。

スパナなどを望遠鏡内に落とすと主鏡が割れるので致命的です。

が、斜鏡も台座につけるとかなり重いため、望遠鏡を倒してのデリケートな調整は難しすぎました。

スパナにタコ糸をつけて腰に結んで作業を行いました。

レーザーコリメーターはまったく信用ならず、確認程度にしか使えないことに確信が持てたので、笠井トレーディングのALINEで調整をしました。

が、ALINEは周囲が明るくないと難しい。

夜間の工事現場などで使われている投光器がなぜかあるのでそれを使って照らしながら光軸調整しました。

が、夜間だったので蛾がたくさん寄ってきました。

すごい鱗粉です。

主鏡面に落ちる蛾もいました。

これはたまらん。

光軸修正後に、主鏡のアクセス窓から主鏡を確認すると、鱗粉だらけな上に、蛾のウンチまでついてました。

仕方がないので、ブロワーで吹き飛ばし、アルコールと精製水で慎重に汚れをふき取る作業が追加されたのでした。。。

 

笠井トレーディングのAlineを使ってこんな感じに調整できました。

中心の小さな点が自分の目がのぞいているのぞき穴です。

斜鏡にマジックで付けた中心点を示すマーク、ぼんやりしているとはいえ、意外と目立ちますね。。。

もはや大きくずれることはないので、アルコールで消してしまおうかな?

 

完成。

 

これでめでたしめでたし、と思って試し撮りをこの後するわけですが、思わぬ落とし穴が待ち受けていたのでした。

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2022/01/09 天体望遠鏡カバー追加 萩原工業 スノーテックス スーパークール

2022-01-10 14:44:08 | 天体望遠鏡

2020/12/31にEQ6proのベランダ放置を開始して丸1年が経過しました。
2021/11/03からはGINJI-250FNまで乗せっぱなしです。

天体望遠用カバー、TeleGizmos 全天候型 365シリーズ 25-30cm反射赤道儀用を被せてますが、裏地のアルミシートがずいぶん傷んできました。
このままでは望遠鏡にこすれて敗れそうなので、普通の自転車カバーをしてからTeleGizmosを被せるようにしました。
が、未だ若干、心もとない。
ネットサーフィンをすると、TeleGizmosを被せていたのに雨漏りをしたとか、裏地のアルミシートがダメになったとかの記事をみかけます。
NASAが開発した素材とはいえ、過信は禁物のようです。
1年経過してTeleGizmosがだいぶ汚れてきたので、この日はTeleGizmosにホースで水をかけ、スポンジでこすって洗い、テント用の撥水スプレーでコーティングしました。


もう少しできる工夫はないものかと探してました。
ネットサーフィンをしていて、日本最大のブルーシートメーカー 萩原工業が製造販売しているスノーテックス スーパークールが目に留まりました。


遮熱性・防水性にすぐれるというだけなら僕の目に留まることはなかったと思います。
僕の目に留まったのは、耐候性5年というところです。
メーカーの促進耐候性試験で、5年間で強度が99%維持されるとのこと。
僕のルーフテントに被せている耐候性を売りにしたカバーですら5年はもちませんでした。
耐候性5年を名乗るのはけっこう勇気がいると思います。
試してみよう!と思いました。

遮熱効果にも期待したい。
真夏の日差しを受けた赤道儀や望遠鏡がどれだけの温度にさらされるのか、気になってました。
あまり高温になっては基盤が傷むかもしれませんし、ギアのグリースが心配です。
スノーテックス スーパークールをかぶせるだけで、ブルーシートと比較して10℃もシート内の温度が低くなるとのこと。
素材の中にミクロボイドという気泡が入っていて、これが光を反射することで遮熱効果を発揮するとのこと。
作物の光合成や色付けを促進する効果があるそうで、果樹園の地面に敷く例もあるとか。
表面がラミネートコーティングされているので撥水性はよさそう。
(あとは、このラミネートコーティングがどれだけ維持されるか、ですね。)

スノーテックス スーパークールを被せたところ。


アルミコーティングされた自転車カバー
TeleGizmos
スノーテックス スーパークール

合計3枚被せるのは面倒くさいと言えば面倒くさいですが、そんなにしょっちゅう使うわけでもないので、よしとします。
さて、1年後、どうなっているか。
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