行きました!行きました!行ってきましたよ!!今日のお休みは、国立新美術館で開催中の「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣展」へ行ってきました。
クリュニー美術館は私のパリの定宿から徒歩5分。にもかかわらず、実際に訪れたのは20年前に一度だけ。その時は、ガランと暗い館内でひとりぼっちで見た思い出がありましたので、東京の美術館の混み具合を考えると二の足を踏んでいたのですが、お客様の「会場は広いし、そんなに混んでいませんでしたよ!」の言葉に背中を押され行くことに。お客様のおっしゃっていた通り、天井も高く、件のタペストリー6枚が飾られていたのは広々とした空間、近づいてすぐ間近に見ることも出来、なかなか満足の展覧会でした。
昔、現地で見た時には、退色を避けるためかなり照明を落としてあり、ただただ薄暗く(そんな照明でも私達日本人の目とは明るさの感受性が違うフランス人にはよく見えていたのかもしれませんね。)、あまり色味が記憶に残っていなかったのですが、今回はそれに比べるとずっと明るく、赤い色合いがとても印象的でした。
そして、不思議に思ったこと。それぞれタペストリーの下の部分だけ退色しているのに、上の部分はほぼ綺麗な赤色(茜の染織だそうでね。)が残っている!なにしろ500年前の草木染めの羊毛でもあるので、ひょっとして色の残っている大半が補修?とも思ったのですが、実はそうでもなくて、美術館に買い上げられた18世紀に、傷みの激しかった下の部分のみ補修されたものの、結局オリジナルの部分があまりに上質だったため、そちらは退色せず、補修された部分が先に退色してしまったのだとか…。よくよく見ると裂けた部分を補修したと思われる箇所もあり、「500年前の物だものね。当然よね。」とじっくり観察。
なによりタペストリーのテーマがとても神秘的で、その由来や意味がはっきり分らないのも楽しいですね。私の好きな北欧ルネサンスの画家クラナッハを思わせる細身の貴婦人像にとても惹かれました。周囲の草花模様やウサギや狐などの動物も可愛い!すずらんのお花を見つけた時には嬉しくなってしまいました。そうそう、一緒に展示されていた当時のリングや金銀細工のベルトも興味深く、小さな聖女の像がとても愛らしく、こんな極東の国に連れてこられてしまって、ちょっぴり不憫な気がしました。
それにしても、こうしたフランスの国宝ともいえる物が日本で見ることが出来るって凄いな、と思いました。またいつの日か新装したクリュニー美術館でも見てみたいです。