二年生の後輩から「先輩方へ私たちの決断をお伝えしたいと思います」連絡があり、土曜日に練習を見に行った。
月の人はより酷い射形になり、Sちゃんはほどほどだが夏休みに語学研修に行っていただけあり、体力が足りない。
相変わらず月の人は体操を覚えられず、元気よく「掛け声します!」と言って前の人と同じ動きをし、先輩に鏡動きを注意される。
筋トレが覚えられず、更に注意。
…うーん、一年半見た光景。
そして夏のノルマ表を二人から提出してもらった。
語学研修で弓に全く触っていなかったSちゃんは、腹筋10回、腕立て10回などの数字が並ぶ。
…(;´・ω・`)
本当に体力がない子なのね。
次は何だかワサワサしたノルマ用紙が。
それは、附箋が山ほど貼られたノルマ用紙だった。
一コマ三センチ四方で充分書くスペースはあるのだが、書ききれずはみ出した部分を附箋に書いたらしい。
期待したあくっまさんは、恐る恐る用紙を読む。
八月五日「鼻血を出したので静養」
八月六日「雨の為、休養」
八月七日「夏バテの為、室内で素引き10回」
…夏休みの日記?!
あく「先輩、申し訳ないんですがノルマ表の書き方教えましたか…」
先輩「…ちゃんと教えたわよ」
相変わらず予想外な行動をする月の人。
結局、一ヶ月半の夏休みの間、彼女がアーチェリーをしたのは三回だった。
練習も終わり、あくっまさんと先輩は談話室で二人が来るのを待った。
薄々予想はついていたが、月の人は「アーチェリーは今後も続けるが、今年でクラブとしての活動を終えたい」と申し出た。
我々もわかっていたので「二人で今までよく頑張ったね、来年は新歓しないでいいんだね」と言うと、引き止めてもらいたかった様子の月の人は面食らっていたが、Sちゃんはしっかりと頷いた。
では、よみうりランドの射場の撤去の日程についてと事務的な話が先輩によって仕切られ、日本女子大学アーチェリークラブ45年の歴史は、幕を閉じた。
あっけなかったが、正直なところ肩の荷がおりた。
この二人に続けてもらうのは誰が見ても無理で、我々も支えきれない。
やれるところまでやったという自負はある。その結果として、自己主張が苦手で体力の無い子と、対人コミュニケーションに重大な欠陥がある子しか入らなかったのだ。
もう、これ以上クラブ存続に使う体力と希望は、OGには残されていなかった。
ただ一つだけありがたかったのは、二人ともクラブや我々が嫌いで辞めたいと言っているのではない事だった。
去年の四年や他の後輩のように、
「四年間楽しい思い出なんて一つもなかった!」
「先輩達が恐くて恐くて、辞めたいなんて言えなかった!」
「私たちには心を開く現役は、学連活動はしたくても部活動はしたくないといっているのに、無理矢理新歓活動をさせるOGはただのエゴだ!」
「OGリストから私たちを取り除いてくれてかまわない!」
色々言われた気がする。
こんなヤツラでクラブを終わりにするのと、どっちが良かったのだろうか。
…どっちもどっちだな。
月の人があくっまさんの同期から貸与されている弓の返却について、月の人は「学連の試合に出るんでこれは借りたいんですけど!」と勝手な事を言っていたが、それらや備品の処理も含めてクラブとしての活動は12月のOG会で終わる。
その時まで部費とOG会の会計報告書をあくっまさんはまとめる必要があるが、これでようやく社会人とクラブの二重生活から解放されると思うと、嬉しい。
その日の帰り道、先輩はふと思い出したように口にした。
「…私たちだけで打ち上げしたいよね」
一年半の間費やしてきた時間が無駄だったのを、あくっまさんはその時ようやく思い出した。
あくっまさんの胸の奥でも、たくさんの週末や有休、平日の迷惑なメールなど、今まで費やした時間の多さに、ふつふつと湧いてくるものがあった。
「打ち上げ、絶対やりましょうね」
怒りよりも虚脱感が勝ったあくっまさんは、ほうけた答え方しか出来なかった。
月の人はより酷い射形になり、Sちゃんはほどほどだが夏休みに語学研修に行っていただけあり、体力が足りない。
相変わらず月の人は体操を覚えられず、元気よく「掛け声します!」と言って前の人と同じ動きをし、先輩に鏡動きを注意される。
筋トレが覚えられず、更に注意。
…うーん、一年半見た光景。
そして夏のノルマ表を二人から提出してもらった。
語学研修で弓に全く触っていなかったSちゃんは、腹筋10回、腕立て10回などの数字が並ぶ。
…(;´・ω・`)
本当に体力がない子なのね。
次は何だかワサワサしたノルマ用紙が。
それは、附箋が山ほど貼られたノルマ用紙だった。
一コマ三センチ四方で充分書くスペースはあるのだが、書ききれずはみ出した部分を附箋に書いたらしい。
期待したあくっまさんは、恐る恐る用紙を読む。
八月五日「鼻血を出したので静養」
八月六日「雨の為、休養」
八月七日「夏バテの為、室内で素引き10回」
…夏休みの日記?!
あく「先輩、申し訳ないんですがノルマ表の書き方教えましたか…」
先輩「…ちゃんと教えたわよ」
相変わらず予想外な行動をする月の人。
結局、一ヶ月半の夏休みの間、彼女がアーチェリーをしたのは三回だった。
練習も終わり、あくっまさんと先輩は談話室で二人が来るのを待った。
薄々予想はついていたが、月の人は「アーチェリーは今後も続けるが、今年でクラブとしての活動を終えたい」と申し出た。
我々もわかっていたので「二人で今までよく頑張ったね、来年は新歓しないでいいんだね」と言うと、引き止めてもらいたかった様子の月の人は面食らっていたが、Sちゃんはしっかりと頷いた。
では、よみうりランドの射場の撤去の日程についてと事務的な話が先輩によって仕切られ、日本女子大学アーチェリークラブ45年の歴史は、幕を閉じた。
あっけなかったが、正直なところ肩の荷がおりた。
この二人に続けてもらうのは誰が見ても無理で、我々も支えきれない。
やれるところまでやったという自負はある。その結果として、自己主張が苦手で体力の無い子と、対人コミュニケーションに重大な欠陥がある子しか入らなかったのだ。
もう、これ以上クラブ存続に使う体力と希望は、OGには残されていなかった。
ただ一つだけありがたかったのは、二人ともクラブや我々が嫌いで辞めたいと言っているのではない事だった。
去年の四年や他の後輩のように、
「四年間楽しい思い出なんて一つもなかった!」
「先輩達が恐くて恐くて、辞めたいなんて言えなかった!」
「私たちには心を開く現役は、学連活動はしたくても部活動はしたくないといっているのに、無理矢理新歓活動をさせるOGはただのエゴだ!」
「OGリストから私たちを取り除いてくれてかまわない!」
色々言われた気がする。
こんなヤツラでクラブを終わりにするのと、どっちが良かったのだろうか。
…どっちもどっちだな。
月の人があくっまさんの同期から貸与されている弓の返却について、月の人は「学連の試合に出るんでこれは借りたいんですけど!」と勝手な事を言っていたが、それらや備品の処理も含めてクラブとしての活動は12月のOG会で終わる。
その時まで部費とOG会の会計報告書をあくっまさんはまとめる必要があるが、これでようやく社会人とクラブの二重生活から解放されると思うと、嬉しい。
その日の帰り道、先輩はふと思い出したように口にした。
「…私たちだけで打ち上げしたいよね」
一年半の間費やしてきた時間が無駄だったのを、あくっまさんはその時ようやく思い出した。
あくっまさんの胸の奥でも、たくさんの週末や有休、平日の迷惑なメールなど、今まで費やした時間の多さに、ふつふつと湧いてくるものがあった。
「打ち上げ、絶対やりましょうね」
怒りよりも虚脱感が勝ったあくっまさんは、ほうけた答え方しか出来なかった。