横スカッとジャンパーズ

徒然なる侭に、主にマリノスと日常をくっちゃべります。毒にも薬にもなりません!

姑息手術

2008年04月27日 18時55分25秒 | 雑記
父の癌が大腸を圧迫し、腸閉塞になった。
抗がん剤が効いて癌が狭窄し大腸を圧迫したのか、それとも抗がん剤が効かなくなって癌が肥大して圧迫したのかは分からない。
腸閉塞になっている間は抗がん剤治療が受けられない、もちろん食事を取ることも出来ない。
前回の入院から退院して2日後に再入院し、金曜日に腸閉塞を改善させる手術を受けた。
圧迫している癌を取り除くのは大きすぎ、また下手に刺激を与えると増悪するので何も出来ない。

腸閉塞を改善するには、人工肛門にするか、小腸から肛門へのバイパス手術しかなくなった。
しかも相当体内の状態が良くないとバイパス手術はうまくいかない。縫合不全を起こして合併症を起こし、より酷い事態になってしまうからだ。


癌の根治手術ではない手術は、一般的に姑息手術と言われている。
しかし、このまま一ヶ月以上食事を取っていない父を元の生活に戻し、再び抗がん剤治療をするには、姑息手術を受けるしかない。

今の医療訴訟が多い世論を考えると、リスクの高いバイパス手術よりも人工肛門を付けるのが基本だという医師の説明を受け、とにかく管だらけの生活から改善してもらうため父は再び手術台に乗った。

結果として、姑息手術は成功した。
開腹した結果、癌も去年の11月よりは縮小しているのを確認し、予想よりも父の体内状況は良かったようでバイパス手術が行われたようだった。
まだHCEから出ていないが、そろそろ外科病棟に戻って食事が再開されるだろう。

HCEで父を見舞っていると、隣の人の会話がカーテン越しに聞こえてきた。
人工肛門を付けたというのが聞こえている。しかし、先週余命一年と宣告された父と、初めて癌の手術を受けたであろう、そしてそれが根治手術であったであろう隣人とは、カーテン一枚でも運命が大きく隔てられていると感じた。

この仕事をしていると神様なんていないと思いますよ。
化学療法の医師が母に言った台詞だ。


それでも、私達家族は何かにすがって生きている。
そうでないと、生きていけない。
何百人、何千人と絶望の淵に立たされている患者と家族を見てきた医師の言葉は真実かもしれないが、私達にとって父はたった一人で、家族は家族を支えないと生きていけない。
己が悟るのは構わないが、その悟りを患者達に押し付けないで欲しい。

怖い。

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