猫五郎の写真日記

なんか、写真よりも文章がメインになってます。しかも、くどい。要改善。でもなかなかねぇ。

2019/12/27〜2019/12/29 再び山梨県へ 乾燥空気装置設置、M42, M81, M51, M101, M5

2019-12-31 17:45:20 | 天体観測

今年、やり残したミッションがありました。
それは、家族を山梨の天体観測小屋に連れてゆくこと。
2019年5月以降、少なからぬ時間を、巨大望遠鏡修復と天体観測小屋改修作業のために投資してきました。
父親が何に夢中になっているのか、家族にもみて欲しかったのです。

何度も天体観測小屋に誘っているのですが、家族は家族でそれぞれに予定があり、クラブの試合があるとか、○○教室に行くとか、リサイタルに行くとか、何かと予定が合わず、年末に至ってしまいました。


前回の観測で、2,500mmニュートンの主鏡が結露することがわかったので、乾燥空気装置を準備しました。
素材はすべて、友人から頂きました。
ロータリーポンプという、聞き慣れないポンプを5台頂いたのを始め、ACアダプターから接続チューブからシリカゲルから、果てはインスタントコーヒーの瓶まで、頂きました。





うーむ、なんでも出てくるなぁ (^_^;)
お宅拝見して、我が家にも屋根裏部屋が欲しくなりました。
際限なくモノが増えそうですが。。。

これが完成した乾燥空気装置。
これで主鏡が結露しないといいな。




家族を観測小屋に連れて行くにしても、僕の夜の天体観測に家族を付き合わせたのでは大変です。
僕が天体観測する間は、奥さんと子どもには温泉宿に泊まってもらいました。

27日(金)は仕事から帰って、夕食を食べて、お風呂を済ませてから20時過ぎに出発しました。
この時間帯だと、高速道路が空いていて、最も短い時間で到着できるためです。
2時間程度で小屋に到着しました。
前回、渋滞にはまって片道5時間半かかったのとは大違いです。

山梨の高原なので、気温は零下。
コタツとストーブをつけて、部屋を温めて、家族で寝ました。

翌朝、子どもも奥さんも、巨大望遠鏡にびっくり。
主鏡を覗き込むと、やはり結露して曇ってました。




朝食後、近所の観光地を家族で見て回り、昼飯にはやはり、ほうとううどん。




そのあとは小屋で少しのんびりしてから、二人を温泉宿に送り届け、ここから僕の本番です。

今回、古いEOS kiss X3をF15 f1,200mmのガイド鏡につけるために持ってきたのですが、寒さのためにバッテリーが予備バッテリーも含めて一瞬でなくなりました。
やはり古い小型のリチウムイオンバッテリーは当てになりませんね。

その場で、EOS kiss X3に外部給電するDCカプラーをネットで探しました。
そしたら、EOS kiss X3のDCカプラーが、X4以降と規格が異なることが判明しました。

ネットで、EOS kiss X4で使えるDCカプラーDR-E8は、すぐに見つかるのですが、EOS kiss X3に使えるDR-E5がなかなか見つからない。
DR-E5をなんとか見つけたけど、ケーブルは別に探さなくてはならない。
古いものを使い続けるのって、いろいろ大変ですね。

(EOS kiss X3のDCカプラーについては今回の話の本筋から外れるので、書かないほうが文章として読みやすくなるのですが、このブログ、僕の備忘録もかねているのでご容赦ください)

EOS 60DaとEOS 6Dで使えるDCカプラーDR-E6は、二つあったので、EOS 60DaとEOS 6Dの組み合わせでいくことになりました。

なお、ガイド鏡と言っているものの、オートガイドをするわけではありません。
この望遠鏡、オートガイドはできません。
ノータッチガイドしかできません。
ステラショットの「導入補正」機能を使って、目標天体を導入するのです。

(ステラショットの「導入補正」機能とは、望遠鏡を大まかに目標天体に向けてから適当に写真を撮影すると、ステラショットが写真内の星の配置を解析して、望遠鏡がどこを向いているのかを判断し、目標天体を画面の中央に持ってきてくれるという神機能です)

「導入補正」は本来、撮影する望遠鏡で使う機能ですが、F5 f2,500mmの巨大ニュートンで「導入補正」をするのは無謀です。
写真に写る星の数が少なすぎて、解析に時間がかかるし、導入補正の精度も落ちる。
そこで、F15 f1,200mmのガイド鏡とF5 f2,500mmの巨大ニュートンの向いている方向を正確に合わせておいてから、F15 f1,200mmのガイド鏡につけたカメラをステラショットに接続して、目標天体を導入しようという作戦なんです。

今回は、ガイド鏡にEOS 60Daを、巨大ニュートンにEOS 6Dを接続しました。
F15 f1,200mmの望遠鏡のイメージサークルは狭いので、フルサイズセンサーだとケラレる怖れがあると判断したためです。
写真にケラレが出ると、導入補正がうまく機能しないでしょうから。

まずは乾燥空気装置を巨大ニュートンに二つ取り付けました。
主鏡にアクセスするための横扉から乾燥空気を送るためのチューブを挿入しました。
なので、扉が薄く開いた状態です。
ヘッドライトなどの光がうっかり入ってしまうと写真に影響する、ということです。
実際、撮影していて、何枚もヘッドライトの赤い光が映りこんでしまいました。


一人でこの巨大な望遠鏡を扱うのは始めての経験です。
今回加わった乾燥空気装置の2本のビニールチューブを含め、赤道儀のコントローラケーブル、電動フォーカサーのケーブル、EOS 60DaとEOS 6DのUSBケーブル、ガイド鏡のレンズヒーターのケーブルなど、もろもろのケーブルが、望遠鏡を取り回す際、どこかに引っかかっていないか、巨大カセグレンがスライディングルーフや壁にぶつからないか、いろいろ気をつけながらの操作になります。

でも、今まで何度も扱ってきたので、気をつけるポイントを抑えれば、何とかなるものでした。
複数人数いるならその方が安心ですが。


今回の撮影では、望遠鏡の追尾がなかなかうまくいかず、最大露出は90秒、多くは60秒露出でした。
M42以外はISO 12800です。
4~16枚コンポジットしてあります。

最初に狙いをつけたのは、この時期、全天で一番目立つM42でした。
無改造EOS 6Dなので、M42の赤みがあまり写ってません。
でも、これだけ写ればたいしたものです。
やはり前回と違い、星像がよりシャープになっています。




スバルのメローぺ。
今回は60秒露出がやっとだったので、この程度の写りになりました。
スバルのメローぺ周辺のガスを浮かび上がらせるなら、ISO12800でも120秒はほしいですね




次は、前回、ボヤッとした写りになったM81です。
前回よりずっとシャープな写りになりました。
乾燥空気装置、効果あり!
(トリミングしてます。)




M51
子持ち銀河
トリミングなし




M51
トリミングあり




M101回転花火銀河
追尾がなかなかうまくいかず、4枚コンポジットです。
淡くて、なかなか写りこんでくれないので、せめて8枚、できれば16枚でコンポジットしたいところです。




薄明になりました。
疲労困憊で意識は半分朦朧。
しかし、まだ気が収まらないらしく、まだ撮影を続けようとする。
しかし、空が白んでいるとなると、撮影対象が限られます。
というわけで、M5球状星団(トリミング無し)
背景が明るいのに、強引に画像処理しました。




M5球状星団(トリミング)
星が揺らいでいるためか、ツブツブ感が今一つです。




本当はM63ひまわり銀河も撮影してあるのですが、追尾が不調で、一枚も点像を得られず。

この夜は今迄で一番寒く、望遠鏡もカメラも、床も、壁まで霜が降りました
でも、いったん目標天体を写野の中心に捕らえたら、長い10mのUSBケーブルを隣の部屋まで引っ張っていき、撮影操作はコタツとストーブに当たりながら行えたので、野外の天体撮影とは比較にならないほど楽でした。






現状でもかなりの撮影ができます。
60秒露出で歩留まりは50%程度です
あとはISO 25600を使えるカメラを用意すれば、相当な数の天体を撮影できるはずです。

が、現状、ISO 25600に耐えるカメラを持っていない。

あとは、120秒露出に耐えるまで赤道儀の動作精度を追い込めないか。

現状、そして今後も口径350mm f2,700mmのカセグレンは使う予定がありません。
(使おうにも、カセグレンの主鏡が曇っています。)
巨大なカセグレンを取り外せば、全体がコンパクトかつ軽量になって、取り回しが楽になるうえに、モーターの負荷も減って、追尾精度が上がるのではないか、などと妄想してしまいます。

しかし、あの巨大カセグレン、おそらく重量150kgくらいはあるでしょう。
カウンターウェイトも50kg(?)が3枚、25kg(?)が2枚、10kg(?)が1枚、3kg(?)が1個ついてます。

外すにしても、操作を誤れば怪我人が出かねません。
安全に行う手立てはないものか。。。
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口径50cm, 焦点距離2,500mmの巨大ニュートン式望遠鏡

2019-12-05 18:41:54 | 天体望遠鏡

人生にはなにが起こるか、どんな出会いがあるか、わかったものではありませんね。

赤道儀と望遠鏡合わせて、総重量1トン級の機材を自由に使わせてもらう機会に恵まれています。

40年近く前に設置された望遠鏡らしい。
手作り感満載の望遠鏡です。
赤道儀もおそらくこの1台のみの特注品。

こんなものが、15年くらい放置されていたようです。

2018年12月にこの物件が発掘され、僕は今年の5月からこの望遠鏡や、望遠鏡が収納されている観測小屋の改修作業に参加してきました。

そしてこの2019/11/30に、やっと望遠鏡の稼働までたどり着いたのでした。

口径50cm、焦点距離2,500mmの巨大ニュートンは圧巻ですが、15年くらい放置されていた、40年前の望遠鏡ですので、主鏡は曇っています。
が、なんとか使えそうなレベル。

(巨大ニュートンが口径35cm, 焦点距離2,700のカセグレンをしょっていますが、カセグレンの主鏡は使い物にならないくらいに曇っています。)




赤道儀も望遠鏡もあまりに巨大で、一人では扱えないです。
使い方をわかっている人が最低2人がかりで稼働させるのが無難な代物です。

改修作業は難題に次ぐ難題を一つ一つ丁寧に解決していく、根性のいる作業でしたが、ほとんどは友人の創意工夫で乗り越えてきました。

その過程はまたの機会にお話しできればと。

今回は、この1年間の集大成を紹介するにとどめようかと思います。

15年ぶりくらいに再稼働した望遠鏡で撮った写真です。

オートガイドはできませんので、すべてノータッチガイド。
カメラはすべてEOS 60Daです。
EOS 60DaはセンサーがAPS-Cなので、画角は4,000mm相当になります。
下の写真は注釈がない限り、ノートリミングです。


M45 スバルのメローペ
ISO 6400 60sec 4枚コンポジット
焦点距離2,500mmなので、当然、M45は画面に収まり切りません。
なので、星間ガスを撮るべく、メローペのみに焦点を合わせました。
普段の常識では考えられない画角です。





M42 オリオン大星雲
ISO 6400 60sec 4枚コンポジット




馬頭星雲
ISO 6400 60sec 8枚コンポジット




M81 渦巻き銀河
ISO 6400 180sec 8枚コンポジット



トリミングしたのがこれ。




M82 葉巻銀河
ISO 6400 120sec 4枚コンポジット




M51 子持ち銀河
ISO 6400 180sec 4枚コンポジット





圧巻の画像です。
シンチレーションが悪く、星が揺らいでいる夜だったので、星が膨化して写ってしまうのはしかたがないかと。

スバルのメローペ以外の写真は、主鏡が結露したかな?

いずれにせよ、これは、今後が楽しみです。

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