横スカッとジャンパーズ

徒然なる侭に、主にマリノスと日常をくっちゃべります。毒にも薬にもなりません!

片道切符なんかじゃない!

2008年05月21日 00時29分19秒 | 雑記
昨日、父は母と兄を伴って、名古屋へ旅立った。
正確に言えば母と兄に連れられてなのかもしれない。しかし父は「自分が治療を受けに行く」と考えているので、伴っている意識である。
あくっまさんは木曜金曜と連続で休んだので、月曜は出社した(留守番)

新幹線ホームに叔父(父の弟)がいたそうだ。
元々あくっま家は友人はおろか親戚にも父の病状を語らない。今回は父の余命が2週間という大騒ぎの時に、どうしてもツテが欲しくて両親の兄弟にコネクションを探した経緯があるので、叔父は父の病室に何度も立ち寄っていた。
二人きりの兄弟なのだから、心配なのは当然だろう。

しかし叔父はしきりと「おじいちゃんと一度会ってくれ」などと祖父との面会の事を何度も言い、日曜日になって父も折れて老人ホームから連れ出した祖父と面会させたりした。
父としてはちゃんと東京に帰ってくるつもりだったので大げさにしたくは無かったのだが、案の定叔母(叔父の妻)も連れて二時間もご対面だったらしい。

そして昨日の朝、あくっまさんのケータイに従姉妹からメールが来た。
従姉妹は現在妊娠五ヶ月なのだが、彼女からのメールに「おじさんのお見送りにいけなくてごめんなさい、どうしても行きたかったけど両親に猛反対されて」と書いてあった。

従姉妹は根はいい子なのだが思い込みの激しく暴走しがちなところもあるので、「いやいや、気持ちだけで充分よ。父は元気だけど体力は落ちているから、ちゃんと対応できなかったかもしれないし」とメールした。
このメールで少々不安になったのだが、午後からの母のメールで予感は見事的中。


父の見送りに、叔父どころか叔母と従兄弟(社会人)も新幹線のホームに!


基本的に見舞いも断ってきたのに(叔父本人の見舞いも何度も断っていた)、27歳の従兄弟に会社を休ませてまで、お見送り。
父を勇気付ける為のお見送りなのかもしれない。
だが、今までなるべく身内だけでひっそりやっていた事を、まるで今生の別れのような扱いにされて、母は怒った。
勿論うわべにはにこやかに、そして父にも気配を見せず、兄に対して爆発したらしい。

治療方法のない末期がんの患者が転院する。
そのイメージは、確かに今生の別れなのだろう。だが本人は治療をしに行くつもりなのだ。
今回だけは治療の手立てが必要で、初めてコネというものを探した。その中で母のツテだけが唯一希望となり、転院という運びとなった。
叔父もツテがない中頑張ったと思うが、最後まで「兄貴がヤバイ!」という気持ちの方が先行し、特に母には別れの準備に感じられて大変不快な気持ちになったらしい。

叔父の気持ちもわかるが、ひっそり派のあくっまさんも、そんな大げさにして欲しくないな…と思う、お見送りだった。
いやね、結構体力使うのよ、お見舞い客との対応って。
患者も家族も、時に理不尽と思うほどに。



そんな父は本日、検査した。
その結果、現在のままだと化学療法は受けられないと言われた。
父の受けていたFOLFOXの平均効果期間は約6ヶ月。父は4ヶ月で効果が切れ始め、腸閉塞が起きた。
大腸がんのもう一つの薬、FOLFOLIは、腸閉塞を引き起こす。腸閉塞の患者には使ってはいけない禁忌と言われている。
それを使うなんて、一体どういうやり方なんだろうと思っていたら、知人の医者は両親に向かって「胃と小腸のバイパス手術をする」と伝えたそうだ。
現在腸閉塞の起きている十二指腸周辺を抜かした小腸の場所と繋ぐらしい。

大腸と小腸のバイパス手術をしてまだ3週間と少し。しかもその時バイパス手術をして腸炎を起こしている。危険なのではないかと言うと、医者は「効くか分からないFOLFOXを2ヶ月するより、バイパス手術をすれば治療方法が広がる」と答えたそうだ。

そしてバイパス手術から10日から2週間後に化学療法を行うらしい。
母は「癌専門病院だと4週間は絶対やらないと言っていたのに、なんでそんなに早いのか」と尋ねたら、その病院では術後平均が10日から2週間後に何も無ければ、化学療法を始めるそうだ。
勿論時間を置けば安全だが、早く始めた方が治療成績もいいかららしい。

もし前回の手術から2週間で抗がん剤が再開できたら…そう思うと悔しい。
それが、癌専門病院と総合病院の違いなのだろうか。


癌の手術数は少ないかもしれないが、外科の手術数自体は劣らない。
だからこそ、そんな手術プランが考えられたのかもしれない。
だが、とても怖い。

医者は確かに緩和ケアに回してもおかしくない患者だと言ったそうだ。
それでも、何も食べられないまま緩和へ移行させるのではなく、もっと楽な状態にさせたい。
そして楽な状態になれば、治療に使える薬の数も増えると。
父は手術を受けたいと答えた。



家族としては、とても怖い。
しかし、このまま何もしないでくれ、と言う事も出来ない。
手術が成功しても抗がん剤が効くとは限らない。効いても副作用が強すぎるかもしれない。
何が良いのか分からない。
QOLってなんなんだ。

手術自体は簡単らしいが、会社を休んで応援したい。
そろそろ会社に言い訳するのが辛くなってきた。本日も周りから「二日も休んでどこにいったの?」と聞かれるので「病院です」と正直(?)に答えたら、何もいわれなくなった。
ああ、噂の怖い会社だ。

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