弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

営業秘密の保護4

2014-10-24 19:04:12 | 知財一般

今日の午後は、名古屋近郊まで出かけて無料法律相談を担当してきました。

日頃、特許だ、著作権だ、商標だとやってることが多いのですが、こういう一般的な案件の相談を担当することもあります(^^)

 

さて、営業秘密の保護シリーズ4回目。

第1回の記事で、企業内の情報が営業秘密として保護されるには、

 

・秘密として管理されていること(秘密管理性)

・有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)

・公然と知られていないこと(非公知性)

 

という3要件が必要と書きました。

前回は「有用性」について検討したので、今日は「非公知性」について。

 

この「非公知性」についても、「有用性」と同様、保護されるに値するものだけを保護の対象とする、という意味で必要とされる要件です。

誰でも手に入れることが可能な情報であれば、それはもうパブリックドメインとして、社会において共有されている情報なわけで、そのような情報は営業秘密として保護する必要はありません。

ですから、一般に入手できない情報であることが必要となります。

ちなみに、もとは一般に入手できない情報であっても、それが意図せず第三者に開示され、不特定多数の人に知られた状況になってしまえば非公知性は失われます。

そういう状況になる前に、法的手段等の対策が必要です。

 

この非公知性に関しては、

 ・販売されている商品から得られる情報はどうか

 ・情報の一部が公知の情報であった場合はどうか

 ・立証責任をどうするか

という問題があります。

 

まず最初の問題。

技術情報に関して、販売された商品を分解し、解析すること(リバースエンジニアリング)により得られる情報は、非公知性が失われているのではないかという問題です。

これに関しては、商品を分解することで簡単に得られる情報であれば、販売によって情報が公開されたといえるので、もちろん、非公知性は失われます。

しかし、分解・解析してもわからないノウハウ情報や、解析が不可能ではなくても、解析には多くの費用や時間がかかるような情報であれば、非公知性が認められます。

 

次に、情報の一部が公知であった場合の問題。

例えば、顧客情報などの場合、誰でも知っているような大口顧客が含まれていることもあり、情報すべてが非公知ではないこともあります。

そのような場合でも非公知性が認められるのかという問題です。

これに関しては、仮に一部に公知の情報が含まれていたとしても、他に非公知の情報が含まれているのであれば問題ないと考えられています。

 

最後に、立証責任の問題。

非公知性は、情報が営業秘密として保護されるための要件なので、情報を保有していた者が非公知だと主張立証しなければなりません。

公知でないことを立証しなければならないわけですが、文字通り、ないことを証明するのは悪魔の証明なので、不可能を強いられることになります。

そこで、普通ではなかなか取得できないことを立証すればよいと考えられています。

つまり、情報が秘密としてきちんと管理されていたこと(これは次回検討する秘密管理性があること)が立証できれば、非公知性が推定されるというものです。

この場合、非公知ではなく公知だったと争う相手としては、一般的に知られた情報であったと立証しなければ、非公知性ありと判断されることになります。

 

非公知性に関してはこんなところです。

次回の「営業秘密の保護」は、秘密管理性を検討します(ようやく…)。

 

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