あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

ファルロスと海

2017-06-18 20:28:31 | 
ファルロスの高層ビルから下に、海が広がっている。
本当に薄暗くて、気味が悪い。
何によってこの世界が呪われているか、誰も知らない。
知りたくもない。
その世界には、わたしと彼しか生きていない。
わたしは彼に、疲れきっていた。
もう顔も見たくなかった。
彼の顔は嫌いだった。
醜かった。
彼はわたしを脅迫していた。
どうでもいい面倒なことに執着し、わたしに嫌な言葉を吐き続けた。
死んでほしかった。
この世界から逃げられる方法がひとつだけあるのなら、あのファルロスから、わたしは海へ身を投じる。
わたしの愛は、海に閉ざされて、引き裂かれ、助けられ、感じたことのない感覚を求めたいだけなのかもしれません。
あなたの愛を、わたしは微塵切りにしてやりたかったんだよ。
わたしはあなたの存在を喪いたかった。
あなたに愛されたあとに、あなたをなくしたかった。
無限の呪詛と、無限の祝福がまったく同じものだと、あなたとわたしは知りたかった。
ここから、この気持ち悪い世界から、スタートしよう。
すべてが気色悪いモノと化した海の上で、わたしはあなたの子を産む。
人間味を喪った気色悪い怪物を何故あなたは愛したのでしょう?
それはわたしが人間だからですよ。
人間からスタートして怪物になっていき、怪物からスタートして人間になっていき、人間は怪物を求め、怪物は人間を求め、別々をあなたに提供できてますよ。
地獄が恍惚になっていきますよ。
人を地獄に喜んで突き落とせるようになりますよ。
愛は、無限で、無限が、愛ですよ。
死ぬことはできませんよ。
どんどん、地獄になっていきますよ。
どんどん、幸福になっていきますよ。
愛が膨らもうが縮まろうが興味がないですよ。
それも愛ですよ。
あなたをわたしは突き落としたかったんですよ。
わたしの真っ暗な海にね。
あなたの超無限信仰高速深考察が鬱陶しかったので、良い加減を見計らい、突き落としたかったんですよ。
ファルロスはそのために立ち聳え続けていますから。
やっぱり、飛び込みたくなりますよ。
















闇に架る虹

2017-06-18 16:31:49 | 
わたしのいない世界に、あなたもいないように感じます。

あなたは雨雲。
わたしのために雨を降らせてくださるのです。
わたしにあなたという虹を約束するために。

でも今はあなたの雨はあたたかいです。
あなたのために何度涙を流しただろう。
わたしのために何度雨を流しただろう。
あなたは・・・・・・

あとどれほど流したら、あなたはわたしを抱きしめてくれるだろう。
あなたの雨をどうか止ませないでください。
わたしにはあなたが必要なのです。

わたしは海月(くらげ)のように、渇くと死んでしまうのです。
あなたが降らせなければ、どうやって生きてゆけばいいのですか。
わたしは消えてしまう。

わたしはあなたの雨を要求しています。
あなたのしょっぱい雨が、わたしを生かすのだろう。
海に映った月、わたしはひとりでゆられている。
限界を求めることを、ひとりで決めたのです。
永遠に忘れるほどに、あなたを愛したのです。
もうすぐあなたに、溶けて消えてしまう。

あなたは生まれるとき、涙を流しました。
わたしは夜の虹をまだ見たことがありません。
でもわたしがほんとうに見たいのは夜の虹なのです。
あなたは暗闇のなか涙を流したので、それが光となり、闇に虹がかかったのです。
あなたは泣きながら微笑んでいます。
(。◕‿◕。)
だからわたしはあなたを愛しています。
わたしの無数の罪を、赦してほしいのです。
これからも無限に拡がるわたしの罪たちを……