問わず語りの...

流れに任せて

ホラー映画としての『ゴジラ-1.0』

2023-11-16 07:39:12 | 怪獣、特撮

 

 

 

 

2度目の鑑賞!やはりね、神木くんの演技が素晴らしいです。

 

 

目の配り、目つき、ちょっとした顔の表情、手の仕草、身体全体の動き。すべてが素晴らしい。敷島の細かい心情を見事に表しています。

 

 

山崎演出は「心情を全部セリフで喋っちゃう」と批判されることがよくあります。確かにそういう面はありますね。

 

私自身、喋り過ぎる映画はあまり好きではありません。特に時代劇ね。喋り過ぎる時代劇は「みっともない」とすら思う。やはり、セリフに頼らず画で観せろよ!と言いたくなる。

 

 

でも今作に関してはあまり気にならなかった。演者のみなさんの演技が非常に素晴らしく、セリフはその演技の意味をよりわかりやすくするためのものという位置に徹していた、という感じかな。

 

 

まあ、今回に関しても、セリフの部分で文句を言っている人たちは多数見受けられるし、それはそれで一つの意見。否定はしません。

 

 

でも少なくとも私自身は、さほどに気にならなかった。今回は演技とセリフとのバランスがうまく取れていたんじゃないかな。

 

 

まあ確かに、佐々木蔵之介さんの演技はオーバーといえばオーバーだし、あれが嫌だという人は結構多いみたいですが、でもこの蔵之介さんの演技に、吉岡秀隆さんの独特なホンワカした演技が加わることで、不思議な「調和」が生まれるんですね。あれは面白かった。

 

 

その吉岡秀隆さんの「目」。演じる野田という人物は学者です。学者としての立場からゴジラと対峙したときに、「非常に興味深い研究対象が現れた」という気持ちが湧いてきて、どこか喜々としているんです。そういう学者の「狂気」が目に出ている。

 

 

昨日の夜。WOWOWで『妖星ゴラス』という古い特撮映画を放送していたのですが、この中で志村喬さん演じる生物学者が、目の前に現れた怪獣に思わず近づこうとしてしまうシーンがあるんです。学者としての興味が恐怖心を凌駕してしまう。こうした学者の「狂気」。山崎監督は、あるいはこの『妖星ゴラス』の志村喬さんの演技を意識していたのかも。

 

 

それと山田裕貴さん。見事な「昭和顔」になってましたよね。あれは感心したなあ。

 

 

駆逐艦「雪風」の艦長さんとか、いかにも軍人さんという雰囲気を醸し出していて良かったし、演者のみなさんが皆素晴らしかったんですよ。この方たちがドラマ部分をよく支えてくれていて、1本の映画として大変素晴らしい仕上がりになっていると思う。

 

 

CGがどんなに凄くても、この演者さんたち無しに、この映画は成立しえない。みなさん良い仕事をして下さいました。心よりの拍手を送りたい。

 

 

 

 

 

 

 

昭和29年制作、第1作目の『ゴジラ』の頃は、まだ怪獣映画というジャンルが確立されていなかったので、当時の世間一般としては「恐怖映画」、「ホラー映画」という捉え方をしていたのだと思う。

 

今回の映画も、ホラー映画としての側面が強く出ていますね。特にラスト・シーン。

 

 

海中に沈んでいくゴジラの破片がボコボコっと再生しはじめる。あれは金子修介監督の『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』いわゆるGMKへのオマージュということもありますが、まだゴジラは死んでいないということで、ゴジラの恐怖はまだまだ続くわけです。

 

浜辺美波ちゃん演じる典子さんの首筋に現れた黒い痣。あれはよく観ると、最初からあった痣ではなくて、わさわさっと湧き出てくるんですよ。まるで「生きて」いるかのように。

 

怖いよ~。

 

 

神木くん演じる敷島にしても、他の登場人物たちにしても、状況から鑑みて多量の放射線に被曝していると思われ、この後放射能症に苦しむことになるのではないか、ということが想像されるし、東京は原爆を落とされたのと同じ状況ですから、この後の復興もなかなか大変。

 

 

映画が終わったあとの世界を想像すると、現実の我々が生きている世界よりも、もっと悲惨な未来が待っているようにしか思えない。

 

「ゼロからマイナスへ」というのは、実は映画が終わったあとの世界のこと、なのではないでしょうか。映画が終わったあとにこそ、「絶望」が待っている。

 

 

そういう意味ではこの映画、本編はまだ始まっていない。序章に過ぎないのかも。

 

 

そしてこの序章、この「絶望」は、果たして映画の世界だけの話、なのでしょうか?

 

 

我々が生きているこの現実の世界も、このままいったら「絶望」が待ち受けている、かもしれないよ……。

 

 

 

ひゃー!

 

 

怖ええよー!

 

 

 

 

 

そういえば、橋爪功さんがエキストラで出演されていましたよね。それも画面の真ん中に堂々と(笑)。

 

 

あの緊迫した場面で、あれにはちょっと笑ってしまう。まるで手塚治虫の「ヒョウタンツギ」みたいな役割で

 

 

面白かったなあ。

 

 

 

面白い映画です。怖くて、楽しくて

 

 

良い映画です。

 

 

今年度№1!

 

 

 

 

 

 

 

間違いない!

コメント (5)
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